感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第6話:信疑*ネタバレあり [アニメ感想]
アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第6話「信疑」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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第1話:出逢
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第2話:束縛
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第3話:呪詛
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第4話:陥穽
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第5話:過去
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第6話「信疑」のあらすじはこちら。
https://sankakumado-anime.com/
遺族訪問に出向いた半澤は、十数年前、出会ったばかりの頃の子供だった冷川のことを思い出す。「信じる力」が沢山の人々滅ぼすのを見てきたという冷川は、「ぼくのための運命」に出会うのを信じているのだという。かつて冷川は、母親に力を見いだされ、「てのひら研究会」と呼ばれる特殊な集会の象徴的な立場にあった。
十月から始まったさんかく窓のアニメ放送も、
とうとう第六回……!
全十二回であれば今回が前半ラストということで、
半澤刑事のメイン回であり、
冷川さんの過去回でもありました。
アバンそしてAパートでは、
半澤刑事がかつて仕事で関わった事件の
加害者遺族との会話を介するかたちで、
過去の冷川さんが断片的に登場しました。
何度も出てくる「被害者なのか、加害者なのか」の問いが、
非常に印象的でした。
冷川さんの事情を知るにつれて、
言葉の重みが増していく作りになっていたと思います。
半澤さんは、優しくて面倒見が良く、
困った状況にある知り合いを放っておけない性格だからか、
事件が解決した後も冷川さんだけを見守っているのではなく、
他の事件の関係者とも、
望まれれば関わりを持っているようです。
刑事としては出世できないタイプでしょうが、
周りからの信頼は厚いんだろうなと自然に思えます。
(尤も、事件になる前の芽を摘むのが得意とのことで、
次々と手柄を立てているなら、受ける評価も高いでしょうが)
半澤刑事が冷川さんを特に気にしているのは確かだけれど、
彼が冷川さんだけに
囚われたり振り回されたりしているわけではないと分かる点には、
ちょっと安堵しました。
冷川さんにとっても、
半澤刑事からは自分が全く特別視されていないことが
嬉しいのではないでしょうか。
それにしても、この加害者遺族の女性。
原作の漫画を読んだ時も奇妙な感じがしたように、
アニメでも常に心ここにあらずといった様子で話すので、
見ていてぞわぞわするというか、
私まで負の感情に引っ張られそうな感じになり、
気分が落ち着かなかったです。
女性が半澤刑事と会話をしているのは確かなのに、
時々うわごとを言うような描写もあるので、
「この人、大丈夫なのかな」と心配しそうになります。
特に、女性がどこを見ているのかが分からないというか、
目の焦点が合っていない感じが、
地味に怖かったです。
女性の相談(黒い影のような人)については、
以前のお話で”先生”の呪いを知っている身としては、
もしかしたら彼なのかもしれないと想像してしまいますし、
実は全く違うのかもしれません。
女性の職場の店舗(薬局?)に入ろうとした際に
半澤刑事が手に怪我を負った件にしても、
以前からそこに釘が出ていたとのことですが、
意味深な描写になっていました。
でもあの場では、
冷川さんも迎くんも英莉可ちゃんもいないことから、
それらがどういうことなのか
(霊的現象なのか、そうだとしたら具体的にどうなのか)を
説明してくれる人がいないので、
読者や視聴者には、結局、それが何なのかが不明な状態で
話が終わっているのも、
ふわふわとした奇妙な感じがする要因だったと思います。
この辺は、創作でいう視点の縛りが効いていて、
分かる人が現場に来ないと真実は分からないままというのが
上手いと思います。
帰宅した半澤さんは、
当たりそうだから宝くじを買ったという妻と談笑します。
信じない人にも、唯一、信じられる人がいて、
それが妻だというのは最高すぎます。
妻のことが好きだからこそ彼女を信じられるのでしょうし、
たとえばこの宝くじの件にしても、
もし本当に当選したら彼女が喜ぶと分かる
(自分も、そんな彼女を見て幸せになれる)からこそ、
信じたくなるんでしょう。
素敵です。
そしてBパート。
話は、とある宗教施設での講演から始まりました。
記載された名前から、
講演中の女性が冷川さんのお母さんらしいと分かります。
会場はスタッフや信者で賑わっていましたが、
階段を下りた先にある奥の地下室では、
まだ幼い冷川さんが軟禁状態で隔離されていました。
窓が一つも無いだけでなく、
おそらく壁は防音仕様ですよね。
私は軽いパニック障害持ちで、
閉鎖空間に身を置くことがとても苦手なので、
もし自分がここに閉じ込められたらと想像するだけで
気分が悪くなります……。
冷川さんは「ガクシ」と呼ばれていましたが、
漢字は「学士」なんでしょうか。
「掌光会」→「てのひら研究会」
「大掌様」→「学士(?)」の変更には、
スタッフさんのご苦労を感じました。
そんな少年冷川さんのお仕事は、
面会の方のお手当て(手助け)をすることでした。
除霊後の三角くんのくたびれっぷりを思えば、
霊をぶん投げた時の消耗は相当なものであるようなので、
少年時代の冷川さんの負担は物凄かったんだろうと
想像できます……。
しかも、毎日毎日、
ぶっ続けに何件もこなさなければならない上に
途中で気晴らしもできなかったはずであるのを思うと、
胸が痛みます。
当然、冷川さんの不満も募りますが……。
お世話係を務める中年女性の狂気的な迫力に
すっかり飲まれてしまい、
まだ子供の冷川さんが黙らざるを得なくなるのが、
とても可哀相でした。
でも、彼女に何度も何度も「運命!」「運命!」と
妄信的に言われ続けたことが、
冷川さんの心に深く刻み込まれた結果、
その言葉はその後の彼の希望となり、
実際、運命の出会いにより彼が救われたのを思うと、
皮肉だと感じると同時に、感動めいた思いも湧きます。
冷川さんは、ここでよく、
「運命」が嫌な言葉だと思わなかったですよね。
私が冷川さんの立場なら、
お世話係の女性に対する嫌悪感が募るあまり、
「運命」という言葉まで嫌いになったと思います。
小さな宗教施設というと、
信仰の対象の真偽が不明であることが多く、
実際、詐欺という場合も少なくないのが現状です。
しかし、この「てのひら研究会」の場合、
冷川さんの霊能力が紛れもなく本物だったのが、
彼だけが不幸になった原因でした。
皆が冷川さんの苦痛に目を背け、知らない振りをし、
その犠牲より大勢の信者が幸せになると説いている状態は、
宗教家なのに人道的に問題があるという点でおかしいですが、
母親も他のスタッフも、
冷川さんが起こす奇跡に夢中になってしまっていて、
彼自身のことを全く見ていなかったのが、
とても怖かったです。
それから数年が経過し、
冷川さんの体は成長したようですが、
彼の環境には全く変化が無いようでした。
そんな冷川さんの元に、
強烈な呪いが背中に刺さった男性が転がり込んできます。
ここまで酷いのを見たのは初めてだったのか、
冷川さんは強い興味を抱きます。
ところで、以前から冷川さんのお世話係をしている
中年女性ついて。
そういう仕事をしているのだから
研究会の中でも立場は上なのだろうと推測できますし、
冷川さんには無いのと同然と思われていたものの、
普通の人よりは霊感がある人物のようです。
「わたくしにも特別な力がありますからね」発言から察するに、
それが彼女の自慢の種で、
きっとこの発言も口癖になっているんでしょう。
普段から彼女を快く思っていない他のスタッフもいて、
陰で「大した力も無いくせに」とか、
「自分の方が力があるのに」とか言われているんだろうなと
想像しました。
部屋の外で休んでいたお世話係の女性が、
室内の異変に気付き、慌てて戻ると、
男性は冷川さんに向かって倒れていました……。
そして、男性から「特別」を貰ったらしい冷川さんは、
「呪ってやる!」という言葉を連呼しながら、
まるで遊びを楽しむ子供のように
室内をぴょんぴょんと飛び始めました。
「呪ってやる!」「汚らわしい!」
「呪ってやる!」「汚らわしい!」
冷川さんがドンドンと床を強く蹴る度に、
不穏さが増していきます……!!
その後、異臭がするとの通報があったようで
「てのひら研究会」の施設に警察が現れました。
その中には、若い頃の半澤刑事の姿もありました。
多数の人が倒れている室内を、
半澤刑事が声をかけて歩いていくと、
お釜を抱えて立っている冷川さんを見つけました。
これまでずっと軟禁されていた冷川さんには、
施設の外に出て誰かに保護を求めるということすら
思いつかなかったでしょう。
仮に外に出たとしても、
彼に事情を説明できるだけの語彙が無かったのを踏まえると、
一人でふらふらと歩いているところを通報されて
警察に保護される流れになりそうですし。
もしここで警察が踏み込んでいなかったなら、
冷川さんも衰弱していたはずで、
下手をしたらそのまま餓死していたかもしれないので、
酷い言い方だと承知した上で敢えて書くならば、
他の死体に助けられたと言えると思います。
女性の刑事曰く、施設内の地下はかなり酷いようで、
一人の男性刑事が倒れてしまいました。
冷川さんは「中途半端な『特別』は無い方が良い」と言い、
「沈め! 沈め!」と唱えながら
その場でぴょんぴょん飛び始めます。
すると、とても苦しそうだった男性刑事の様子が
急に楽になったように変わりました。
ここ、原作の漫画でもこのアニメでも
詳細が語られていないので、
具体的に地下がどんな状況だったのかは不明ですが、
冷川さんが「特別」を貰った男性と、
お世話係の女性らの死体があったことは確実ですよね。
腐敗云々でなく酷いというのは、
きっと想像できる範疇を軽く超えるほど壮絶だと思うので、
それが仕事とはいえ、見てしまった刑事には、
運が悪かったとしか言いようがないのが残念です。
そして、苦痛ばかりの悲惨な人生を強いられながらも、
それを説明できるだけの語彙が無かったせいで、
当時のことを覚えているのに分からなかった
(言葉で具体的に理解することができなかった)
という当時の冷川さんについては、
哀れと言う他無いです。
教育を受けて学び、様々な知識を得たことで、
記憶を紐解くことができたとのことですが、
改めて「あれはそういうことだったんだ」と理解するのは、
ようやく納得できて安堵した部分もあったでしょうが、
セカンドレイプを受けるに近い苦痛も
多少なりともあったのではないかと思わずにはいられないです。
冷川さんのお母さんや他のスタッフが彼の心に与えた傷は、
数が多い上に、一つ一つが深かったはずです。
えぐい。
さて、作中で半澤刑事が何度も発した
「被害者なのか、加害者なのか」という冷川さんへの問い。
冷川さんの霊能力も含めた事実を客観的に見れば、
彼は被害者であり加害者でもあると言えます。
ただ、冷川さん自身の認識となると、
当時の彼には長く虐待を受けたことも、
呪いで大勢の信者たちを殺したことも、
全く自覚が無い(分かっていない)ので、
被害者でなければ加害者でもないという結論に至ります。
冷川さんの霊能力を知らない警察には、
(彼の能力を一切信じない半澤さんも含めて)
「この子は被害者なのか? でも加害者ではないはず」という
非常に曖昧な立場の関係者という認識止まりにならざるを得ず、
大人になった冷川さんが答えを発しない限り、
結局、誰も明確な答えを出せないというのが、
興味深かったです。
ED後のCパートでは、
ようやく半澤刑事が英莉可ちゃんと遭遇しました。
死の呪いが効かない半澤刑事に動揺した英莉可ちゃんは、
反射的に、彼の妻を呪ってしまいます。
片目から血を流し、その場で倒れてしまう奥さん……。
駆けつけた逆木さんに抱えられて逃げた英莉可ちゃんは、
自分が誰かに売られたかもしれない旨を、彼に伝えます。
ここで、先週の最後にあった”先生”の忠告が
生きてしまいました。
英莉可ちゃんが、
自分の名前を出して呪う方が強く効くからと言って
迂闊にそうしてきたのと同様に、
ここでも、自分の非を省みるより先に、
自分を売った者への怒りを露わにしているのには、
年相応の幼さを感じます。
次週は、そんな英莉可ちゃんが
呪いの自家中毒症状に陥る話ですかね……。
それを経たことで、三角くんと英莉可ちゃんの信頼が強まり、
彼女の半澤刑事への謝罪と和解があって、
いよいよクライマックスに繋がるので、
今後も楽しみです。
続きはこちら。
【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第7話:贖罪*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-16
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2021-11-11 22:37
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