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感想:アニメ「おおかみかくし」第11話「終焉」*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「おおかみかくし」の感想です。
今回は第11話「終焉」です。
以下の記述にはネタバレを含みます。
私は原作のゲームを遊んでいません。


前回の感想はこちら。
第10話「八朔祭」

各回の感想記事のURLは、他作品と合わせて
こちらの一覧記事でまとめています。
アニメ感想一覧:2010年1月 開始作品


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今回は、サブタイトルがいかにも最終回っぽかったのに、
テレビのレコーダーのEPGには
(終)のマークがついてなかった
+今期の他作品もまだ最終回でない事から
違うという事は分かっていましたが、
どうやら次週は番外編のようなので、
実質的な最終回は、やはり今回でした。

最後は、嫦娥町から人口が急激に流出しつつあるという
悲しい結果が出ました。
こちらの作品の初期の段階で、
以前の住人だけではどうにも立ち行かなくなって
土地を安く売り、人を外から敢えて呼び込んだという事情が
説明されていたのを思うと、
これは残念な顛末かもしれません。
現実的な事を言えば、
町の財政は厳しくなるでしょうし、
人口が少ないともなれば、働き口も自然に減ります。
人々の生活水準も落ちてしまうかもしれません。
でも、それが嫦娥町本来の姿なんだろうなと思えます。



今回の最後は、本当に最終回らしい最終回で、
「よい最終回だった」との言葉が一番の感想でした。
しかし、あまりにも王道過ぎて
“取ってつけた感”があったのも否めません。
でも、この嫦娥町の住人にとって何が一番幸せかと考えた時に、
神人もおちびと(落ち人?)も手を取り合って
仲良く共存していける暮らしだとの答えを出すならば、
この、わざとらしいほど(逆に不自然なほど)
明るくて爽やかで暖かな未来を感じられるハッピーエンドの仕様は、
九澄博士や櫛名田眠ちゃん達が望み、
そうであろうとして作ったものなのかなと感じました。

上手い言葉が見つからないのですが……
これがハッピーエンドだとしても
問題はまだ多々あります。
強い蜜である博士が嫦娥町に残っていますし、
開発されたカプセル薬の服用し忘れや、
今年のような八朔の不作による全体的な供給不足により
また同じような悲劇が起こるかもしれません。
狩り人の在り方が見直される事はあっても、
そのお役目を誰かが担うという根本的な事は
まだ変わらないと思います。
更に、作中で博士が懸念していたように、
嫦娥町を出ていった人々から話が漏れた末に
新たに興味を持った人がやって来て
また住人とトラブルを起こすかもしれません。
今は、とりあえず
問題の根源だった賢木儁一郎が亡くなった事で
表面上は平穏な暮らしに戻りましたが、
布を一枚めくってみたら、
住人同士の対立は勿論のこと、
今回のように嫦娥町そのものが無くなる危険性が
しっかりと残っているのが見えるはずです。
でも、博士や眠ちゃんは
そうした事をしっかりと見つめながら
表面上の幸せを満喫し、これが永遠に続くように祈り、
また、守る必要が出てくれば、精一杯、努力するはずです。
だからこそ、彼らが物語の最後で視聴者に見せてくれた
この最終回の幸せは、
まるで絵に描いたような平々凡々の日常なのかなと
思いました。



賢木儁一郎については……
彼はもう、いつのまにか
“あちら側”に行ってしまった人でした。
途中で眠ちゃんが、自己犠牲の精神を見せましたけれど、
賢木はもう、誰を殺しても──それこそ嫦娥町を壊滅させても
決して満足しなかったはずです。
賢木は、恋人を亡くした瞬間に全てを失ったんですね。
そして、香織さんを誤って殺した時に
ずっと止まっていた心の時計の針が動きだし、
同時に、“あちら側”からこちらに少しだけ戻っていたように
思えました。

思えば、香織さんのせつないバイオリンの演奏に
賢木がつい耳を傾けてしまっていた時間は、
彼にとっては“こちら側”に戻っていた時だったのかもしれません。
おそらく、あの短いひととき以外の彼は
恋人の復讐しか考えてなかったでしょうし……。
そう思うと、もしかしたら、
賢木は香織さんの存在によって変われる可能性が
あったのかもしれないけれど、
少なくともこのお話では、全てが遅過ぎたんだなぁとも
思いました。



香織さんについては
“白狼観音”との単語が差す意味も含めて
謎がいくつか残ってしまいました。
結局、白狼観音とは
嫦娥町を守る為におおかみさまが遣わしたもの
……という事らしいですね。

これは私の勝手な想像ですが、
香織さんの腕のように、
生まれた時から何らかの印がある子を
神人が“白狼観音”として崇める習慣があって、
その“白狼観音”は
八朔祭のような祭事の象徴を務める他、
町の一大事には身を呈してでも皆を守るお役目があるのかなと
思いました。
バイオリンを習いに行きたかったのに無理だったという
香織さんのかつての台詞は、
彼女が“白狼観音”だからこそ
町に縛られて、離れられない事を
意味していたのではないでしょうか。

八朔祭の、八朔の願い事の紙に
“私を殺して下さい”と書いたのも
多分、香織さんですよね。
作中の登場人物の中で、
香織さんが一番、生きる事を苦としていて、
死によって安寧を得たいと望んでいるように
私には思えました。

そうそう、八朔と言えば、
朝霧かなめちゃんが望んでいたように、
“共に生きていけますように”と自身が書いたのを拾えて
良かったです。
また、その望み通り
少なくともあのクラスの面々は
共に楽しく生きていけるようで
何よりです。



それと、面白いなと思ったのが、
開発されていたカプセル薬についてです。
この手の作品の場合、
自身の血や業に誇りを持っていて、
たとえ他人に害を与えるものであっても
消すなんてもってのほか……となるのが一般的です。
しかし、こちら“おおかみかくし”の神人は、
進んでその能力を消そうとしています。
この事実からも、
神人がいかに人間に恋い焦がれ、人間に憧れ、
そして人間になりたがっているかがよく分かります。

これを踏まえると、こちらは、
人間を好きでたまらず、
同時に、その人間になりたいとも願ったおおかみ
(神人)の哀れさと、
彼らの幸せに繋がる人間との関係性を示したお話だったのかなと
思えました。



上記の通り、疑問は少し残りましたが
本当に良い最終回だったと思います。
個人的には、作品の世界をもっと深く知りたいので
暇とお金があったら、原作であるゲームもやりたいです。
初回の視聴前は、全く期待してなかったのを思うと
こんなに楽しんでいる自分がおかしくてたまりませんが
良い変化でした。
こんなに変われて──作品をいっぱい楽しめて幸せでした。

次回の番外編も楽しみです。






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感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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続きの感想も書きました。
第12話(最終回)「嫦娥町奇譚(ウサエル談義/喫茶エトランゼ)」

宜しければ、合わせてどうぞ。


2010-03-19 22:44  nice!(1)  コメント(0) 
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