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感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第5話:過去*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第5話「過去」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

  • 作者: ヤマシタ トモコ
  • 出版社/メーカー: リブレ
  • 発売日: 2021/12/20
  • メディア: コミック

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第5話「過去」のあらすじはこちら。
https://sankakumado-anime.com/
 三角の感情を理解できない冷川。一方三角も、冷川の異常性に気付きつつも、関係を切ることができず――。
 そんな中、三角は逆木に拉致同然に無理矢理、車に乗せられ英莉可の元へ連れていかれる。戸惑う三角に、英莉可はあっけらかんと宿題を手伝って欲しいと頼む。宿題をやりながら英莉可は、三角に自分を雇っている「先生」のことや、英莉可が能力に目覚めたきっかけの話をする。

この作品では、毎回、直球なタイトルが付けられています。
今回もそうで、二人の人物の過去に焦点が当てられました。


前半のAパートでは、英莉可ちゃんの過去が描かれました。
その前に、前回の言い合い
(というか三角くんが一方的に怒った時)の続きから
始まりました。
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私には、常識がある三角くんの気持ちについては
難無く理解できる一方で、
それが分からない・察せない冷川さんの気持ちが
分かりません。
軽く考えてみても、
人道に外れたことを平気でやってしまうぐらい、
冷川さんは常識に乏しい人で、
それを咎めた三角くんを理解できないほど
他人の気持ちが全く読めない(読まない)のだろうとの
結論に至ってしまいます。
これまでの冷川さんには、別にそうする必要が無く、
仮にあったとしても、
しないせいで不利益を感じることは無かったんでしょう。
冷川さんにしてみれば、きっと単純な質問だった
「君、いつまで怒っているんですか」の呼びかけも、
火に油を注ぐ結果になってしまいました。
そういった点も含めて悪いということを、
冷川さんが一切気付いていないのが、悪いです。



事務所を出た三角くんが悩んでいると、
突然、逆木さんによって拉致されます。
ベンツで連れていかれたのは豪邸で、
そこから出てきたのは、あの英莉可ちゃんでした。
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三角くんは身構えますが、
英莉可ちゃんが彼をここに読んだ目的は、
勉強を見てもらいたいとのことでした。

以前にも書いているとおり、
呪い屋の仕事中以外の英莉可ちゃんは、
本当に普通の女子高校生といった感じで、
年相応の可愛らしさが満開です!
欠席が続いているせいで勉強が不安だというのには
真面目さが出ていましたし、
ごくごく一般的な子供だというのが分かります。
だからこそ、仕事中の彼女が怖いという落差が
よく出ていました。


そうした中、
背後に人の気配を感じた逆木さんが部屋を出ると、
英莉可ちゃんのお母さんがいました。
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仕方が無いとはいえ、
この頃のお母さんはやはり頼りないですね……。
あくまで仕事とはいえ、
英莉可ちゃんをちゃんと守っている逆木さんが
凄く凄く頼もしくて、やたら格好良いので、
彼女のことはより強くそう感じてしまいます。
とはいえ、
可愛い娘が普段から変なことを口にするだけで留まらず、
どうも奇妙な能力を本当に所持しているようで、
夫によって”先生”に売られてからの娘は
よくないことに手を貸しているらしい……と、
なんとなく知っているだけの立場でしかないのを踏まえれば、
不安や恐怖や罪悪感で現実から目を背けてしまう
(娘とまともに関わらないようにする)のは、
あのお母さんでなくても当然です。
本来なら自分の唯一の味方になってくれる夫が、
全く頼りにならないですしね。
お母さんにとっては、
あの豪邸に住まわされていることも
不安や恐怖の種になっていると思います。
娘を売ったら急に尋常でない金額が入るようになるなんて、
どう考えてもまともではないので。



一方、街では、冷川さんと迎くんの再会がありました。
ここ、原作の漫画では無いシーンだったものの、
内容は合コン回の抜粋・流用だったので、
上手い改変だなと思いました。
あれはアニメでカットされても仕方が無い回でしたが、
終盤で冷川さんがピンチになる前に、
迎くんとの会話はあった方が良いはずなので、
設定を変えた短縮版でもきちんと入れてもらえたことは、
原作ファンとして嬉しかったです。
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冷川さんは、いつもの乱暴なやり方(投げ飛ばす)で
除霊を試みるつもりでしたが、
たとえ相手が霊でも対話を主とする迎くんは、
即座に彼を咎めると
そうでないやり方を覚えろと強います。
迎くんのお兄ちゃん力が、
本当に素晴らしいです。
優しいせいで他人を見捨てられないことから、
危機に進んで突っ込んでいくタイプなのでしょうが、
それでもここまで上手くやれてきたのは、
彼の行動が正しい証だと思います。



話は再び非浦家に戻り、
二人が出会う前の話をそれぞれが明かします。
この回想で、今より少し若い三角くんが登場しました!
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原作の漫画でも、このシーンは怖かったですが、
アニメも怖い!
めっちゃ怖い!!
逃げ場が無いのは、最強レベルで怖いです。


続けて、英莉可ちゃんの話になりました。
普段からお喋りが大好きだった幼少期の彼女が、
なかなか帰らない相手の求めに応じて「入れて」あげると、
「死」が彼女の中に入ってきたとのこと。
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そのお返しとして、
「死」が英莉可ちゃんを助けてくれるとのことで、
彼女はネクロマンサー(死霊使い)になったそうです。
「死に愛されている」との発言が重い重い……。
普通の霊能力者であれば、
行き場の無い霊を見てもぴしゃりと追い払ったり、
除霊したりするのでしょうが、
優しい英莉可ちゃんは、
受け入れを可能とする霊的な包容力を所持していたこともあり、
以後もそうし続けているようです。
冷川さんや迎くんとは違った能力で霊と接しているのだと、
よく分かりました。

ここで印象的だったのが、英莉可ちゃんの家の描写です。
彼女が小さな頃の家は、明らかに一般家庭のそれでした。



非浦家からの帰り道、三角くんは、
再び冷川さんに思いを馳せます。
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そう、紐づけされているのなら、
自分が相手に引っ張られるだけでなく、
相手を引っ張ることもできるんですよ!!!
ここに気付いてくれてありがとう、三角くん!



後半のBパートでは、一転して、
三角くんのお母さんの過去話となりました。

職場の同僚に向かって、
とある男性との馴れ初めを話すお母さんが
とにかく初々しくて可愛いかったです。
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男性もイケメン!
原作以上に、男性もお母さんのことが好きだと分かり、
二人のラブラブなシーンはほっこりした気分になれました。


お母さんと男性の仲は急速に深まり、
二人は小さなアパートの部屋で同居することになりました。
子宝にも恵まれ、息子(三角くん)が誕生しました。
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何故か、何も無いところを指す息子。
赤ん坊ならよくあることだと同僚は笑い飛ばしましたが、
男性も普段からよくぼんやりとしていると、
お母さんは言葉を続けます。


夫婦は息子を可愛がりながら
毎日を楽しく過ごしていきますが、
息子の不穏な様子やお母さんが何気なく発した言葉を機に、
男性が厳しい現実に気付いてしまい、
一つの辛い決断を密かに下さざるを得なくなります。
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ある日、外からお母さんが帰宅すると、
瞬間的に異変を感じました。
その直後、男性の所持品が全て見当たらないだけでなく、
彼の名前や顔といった記憶も失っているのを自覚し、
激しく戸惑います。
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私の話になって恐縮ですが、
夢を見た後にそれを思い出そうとして、
稀に「あ、ここで記憶から手を離したらもう忘れるな」と
はっきりと自覚できる時があり、
その直前まで明確に覚えていた夢の内容が、
その直後から急にあやふやになるんですけれども、
(記憶が少しずつ失われていく感覚があって、
その後は本当にもう思い出せなくなる)
分かる方いますかね……?
この時のお母さんの記憶の描写は、
きっとこの感覚に近いんだろうなと
勝手に共感しています。

あと、男性の能力の高さを踏まえると、
彼があそこにいた証である三角くんがいたからこそ、
お母さんには呪いがあの程度にしか効かなかったんでしょう。
そういう証を持たない顔見知り程度の他人
(たとえば、彼がよく行くコンビニの店員など)は、
彼の存在すら覚えておらず、
元々いなかった人になっているはずです。


分からないことだらけだけれど、
分からないなりに現状を理解したお母さんは、
三角くんと二人で生きていこうと決意し、慟哭します。
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これまで作中でちょくちょく挙げられてきたとおり、
三角くんは見たくないものをたくさん見てきたせいで、
嫌な思いを多々してきたようです。
でも、彼の過去が大きく取り上げられることはなく、
ここで彼の母親の過去に焦点が当てられたというのは、
彼女の決意とその後の頑張りがちゃんと実を結んでいて、
息子と二人、幸せに生きてこられたという事実に
しっかり繋がっていると思います。
三角くんにとって霊が見えるのは嫌なことで、
そのせいで辛い目に遭うのも少なくなかったけれど、
それ以外は特筆するほど不幸ではなかったのは、
絶対にお母さんのお陰でしょう。
尤も、霊が見えるというだけでも尋常でないので、
だからこそ彼はこの作品の主人公を務められているのですが。


大変なこともあったでしょうが、
可愛がっている息子と、気の置けない仲である同僚との会話で
今も穏やかに微笑むことができているお母さんに対し、
失踪した男性は……三角くんのお父さんは……
あの"先生"は、
英莉可ちゃんを相手に怖いことを言っていました。
平穏とはほど遠かったです。
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結局、今は”先生”と呼ばれているこの男性は、
無意識とはいえ浄化能力を持つ妻
(三角くんのお母さん)から進んで離れたせいで、
精神が荒むばかりだったのだろうということは
想像に難くないです。
人並みの幸せを一度手にしてしまった分、
それを自分から捨てざるを得なかった苦痛は
計り知れません。

そして、”先生”が周りの人にかけているという呪いは、
原作者によって私たちにも影響していて、
漫画が完結した今でも彼の本名を知らされていない
(明かされていない)というのが、
とても淋しいことになっています。
だからこそ、今年公開された実写映画で、
”先生”の名前が公式サイトで明かされていたのは失敗だと、
改めて思いました。



今週の感想は以上です。
話がどんどん重くなっていきますね……。
でも、ここから更に重さと面白さが増すのは分かっていますので、
震えながら待ちます。
次週も楽しみです!



続きはこちら。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第6話:信疑*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-08



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2021-11-03 00:18 
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