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感想@アニメ「グイン・サーガ」第2話:黒伯爵の砦*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「グイン・サーガ」の感想です。
今回は第2話「黒伯爵の砦」です。
ネタバレがあります。
原作の小説の愛読者です。


前回の第1話「豹頭の仮面」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02-4

各回の感想は、下記の一覧ページにてURLをまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02-2


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上記の通り、私は原作の小説を読んでいます。
よって、作中で出てくる特に印象的な描写については
無自覚の内に、勝手なイメージを持っています。

今回、お話の舞台が、ルードの森からスタフォロスの砦に移りました。
まず、その砦が、私が想像していたより立派だったので、
ちょっとびっくりしました。
「え?」と、ずっこけそうになりました。
イメージとしては、もっと朽ち果てた
いかにも辺境の砦という絵が頭にあったので……。
場所が場所なので、砦は実用的でないと困りますし、
警備に当たる人数もそれなりに割かれているでしょうから、
田舎にある砦としては大きくなければいけないはずですが、
もっと“本国に見捨てられた”感が
砦の外見にあっても良かったのではないかと思いました。
業病を患っているヴァーノン伯爵が砦を治めている件も含めて、
あのスタフォロスの砦に配置される事は、
モンゴール軍人は勿論のこと、兵役の年を迎えた青年にとって
まさに“白羽の矢があたった”というか、
物凄く不運な事じゃないですか。
そういう。おどろおどろしたものが感じられなくて
残念でした。
砦に入る前に、予言者であるリンダが喚きますが、
あれだけでは、あの砦の不気味さを描き切れてないと思います。



ヴァーノン伯爵についても……
仮面を被っている怪しいオジサンという感じの登場だったのが、
とても残念でした。
原作の彼は、業病と呼ばれる黒死病に犯されている設定で、
捕らえたリンダに向かって、
素肌を晒した自分が頬擦りをしてやろう(抱き締める?)と言って
脅すような場面があったと思うのですが
(何年も読み直してないので、記憶がおぼろげです。
違っていたらすみません)
このような、本能的にゾッとする怖さを
彼からは全く感じられなかったので、
私は「あれ〜?」と拍子抜けしました。
ヴァーノン伯爵は、ひねくれている上に残忍な性格の持ち主なので、
原作での彼が悲痛な最期を迎えたのは、自業自得とも言えるのですが、
病のせいで性根まで腐ってしまったという背景を感じられるので、
悲愴感もとても強く感じられるんですよ。
このアニメでのヴァーノン伯爵からは、
そういった哀れな様子が全く感じられないので、
この先は大丈夫なのかなと、ちょっと心配になっています。

黒死病は、確か空気感染するという設定なので、
そういう部分をアニメ作品で表わすのは、
天下のNHKでは難しいのかもしれません。
でも、ここがないと、ヴァーノン伯爵ではないと思いますので
頑張って(と言うのも変ですが)描いて頂きたいです。



今回は、物語の主要人物が二人も登場しました。
まずは、トーラスのオロ!!
彼はこの先のお話において、志し半ばで亡くなりますが、
その存在は、物語のずっと先まで光り輝いています。
今回の放送で、青年がオロだと分かった時は
私も「あぁ、トーラスのオロだー!」と泣きそうになりました。
それぐらい、私は、彼にまつわるエピソードがとても好きです。
グインが灰とパイプ亭に行ってオロの死を伝えるシーン、
そして、彼の弟であるダンが、
片足を失ったもののちゃんと戻ってきたシーン
……思い出しただけで、胸の中が熱くなります。
グインは、彼自身が優しく強いという
圧倒的な設定を与えられているのも大きいですが、
彼自身の人柄が良いからか、
人との出会いに恵まれていますよね。
(力が強い分、悪い人にも目を付けられやすいですが)
私は、グインがケイロニアで台頭していく話が好きなので、
彼が兵舎を訪ねていった早々に
良い人達との出会いを得る描写を読むのが好きです。
でも、こういう後々の話の基本となっているのが、
やはりグインがオロに会ったエピソードだと思います。
この先において、オロには不幸な死が待ってますが、
目を逸らさずにしっかりと見たいと思っています。

さて、もう一つの出会いは、
“紅の傭兵”ヴァラキアのイシュトヴァーンです。
この作品の登場人物は、皆、波乱万丈な人生を送っていますが
彼ほど天地乱れた人生はないと思います。
近い将来、初代ゴーラ王を名乗る彼が、
初めて登場した時は、いち傭兵だったんだなと思うと、
なんかしみじみとしてしまいました。
この先、イシュトヴァーンは地位も金も手に入れますが、
後の話を読んだ上で振り返ってみると、
地位も金もなかったこの頃の方が
彼は幸せだったのではないかと思えてならないです。
「絶対に王になってやる」と野心をギラギラと見せていた時の方が、
彼らしいですよね。

そして、これには言及しなければならない
イシュトとリンダの出会いについて。
初恋は実らないと言うけれど、
この二人においても
「どうせ叶わないんだろうな」と当人達も読者も思っていて、
それでも、淡い恋への期待に縋ってしまう感が
原作にはありました。
イシュトに王としての地位を与えたのは
間違いなく、アムネリスでしたが、
彼にとって光の存在だったのは
やはりリンダだと思います。
出会いというのは、普通、喜ばしい事なのに
今回、アニメでこの描写を見た時、
何故か「あぁ、出会ってしまったなぁ」と思ったのは、
この恋によって二人が大いに傷付くのを
知っているからかもしれません。
淡い淡い恋なので、これからどのように描かれていくのかが
楽しみです。



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感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。


第4話「死の河を越えて」の感想も書きました。
(第3話「紅の傭兵」は未視聴です)
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-23-6


2009-10-09 19:40  nice!(0)  コメント(1) 
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コメント 1

ユラニア

伯爵は「ひねくれて」いるのではなく、
原作1巻で出てくる「ヴァーノン伯爵」の中身は既にグールで、
グインたちが城に来た時、伯爵はとっくに食べられていますよ????
第一巻の終盤を一通り読み返してみてください。

あと、第一巻の巻頭にスタフォロス城のイラストがありますが、立派な城砦です。
by ユラニア (2014-06-18 10:38) 

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