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感想「アイドリッシュセブン」特別ストーリー:拮抗のクォーター第3話*ネタバレあり [アイナナ第3部 感想]

ゲーム「アイドリッシュセブン」の特別ストーリー
「拮抗のクォーター」の感想です。
今回はこちらについて記します。
第3話:破れたままの栞
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アイドリッシュセブン Third BEAT! 5 (特装限定版)(Blu-ray)

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  • 出版社/メーカー: バンダイナムコフィルムワークス
  • 発売日: 2022/11/25
  • メディア: Blu-ray

私の推しはTRIGGERの八乙女楽さんです。
アプリのシナリオは第5部の途中まで読んでおり、
感想記事では先の展開について触れる可能性があります。

関連記事
【アイドリッシュセブン 感想記事一覧】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/i7

中断中のアニナナ3期最新話の感想はこちら。
【感想「アイドリッシュセブンThird BEAT!」第26話:Friends Day!】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-01-08

以前の感想はこちら。
【感想「アイドリッシュセブン」拮抗のクォーター 第1話】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-01-16
【感想「アイドリッシュセブン」拮抗のクォーター 第2話】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-01-21



ŹOOĻの物語の三つめは、
作曲もしている棗巳波くんの過去が主でした。
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巳波くんは、
いつも穏やかに微笑んでいる印象が強いせいか、
達観したような大人びた発言と柔らかい物腰からは、
人当たりの良さを感じます。
しかし、実は食えない性格であるのは
ご存知のとおりです。
特に、アプリ第3部やアニナナ3期にて
巳波くんが悪意を見せた相手
(二階堂大和くんと六弥ナギくん)との会話では、
底が見えない闇が露わになっていましたが、
このシナリオにより、
巳波くんがどうして彼らにそういう態度を取ったのかが
明らかになりました。



幼い頃から子役として活躍していた巳波くんは、
母親を含めた周囲から求められる自分を提供するために、
優れた演技力を日常的に発揮していたようです。
きっとこれは「子役あるある」でしょうが、
彼ら子役は、
目の前の大人がどういう子供を欲しているか
(自分がどのような返答をすればよいか)を敏感に察し、
その期待に応えようとするため、
型通りの言動をしがちです。
元々優しい性格だった巳波くんは、
親や他人に対する気遣いもできていたようなので、
その傾向が他の子役より強かったのかもしれません。
そうして自分の心を偽り、時には殺し、
他人の要望通りの仮面(=ペルソナ)をかぶって
生きてきた巳波くんは、
いつしか「自分の人生に飽きた」や
「何をしても心が動かない」と言うほど
退屈な日々を過ごしていました。
それはまるで生きながら死んでいるようで、
巳波くんが他者に柔らかい笑みを向けつつ
その目は実は虚ろだったかと思うと、
私もやるせない気持ちになります。
第1~2話の二人の苦しみとはまた違いますが、
これはこれでとても辛かったです……。

今よりも幼かった巳波くんが、
学校もあまり通えないほど
芸能の仕事を優先させられていただけでなく、
学校や自宅といった仕事場以外の場所でも
演技が必然だったのなら、
気を休められるところは無かったはずです。
どこかに逃げ場があれば、
そこにいる時だけは素の自分を取り戻せて
気持ちをリフレッシュさせることが可能なので、
まだ少しは楽でいられたのでしょうが……。
きっと巳波くんは、
他人が望む自分を演じることに苦痛を感じても、
苦しくない、辛くないという演技をして
自分を誤魔化していったんだと思います。
そういう自己暗示は、
現実に生きる私たちでもやる事はありますし、
前向きな内容かつ一時的なものなら
やって良い場合もあるのでしょうが、
幼い頃から何年も日常的にしている巳波くんの場合は、
それとは話が大きく違ってきます。
自分を知る人間がいる場では、
朝から晩までずっと演技を続けるだなんて、
想像しただけで息苦しくなりそうです。

嫌だと思ったことを素直に口にしないどころか、
そう思ったことすら自分の心から消すうちに、
巳波くんは、
何に対しても心の動きが鈍くなってしまったとのこと。
そうした自分に気付いてしまい、
更に心が疲弊した結果、
彼はとうとう無気力になったようでした。



けれども巳波くんは、
己の意思で仕事を休むことに決めました。
どういう経緯があったのかは不明ですが
それまで常に周囲を優先させてきた巳波くんが、
遂に自身の気持ちを大事にするようになりました。

楽しいとも辛いとも思えない仕事なら、
一旦手放しても構わないと思えるようになったのでしょうし、
他人に迷惑をかけることになると気付いていても、
それは自分が苦痛を強いられたことへのお返しだと言わんばかりに、
彼は強気な態度を取りました。
こう書くと、
巳波くんが我儘だというふうに受け取られるかもしれませんが、
このシナリオを読んだ方ならご存知のとおり、
これまで周囲に流されるばかりだった己を変えて、
したかったことをやろうと思い至った巳波くんは、
良い感じで吹っ切れていました。
私も、初見の時は
ここを読んでいてほっとした覚えがあります。
それと同時に、かつてやりたかったことに対して
これからやってみようと巳波くんが望むことすら、
直前までの彼は許されていなかったんだと想像すると、
ゾッとしました。



そして巳波くんは、
作曲を学ぶためにノースメイアを単身で訪れ、
桜春樹さんと偶然に出会います。
桜さんがピアノで奏でる素敵な曲だけに留まらず、
彼自身にすっかり魅了されたらしい巳波くんは、
実に幸せそうに笑っていました。
ここで見られる彼は、いつもの絵のままですが、
声がもう……うきうきと弾んでいて、
幸福を堪能する彼の心がよく表れていました。
しかしそんな楽しい日々は長くは続かず……
巳波くんが桜さんから離れる形で終わってしまいました。

大好きで特別だと思っている人の言動から
自分が軽んじられていると感じるのは、
誰でも辛いことです。
とはいえ、それはあくまで巳波くんの感想で、
そんな気など桜さんの中には全く無かったでしょうが、
そういう誤解に繋がっても仕方が無いと思えるほど
桜さんのゼロや六弥ナギくんに対する感情は、
重くて深いものでした。

巳波くんは、桜さんを心の底から大事に思い、
誰よりも慕っていたからこそ
体調が悪い彼を心配して気遣っているのに、
彼の口から出るのは
ゼロへの思慕や六弥ナギくんへの配慮ばかりでした。
実際、巳波くんの勧めはどれも正しく、
桜さんは一刻も早くそうすべきでしたが、
彼は頑なに拒み続けました。
そこで巳波くんがただ諦めるだけでなく、
桜さんに対して怒りを見せたのは、
彼を本気で好きだからこその感情だなと思いました。
また、いつになく感情的になった巳波くんが
「もう知らない、勝手にしてください」という感じで
桜さんの元を離れたらしいのには、
年相応の子供っぽさ感じたと同時に、
巳波くんはもう他人との会話で彼自身を偽らなくなっていて、
感情に沿った喜怒哀楽が正しくできているのだとの認識に
繋がりました。
以前の心が死んでいた巳波くんだったなら、
治療を拒否する桜さんの気持ちを慮って、
本心を殺しながら笑顔で同意していたと思います。



巳波くんの回想が一段落すると、
次は亥清悠くんの話になりました。
ファンだという通りすがりの若い女性から
「一番好き」と安易に言われたのを受けて、
彼女に痛烈な嫌味を放ち、責めた悠くん。
おとなげない悠くんの発言には
軽い不快感も覚えましたが、
途中からは「こんなに純粋で大丈夫なの?」と、
彼のことがちょっと心配になりました。

芸能人なら、一般人から気安く
「ファンです!」「大好きです!」「一番好きです!」
「これからもずっと好きでい続けます!」と言われるのは、
日常茶飯事のことでしょう。
言う側は、本当に熱心なファンである場合も、
本当はそこまでではない場合もあり、
実質的には「こんにちは」や「さようなら」のような
日常の挨拶でしかないことも、
決して珍しくないです。
なので、聞かされる側の芸能人も、
それが分かっているなら話半分に聞く程度で留めておいて、
自分の心が傷付かないように守るのでしょうが、
悠くんはファンの言葉にいちいち突っかかり、
揚げ足を取っていました。
そんな悠くんは、年齢よりも更に子供のようで、
大変危なっかしかったです。



ŹOOĻの特別ストーリーの最後となる次は、
そんな悠くんの過去回想です……。
彼の心が大きく歪んでしまったのも納得できるほどの
辛い過去を改めて読み直すのは、
ちょっとしんどいのですが、
だからこそ彼と向き合う気持ちで読もうと思います。



続きはこちら。
【感想「アイドリッシュセブン」特別ストーリー:拮抗のクォーター第4話*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-01-29


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2023-01-27 09:41 
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