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感想:ドラマ「日曜劇場 JIN-仁-」第5話 神に背く薬の誕生*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

TBS「日曜劇場」枠のドラマ「JIN-仁-」の感想です。
今回は第5話「神に背く薬の誕生」です。

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  • 出版社/メーカー: 角川映画
  • メディア: DVD

原作の漫画については、
第2話視聴後に単行本の第1〜4巻を読み、感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-25-4
こちらの記事およびリンク先には、ネタバレを含みます。


前回の第4話「運命と悲劇の再会」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/drama200910



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今回も、あっという間に時間が経ってしまいました。
面白かったなぁ……。



何から書いていいのか迷いますが、
まずは、今回のお話の主軸であるペニシリン生成について。
上記の通り、私は原作の漫画を読んでいますし、
お話の展開からいって、
ここで南方仁がペニシリン作りを成功させるのは
放送を見る前から明らかだったのですが
それでも、彼らが薬効を一つ一つ確認していくシーンでは
ドキドキと緊張してしまいました。
「絶対に成功していますように」と、祈りました。
なので、無事に18番目の器で薬効が見られた瞬間は
目頭が熱くなりました……!
何もしてないのに、私まで達成感を覚えてしまいましたw
ちょうど、雰囲気を盛り上げるかのように
ドラマのメインテーマが流れたのも、大変良かったと思います。
物悲しさと優しさが混在した曲調であるのが、ぴったりでした。
また、この時の武田鉄也さん演じる緒方洪庵 が
一段と嬉しそうで嬉しそうで。
きっと、見ていた私も笑顔だったと思います。



ぶっちゃけ、夕霧さんは
南方が診た時点でもう手遅れだったんですよね。
彼も、夕霧さんを見た前回の放送の最後で
一目で“梅毒の末期患者”という見立てをしていましたし。
それに、夕霧さんがうわ言を発するようになった事からいって
あの時にはもう、梅毒が彼女の脳にまで回っていたと思います。
確か、ここまで症状が進んでしまうと
いくらペニシリンを用いても
皮膚の症状などは抑えられても、根本的な改善は見込めないはずです。
それでも、医者として何とかしたいという南方の思いが
ひしひしと伝わってきて、泣けました。

特に最期の日──五日目の朝。
夕霧さんの死後に頭を深々と下げた南方からは
彼の医者としての無念さをよく感じられました。
花魁・野風も、鈴屋の二人も、咲さんも、
パッと見では劇的に回復した夕霧さんを目の当りにして、
ペニシリンの効力と南方の医術の素晴らしさに
心から感嘆したと思います。
事実、夕霧さんが顔に化粧を施せるまでに回復し、
そう苦しまずに死の瞬間を迎えられた事は、南方の手柄です。
寧ろ彼は、それを誇りに思って良いぐらいです。
しかし、一人だけそういう心情になれなかったのは
やはり南方が医者だからでしょうね。
どんなに完治が見込めない難しい患者でも、
医者として一人の命を救えなかったのは無念な事で
患者が幸せに逝ったかどうかは、その次になるのだと思います。



野風役の中谷美紀さんは、今回も素敵でした。
見ていて溜め息が出てしまうほどおきれいなのは
いつも通りなので、置いておくとして、
今回の野風は夕霧さんの事で胸を痛めているシーンばかりだったので、
その憂いを帯びた悲しそうな顔、
泣くのをぐっと堪えた顔、
本当に泣いてしまった顔……全てが素晴らしかったです。
野風が悲痛そうな顔をする度に、
彼女がどれだけ夕霧さんを慕っていたかがよく伝わってきました。

まだペニシリンが作られる前、
床に伏した夕霧さんと会話をする野風は
他人と話している時に感じられる凄みが全然無くて、
一人の町娘みたいなかわいらしさがありました。
きっと昔の野風は、あんな感じで
憧れの夕霧さんにまとわりついていたのかと思うと、余計に
梅毒で倒れた彼女と野風が哀れでなりませんでした。
また、意識を無くした夕霧さんが
南方のお陰で意識を取り戻した際に、
戸の近くで立っていた野風が腰を抜かしてしまい、
その場でしゃがみ込んだ後、両手を合わせて拝むシーンでは
これまで彼女を苦しめてきた絶望の闇の中で
一条の光がサッと差し込んだようだと思いました。
そしてそして、
夕霧さんが逝ってしまうシーンも大変良かったです。
夕霧さんと野風は吉原の言葉で喋っているので、
全体的に会話のテンポがゆっくり+独特な言い回しによって
柔らかな空気が紡がれていると、私には感じられたのですが
夕霧さんの最期は、彼女が本当に安らかに逝ったのが分かって
ぼろぼろと泣いてしまいました。
二人がお互いに「おさらばえ」とお別れの言葉を口にしたのも
しんみりとしていて、良かったと思います。
情感がたっぷりと含まれていました。

その前に、咲さんが夕霧さんに化粧を施すシーンは、
原作の漫画を読んだ時も私が泣いたシーンでしたので、
ここが削られなかった事に安堵し、また、泣きました。
鏡を取りに行った野風が、すぐに戻らず、
戸の外で中の様子をそっと伺って涙ぐむシーンでは
私ももらい泣きしてしまいました。
名を馳せた花魁の最期としては、淋しいかもしれないけれど
それでも、場にいる皆にその死を惜しまれながら逝った夕霧は
幸せだったと思います。



次は咲さんについて。
私は初回から咲さんが大好きなのですが
(清純派の女優さんの綾瀬はるかさんが演じているというのも
おぼこっぽい所がよく出ていて好ましく思えています)
彼女は、見れば見るほど好きになっていきます。
今回も一途に頑張っているところが、大変かわいらしかったです。

医者としての仕事とはいえ
南方が吉原に行く事に対して動揺したり、
友永未来と南方が写っている写真について聞けなかったりして、
その心中はさぞかし複雑であるはずなのに、
それを必死に隠して、表向きは普通でいようとする辺りが
まずかわいいです。
また、以前に受けた南方の教えを忠実に守っているのか、
今、自分がやれる事をちゃんとやろうとして、
南方に命じられた青かびを一生懸命集めているのが
もうもうもうもういじらしくて、たまりませんでした。
咲さんが重箱に詰めて持ってきた差し入れが、
さぞかし美味しいおいなりさんやおにぎりかと思いきや、
立派な青かびだったシーンでは
私もつい笑ってしまいました。
でも、そこが咲さんらしくて
素敵なエピソードだったと思います。

確か、この時代って
女性が産婆以外で医療に携わる事は皆無でしたよね。
そんな中、周りの理解も大きいのでしょうが
気丈に頑張っている咲さんは、とても素敵です。



こちらは医療が主軸のドラマですが
要所要所でほんのりと咲さんの恋心が垣間見られるのが
心地よいアクセントとなっている気がします。
医療ばかりだと、緊張がずっと続くので
もしかしたら息が詰まってしまうかもしれませんが
こういう部分でちょっと息を抜ける点が好きです。
それに、そこがうざくない(余計だとは思えない)のも
私には好ましく思えています。

ペニシリンを自作する手がかりが
原作とは違い、友永未来が南方に教えるように改変されていました。
これは良かったと思います。
下手に登場人物を増やすより、
既存の人と南方の繋がりを強化する方が
ドラマとしては正しいと、私は思いますので。
また、南方に手がかりを与えたのは現代の友永未来ですが、
彼女を思い出すきっかけが咲さんだったのも
大変良かったと思います。
あぁ、本当にダブルヒロインなんだ……と、
二人が制作側から大事にされている事が、実感できました。



原作では、南方が咲さんとの結婚を意識しているような台詞が
ありましたが
このドラマではどうなるんでしょうか。

勝手な予想で恐縮ですが
南方がこちらに持ってきてしまった写真において、
いつか、友永未来の横に並ぶのが他の男性に変わったり
彼女が一人で写ったりするような気がしてならないです。
(南方が現代に戻れなくなった事で、未来の彼も消えてしまう)
極端な話ですが、もし南方が
・自分は未来に帰れるけど、友永未来の病気は完治しない
・自分は未来に帰れないけど、友永未来の病気は完治する
の二択のうち、どちらかを選べと言われたら、
その時の状況や心情にもよるでしょうが、
彼は後者を選ぶような気がしてならないので……。



ペニシリンの抽出作業や、薬効を調べる際に出てきたCGは
大変分かりやすかったです。
みかんにできた青かびは勿論のこと、
煮物の汁とか米のとぎ汁、炭、酢……など、
本当に身近なものからペニシリンができるのだということが
よく分かりました。
私、こういった事には興味がないのですが
つい集中して見てしまいました。
この知識が他で利用できるとはとても思えませんが
勉強になりました。



今回は出番が少しでしたが、
内野聖陽さん演じる坂本竜馬が、
今回も愛嬌たっぷりで、とても素敵でした。
野風に対してリードした南方に対して
のの字を書いて愚痴るシーンは、おかしかったー!!
そして、竜馬が土佐弁で
「自分が小さく見えて仕方がない」と言っていましたが
稀代の英雄(になる男)にこんな事を言われたら
南方もびっくりし過ぎて卒倒すると思いますw



ところで、
「梅毒」と「女郎」のイントネーションが違っていて
私はちょっとびっくりしました。
「梅毒」は「ばい」が高くて後は下がっていき、
「女郎」は、尻上がりに「ろう」の部分が上がるんですね。
面白いなぁと思いながら、台詞を聞いていました。





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続きの第6話「生きてこそ…」の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-11-16

宜しければ合わせてどうぞ。


2009-11-09 09:42  nice!(5)  コメント(2) 
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コメント 2

ぱる

JIN、第5話も面白かったですね
夕霧の最期、悲しかったです
今回は龍馬の出番が少なかったので、次回は存分に暴れて欲しいです
by ぱる (2009-11-09 21:49) 

さくら

■ぱる様
初めまして、こんにちは。
コメントをお寄せくださり、ありがとうございます。

南方が竜馬と行動を共にしないと
竜馬の出番も減ってしまうのは当然なので、
これも仕方がないとはいえ、物足りないですよね。
次回は、とりあえず今回よりは多く出そうなので
私も楽しみでなりません。
by さくら (2009-11-11 20:52) 

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