さくらもちモチ

感想：NHK朝ドラ「らんまん」第19週：ヤッコソウ*ネタバレあり　[NHK連続テレビ小説感想] [編集]

NHKの連続テレビ小説（朝ドラ）「らんまん」の感想です。
今回は以下の放送について記します。
第19週：ヤッコソウ

以下の記述にはネタバレを含みます。

【感想：NHK朝ドラ「らんまん」】
初週（第1週）：バイカオウレン
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-04-07
前週（第18週）：ヒメスミレ
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-08-11



「らんまん」第19週のあらすじはこちら。
https://www.nhk.jp/p/ranman/ts/G5PRV72JMR/

　長女の園子が亡くなり、悲しみに暮れる寿恵子だったが、万太郎や母のまつに支えられながら無事に第２子を出産する。
　そんなある日、ロシアからマキシモヴィッチ博士が亡くなったとの知らせが届く。ロシア行きを断念した万太郎は、今、自分のやるべきことをやると決心。まずは田邊から寄贈を命じられた標本制作のため、植物採集の旅に出ることにする。高知の山奥で虎鉄という少年と出会い、彼の案内で珍しい植物を発見する。その植物を新種だと認定した万太郎は「ヤッコソウ」という和名をつける。

先週の放送で、田邊教授を激怒させたことにより、
東大植物学教室への出入りを禁じられた万太郎。
論文を正しく書き直しても許されないどころか、
自身の大事なコレクションの寄贈を強要されてしまいました。
また、第一子だった園子ちゃんをはしかで亡くし、
実家の造り酒屋は暖簾を降ろした……と、
一つだけでも相当辛い出来事が重なりました。
特に寿恵子さんのやつれようは
ちょっと見ていられなかったです。
でも、かつて万太郎と寿恵子さんを繋げたかるやきが、
彼ら夫婦の心を救った展開は、とても良かったです。
長屋の住人たちの優しさも癒しでした。



万太郎を追い出した田邊教授は
さぞや快適に毎日を過ごしているのかと思いきや、
自身と妻が勝手にモデルにされた新聞小説の影響で、
大変な目に遭っていました。
友達を気遣う寿恵子さんの優しさだけでなく、
彼女の万太郎への愛や誇りを強く実感できたので、
田邊教授との緊張感を伴う会話は
見ていて凄く面白かったです。
寿恵子さんが田邊教授の心の中にある万太郎への執着を
ぴたりと言い当てているのが凄かったですし、
それを指摘された時の田邊教授の反応も見ものでした。


田邊教授は裁判を起こすようですが、
知らない人から自宅に石を投げられるほど
世間から怒りを向けられているのであれば、
校長の仕事も政府の仕事もできないのではないでしょうか。
いくら田邊教授にやる気があっても、
もっと上の人から
「ほら、君は今ちょっと大変だろう？」といった感じで
表面だけの気遣いを受けた挙句、
辞職するように遠回しに命令される気がします。



一方、万太郎は、
植物の採取中に新たな出会いに恵まれました。
四六時中、植物のことで頭がいっぱいで、
暇さえあれば野山を歩き、
積極的に植物を見て回る万太郎だからこその出会いでした。
ヤッコソウの発見だけに留まらず、
虎鉄くんの先生が万太郎に植物を送ったのは、
実質的にプラントハンターを得たことと同義でしたので、
もし田邊教授がこれを知ったら
また嫉妬で地団駄を踏みそうだと想像しました。

万太郎からの手紙を読んだ時の虎鉄くんが
本当に嬉しそうで、
今でもそれを思い返す度に私もにまにましてしまいます。
そして、この時の万太郎の行動が
まさにかつてのマキシモヴィッチ博士のそれだとも
思えたことから、
彼も万太郎から新種の植物が届けられた際は手放しで喜び、
うきうきとしながら万太郎の名前を付けたのかなと
想像しました。



先週の展開が本当に辛かった分、
そこから浮上する話だった今週は
とても見応えがありましたし、
胸が熱くなるような感動もたくさん得られました。
凄く良かったです。