感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第4話:陥穽*ネタバレあり [アニメ感想]
アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第4話「陥穽」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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第2話:束縛
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第3話:呪詛
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第4話「陥穽」のあらすじはこちら。
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刑事である半澤に頼まれ、とある空き店舗を訪れた三角。そこは謎の「神隠し」が頻発している場所なのだという。空き店舗の前で三角が事務所にいる冷川に電話をすると、冷川はそのまま三角の体に乗り移り、空き店舗の調査を始める。その結果、空き店舗は悪いものを集めるために故意に作られた「貯金箱」のようなものだと分かる。しかも、その「貯金箱」は、「先生」に頼まれて英莉可が作ったもので――。
第4話のタイトルは、落とし穴という意味を持つ
「陥穽(かんせい)」でした。
その通り、"先生"と英莉可ちゃんによる呪いの仕事と、
偶然それに関わった三角・冷川コンビが描かれました。
冒頭から、三角くんの匂いを執拗に嗅ぐ冷川さんに
笑ってしまいました。
束縛が強い彼氏を持つと大変ですね……。
英莉可ちゃんの気配が三角くんに残っていた件は、
それだけ彼女の力が強いという証であり、
冷川さんがやたら神経質になって
そういったものを気にしていることでもあるでしょう。
三角くんの意見は一切求めず、聞かず、
彼は自分の運命だからという理由で
彼を過剰に束縛する冷川さんは、
一般的には狂気の沙汰なのかもしれません。
でも、これまで他人とまともに関われてこなかった
特殊で凄絶な過去を踏まえると、
そういう事情があるなら仕方が無いとして
他人が口を挿めなくなるのが、難しいところです。
それに、おそらく冷川さんにしてみれば、
これでも三角くんを自由にしているつもりなのでしょうし。
とはいえ、街で挨拶程度の会話を交わしたぐらいで
いちいちこうなっていたのでは、
三角くんがちょっと気の毒です。
冷川さんには悪気が一切無く、
逆に彼が三角くんを「気を許しがち」と言って
咎めてしまうあたりが、
問題を更に面倒くさいものにしている気がします。
さて今回は、
先生たちによる呪いの仕事の一つ・貯金箱についての描写が、
二つの視点で交互に描かれました。
まずは、それがそうとは知らずに接触してしまった
三角くんと半澤刑事の話です。
今回、半澤刑事から持ち掛けられた仕事は、
冷川さんの判断により、
彼抜きで行なわれることになりました。
冷川さんが半澤刑事に放った
「三角くんを貸すので、持っていってください」との言葉で、
冷川さんが三角くんを完全に物扱いしているのを
実感できてしまい、
三角くんには悪いのですが、つい笑ってしまいました。
三角くんにとっては全然笑いごとではない上に、
冷川さんが彼をぞんざいに扱う理由が
日本語が不自由なだけではないという点が、
非常に危ういのですが。
半澤刑事が運転する車で三角くんが現場に到着すると、
二人の話題は自然に、
その場にいない冷川さんのことになりました。
三角くんにしてみれば、
いつまでたっても冷川さんが自身のことを語らないので、
安易な気持ちで半澤刑事に聞いてみただけのようでした。
でも冷川さんの過去の扱いは非常に難しいので、
聞かれた側である半澤刑事は、
言い方の問題やどこまで言えるかの範囲などで
どうしても慎重にならざるを得ず、
答えるのが難しかったと思います。
結局、半澤刑事は「あいつは色々と難しい」と
ぼかして言うだけで終えていましたが、
言い方は始終優しかったので、
そこに彼の誠実さが表れていたのは勿論のこと、
彼自身が言っていたとおり、
最近になって登場した三角くんの存在に期待している部分が
大きいのだなと、実感できました。
半澤刑事が車のドアを開けて外に出た後、
三角くんが早速、冷川さんに電話をしたところ、
なんと冷川さんによる遠隔での幽体離脱が始まりました。
冷川さんにとってはちょっと試したい実験だった一方で、
三角くんには何も知らされずに行なわれていたのが、
多大に問題でした。
もし事前に冷川さんからの説明がなされたところで、
三角くんが全てを許可するとは限らないものの、
本来、三角くんが話せば分かる人であるのを思えば、
冷川さんが無断で無茶をする必要は無いんですよね。
尤も、この頃の冷川さんは、
いつものしれっとした顔で
「三角くんの許可を得ないことに何か問題でも?」と
平然と言うでしょうし、
そもそもこの実験が無茶だと思っていないはずなので、
私がこのように考えるだけ無駄なんですけれども。
冷川さんの実験は成功し、
彼は三角くんの体の中に入ります。
口調が!
仕草が!
見事に冷川さんのそれでした。
声優さん凄い!!
二人の能力をよく知らない上に、
普段から心霊現象を全く信じない半澤刑事が、
三角くんの変化にすぐに気付くことができても
彼が冷川さんのモノマネをしていると思い込んでいるのが、
おかしく、また、少々残念な部分でもありましたが、
そういう彼だからこそ心霊現象において最強だと言われるのだと、
強く実感できました。
冷川さんの指示を受けて、
半澤刑事は彼が描いた結界の一部を踏まされます。
この後で判明するとおり、
半澤さんが血や唾を吐けばこれが壊れるというのも含めて、
とても印象的なシーンでした。
途中、三角くんと冷川さんの接続が
ふいに切れそうになったものの、
冷川さんの呼びかけで回復し、霊的な調査は続行します。
といっても、ガラス戸越しに中を覗くだけなのですが……。
覗いたもの(そこにあった呪い)と
三角くんの相性が良かったようで、
彼が魅入られてしまうというハプニングが生じました。
一方、先生と英莉可ちゃんは、
とても繁盛しているように見えるラーメン屋の前で、
呪い屋の仕事の真っ最中でした。
二人の特殊な力により呪いが溜まっていくと、
影響は店内に留まらず、店の外にまで及ぶようで、
たまたま通りかかった人がいきなり不調そうになり、
店を通り過ぎた瞬間にまた元に戻っていたシーンは、
原作の漫画を読んでそうなると知っていても、
かなり怖かったです。
私は酷い貧血持ちで、
街中で体がふらつくことが普段からよくあるので、
漫画でこのシーンを初めて読んだ時は、
貧血の症状に襲われた時の百回に一回ぐらいは
建物や土地に溜まった呪いだったのかもしれないと、
ちょっと想像しました。
それに、前のお店が潰れた後に別のが新たに入っても、
特に原因は無さそうなのに早々に潰れてしまうのを
何度も繰り返す空き店舗……というのは
現実でも決して珍しくないことなので、
呪いが原因というのもあり得ると普通に思えるのが、
本当に怖かったです。
こういう場合、
そこにお店が新たにできると知った近所の人が、
「どうせまたすぐに潰れる」と陰で噂をするのも、
呪いを強める行動ですよね。
無自覚の小さな悪意も、
集めて束にすれば呪いになるという感じで。
仕事が一段落した後、
英莉可ちゃんの発言に棘を感じたらしい先生が、
彼女に向かっておとなげない言葉を吐き始めたところ、
ボディガードとして待機中だった逆木さんが
すかさず割って入ってくれました。
逆木さん、めちゃくちゃ格好良い!
惚れます!!
英莉可ちゃん曰く、
この時の先生の言葉は霊的な呪いではなかったそうですが、
霊的かどうかに限らず、
相手の未来を封じたり牽制したりするような言葉は
毒でしかないはずなので、
逆木さんには「よくやってくれた」と褒めたいです。
英莉可ちゃんは強いので、
先生からの言葉を聞いた程度では負けないかもしれないけれど、
子供から悪いものを遠ざけるのは大人の仕事なので、
役割をちゃんと果たした逆木さんには感心するばかりです。
その後、逆木さんに請われたのを受けて、
英莉可ちゃんが貯金箱についての説明を始めます。
些細なきっかけで穢れた場所が
人を介して更に穢れるというのには、
とても同意できました。
きれいな場所を汚くするのは勇気が要るので、
なかなかできない(しようと思わない)けれど、
ちょっと汚い所に自分が軽い気持ちでゴミを放つのは、
行動のハードルがぐっと下がるというか、
英莉可ちゃんも言っていたとおり
「これくらい、いいかな」と思いがちです。
その行動により自分も穢れるというのも、
なんとなく分かります。
話は少しずれますが、
とても疲れている時に自室が散らかっていると、
その汚さに自分の精神が引っ張られるような気がして、
疲れをより強く覚えたり、
寝て休んでも疲れが取れない感じがしたりするので、
そういう時はなんとか頑張って
部屋の片付けを優先して行なうようにしています。
今回の英莉可ちゃんの言葉を借りれば、
実質的な物の散らかりの上に、
負の感情が積もって見えないゴミと化している感じです。
別に、なんでもかんでも「汚れ=呪い」だと
思っているわけではないのですが、
この作品のように呪いや人の思いが具現化する世界では、
こういうことも関係しているのかもしれないなと
ぼんやりと思いました。
英莉可ちゃんが指したところ……
探したら本当に人の死体がありそうで、怖かったです。
再び三角くんたちの話に戻ります。
三角くんの異変に気付いた冷川さんは、
半澤刑事の助けを経て、
なんとか彼を事務所まで戻します。
この時の三角くんは、
霊的に心臓が止まっている状態であるようで、
冷川さんが霊的なAEDを直に施します。
それでもまだ様子がおかしい三角くん。
怖い怖い。
途中で豹変した三角くんが冷川さんに呟いた言葉は、
かつて先生があの空き店舗を呪いの貯金箱に変えた際に
置いておいた言葉(呪い)でしょうか。
貯金箱に惹かれる者に向けて、ああして呼びかけて、
それぞれの胸の内にある呪いを少しずつ貰うことで
着々と溜め込んでいる……みたいな感じで。
だから、あの建物の前を通る人々は、
少しでも負の感情があると呼びかけを無視できず、
顔がそちらに向いていたんだろうと推測しました。
(負の感情が無い人はまずいないので、全員がそうなっていた)
しかし、半澤刑事が三角くんの名前を呼んだところ、
一瞬だったものの本来の彼に戻った事態を受けて、
冷川さんが半澤さんにそれを再び頼みます。
かつて三角くんが契約書にサインをした時と同じく、
人にとって名前は霊的に重要だと
強く思わされたシーンでした。
何を見たのかと問われた三角くんの脳裏に浮かんだのは、
母親が大事にしている宝石箱と、一人の男性の後ろ姿でした。
これ、三角くんが無事だったので良かったものの、
半澤刑事がいなかったら、
ヤバい事態になっていたはずです……。
半澤さん、本当に凄い。
当人は全くの無自覚ですが、さすがでした。
自宅に帰った後、
母親の所有物である宝石箱を見る三角くん。
その母親に後ろから腰を触られたところ、
冷川さんの呪縛と鋭く反応しました。
あぁ、お母さん……!!!
三角くんの母親は、半澤刑事と違う意味で最強の存在で、
今は息子たちの物語の蚊帳の外にいる
(一定の距離を置いた立場にある)からか、
彼女が出てくるとホッとします。
母親がかつて夫に貰ったというこの宝石箱は、
幼い頃の三角くんがやたら欲しがったものでもあるそうです。
蓋にある一部の装飾が外れるようになっており、
三角くんがそこだけ貰うことになりました。
これ……!!
今後とても重要なアイテムになるので、
原作未読でアニメ初見の方は、
是非、覚えておいていただきたいです。
その後、街に出た三角くんは、
たまたま冷川さんと出くわしますが、
彼の方はそこに三角くんが来ると分かっていて
待っていたようです。
三角くんは、冷川さんがふと漏らした
「私の作っているのと混ざると危ないかもしれないから」
との一言が気になり、慌てて彼に詰め寄ります。
この後の冷川さんの発言も含めて
ここでの彼が全く悪びれておらず、
ニコニコしながら「経済的でしょう」とも言ったのは、
かなり怖いことですし、淋しさも感じます。
冷川さんの中での常識が、
一般人(その代表が三角くん)が持つそれとは大きく違うと、
はっきりと分かるからです。
マッチポンプは現実でもよくあることですが、
呪いでそれをやろうとする考えは、
三角くんでなくてもあり得ないと思うでしょう。
そんな常識はずれの言動をする冷川さんに対し、
三角くんがちゃんと怒ってくれたのは良かったのですが……
この時点での彼は、
怒りを露わにしただけでまだまだ無力であるのが、
ちょっともどかしいです。
三角くんは怒りに任せて
冷川さんをより深く知ろうとしたところ、
彼の中に幼い彼らしき人物を見つけます。
最後はちょっと胸が痛かったです。
冷川さん自身も知らない彼の本質は、
あの宗教施設に囚われていた頃の彼かと思うと、
三角くんには頑張ってもらうしかないです。
(実際、彼は冷川さんを救うべく頑張ります)
そういえば、倒れた三角くんが事務所で復活した後、
冷川さんが貯金箱の調査を半澤刑事に頼んだ時に
「宗教施設や研究所も除外しないでください」と言った時は、
ちょっとヒヤッとしました。
この時の半澤刑事は、
意識的なのか無意識なのか軽く受け流していますが、
冷川さんの口から「宗教施設」との単語が出ると、
かなりの重さを感じずにはいられなかったです。
今週の感想は以上です。
これで全体の三分の一が終わったということで、
そうであって当然ですが、
もう貯金箱の話かと、物語の進む速さに驚いています。
冷川さんの過去回も、再来週には来るでしょうか。
そこから先は怒涛の展開なので、
覚悟して視聴するつもりです。
勿論、楽しみです!!
続きはこちら。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第5話:過去*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-01
2021-10-26 22:58
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