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アフタおお振り感想2007年10月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の「おおきく振りかぶって」の感想です。
今月号(2007年10月号)は勿論のこと、
単行本未収録分のネタバレがあります。
1.jpg
*画像は敢えて劣化させています


本誌感想はカテゴリでまとめてあります。
他の号の感想をご覧になる場合はこちらをどうぞ。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/archive/c338259-1


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まず、最初におことわりです。
感想を書くのをずっとサボっていた為、
現在の最新号2008年5月号まで、これを書く前に読んでいます。
(美丞大狭山戦の決着後です)
本誌は毎月必ず発売日に購入し、
サイトの日記では一言の感想を書いていますが、
http://himemaro.hp.infoseek.co.jp/
こちらで挙げていく感想は
書くに当たって再び読み返したものに対してですので
リアルタイムのものではないことをご了承下さい。

また、一部において上記の最新号にまつわる感想の記述もあります。
その直前では注意書きをしておりますが、充分にお気を付け下さい。



まず、10月号がどこにあるのかを探すのが大変でした(笑)。
アフタは適当に積んであるので……そろそろまた整理をしないと。

では順を追って書いていきます。



■西浦の攻撃

まず阿部ですが、その直前の冒頭で
田島にも脇をくすぐられてしまう水谷くんが可愛い(笑)。
前フリもなくいきなりですからびっくりですよね。
泉も子供っぽい顔をしていて(今月号は厳しい顔が多いので)
やんちゃなところが見られて嬉しいです。

阿部は四球で出塁しますが、バッテリーに負けた感は拭えません。
読み負けというより迫力負けみたいな感じですね。珍しく。



次は水谷の打席。
全体的にびびってる顔が三橋みたいになってます。
「クソレフト」以来、攻撃でも守備でもヘタレみたいな言い方をされてますが
実は彼、なにげに試合では活躍しているんですよね。
(でも活躍している印象が薄いところが不思議です/笑)。
ナイバッチ水谷──十割バッターじゃないのが惜しいです!
ミスを冷やかされても、彼の場合、嫌味にならないのがいいです。
(これは水谷君の性格に因るものだと思っています)

打てなかった後、三橋に
「当たんなよ、ホネ折れちゃうぞ」と優しく声を掛けるところがいいです。
泉くんとか栄口くんとか、他のキャラも言いそうですが、
普段はあまり(というか積極的に)親しくしてなさそうな二人だからこそ
いい感じがします。
それへの三橋の「ありがとう」も。
二人の会話は沁みます……。
読んでいるとキャラの優しさが伝わってきて、心がほかほかします。
これまた三橋が嬉しそうにはにかんでいるのがもう!!!!



必死でバントをする三橋。
物凄い顔です(P216)。
でも、その直後のモモカンの方がもっと凄い顔になってます(P217)。

結局、裏目に出てダブルプレーとなり、沖くんが声をかけますが
ここでも三橋はお礼を言っていて……
「ホクホク」という擬態語(で合ってます?)がたまらないです。
あんなに喜んでもらえたら
声を掛ける方も嬉しくなっちゃいますね!

そして、やはり地声がでかい阿部と、それにビビる沖くんと三橋……笑えました。



■岳志のモノローグ

西浦の攻撃が終わり
岳志がキャッチゃ−用の防具を外しながら心の内を語ります。

よ……読んでてせつないです。

悪い事をしているのは分かっている。
でもどうしても試合ではレギュラーで出たい。
相手にすまないと思う気持ちもある。
→だから、自分の高校野球が終わったら(三年で卒業したら)償いをしよう
という考えらしいです。



(以下、これを書いている2008年5月号で判明した事を書きます)
単行本派の方、最新号を読まれていない方は特に注意して下さい!!







現時点では、岳志がまだ
「高校で野球を辞めるから」と甘いことを言っている点が面白かったです。

今月号で「もう野球を辞めるから」と呂佳に条件を提示できるようになるまで
岳志の心が成長した理由は、
・阿部の怪我がショックだった
・気付いてくれた人(和さん)がちゃんと注意してくれた
この二点に他ならないと思います。
正直、この時点での岳志の考えはまだ呂佳さん寄りで、
腐ってるというか、目的の為だったら手段を選ばないえげつなさが出ていて、
まだ高校生という幼さの岳志からは特に青臭い感じがありました。
今回の試合は、結果的には残念なこと(阿部の怪我)があり、
自分が悪いわけではないのに嫌な罪悪感に襲われていますが、
寸でのところで真っ当な道に引き返せたんだなぁとホッとしました。

P224で「今日だけこいつらのためにがんばらしてくれ」と言ってますが
“こいつらのためにならないこと”でも
悪い事は駄目だと岳志が分かってくれたのが
いち読者として本当に嬉しかったです。






(以上で、最新号に関する記述は終わりです)



■美丞大狭山の攻撃

三橋の投球パターンを読む美丞レギュラー部員と、
演技のためにわざとらしく首を振る三橋。

こうやって読み返していくと、本当に西浦は穴だらけなんですね。
よくここまで勝てた……というか
桐青戦は、ああいう状況
(初戦でノーマークで、敵にデータを持たれていない)だからこそ勝てたのだと
しみじみ思いました。


三橋の球を着実に捉えて、ランナーをスコアリングポジションに送る美丞。
ここら辺は、初読の時も不穏な感じがしてたまりませんでした。
いかにも点が入りそうな気配だったので。
阿部と三橋のバッテリーの仲もそう悪くなさそうなのが救いで、
特にP239で
「またバックホーム躊躇したらブッ殺すかんな!」と脅す阿部には
吹きました。
本当に怯えている(モモカンにウメボシやられた時みたいな)三橋と、
次のコマで顔を青くして「マウンドでムナグラをつかむなっつーの」と
心の中で言っている(多分)栄口くんとの
対比も面白かったです。

「阿部君はケガしない!」と心の中で言っている三橋が痛々しい……。
この美丞戦では最初からフラグ立ちまくりでしたが
直前までこうして駄目押ししているんですね。

スクイズが来ると思った西浦バッテリーが外して、
その読みは当たったと判明しますが、意地で当ててきた美丞。
ホームに突っ込むサードランナーの岳志。
逸れたバックホームの球を捕る為に飛んだ阿部──交錯する二人。



そして阿部の怪我 orz




ここ(P244〜249)は何度読んでも怖いです。
当時はぼろぼろ泣きましたが、未だに泣きそうになります。

怪我を負った阿部自身も勿論そうですが
三橋がね……もう顔面蒼白なのが
顔に線が入ってなくても見てて伝わってくるんですよ。
同じく、呆然としている沖(バックホームを投げた)も痛々しい。
やる気だけが空回りしている阿部も。
P250以降も、読んでいてつい眉を寄せてしまいます。
直視するのが辛いです。

高校野球に限らず、スポーツには怪我がつきもので、
私も球場で実際に高校球児が怪我をするのを何度も目の当たりにしてますが
そういうことを思い出さなくても、このシーンは読んでいて辛いです。
特に今回は、誰も悪くないというのがね……。
岳志が絡んでないのが(走者だったというだけで彼に非はない)
唯一の救いでした。


その岳志。
ヤノジュンの台詞から岳志も深手を負ったことが分かりますが
その痛みにに気付かないほど阿部の怪我にショックを受けているのも
よく分かります。
そりゃそうですよね。
もし点差がついてなければ自分が潰さなければならなかった相手が、
自分の目の前で怪我をしたんですから。
しかも自分がその原因だった(走者だったというだけなんですが)ともなれば
本当に辛いと思います。
ヤノジュンは「引きずんな!」と注意してますが
もし岳志に後ろめたいことがなければ、忘れられる出来事かもしれません。
でも彼は、野球をやっている限りこれを一生背負うんだなぁと思いました。

岳志がそういう役所(やくどころ)だと分かっていても
ここは読んでいて辛かったです。
呂佳さんだけを責めれば気が済むというものでもないのが余計に……!


テレビの画面を通して状況説明のし直しというのは、上手いなと思いました。
そして普段は「タカのバカ!」なんて悪態吐いている阿部母が、
三橋みたいに真っ青になっているのがせつないです。
やはり阿部もかわいい息子ですものね。
こういう親子愛が見られたのは嬉しい──けれど、
阿部には怪我をしてほしくなかったので
かなり複雑な思いでここを読みました。



試合に出るために嘘を吐く阿部が痛々しいです。
「気持ちは分かる。よーく分かる。本当は出てほしいけれど、どうしたって無理でしょ……」と、
多分、ここを読まれた方全員が心の中で言ったと思います。
阿部の気持ちは本当によく伝わってきます。
でも彼が試合に出られない状況にあるのも、同じくらい分かるんですよ。
あぁ、せつない。
現状を説明しているモモカンも辛かったでしょうね。
阿部を戦力から外すのは物凄く大きいことですから。
でも、ここで無理をさせて悪化させたら更に悪くなってしまうし……。

阿部が倒れ込んだ直後、
沖を叱咤したり治療のためのタイムを要求したりした田島が、
ここ(阿部の退場による守備の変更を言い渡される)でも男らしいです。
ピンチにも動じない元々の性格の強さもあるのかもしれませんが
もしかしたら、シニアでの経験が大きいのかもしれませんね。
誰かが怪我をするのに馴れているとか。

それとは別に、驚きながらびびっている西広先生……。
彼にはもう「頑張れ!」としか言えませんでした。

三橋は……P260で阿部に腕を掴まれるまで
ずっと夢の中にいるような、わけが分からないといった顔をしてますね。
彼にとって本当に阿部が怪我を負った瞬間は
現実に思えなかったのかもしれない。
あまりのショックに、思考が停止しているらしいのがよく分かります。

そう、P260以降は、阿部の顔がわざと隠されているのに
彼の無念さがよく伝わってきて、ボロボロ泣きました。
辛いよね、阿部……誰よりも悔しくてたまらなかったと思います。
皆がハッとなって阿部を見るという展開も、好きでした。

呆然となってはいるけれど、P261で、
怪我を負った方の足を震わせている阿部に気付いて、
現実の対処(アイシング)を口にするのが、物凄くリアルだと思いました。
思考が停止している時って、表面上のことは言えるっていうか、
自分の考えが絡まないことに関しては、スムーズに口から出ますよね。

そして最終ページ。阿部の手が離れた後、帽子を被り直す三橋。
ここでようやく三橋の心も動きだします。
その直前では、「……アウトあと2つ取ってくる、よ」とも言います。
最後のモノローグ「阿部君がいなくても」「アウトを」は
本当に本当に重かったです。
だって、それまで「阿部君がいなきゃ駄目だ」とばかり言っていた三橋ですよ?
どうにもならなかった現状があったからとはいえ
よくぞこう言えたなと、三橋に男を感じました。
かっこいい、いい顔をしている三橋だと思いました。



────
では、軽くまとめます。


いつもの「おお振り」通り、この号も見どころが序盤からいっぱいありました。
しかし、散々フラグ立ちしていた阿部の怪我が現実となってしまい、
予め覚悟はしていたものの、私は物凄くショックを受けました。
他のことが吹っ飛ぶぐらい、痛烈な印象がありました。
初めてこの号を読んだ時の私の顔は、
作中の三橋や岳志のような顔になっていたと思います。

阿部の怪我そのものもそうですが
これで西浦の敗退が更に濃厚になったような気がしましたので。
いつか負けないと嘘臭いとは思いつつ、
私は西浦が好きなので負けてほしくないという望みもあり、
この号から自分の感情の矛盾に悩まされることになります(笑)。

怪我を負って退場せざるを得ないと分かった時、
どうしても試合に出たい、キャッチャーやりたいという阿部の姿勢が、
彼の野球への熱い思いを表わしているようで、
悲しくて辛くて悔しいんですけど、嬉しいシーンでもありました。

でも、最後のコマの三橋がとても男らしくて、精神的に辛そうで、
「阿部君がいなきゃ〜」とビービー泣くように甘ったれていた三橋が
よくぞここまで……と、
思わず、雛を見守る親鳥のような気分になりました。



────
サイトの日記のログが残っていましたので転載しておきます。
初読の感想です。今回と重複する記述があるかもしれません。
「はなごよみ」8/25の日記より転載。
http://diary3.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/sakura99/?Y=2007&M=8



もう泣いた。

想像以上に辛かった。
正直、岳志の「高校で野球をやめる」云々が出た時に、
あぁ、こうやって煽ってるってことは、ラフプレイは失敗するなーと思ったんですが、
失敗(というか、やらなかった)が結果的にそうなってしまったとは。

もうね、呆然としてる三橋の気持ちというより
悔しくてたまらないであろう阿部の気持ちとシンクロしたような気になって、
彼が倒れた後からは涙が止まりませんでした。
もう試合に出たくて出たくてたまらないんでしょう。
自分が出なかったら負けだと分かるし、
何より「オレは絶対に怪我しない」と言い切った約束を自ら破るわけだし。

あの、三橋の手首をぎゅっと掴むところは
本当に彼の悔しい気持ちが集約されてて、
本当に辛かった。
あの周辺のコマで、モモカンやシガポや千代ちゃんや田島といった
(多分、描かれていない他の子たちも)
皆の視線を浴びてるところも
描き方としてうまいなーと思います。
皆が皆、阿部の無念を知る一瞬ですよね。

西広先生がびびってるっぽかったのは想像の範疇だけれど
田島がすぐに気持ちを切り替えてるらしいのも想像通りで
ホッとしてます。
というか、こういうピンチを想定すると、
まだ田島は本番で一球も受けてないけど、
彼以外に捕手は勤まらない気がします。特に精神面で。

阿部無しで取るアウト二つ……重くて大変だろうけど
三橋は本当に頑張るんだろうな。
というか、ここは正念場ですよね。

そして、阿部の怪我が重そうなので
これで西浦が負けるフラグが……。
桐青の時は、特に終盤は息を呑む展開だったので
どっちが勝っても納得できる感じがしましたけれど、
怪我が原因で負けるのは辛いな。
阿部はまた泣くんじゃないかな。

でも彼のことだから、もしそうだとしても
怪我を治して秋大から頑張るだろうけど。
でもやっぱりこんなことで負けてほしくないです。




転載は以上です。

────
では、今月号のベスト3。

第三位:P249 最後のコマの三橋。
「えっ?」という声が聞こえてきそうな顔。
現実をそうだと認識できていない、
「嘘?」「なんで?」という疑問が一瞬浮かんでいる顔。
気は抜けている(口元)んですが、
緊張状態ではある(目を大きく見開いている)のが
物凄くリアルな顔だと思いました。

第二位:P260 下段二つのコマ(左:阿部&右:三橋)
その上の、三橋の手をぎゅっとにぎる阿部や、
そんな二人を見る他の皆……も良いのですが
コマだけで挙げると、
「呆然としている三橋」と、
「顔を俯かせながら歯を食いしばっている阿部」につきます。
ここは二人の感情が本当によく見て取れるので好きです。
特に阿部は、無念さが深く伝わってきます……!

第一位:P262 最終ページの最後のコマ二つ。
無言で帽子を被る三橋 → 顔を上げて走る三橋のところ。
三橋の決意がよく出ていると思います。大好きです。


番外編:もういっぱいあります。羅列します。
・P217 1コマ目 「げぇっ」とするモモカン
・P219 2〜3コマ目 沖に返事をして礼を言う三橋
・P251 2コマ目 まともに立てない悔しさと痛みで呻く阿部
・P259 最後のコマ 「みんな待ってるよ」と現実を突き付けられる三橋


いい顔がたくさんありました。
特に、阿部が怪我を負ってからは
キャラの心情がかなり表に出てくるシーンが多くて、
台詞を発してなくても、動作を見るだけで
心の内がよく伝わってきました。





────
感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2007年11月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26-1

宜しければ、合わせてどうぞ。


2008-03-26 01:19  nice!(0)  コメント(0) 
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