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感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第7話:贖罪*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第7話「贖罪」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

  • 作者: ヤマシタ トモコ
  • 出版社/メーカー: リブレ
  • 発売日: 2021/12/20
  • メディア: コミック

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第2話:束縛
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第6話:信疑
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第7話「贖罪」のあらすじはこちら。
https://sankakumado-anime.com/
 英莉可による『呪い』のせいで半澤の妻が体調を崩す。三角はそれが英莉可の仕業だと気付いたものの、良心が咎めて半澤に話すことができない。
そんな中、英莉可と逆木はCOOLEANを襲撃。三角を押さえ込み、「なんで警察に話したの!?」と責め立てる。そのまま英莉可は暴走し、自分自身の存在を呪って自家中毒を起こしてしまう。

第7話は、大きな山場に挟まれた谷間のような回で、
最後の大きな事件が起こる前の地固めが描かれました。
とはいえ、内容は盛りだくさんで、
本来なら2話分ぐらい要してもおかしくないほど
ぎゅっと濃縮して詰め込まれていました。
脚本家さんは本当にご苦労されたと思います。
また、前回は回想シーンのみの出番だった三角くんが、
今回は出ずっぱりで、台詞の数が大変多いだけでなく、
英莉可ちゃんや冷川さんを説得するシーンがあったせいで、
彼を演じる島﨑信長さんも大変だったと思います。



今回は、半澤刑事と三角くんの会話で始まりました。
半澤刑事の口調はいつも通りでしたが、
具合が悪い妻を心配して、
家に帰っても安らげないからか、
ちょっと疲れているようなのが見て取れました。
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英莉可ちゃんによる呪いの強さを知っている私からすると、
「そのまま放っておくと、奥さんが死んじゃうよ!」と
焦らずにはいられなくなるのですが、
こんな時でも半澤刑事が平常心を保っていられるのは、
やはり本来の彼が信じない人だからでしょう。
だからこそ、英莉可ちゃんと対峙した時の半澤刑事が、
妻があの場に現れたのを見た瞬間に、
彼女が英莉可ちゃんに何かされるかもしれないと心配した
(英莉可ちゃんの力を信じてしまった)のは、
人として当たり前の感情ですが、
彼にしては珍しいことだったんだなと実感できます。
もしも半澤刑事が、
例外すら無く完全に何も信じない人だったなら、
あの時も何も思わず、
呪いの力が妻に及ぶこともなかったのを想像すると、
一番まずいところで弱点が露呈してしまったというのが
理解できます。

これまでの僅かな交流を介して、
英莉可ちゃんが悪い子ではないと知っている三角くんは、
複雑な立場になってしまいました。
それでも、三角くんがここで
英莉可ちゃんについての詳しい情報を話さなかったのは
偉いです。
三角くんが半澤刑事と英莉可ちゃんのどちらを選ぶか
(どちらを大事にするか)
ということにはならなくとも、
困っている半澤刑事が目の前にいる状況を思うと、
仮に三角くんが彼に力を貸す流れになったとしても
仕方が無かったはずです。
ここできっぱりと「それは違う」と言えるのが、
三角くんらしい行動でしたし、彼の長所もありました。
そんな三角くんの気持ちを汲んで、
半澤刑事が彼から無理に情報を得なかったのも、
素晴らしかったです。
尤も、半澤刑事は英莉可ちゃんの力を信じない人なので、
この期に及んでも妻が彼女に何かされたとは
あくまで推測の域を出ていないらしく、
ここで三角くんに無理強いをする必要は無いと
踏んだのかもしれませんが。


二人の会話では、
冷川さんの過去が話題になりました。
そこで半澤刑事に挙げられた単語が気になった三角くんは、
とうとうスマホで検索をしてしまいます。
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これまで見聞きした冷川さんのおかしな言動や、
半澤刑事の思わせぶりな発言から、
どうやらまともじゃないらしいとの予想をしていても、
これにはびっくりしますよね……。
壮絶すぎます。


そうしていると、スマホの画面に目玉の画像が出現し、
三角くんは逆木さんに後ろから羽交い絞めにされます。
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勿論、後から英莉可ちゃんもやって来ました。
一瞬でしたが、ハンチングをかぶった顔が可愛かったです。


三角くんによって
自分が警察に売られたとの勘違いをした英莉可ちゃんは、
彼を一方的に責めますが、
彼女の怒りは早々に自身に向かい、
呪いの自家中毒を起こしてしまいます。
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あっという間に様子がおかしくなる英莉可ちゃん。

英莉可ちゃんが持つ呪いの力が強大なだけに、
自家中毒の症状も尋常でないようで、
その影響をまともに受けた逆木さんも急に体調を崩し、
倒れ込みます。
しかし、二人のすぐ近くにいたにもかかわらず、
三角くんだけがけろっとしていて、
彼が触れた途端に逆木さんの不調が一気に消えたのは、
彼自身の能力も関係するのでしょうが、
母親から貰った例の飾りのお陰だろうと思いました。

倒れた英莉可ちゃんの頭部を逆木さんに支えてもらい、
三角くんは彼女と正面から話をします。
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英莉可ちゃんは、
大人のように言動がしっかりしているとはいえ、
まだ十代の女の子です。
本来なら、
近しい大人に助けを求めたり甘えたりするのが
当たり前の年頃です。
しかし、それが全く叶わない状況が
幼少期からずっと続いていたのは、
彼女が自覚していた以上に辛かったと思います。

英莉可ちゃんの中で自身への嫌悪感が募った結果、
「私なんか……」と自暴自棄になったのも、
本来の彼女が優しくて良い子だという表れでした。
勿論、アニメの視聴者や原作の漫画の読者の中には、
本当に英莉可ちゃんがそういう子なら
そもそもあんなことをしないという意見を持つ人や、
たとえ創作の世界であっても
犯罪に手を染めた子を肯定するのは許せないという人も
いるかと思います。
でも、悪いことにしか使えない力に戸惑っているうちに、
実の父親によって不気味な宗教団体に売られてしまい、
母親に助けを求めようにも無視され続ける中、
宗教団体の代表から他人を呪い殺せと指示される
(断ったらおそらく自分が殺される)という環境では、
大人でも抗うのは無理だと思います。
寧ろ、自分の心を捨てて、
仕事だと割り切って淡々と対象を呪い続ける方が、
気持ちは格段に楽だったはずです。
英莉可ちゃんが自発的に
「できることなら辞めたい」と思えるようになり、
三角くんたちにその意思を示せるようになっただけ、
凄いし偉いです。

三角くんの真摯な言葉は、
なんとか英莉可ちゃんに届いたようで、
彼女の発言は「私なんか死んじゃえばいいんだ」から
「生きていたいよ」に変わりました。
すると、英莉可ちゃんを蝕んでいた呪いは、
彼女自身の中に吸い込まれる形で消えました。
三角くんの言葉に救われた英莉可ちゃんは、
差し出された彼の手を取ります。
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誰かに自分を本気で肯定してもらえるのは
滅多にないことですし、
この時の英莉可ちゃんは心がひどく弱っていた分、
三角くんの言葉がより深く沁みたでしょう。
良かった良かった。



一方、この時に事務所にいなかった冷川さんが
どこで何をしていたかと言えば、
例の教団施設を単独で訪ねていました。
あの事件でスタッフのほとんどが亡くなったからか、
今は名称を「手の教え研究会」と変えていて、
対応してくれた女性も冷川さんを知らないようでした。
しかし後から追いかけてきた男性は、
あの事件の生き残りだったようで、
冷川さんに対し親しみを込めて「学士」と呼び、
一方的に話を始めます。
冷川さんは、そんな男性を疎ましく思ったのか、
自身の中に溜めていた呪いの力を彼に向けて使います。
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このシーン、
男性が親しそうに話しかけてきたのに対して、
冷川さんは彼が誰であるかを思い出しても
無関心でい続けたようでしたが、
彼を煩いなと思った瞬間に、
まるで蠅でも追い払うような感じで
あっさりと呪いの力を使っていたのが、
とてもとても怖かったです。
もし三角くんがこの行動を見ていたなら、
冷川さんに憤慨するだけに留まらず、
彼を見限ってしまいそうなレベルの悪事なのに、
当の冷川さんに罪悪感が全く無いようなのが、
底知れない恐怖を覚えます。
冷川さん自身が悪いことをしたと思っていないから、
悔いや反省といった感情とは無縁ですし、
たとえ誰かにこの行動を責められたとしても、
そうされる意味が理解できないでしょう。
冷川さんの中では、
特に人の死にまつわる善悪を測る物差しが、
世間一般のそれとは全然違うようです。



Bパートでは、
自分が犯した罪を深く反省した英莉可ちゃんが、
三角くんたちと共に半澤刑事の家を訪ねました。
半澤刑事の妻は、ひどくやつれた様子で現れました。
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早速、英莉可ちゃんは呪いを解こうとします。
今まではそうする必要が無かったからか、
解く作業をしたことはないそうですが、
使役した死に戻ってきてもらえば
きっと成功するとのことでした。
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死が再び英莉可ちゃんの体に入った途端、
彼女の目や鼻から血が流れ落ちました。

半澤刑事の妻は、
そんな英莉可ちゃんを見て心配しますが、
体調は急に良くなったようです。
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英莉可ちゃんは、加害者の自分が
被害者である彼女から心配されたことに驚き、
戸惑います。
いや、でも、
自分の目の前で若い女の子が血を流して倒れたら、
被害者・加害者意識が一瞬吹っ飛ぶことも、
普通にあるでしょう。
それに、半澤夫婦は、
英莉可ちゃんに何かされたらしいとは思っていたのに、
彼女に向けて言葉を荒らげることをしなかったので、
彼らが元々そういう人だという要因も
ここでは大きかったのかもしれません。

妻を下がらせた半澤刑事は、
改めて英莉可ちゃんに向けて話をします。
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半澤刑事が刑事罰について話した時に、
英莉可ちゃんがしゅんとしただけでなく、
冷川さんもちょっと反応していたのが印象的でした。

英莉可ちゃんはちゃんと猛省したからか、
間接的な被害者である半澤刑事の
「君の行動の先に人間がいるのを考えろ」との言葉に、
深く感じ入っているようでした。
大人が子供を正しい道に導くのは、
役割であり義務であるものの、
彼女の周囲にいる大人でそれをやれている人はいないので、
半澤刑事の大人としての正しさにはホッとします。
逆木さんも良い人だけれど、
英莉可ちゃんに雇われているという立場のせいで、
彼女の危機を救うことはできるけれど、
正しく生きるように諭すまでには至っていません。
それができる人が現れて、本当に良かったです。



半澤刑事の自宅を後にした三角くんは、
英莉可ちゃんの死を受け入れる力を優しさだと認めた上で、
彼女を再び慰め、励まします。
三角くんの言葉が本心からだと分かるからこそ、
英莉可ちゃんも嬉しそうでした。
自分の力を悪いものだとしか思えないなら、
それを所持する自分を呪うしかないですが、
少しでも良いものだと思えるようになれたなら、
どうにか上手く付き合っていこうという
前向きな気持ちを持てるはずです。

三角くんと英莉可ちゃんは、
改めて今後について話そうと決めますが、
冷川さんがそれに異を唱えます。
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このような時でも
「利害」や「目的」との単語を平気で言えるのが、
冷川さんらしいです。
三角くんがそんな冷川さんを怒ったのも、
いかにも彼らしい反応の仕方で、
それぞれの性格や個性が出ていました。

英莉可ちゃんと三角くんが結託した以上、
彼らと逆木さんが協力するのは自然な流れですが、
冷川さんはあの場にいなかったこともあり、
余計な面倒への関わりを
三角くんに強いられている状況にあります。
仮に、冷川さん抜きで話を進められるのなら、
皆の意見の一致は得やすいのでしょうが、
戦力不足になるのは否めませんし、
そもそも三角くんがそれを許さないでしょう。
でも冷川さんを加えるとなると、
行動する理由からして違うので、
彼が譲歩しない限り折り合いがつかない
(彼が言ったとおり「物別れに終わる」)というのが、
問題でした。


三角くんはこのままだと駄目だと思ったのか、
話の上手い迎くんが召喚されました!
皆のお兄ちゃん!
頼もしい!!
逆木さんより年上とは、とても見えないです。
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話は、”先生”のことだけに留まらず、
冷川さんの過去にまで及びました。

冷川さんの「人を助けると損をする」との発言に、
やるせない気持ちになったらしい三角くんは、
「俺が人を助けたいのは、
自分だったら見捨てられたくないし、
見捨てる人間になりたくないからだ」と言い切ります。
もしも、ドラえもんのタイムマシーンがあって、
三角くんが過去の冷川さんを救いに行けていたら、
冷川さんもこんなに歪まずに済んだかもしれませんね。

三角くんが「助けることは損じゃない」と続けると、
冷川さんは考え直したのか、
「いいでしょう。手伝いますよ」と言ってくれましたが、
淡々とした口調といい、
その直前の
「私の思っていたのとは違うのかもしれない」発言といい、
不穏でした……。
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半澤刑事の言葉を用いて三角くんを表現するなら、
彼は、困っている人に伸ばした手が届かないと分かっていても、
そうせずにはいられない人です。
一方、今の冷川さんは、
そこに得られる利が無いと分かったら手を伸ばさない人なので、
二人の話は合うはずがありません。
今回は、
「それで君が、私の手元にあってくれるのなら」という
冷川さんの言葉のとおり、
三角くんの気持ちを自分に繋ぎとめるという利を優先して、
彼が折れる形になりました。
しかしそれは、冷川さんが三角くんを初めて見た時に
彼こそが自分の運命だと直感した判断を元とする望みなので、
冷川さんの中でその確信が揺らいでしまうと、
彼への執着が薄まり、
自分の信念
(人を助けると損をすると知っているからしない)を
曲げる理由が無くなるんですよね……。
誰も彼も救おうとする三角くんも、
時に冷酷と思えるほど利己的な冷川さんも、
ちょっと極端で危ういので、
二人を足して二で割るぐらいが丁度良いのかもしれません。



最後は、私が特に好きなシーンで締められました。
迎くんが英莉可ちゃんに向かって
「何かあったら話を聞くよ」と言うところです。
事務所に現れたばかりの迎くんは、
噂のヒウラエリカを初めて見たからか、
彼女に向けて放つ言葉はやたら攻撃的で、棘がありました。
でも会話をするうちに、
悪い人間に囚われている英莉可ちゃんの現状や、
本当は素直で良い子だというのを知って、
自然に認識を改めることができたんでしょう。
ここでの迎くんは、
彼女を諭した半澤刑事と同じでした。
これまでの英莉可ちゃんが環境に恵まれなかったのは、
とても残念なことでしたが、
ここでちゃんとした大人と出会えているのも事実なので、
これからが正念場でしょう。
勿論、この「ちゃんとした大人」は、
半澤刑事と迎くんだけでなく、
逆木さんと三角くんも含めています。

本当なら、英莉可ちゃんは
お母さんに話を聞いてほしかったはずですよね。
とはいえ、迎くんにこう言ってもらえたのも、
本当に嬉しかったと思います。
さすが、対話を重視する迎くんならではの優しさでした。

心が救われたのが強さに変わったのか、
最後の英莉可ちゃんは、本当に良い顔をしていました。
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そういえば、事務所での会話で、
もし英莉可ちゃんが一人で逃げてしまったら、
遺された逆木さんは殺されるかもしれないとのことで、
「逃げるなら一緒に」という話が出ました。
まさに相棒……運命共同体!
二人の関係も、実に素敵です。



今週の感想は以上です。
これから彼らがどうなるのかを知っているとはいえ、
いよいよ”先生”との対決も見えてきて、
ドキドキしています。
次週の放送も楽しみです!



続きはこちら。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第8話:孤独*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-23



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2021-11-20 11:56 
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