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感想@映画「さんかく窓の外側は夜」*ネタバレあり [映画・舞台]

実写映画「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
原作の漫画については、
まだ単行本になっていない最終回まで読了しています。
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さんかく窓の外側は夜 9 (クロフネコミックス)

さんかく窓の外側は夜 9 (クロフネコミックス)

  • 作者: ヤマシタトモコ
  • 出版社/メーカー: リブレ
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版

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【感想@ヤマシタトモコ著「さんかく窓の外側は夜」】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2020-07-16



ヤマシタトモコ先生の大人気作品「さんかく窓の外側は夜」。
https://libre-inc.co.jp/special/yamashita_world/
約一か月前に雑誌にて連載が完結し、大団円となりました。
本来であれば、昨秋にこの実写映画が公開される予定でしたが、
コロナ禍の影響で延期され、
本日1/22(金)ようやく封切となりました。

以前の記事でも書きましたとおり、
私がこの「さんかく窓~」に興味を抱いたのは、
ネットでの称賛と、この実写映画の特報CMです。
以前から度々目にしていたBL作品が実写映画化!
しかも岡田将生さんに志尊淳さん、
加えて元欅坂46の平手友梨奈さんがメインで出演ということで、
早朝の情報番組でこのCMを偶然見た直後、
ネットで改めて検索し、原作漫画の電子書籍のお試し部分を読み、
直後にポチポチと単行本を通販するという怒涛の流れでハマりました。
紙の本が届いて一気に読んでからは、
佳境に入っていたその先の内容が気になり、
掲載誌の「MAGAZINE BE×BOY」も毎月購入しました。

つまり、この実写映画が無ければ
私がこの作品にハマることはなかったかもしれません。
とにかくもう感謝しかないので、
今回は公開初日の初回の上映を観てきました!



実を言いますと、原作の漫画を読んで三角くんの絵に見慣れた時、
見た目の違いから、
彼を志尊淳さんが演じるという点に対して強い違和感を抱きました。
また、作中ではとうとう最終回まで本名が出なかった”先生”の姓名が
何故かウェブサイトでばっちり出ていたり、
キーパーソンの一人・迎系多くんの存在が無いことになっていたりと、
映画を観る前から不安がありましたが……
残念ながら、私が期待した内容ではありませんでした。
今回の映画は、原作の主だった設定を使って再構築した
原作とは違う物語でした。

そもそも単行本全十巻という長い内容を
たった二時間弱でまとめようとするのは無理な話である上に、
映画の脚本が完成した時は原作がまだ終わっていない頃ですから、
この実写化が原作に忠実ではないとは分かっていました。
でもそれが予想以上だったので、残念に思える部分が多く、
不満に繋がりました。



勿論、良い点もありました!
まず、岡田将生さん演じる冷川さんが、とても冷川さんでした!
当初は、キャストを見た時に、
三角くんを演じた志尊淳さんと見比べて
「どちらかといえば配役が逆じゃない?」と思った時もありましたが、
そんなことはなく、岡田さんは間違いなく冷川さんでした。
格好良い顔面にうっかり騙されそうになるけれど、
考えていることがよく分からない(表情から考えが読めない)
なんだかちょっと危うい人
(自分の近くにいたら警戒した方がよさそうな人)というのが
とても良く出ていたと思います。
映画の中盤で、三角くんが怒ったシーンでの冷川さんは、
彼がそういう言動をする人だと分かっていたにもかかわらず、
私もゾッとしました。
冷川さんが冗談でなく、至極真面目に言っている分、
とても怖かったです。

また、平手友梨奈さんの非浦英莉可も
よく合っていたと思います。
私の場合、彼女が扮するエリカちゃんのビジュアルを見た後で
原作の漫画を読んだので、
エリカちゃんについては最初からてちのイメージが強くありましたが、
漫画を読んでいる最中もそれは変わりませんでした。
実際にスクリーンで観ても、違和感を覚えることはなかったです。
正直に言うと、もう少し滑舌を良くしてほしいとは思いますが、
彼女は女優さんとしてこれから伸びていくはずなので、
温かい目で応援していきたいです。
(てちについては、
お台場での欅坂お披露目会の時からずっと気にしています)

滝藤賢一さんの半澤刑事も良かったです!
死体の残り(呪いの装置)を三人で見つけに行く時に、
気分を害した三角くんがしゃがみ込んでしまっているのに、
半澤さんが一人で平然と歩いていく姿は、
彼ならではの「信じないことによる強さ」を実感しました。
強い説得力があったと思います。



で、何が不満だったかと言いますと……
冒頭の除霊シーンを始めとする
「除霊をすると性的な感じで気持ち良い」という原作の設定が
無いことになっていた点です。
冷川さんの乱暴な除霊も無く、
「あ、幽霊をぶん投げないんだ? 気持ち良くもならない?」と
驚くと同時に、残念に思いました。
ここ、私の中では肝と言ってもいいほど大事な設定だったので、
ばっさり省かれたのはショックでした。
尤も、初っ端でそれを見せられたことで、
「この映画は私の望んだ実写化じゃないな」との覚悟が
改めてできました。

また、近視の三角くんが、
生きている人間に交じっている幽霊を判別するために
眼鏡を外すというシーンが何度か出てきましたが、
(生身の人間はぼやける→幽霊はそのまま見える)
漫画と違い、
幽霊のビジュアルが一見してそうだと分かるものだったので、
「これ、別に眼鏡を外さなくても分かるよね」と
ツッコミを入れずにはいられなかったです。



せっかく入っていた除霊後の焼肉シーンも、勿体なかったです。
というのも、原作では
除霊前には肉断ちをした方が良い
→除霊をすると腹が減る
→除霊後に焼肉!
という流れがあるのに対し、映画では無かったので、
ただ食べるシーンになっていました。
(悪趣味な死体描写の後の焼肉シーンはえぐくて
思わず苦笑いが出ましたが、そういうのは求めてなかったです)
しかも、積極的に食べていたのは冷川さんだけで、
三角くんは二回ともまともに食べてなかったですし。
せっかく焼肉シーンを入れてくれたなら、
三角くんもがつがつ食べてほしかったです。


序盤の焼肉屋さんでの契約のシーンも、
冷川さんなら契約書なんて予め用意せず、
原作でもそうだったように
その辺にあった適当な紙に書いただろうと想像しました。
また、あそこで大事なのは契約書に自ら署名したことなので、
拇印の駄目押しは要らないと思いました。
あと、契約の印の三角印▲がかなり濃かったことに、
少し驚いた後で笑いそうになりました。
てっきり、少し赤くなる程度だと思っていたので……。
あれは見た目がかわいそうww



こんな感じで、解釈違いというか、
「私の中ではこうなんだけど、映画では違った」という点が
かなり多くありました。

逆木さんについては、
原作の漫画でも彼は中盤以降に活躍する人物なので、
この映画でチョイ役だったのは仕方が無いと納得していますが、
エリカちゃんが自家中毒になってしまった際に、
出ていけと言われて素直にドアから出ていった点が、
私の中では違っていました。
私が想像する逆木さんなら、
エリカちゃんを心配するあまり絶対に出ていかず、
あの部屋の端っこにでも頑として残るはずだと思いました。



物語の鍵となる掌光会についても
原作とのイメージが大きくかけ離れていて、
"先生"や信者の格好には思わず笑ってしまいましたが、
まぁ、新興宗教を表現するための分かりやすい形だということで、
受け止めることはできました。
ただ、”先生”については
「どこにでもいそうな、うだつの上がらない男」だからこそ
不気味さが余計に増していたと思っていましたので、
そこを生かしてほしかったです。
そして、あの内容だったなら、
ウェブ等のキャラクター紹介で具体的な名前を出す必要は
無かったのでは?
掌光会も、よくある奇妙な宗教ではなく、
小規模でアットホームなイメージが漫画ではあったので、
映画での様子は「これじゃない感」がとても強かったです。



そう、実写映画化にあたり
原作の設定や物語の取捨選択をするのは当然なんですが、
「え、ここを捨てるの?」とか「ここを変えるの?」というのが
私とはとにかく合いませんでした。
上記の冷川さんや逆木さんのように
登場人物に対する解釈も違っていたのも大きかったです。
三角くんは、怒っても冷川さんを決して見捨てないはずなので、
あそこで彼が事務所を辞めるのは違うと思うんですよね……。
三角くんなら自宅で一晩悩んだあと、
「ムカついたけど、やっぱり来た」と言って、
翌日また事務所に足を運んでほしかったです。
そして冷川さんから
「なんで偉そうなんです?」とつっこまれてほしい。



映画の後半については、
制作時に原作が未完であるのを踏まえると、
オリジナルの展開でよく頑張ってまとめたなと思いました。
ただ、エリカちゃんの描写が中途半端のまま終わり、
"先生”や貯金箱といった謎が明かされず、
具体的な敵を倒さないままW主人公が和解して終わりだったので、
終盤にはあってほしい興奮や爽快感が無く、
果たして原作未読の観客は満足できたのだろうかと思いました。
半澤刑事の奥さんは一命をとりとめましたし、
エリカちゃんも改心したのでとりあえず良かったですが、
めでたしめでたしの終わり方とは程遠かったです。

これはもう仕方が無いと思うんですが、
冷川さんが少年時代に記憶を失ったというのも残念でした。
というのも、私は、原作での冷川さんが、
当時のことはずっと忘れていないし全て覚えていたけれど、
昔はまともな教育を受けられなかったせいで語彙がなく、
それを言葉で表現することができなかった……からの、
教育を受けてから言語化できるようになったという設定が
とても衝撃的だったからです。
冷川理人という人間が
除霊できるという能力があるばかりに持つ羽目になった
強烈で最悪な重い過去を、的確に表すエピソードなので。
「記憶を失った」という要素は
特に入れなくてもいいのになと思いました。

あと、エリカちゃんのお母さんについては
できれば殺さないでほしかったです。
あのお母さんが、別の形でエリカちゃんを助ける原作でのエピソードが
とても好きだったので……。
逆に、お父さんはもっとクズでも良かったと思います。



ここまで長々と書きましたが……厄介なファンですね、私。
でも原作至上主義の原作厨としては、
原作をそのまま再現してくれるのが一番なので、
改変部分にはどうしても敏感になってしまいます。
とはいえ、細かな事件が映画でほぼほぼ省かれたことや、
三角くんのお父さん(+お母さん)の話が無かったこと、
やっぱり迎くんが登場しなかった点は納得できるので、
原作の全てを生かせとは思っていません。
ただ「ここはこうだろ!」という所が結構違っていたのが
痛かったんです……。
三角形の螺旋階段のシーンはとても印象的でしたし、
冷川少年が万華鏡に安らぎを見出していたという
映画オリジナルのエピソードなど
最初に挙げた他にも良い点が多々あったのが救いです。
ここまで挙げる機会が無かったので今さらですが、
志尊淳さんも、外見が原作の三角くんと違うというだけで
演技はとても良かったです。
冷川少年に優しかったところは特に見どころでした!


そうそう、事前に思っていたよりもホラーじゃなかったのが
少し気になりました。
コンビニ店員による死体の切断はエグかったけれど、
三つの死体を繋げた呪いの装置は怖くなくて、
ちょっと拍子抜けしました。
ホラーというよりサスペンス要素が強かった気がします。


(追記)
文章をちょこちょこ直したり追記したりしてますが、
これも書き忘れてたので書き足し!!
OPはとても良かったです。
映像も音楽も凄く好みで、
お洒落なだけでなく世界観が強く表れてるなーと思いました。

中盤で言霊の話になった時に
三角くんがスマホでSNSの悪い書き込みを見ていたので、
漫画であった「人の悪意を呪いとしてその身に受ける描写」が
映画でもあるのかと思いきや、
貯金箱での線での描写になっていたのも、悪い意味で予想外でした。
悪い言葉が線となって体に刺さるシーンは悪くなかったけれど、
原作であったように
黒い呪いがぞわぞわと体にまとわりつく方が怖くて、
視覚に強く刺さる気がします。


あと、原作でエリカちゃんがコンビニ店員に呪いをかけた時に
「あなたが思いつく範囲で最悪なことをしてください」
→猟奇的殺人となって、
あんな普通そうな人でも正気じゃないとこんなことするのかと
漫画だと分かっていてもかなり怖かったので、
そこも映像で見たかったです。
そしてそれを言うなら、
顔が抓られている女性や
部屋の隙間全てに目がある女性の話も映像で見たかったなと
希望が尽きません。
(追記終わり)



原作のファンなので、映画館でパンフレットは購入しました!
sankaku.jpg
後できっと出されるであろう円盤は悩み中です。
自分の中で整理がついたら
「映画は映画」として観れると思うので買おうと思います。
あと、アニメ化に全力期待!!!!
中断ありの二クールでじっくりやってほしいです。
もしキャストさんが発言したように続編があるなら、
次は帯ドラマでじっくりみっちり観たいです。


もしこの映画を観て、よく分からなかったなと思った方は
是非、原作の漫画を読んでください。
本当に面白いです。
読んだらきっと
冷川さんや三角くんやエリカちゃんのことがもっと好きになるし、
逆木さんが格好良すぎて惚れるし、
半澤さんが頼もしすぎて泣けます。
最後は本当に大団円で、万々歳の物語です!

冒頭は、電子書籍でお試し読みができると思うのでどうぞ。



(再び追記)
この日のコーデ。
・カットソー(MILK)
・窓柄スカート(metamorphose temps de fille)
skr.jpg
生きている人の色だという黒を基調に、
窓柄のスカートを合せました。
死んでいる人の色(白)と、血の色(赤)も入っていて
良い感じになりました。
ポシェットは、三角くんが書店員ということでブック型にしました。



(10/5追記)
待望のアニメが始まったので、感想を書きました。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第1話:出逢*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-10-04



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2021-01-22 18:07 
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