さくらもちモチ

感想＠アニメ「屍鬼」第腐汰悼と悲屠話（第21話）*ネタバレあり　[アニメ感想] [編集]

フジテレビ・ノイタミナ枠のアニメ「屍鬼（しき）」の感想です。
今回は第腐汰悼と悲屠話（第21話）です。

私は原作（小野不由美先生の小説）の大ファンです。
藤崎竜先生の漫画も、月刊ジャンプスクエアで一応読んでいます。
以下の記述には、先の展開も含めたネタバレがあります。
このアニメ版で初めて作品に触れる方は、閲覧にご注意下さい。


前回の感想はこちら。
【第腐汰悼話（第20話）】

各回の感想記事のURLは、他作品も含めて
こちらの一覧記事でまとめています。
【2010年7月 開始作品】

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まずはあらすじから。フジテレビの公式サイトより転載します。

地下に隠された小部屋で、沙子は眠りに堕ちていく。静信の言葉に耳を傾けながら。それは、罪と罰、区切るものと区切られるものの物語。人は確実に屍鬼を追いつめている。終焉の時が近づく。

あまりにも尋常でない──悪夢としか言い様のない出来事の連続で
感覚が麻痺してしまったのか、
今回のアバンでは、物凄い映像がさらっと描かれていました。
村迫正雄の義姉・智寿子さんの描写です。

他の村民もそうですが
神社の境内で、最初に桐敷千鶴を殺した時は、
このひっ迫した状況がまだよく分かってなかった
＋屍鬼を狩る事＝人殺しのように思えてならず
戸惑いや抵抗がかなりあったようですが、
この智寿子さんの描写を見る限り、
屍鬼狩りの裏方を務める女たちの間でも
この非日常的な出来事にすっかり馴れてしまっているのが
よく分かります。
屍鬼の死体の処理をしているとはいえ、
彼女らの周辺の様子はまさに地獄絵図でしたし、
辺りに漂う血の匂いは相当なものでしょう。
まともな神経なら、あの場にいられなくて当然です。
少なくとも、あの場でのんびりお茶を飲んだり、
付着した血で真っ赤に汚れた手で
そのままおにぎりを食べるなんて事は
死んでもできないはずです。
でも智寿子さんは、まるで嫁ぎ先の仕事を手伝うかのように、
重い死体袋を米袋のようにえっさよいさと運び、
土埃などを払う感覚で、指についた血を服で拭っています。
おそらく、この時の彼女の中では、
屍鬼の死体処理と、村迫米穀店の仕事は
同列で語られるものだったんでしょうね。
そしてこれは智寿子さんに限った事ではありません。
まともに考えていたら気が狂いそうだから、
敢えてそういう事には目を瞑る事で正気を保つという
人間の本能的な自衛行動の一つなのかもしれません。


そして大川さん。
不出来な息子の不始末の責任を親が取らないでどうする
……という考え方は正しいですし、
あの場で迷いなく息子を殺した彼に間違いは無いですが、
協力者（屍鬼に洗脳された村民）に対しても
間髪なく反撃して殺していたのを踏まえると、
彼は彼で、既に狂ってしまったのかなと思えてなりません。
大事な村を荒らされた事への怒りと、
大人数の屍鬼を追い、殺した高揚感で
我を忘れている部分がありますよね。絶対に。

そして、不本意にも屍鬼になってしまった者がほとんどという中で、
屍鬼になったから自由に人間を狩っていい（殺してもいい）という
免罪符に変えて、悦んでいたなんて、
大川の息子は馬鹿としか言い様がないです……。
そして、これは大川さんも反応していましたが、
普通に殺されたら、起き上がって生き返る事ができないとして
それを恐怖に思う考え方が村民の間にないわけでもないのが、
既に屍鬼に襲われた村ならではなのかなと思いました。


実はこの話、丁度クリスマスイブに流れまして、
私もホテルで（ライヴで遠征してた）リアルタイムで見ていた時は
気付かなかったのですが、
「人狼が来るのを待っていた」として
倉橋佳枝を銃殺した桐敷正志郎は、
その前に会っていた夏野に吸血され、暗示をかけられていたんですね。
原作（小野主上の小説）での正志郎は、
いつの間にか亡くなっていたようにも思えるので、
それと比べれば、終盤に出番があって良かったとも思えますが、
屍鬼になりたかった彼が、最後、屍鬼を裏切るのは
皮肉な話だなぁと思いました。
……というか、小説では
倉橋佳枝ってどうして亡くなったんでしたっけ。
人狼は、生物学的には人間や屍鬼より優秀なので、
ここで倉橋佳枝が亡くなるのは
屍鬼側の戦力にとって大きな痛手なので、
ピンポイントで人狼を狙わせた夏野はさすがです。

ただ、「加害者になりたかった」という正志郎が、
血の因子的に屍鬼になれそうにないので絶望していた云々は、
このアニメ版でありました？？
この説明は、人間である正志郎が
何故、屍鬼に協力していたかを端的に説明できていたので
アニメ版では無かったようなのが残念です。
（単に私の見落としだったらすみません）




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続きの感想も書きました。
【蔡蒐話（最終話/第22話）】

宜しければ、合わせてご覧下さい。