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感想:NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」第4回 日清開戦*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の感想です。
今回は第4回「日清開戦」です。

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私は司馬遼太郎先生の原作を読んでいません。
以下の記述にはネタバレを含みます。


前回の感想はこちら。
第3回「国家鳴動」

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
テレビドラマ感想一覧:2009年秋冬 放送開始作品


────

いやぁ、凄かった凄かった凄かった!!

上記の通り、私は予め、
今日は最初の一時間しか視聴しないと決めていた上に、
裏番組でM-1グランプリが流れていたので、
ザッピングをしながら見ていたのですが
──それでも、今回はこちらに見入ってしまいました。
いやぁ、NHKの本気を見た気がしました!
今さらこう言っても仕方がないのですが、
この十分の一でも良いから、
大河ドラマ“天地人”で
迫力ある戦闘シーンが見られれば良かったのに……と
本気で思いました。

まぁ、トークショーで
「もっと時間(尺)があったら?」という問いに対して
「恋愛をもっとやりたかった。三角関係とか〜」と
ニコニコ笑って言っていた脚本家じゃ
いくらお金があっても駄目だったでしょうが。



話を元に戻します。
今回は、日清戦争開戦にあたり、
秋山兄弟のそれぞれの戦いが描かれました。
兄の好古が陸(騎馬隊)、弟の真之が海(軍艦乗船)です。

まずは、大隊長になった好古。
彼が活躍する前の、
両軍が正面衝突した際の軍靴の音が、もう煩い煩い。
私は痛いのを感じたり血を見たりするのが嫌なので
(勿論、グロ映像も)
普段から戦争映画を見ることはないのですが、
生まれて初めて、人の集団の足音を怖いと思いました。
とにかく怖かったです。
砲声も凄かった。
本当に本当にゾッとしました。
だからこそ、その後、
酒を勢いよくかっくらって騎乗した好古の姿を見た時は、
彼が軍神のようだと思えました!
はっきり言って、“天地人”よりずっと
阿部寛さんが上杉謙信らしかったです。
上官がああいう人だったら、
嫌でも士気は上がるよなぁと、強く実感できました。
また、敵の本体を前にして、
自ら進んでしんがりを務めようとしたのも凄いです。
まさに天晴。
軍神さまさま。

弟・真之の方は、まさに地獄絵図でした。
人が戦いで亡くなっている事は
上記の好古の地上戦でも同じでしたが、
敵の砲撃を受けた船上&船内が
迫力をもって描かれていた分、
見ていてショックも大きかったです。
いやぁ……凄かった。
阿鼻叫喚という言葉がぴったりでした。
砲撃で真之が耳をやられてしまうシーンも
不謹慎ですが、非常に面白かったです。
ずっと音が無かった世界だったのに、
真之の叫び声で音が戻るのも良かったです。



こういう戦争の悲惨さが描かれた一方で、
戦争に行きたがる子規も登場しました。
自分だけが置いていかれることに対して
焦る子規の気持ちも、分かりますが、
見ていて虚しくなりました。
勿論、当時は今以上に
“守ってくれた人”あっての日本なので
そういう人がいなければ、
今ごろ日本は消えていたかもしれませんが
どうしても、彼を応援することはできませんでした。



その他に面白かったのが、
清国のどなたかの誕生日?のお祝いの席での
慇懃無礼な会話でした。

状況が状況ですので、
日本からの使者が他国からよく思われていない事は
私にも分かりましたが、
「絶交書を貰った国の〜」云々の返答には
爆笑してしまいました。
確かにそうだと、大笑いしました。

また、日本人はおまえのように小さいのかと
嫌味を言われたネズミ閣下が、負けじと
「閣下のごとき大男は、『ウドの大木』と言い〜」と
言い返すシーンも、とても面白かったです。
秋古が多美さんを貰った時の
「茶碗がもう一つ増えても」の台詞といい、
今回の台詞といい、
(他にもいっぱいありますが)
この辺は原作通りなんですよね??
急に、原作への興味が強くなりました。



日清戦争開戦前に
東郷平八郎が海上で最初の砲撃を決めた際に、
彼が背中で物を語っていたのが素晴らしかったです。
(「撃沈する」の直前です)
あれは本当に良かった。
とても重いシーンでした。



(1/2追記)
最後の30分が裏番組(TBSのJIN)の視聴と重なった為、
土曜日の再放送でこちらを見直しましたので
それについての感想を追記します。

念願叶って従軍記者になれた正岡子規は、
ナレーションで“子供の遊び”と言われた程度の
仕事しかできなかったようですが、
彼自身にとっては大きな意味があったようですね。
そしてこれは、従軍できる事を家族に知らせた直後に、
「仲良くしていた国と戦争をするんだね」云々と言われて
ハッとなった時から、予兆としてあったわけですが……
とにかく、彼が戦争の無情さや痛みを知って、何よりでした。
従軍が決まってはしゃぐ子規が痛々しかった分、
私はホッとしました。

また、どんなに頑張ろうとしても
労咳による喀血という厳しい現実に襲われる子規を見たら、
現実は厳しいなと思わずにはいられませんでした。
子規を演じられている香川照之さんの見た目が、
あまり病人らしくないというか、
とても労咳に蝕まれているとは見えないお顔つきなので
(とても元気そう)
私は、彼が病気である事を、
皆でフカを見るシーンを見るまで
すっかり忘れていました orz

そして、子規は森鴎外とも知り合いだったんですね。
恥ずかしながら、私は初めて知りました。
子規は、夏目漱石と同窓でもありましたし……
こちらの作品では、文学史で習う名前が次々に出てくるので
面白いです。
受験勉強では、作家名と代表作を覚える程度で終わりましたが、
こういう風に、作家同士の繋がりがあったのを
いい大人である今になって知ったのを思うと、
やはり、そういうのもちゃんと勉強しておくべきだなと
改めて思いました。



秋山真之と東郷平八郎の出会いも、見ていて面白かったです。
「戦だ!」と鼻息荒くしていた主人公が、
仲間の死を目の当りにした事で、戦に対して初めて恐怖を覚え、
自分が進もうとしている道に不安や疑問を持つのは、
物語として鉄板の内容です。
また、主人公がそれを乗り越えるのも、お約束の展開です。
二人の出会い&会話は、まさにこれに沿ったものでしたが
良かったなぁ。
特に、決断を下す(命令を下す)のは一瞬だけれど、
それまでに、作戦について時間を掛けてたっぷりと考える
──秋山兄弟の父が残した「急がば回れ」の言葉に繋がったくだりは
見ていて感動しました。
最後の部分のナレーションで、
東郷平八郎の策の多くを真之が作ったとの言葉を聞いた時には、
私も「おお」と声を出してしまいました。





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感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの感想も書きました。
第5回「留学生」

宜しければ、合わせてどうぞ。


2010-01-02 02:53  nice!(0)  コメント(2) 
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コメント 2

とおりがかり

原作には実は女性はほとんど出てこないんですよ。ですから女性のセリフは全てNHKの創作になります。あと、司馬遼太郎は戦争礼賛や反戦平和のような思想をなるべく避けつつ原作を描いていますので、露骨な反戦的描写(子規の従軍や子規母のセリフ)も創作です。
むしろ司馬はこういった時代をとおして人物を描き切ることに力を注いでいます。清・海軍総督の汀如昌が偉大な人物だったと評されるのは、腐敗した清王朝にモノが言える人だったからです。そこを描かないのは残念です。
原作も読んでみてください。歴史の教科書もそばにあるといいかもしれません。

by とおりがかり (2009-12-28 10:41) 

さくら

■初めまして、こんにちは。コメントありがとうございます。

原作では女性が出てこないとのお言葉が
私にはとても意外でした!!
松たか子さん演じるお姫さんがとても素敵だったので、
原作ではどのように描かれているかに
興味を持っておりましたので……。
お話が途中から戦争メインになる為、
家を守る女性達の描写が減るのは、私も察しておりましたが、
原作ではその前もそうだったんですね。

原作の小説へのお勧めもありがとうございました。
図書館で借りてみます。
by さくら (2010-01-10 22:14) 

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