感想：NHK土曜ドラマ「チャレンジド」第3話 14歳のメロス*ネタバレあり　[テレビドラマ感想] [編集]

NHK土曜ドラマ「チャレンジド」の感想です。
今回は第3話「14歳のメロス」です。

以下の記述にはネタバレを含みます。


第1話「熱血教師、再び」と第2話「パートナー」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-18

各回の感想記事のURLは、他の作品も含めて
こちらでまとめる予定です。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/drama200910



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今回は、見ていて辛くなる内容だと分かっていたので、
冒頭で見せられた
2年3組のドアに貼られた教室名の点字シールの一件は
とても嬉しかったです。
うわ……と、最初から泣けてきました。



こうした学園ドラマの場合、
中盤で、クラスの問題児を主とする展開になるのが王道です。
この作品も例に漏れず、今回は
これまでのお話で
クラスで一番、塙先生に対して反抗的な態度を取ってきた
鵜飼君のお話でした。

母親が父親によるDV（ドメスティック・バイオレンス）を受けていて、
その母親を守る為に、息子がひたすら走る──
今回のメインキャラクターである鵜飼君の家庭事情が、
塙先生が好きだという“走れメロス”になぞられた設定になっている事や、
走れメロスの主題や本文が、今回の放送の随所でよく出ている事が
お話を効果的に盛り上げていると思いました。
塙先生が鵜飼君の父親の前で
走れメロスの本文を一気に朗読したシーンは、
唐突すぎて（それと、佐々木蔵之介さんのお顔が変で）
私もちょっと呆気に取られてしまいましたが
良くも悪くも圧倒されました。
きっと、あの時の私は、鵜飼君の父親と同じ気持ちだったと思います。

鵜飼君は、塙先生に対して心を閉ざしていますので、
塙先生が正攻法でぶつかろうとしても、鵜飼君に躱されてしまいます。
まともに会話すらできず、
頑張って話し掛けても、先に話を切り上げられてしまう事から、
今回の塙先生は、マラソンでもって鵜飼君との心の壁を無くしましたが
──鵜飼君が塙先生の伴走を簡単に了承する展開は
ちょっとご都合主義だとも感じられましたが、
とても感動的なシーンだったと思います。
夕方を迎えて、二人がマラソンを終えた際に、
塙先生から、髪がぐしゃぐしゃになるほど頭を撫でられた鵜飼君が、
この作品で初めて笑顔をほんの少しだけ見せたシーンでは
私も涙ぐんでしまいました。
あそこは、打ち解けた二人の心がとてもよく伝わってきたと思います。



最後、塙先生の家を出た後の鵜飼母子が、
最大の問題である父親（夫）に立ち向かっていくのも、良かったです。
その前日の夜、
鵜飼母子が塙先生のお宅に本当に行っちゃった事も含めて
「この先どうなるの」と、私もドキドキしましたが、
最後、これまで見て見ぬ振りをしてきた鵜飼君が
母親を庇う為に彼女の前に立った瞬間を見せられた時には、
私もテレビのこちら側で「よし」と拳を握ってしまいました。
「あぁ、これでもう鵜飼家は大丈夫だ」と、自然に思えました。

今回の放送を見ていたら
TBSの人気ドラマ「金八先生」の兼末健次郎を思い出しました。
状況は少し違いますが、大好きな母親の為に必死に頑張っていて、
その無理が学校生活で出てしまっていた点は同じです。
家庭での抑圧と学校での発散
──皆が抱えている事情が深刻で、
それぞれに同情できる点もあるだけに、
なかなか簡単には物事が運びませんでしたが、
隠されていた膿を取り除く事ができて、本当に良かったです。



塙先生の奥さんは、今回もいいキャラでしたね。
授業中の先生の携帯電話宛に、
生徒に向けたご挨拶メールを送った点は
ちょっとやり過ぎかなと思いましたが、
今回は、主題である鵜飼君の関係のエピソードが深刻な内容である分、
塙先生の事を愛している彼女を見るとホッとできたので
許容範囲かなと思います。
そうそう、授業参観を終えた塙先生が遅く帰った後、奥さんの前で、
盲導犬と共に“伏せ”のポーズを取って平謝りしたシーンには
爆笑しました。
あれは本当におかしかったです。



今回の放送で感動できたのもそうですが、
一番の収穫は、走れメロスを読みたくなった事です。
この辺は制作側も狙って作っていそうなので、
まんまと策にハマった感はなくもないですが、
興味を煽られたのは確かです。
こちらは、私の手元にない本なので
次に図書館に行った際に借りてきます。




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感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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続きの第4話「悲鳴が聞こえない」の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-11-04-4

宜しければ、合わせてどうぞ。