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感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第8話:孤独*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第8話「孤独」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

  • 作者: ヤマシタ トモコ
  • 出版社/メーカー: リブレ
  • 発売日: 2021/12/20
  • メディア: コミック

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第8話「孤独」のあらすじはこちら。
https://sankakumado-anime.com/
 先生の動向を探るために、三角と冷川は、迎、英莉可、逆木と協力し、幽体離脱した状態で先生の自宅に潜入する計画を立てる。しかし、先生の自宅はかつて『てのひら研究会』があった場所だと判明。冷川を気遣い、計画中止を提案する三角に、冷川は「思い出す何も、忘れたことはない」と平然と言葉を返す。

英莉可ちゃんを”先生”から逃がすための
反撃開始!の回でした。
原作の内容に対して放送回数が全く足りないせいで、
物語の枝葉の部分がばっさり削られたり、
複数の話が上手く一つにまとめられていたり……と
スタッフさんの努力と苦労が伺える構成になっていますが、
ここにきて
「あれもこれもやってないけど大丈夫なの?」と
改めて心配になりました。
(この回の出来が悪かったというわけではなく、
本当に容赦なく削られているのを実感したので、
改めてこの先が不安になったというだけです)



今回は、”先生”の不在に乗じて、
三角くんと冷川さんが彼の自宅に不法侵入するところから
始まりました。
後で三角くんが半澤刑事に反論していたように、
家宅侵入したのはあくまで霊体のみです。
(幽体離脱をした)
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二人の実際の肉体の前には迎君が座り、
霊体を飛ばした先(先生の自宅前の建物の中)には
英莉可ちゃんと逆木さんがいて、
それぞれで二人を補佐します。
不法侵入の目的は、”先生”の手がかりの探索です。



二人が家の中に侵入して早々に、
無造作に置かれた大金の山に冷川さんが興奮するという、
コミカルな場面もありましたが、
その後はずっとシリアスな場面ばかりが続きました。
冷川さんはここに奇妙な懐かしさを感じているようでしたが、
それもそのはず、
迎くんがネットで調べた情報によると、
この”先生”の家は、
「てのひら研究会」の跡地に建てられたそうです。
例の事件で大勢の人が亡くなったことで、
そこに残されていたもの(呪い?)を
”先生”が利用したのではないかと、
英莉可ちゃんが推測します。
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誰がどう考えても、
ここに冷川さんがいるのは、
精神衛生上、宜しくないことです。
三角くんもすぐに冷川さんを案じますが、
当の彼はけろりとした顔で
「思い出すも何も、忘れたことはない」と言い、
探索を続けます。

しかし、もうこの時点で、
冷川さんの目的は大きく変わったようです。
元々、英莉可ちゃんの救出にはさほど興味が無く、
今回の侵入にしても、
あくまで三角くんを手伝うというスタンスだったこともあり、
彼がかつてここに置いてきたというものの探索を始めました。
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その説明として、冷川さんが
「当時、母だった人のものがあって……」と発したのが、
原作同様、非常に印象に残りました。
普通は「生死にかかわらず家族は家族」と思うでしょうし、
たとえ死んだ母のことを話の中で挙げるとしても、
単純に「母」と称しても全くおかしくないです。
敢えて現状を説明する場合でも
「死んだ母」や「亡くなった母」と言うのが一般的です。
今回の冷川さんのように「母だった」との言い方をされると、
彼の中での彼女はもう母ではないのだということを、
嫌でも実感させられます。
尤も、アニメではカットされていましたが、
原作の漫画では、おそらく例の事件の発生当時に、
血相をかえた玲子さんによる
「お母さんよ、分からないの?」との呼びかけに対し、
冷川さんが「お母さんは、いません!」と答えたくだりが
回想として挿入されていたので、
今さらなのですが……。
かつて冷川さんが少年だった頃、
お世話係の中年女性に向かって
「お母さんは?」と尋ねた子供特有の思慕は、
一体どこに消えたんだろうと、
悲しく思わずにはいられませんでした。

玲子さんの死体の描写は、マイルドでしたね。
あれはもっと原作の漫画通りの方が良かったと思います。



人間は大事なものを冷蔵庫などに隠しがちという
逆木さんの提案を受けて、
三角くんたちがキッチンに移動すると、
シンクの排水溝から黒い穢れが発生しているのが見えました。
壊そうと即座に言った冷川さんに反して、
三角くんはそれを浄化しようと試みます。
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アニメでは原作での下水道管の話をやらなかったので、
そこで描かれるはずだった三角くんの修復能力の目覚めを
ここに持ってきたようです。
あの話は、三角くんもちゃんと戦力になるというのが
とてもよく実感できますし、
冷川さんもそんな彼をちゃんと認めていたので、
アニメで見られないのがとても残念です。
そういえば、その下水道管の話の延長戦で、
冷川さんが宗教施設のすぐ近くで囚われてしまう
(霊体が肉体に戻れなくなる)話も無く、
先週の放送でいきなり冷川さんが施設を訪ねていたので、
ちょっと唐突な感じになっていました。
上記のとおり、私は原作を愛読しているので、
アニメでの描写が足りなくても、
脳内で勝手に補完し、理解することが可能ですが、
アニメのみの視聴者はついていくのが大変だと思います。


三角くんの試みは成功しなかったものの、
黒い穢れが床下収納に吸い込まれるようにして消えたのを受けて、
ここには何かあるのではないかと不審に思います。
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しかし、そこを調べようとした途端、背後から、
男性の姿をした呪いが現れます。
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まるでおもちゃを見つけた子供のように
冷川さんが呪いに向かって手を伸ばそうとした途端、
三角くんが後ろから彼の服の襟を強く掴んで引っ張り、
自分たちを戻せと迎くんたちに頼みます。

そして無事に戻ってこれた後、冷川さんは、
穢れを浄化しようとした三角くんを
「私のを消されては困る。そうしたら私は壊せなくなる」と言い、
咎めます。

この流れも決して悪くない……けれど、
原作でこの台詞が出てきた際のお話がとても良く、
三角くんが反射的に、無意識で、
過去の冷川さんを含めて彼を浄化しようとした
(でも、それをされると冷川さんは困る)からこその
この台詞だったので、
アニメには物足りなさを感じてしまいました。
何より、三角くんの浄化能力と、
冷川さんがそれを咎める理由が合致しないので、
アニメ視聴のみの人にとっては
ちょっと意味不明な台詞になっていたと思います。



Bパートは、三角くんと迎くんが半澤刑事を相手に、
この家宅侵入の件を報告するところからでした。
その中で、半澤刑事は、
冷川さんに深入りする三角くんを見かねて、
彼の孤独に呑まれるなとの注意をします。
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確かに、
母の元という戻る場所が幼い頃からあった三角くんと、
それを持っていないのと同然の暮らしを強いられ、
本当に失ってしまった
(自ら手放したとも言える?)冷川さんとの境遇の差は、
あまりに大きすぎます。
しかも冷川さんの孤独は大きく、底も深すぎて、
今の三角くんが彼の戻る場所になるのは
とても難しいようです。

実際、冷川さんに
「大事なもの、無くしたくないものは?」と問い、
即答で「それは君ですよ」と言われた時の三角くんは、
まだ覚悟も度胸も無いからか、
激しく動じていました。
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とはいえ、三角くんの若さとこれまでの人生を思えば、
彼が動揺したのも当然でしょう。
むしろ、冷川さんの言葉を突っぱねるだけでなく、
「まだ受け止めきれない」と言えただけ、偉いです。


その頃、”先生”は、呪いの仕事をしていました。
ドライバーを務めていたスタッフの松居さん曰く、
力を使った後の彼は子供のように無防備になるようで、
きっとその状態が本来の彼なのかもしれません。
松居さんは、単なる好奇心なのか、
それとも”先生”の弱味を握る目的でもあるのか、
力を使った彼が呆けている時によく口にする女性について
是非語ってくれと望みますが……。
半分我に返ったような”先生”に
「どうせおまえは忘れる」と脅され、
実際、車中で聞かされたばかりのことを忘れてしまいます。
怖い怖い。

そして”先生”は、
自宅の前で待っていた英莉可ちゃんの父親の話を
聞かされているうちに、
彼への静かな怒りを覚えただけでなく、
その負の感情を自身のかつての妻や子に向け始めます。
現実では、室内に呪いの現象が出て……。
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昔、自分と幼い息子が持つ力に対して
妻の浄化能力が足りていないと気付いた”先生”は、
妻と息子の命を優先するという親らしい決断を下し、
自ら姿を消しました。
でも、自分に施した呪いの影響を受けるだけでなく、
普段から人の恨みや悪意に積極的に触れているせいもあるのか、
月日が経過するうちに思考が大きく歪んだようです。
妻を愛しすぎ、求めすぎたあまり、
とうとう彼女に対しても憎しみが募り、
「名前が分かれば必ず呪ってやる」と言いました。
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”先生”が、守るために
かつて捨てざるを得なかった妻と子に対して
猛烈な悪態を吐き、
恨みと呪いを絶え間なく口にしたシーンは、
見ていられないと思うほど痛々しかったです。



夜、英莉可ちゃんが自宅を出ようとしたところ、
母親に呼び止められ、
三日も帰ってこない父親の行方を尋ねられました。
普段から母親につれない態度を取られていたせいか、
英莉可ちゃんは冷たい返答をします。
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逆木さんの窘めも聞かず、
英莉可ちゃんが彼と共に向かった先は、
営業を終えた無人の宗教施設でした。
半澤刑事の頼みにより、会の帳簿を盗むためです。
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しかし金庫が開きません。
逆木さんが試しに
英莉可ちゃんの誕生日の数字を打ち込んでみても、
駄目でした。

すると突然、英莉可ちゃんの母親が現れ……。
それに二人が動じていると、
更に”先生”までもが姿を現し、一転、窮地に陥ります。
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ここは、原作を初めて読んだ時も怖かったですし、
そのお陰でこの先がどうなるかが分かっていても、
映像で見たらやっぱり怖かったです。

英莉可ちゃんが父親とすれ違うシーンが削られ、
変な匂いがしなかった?という疑問の台詞も出ないまま、
もうこの話になったということは、
”先生”から力を貰った父親が実は……という展開は
唐突に来るんでしょうか。
それとも、もう父親は出ないんですかね。
原作で父親が迎えた最期の状態は、
そうなって当然とはいえ残念なものでしたが、
英莉可ちゃんと母親の関係の再生に彼は不要なので、
できればきっちり描いてほしいです。

来週は、英莉可ちゃんの母親の機転からでしょうか。
とても好きなシーンなので、見るのが楽しみです。



続きはこちら。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第9話:交錯*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-12-02



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2021-11-25 16:15 
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