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感想@ドラマ「ゴーストライター」第9話:天才は帰ってくるのか? 退屈で平和な日々の果てに*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

ドラマ「ゴーストライター」の感想です。
今回は第9話
「天才は帰ってくるのか? 退屈で平和な日々の果てに*ネタバレあり」についてです。

キャストさんはこちら(敬称略)。
遠野リサ(中谷美紀)
川原由樹(水川あさみ)
神崎雄司(田中哲司)
小田楓人(三浦翔平)
塚田真奈美(菜々緒)
田浦美鈴(キムラ緑子)
遠野大樹(高杉真宙)
遠野元子(江波杏子)


前回の感想はこちら。
【第8話:作家・遠野リサの死 よみがえる若き才能*ネタバレあり】
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04-1

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

第9話のあらすじはこちら。

 小説家を辞めたリサ(中谷美紀)は、家事にいそしみ、元子(江波杏子)の介護にもさらに力を入れる。荷物を取るために家に立ち寄った大樹(高杉真宙)はそんなリサの姿を見てもぶっきらぼうな態度を貫く。

 一方、由樹(水川あさみ)は小説を書きながら、雑誌の取材やトークショーの仕事を精力的にこなしていた。話題性もあり小説の売れ行きは順調だった。

 編集部にいた小田(三浦翔平)のもとに、岡野(羽場裕一)が由樹の次回作の表紙サンプルを持ってきた。小田は帯に書かれた“元ゴーストライター”の文字を外せないかと神崎(田中哲司)に打診するが、一蹴されてしまう。

 リサにけがを負わせた美鈴(キムラ緑子)は精神科に入院していた。美鈴は、見舞いに来たリサに、由樹への謝罪の手紙を書いたことを告げる。リサはついでに出しておくと言って手紙を預ると、後日、由樹の家を訪れる。帰り際、由樹からもう小説は書かないのかと問われたリサは…。

 ある日、由樹と真奈美(菜々緒)が居酒屋で飲んでいると、酔ったサラリーマンが声をかけてきた。ゴーストライターと言われて一瞬顔を曇らせる由樹だが、すぐに笑顔に戻り丁寧に対応する。そんななか、小田が新作の本を届けにくるが…。


執筆活動と敢えて距離を置いたことにより、
自分にとって小説を書くこととは何かを改めて知った
リサ(中谷美紀さん)と、
ストレスもあってスランプに陥った由樹(水川あさみさん)。
そして、良い小説が書けたのに発表する場が無いリサと、
良くて売れる小説を書かなければ後が無い由樹。
今回の二人も付かず離れずの間柄でいましたが、
それぞれが相手に対する攻撃性を失っている分、
ちょっと穏やかで——でも友人のように熱くなれることはない、
微妙で不思議な関係になっているなと思いました。



終盤、リサが由樹にUSBメモリーを渡した時は、
思わず「こいつ、懲りてないなー」と失笑してしまいましたが、
リサにとって由樹に原稿を渡すというのは、
最早、善悪が干渉しないことのようです。
困る由樹を助ける為に自分が犠牲になったというような
偽善的な行為ではなく、
また、どうしてもその話を世に出したいからという
作家としての強い執着心があるわけでもない。
リサにとっては、
自分の思い(辛さや苦しみといった負の感情)を吐き出す手段として
小説が書けたかどうかが最も重要で、
それを再びできるようになった今は、
本が売れようが売れまいが、
人からの賞賛を受けられるか否かはどうでもいい
……と言ったら言い過ぎかもしれませんが、
少なくとも二の次だったように思えます。

リサが出版社に原稿を持ち込んだのも、
書籍化してもらうのが第一の理由でなく、
神崎雄司(田中哲司さん)に向けて
「自分はまた小説を書けた」というのを
報告する為だったと思えました。
これについては、電話やメールでも済む話ですが、
それまで連絡するのを断っていたという事情があったのと、
言葉での単純な報告より、
神崎には「原稿という明確な形で見せたかった」という
リサの強い意思を感じます。



由樹については……。
作家としての才能があるだけに、
また、それを自覚しているだけに、
いつまでも“元ゴーストライター”の肩書きが付くのは
本当に悔しく、惨めなことだと思います。
作家に限らず、どのジャンルでも、
才能があったり努力で何とかできたりする人は、
世の中にごまんといます。
そのほとんどが日の目を見ずに終わってしまう現実の中で、
不本意ながらも世間からの注目を浴びる手段を使い、
自分の名を売り込めた由樹は、
そうでない人たちから見れば羨望の対象です。
そんなことは由樹も分かっている——からこそ、
彼女も辛い思いをしているんですよね。

本格的なデビューのごたごたを消すには、
今の彼女が作家として頑張る他に手段が無いのですが、
小田楓人(三浦翔平)から
「ゴーストの時の方が出来が良かった」と言われるようでは
それが為せる精神状態では無いみたいで……。
今回は、放送の最後で原稿からリサの名前を消し、
代わりに自身の名前を打っていましたが、
あれをそのまま自分の原稿として小田に持っていくとしたら
ちょっと安直すぎるので、
もう一ひねりあったらいいなと期待しています。



その小田。
作家としての由樹を認め、応援しているからこそ、
今後も本を出し続ける為の地盤を作る為に、
彼女の不満をよそに編集者として頑張る
——おそらくこれは、かつての神崎の姿であり、
小田と由樹は、昔の神崎とリサだったんでしょう。
よって、小田が青い正義感を振りかざしたり、
熱くなって暴走したり……というのは、
彼の言動を通して昔の神崎を描いたことになるのかもしれませんが、
私は小田にいまいち主体性を感じられないというか、
一時の興奮でふらふらしているように思えてしまうので、
やはり好きになれません。



今回の放送で一番好きだったのは、
大樹(高杉真宙さん)が
リサの手作りスコーンとジャムを食べたシーンです。
リサに対する彼の言葉は、相変わらず素っ気無かったですが、
彼女の誘いを断らず、
また、ちゃんと食べている映像からは、
彼が母親に心をちゃんと開いているのがよく分かりました。

また、見ていて辛かったのは、
リサが元子(江波杏子さん)を介護するシーンです。
特に二人でカレーを食べるところがそうでした。
「リサはカレーが好きだから、取っておいてほしい」
という台詞からは、
リサに対する元子の優しさや愛情を深く感じます。
でも元子は、目の前のリサをそのリサだと認識しないだなんて。
病気のせいとはいえ、
二人の確執をまざまざと見せつけられた気にもなりました。

次週の放送が楽しみです。


続きはこちら。
最終話(第10話):最終回・女王の帰還。罪深き二人の女の逆襲*ネタバレあり
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18-4

宜しければ合わせてご覧ください。



2015-03-11 08:56  nice!(0) 
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