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おおきく振りかぶって感想:月刊アフタヌーン2009年7月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の高校野球漫画
「おおきく振りかぶって」の感想です。
今月号(2009年7月号)は勿論のこと、
単行本未収録分のネタバレがあります。


本誌感想はカテゴリでまとめてあります。
他の号の感想をご覧になる場合はこちらをどうぞ。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/archive/c338259-1


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ARCと武蔵野第一の試合がメインなのですが、
私は西浦贔屓で、阿部と三橋が大好きなので
彼ら二人の会話についても緊張しながら読む羽目になりました。

こころなしか、前回よりも上手くいっていたような……??
榛名の活躍を目の当たりにした事で、阿部も黙り込んじゃったり、
三橋は、そんな阿部を気にするあまり
言いたい事を溜め込んじゃってたり
──と、個々がもやもやした感情を抱きながら観戦していましたが、
阿部は阿部で、三橋の気配に気付いて慌てて聞き直したり、
三橋も三橋で、溜め込んでしまったけれど一応言ってみたりと、
ゆっくりとした歩みではありますが
彼らなりにちゃんと進展しているんだなぁと思いました。
この二人については、劇的な変化があるとは予想できないので、
こうした何気ない些細な会話から効果が少しずつ表われるのも
モモカンの狙いなのかなと思いました。

それにしても、三橋は試合をよく見ていますね。
以前、田島も試合のスコアをベラベラと挙げてましたが
三橋も野球に関しては、彼に劣らないんでしょうか。
千代ちゃんや阿部が論理的思考で記憶しているのに対して
(覚えておくべきと思って覚えている/勉強と同じ)
田島と三橋の場合は
当人が覚えようとは特に思っていないのに
脳が勝手に覚えている状態になっている気がします。
以前に三橋が阿部に指摘されていましたが、
“データ”という形で出されると
だから覚えられないのかもしれません。
寧ろ、三橋にそれを覚えさせるには
一試合丸々見せてしまった方が早いのではないかと思います。
(逆に阿部は、データをそのまま暗記する方が得意&
手っ取り早いと思うタイプのはずです)

今回の最後のページで、
不穏な阿部の様子に気付いた三橋が
心の中でそっと問いかけてますが……
榛名に対する阿部の気持ちは複雑なので、
三橋のように賞讃するだけで留め置くのは無理ですよね。
阿部が榛名を「凄い」と思っているのは変わらないでしょうが、
そこには余計な感情が付いてしまうので、
阿部の場合は、それらを落とす事から始めないと駄目な気がします。

そう、たとえば、阿部が高校に入る前に
榛名から「あの時は悪かった」と頭を下げられて謝られたら、
阿部も気持ちが楽になれたはずなので、
榛名を変に意識する事はなかったかもしれません。
でも、阿部も高校生になり、
“高校野球”という同じフィールドで野球を始めて、
しかも今は、学校としての成績は榛名の方が上という現実がある以上、
榛名を許す/許さないというような感情論だけで終わる話ではないので
本当、難しいと思います。
ただ、この二人、
阿部が高校に上がってからは会話すらしてないんですよね。
榛名は、阿部に対してわだかまりを持っていないらしいので、
後は阿部の気持ち次第なら、
案外、二人だけで少し会話をしたら、
阿部が抱いている嫌な気持ちも簡単に昇華させられる気がします。



その榛名。
単行本での初登場時(2〜3巻)の時は
ただ投げるだけ……みたいな印象がありましたが、
先の春日部戦といい、今回のARC戦といい、
彼なりに色々と考えているという事がよく分かりました。
特に、秋丸君が単なる壁でしかないのをARCに知られない為に、
四球で出してしまった一塁ランナーに盗塁された際に、
機転を利かせて投球をワンバウンドさせたシーン!
あそこは、阿部が解説していましたが、
もし秋丸君が捕れなければ
ランナーは一気に三塁まで行ってしまうので、
それこそ物凄いピンチになるんですよね。
とはいえ、秋丸君の肩が弱いのがバレると、
一塁に出たランナーは必ず二塁まで走るようになるので
(西浦対桐青戦で、
準太の癖を読めた田島のお陰で西浦が盗塁しまくりだったように)
ここは何が何でも隠しておかなきゃいけなかったんでしょうが……。
今回は、その後をきっちりと押さえた榛名のお陰で
(凄い全力投球でした)ピンチを脱しましたが、
次回以降もこれが続くはずなので、怖いです。
榛名のコントロールが以前よりも格段に良くなったとはいえ、
三橋並の絶対的なそれを持っているわけではないので
今回のように四球になってしまう事だってありますよね。
それに、今はまだ榛名の投球の方が勝っているけれど、
ARCの打線がこのまま大人しく終わるとは、とても思えません。
ピンチになってからが、勝負どころなんだろうなと思っています。



阿部主観で見た過去の榛名は、どこまでも自己中心的でしたが、
実際の榛名は高校に入ってから少し丸くなった&
試合で勝つ為にはチーム全体の底上げが必要だと分かっていたからか、
ちゃんと皆の練習に協力していたと分かるくだりを読めたのが
嬉しかったです。
町田さんの捕球練習の相手を始め、
冒頭で武蔵野第一の面々が言っていたように、
速球専門の良い打撃投手になっていたようじゃないですか!
今はどの学校にも当たり前のようにピッチングマシンがあるとはいえ、
西浦での練習でも語られていたように
人が投げる球は機械のそれとは全然違うので、
榛名の球を打者として打てたのは
武蔵野第一にとっては有難い環境だったと思います。
武蔵野第一が
榛名頼りでここまで勝ち上がってきたチームなのは明らかですが、
豪速球だけが理由ではなく、
裏方としての彼の頑張りもあってこの成績があるのだと分かって
ホッとしました。

だからこそ、阿部にしてみれば複雑なのかもしれません。
正直なところ、阿部は
武蔵野第一の他の部員達から榛名が慕われているのを見るだけでも、
変な気分になると思います。
でも、これ↑は、試合をちょっと見ただけでも分かる“現実”なので、
嫌でも認めなければならない
→なんで俺の時はこうじゃなかったんだ
→これが大事な試合だからか(あの時の試合が大事じゃなかったからか)
……という、ここ最近の号で阿部が悩まされている自問自答に
なっちゃうんですよね。
これから先、ARCの猛攻に晒される展開になれば、
榛名も今まで以上に無茶をするのを強いられると思うのですが、
勝つ為に必死になって投げる姿こそ、
阿部があの時の試合で見たかった彼ですよね……。
自分の時には見られなかった、がむしゃらに頑張る榛名を見て、
阿部がどのように思うのかが楽しみであり、
ちょっと怖いと思えたり
(阿部が不憫に思えそう)する事でもあります。



そうそう、冒頭で、
秋丸君が捕手をやるきっかけとなったエピソードが披露されました。
先に野球を始めていた榛名に言われたからだそうですが……
それが理由で、よくここまで秋丸君が野球を続けたなと
私は感心してしまいました。
町田さんが秋丸君の向上心の無さを不審がっていましたが、
彼にしてみれば、最初からそういう前提でやっているからこそ
(自分は榛名の壁に過ぎない)
榛名の突出した凄さに煽られる事がなかったのかなと思いました。
多分、秋丸君は、榛名の球を練習で受けられるだけで、
ある程度、満足できちゃってるんですよね。
今回、こうして大舞台でマスクを被ったんですから、
できれば秋丸君も、勝ちに強くこだわったり──それこそ、
今後も榛名の球を試合で捕る為に正捕手の座を狙うと決めるような、
大きな心境の変化のきっかけとなるエピソードを
この試合でがつんと読みたいです!





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感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2009年8月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-06-25-3

宜しければ、合わせてどうぞ。


2009-05-26 21:59  nice!(0)  コメント(0) 
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