SSブログ

アフタおお振り感想2007年11月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の「おおきく振りかぶって」の感想です。
今月号(2007年11月号)は勿論のこと、
単行本未収録分のネタバレがあります。
2.jpg
*画像は敢えて劣化させています


本誌感想はカテゴリでまとめてあります。
他の号の感想をご覧になる場合はこちらをどうぞ。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/archive/c338259-1


────

最初におことわりです。
感想を書くのをずっとサボっていた為、
現在の最新号2008年5月号まで、これを書く前に読んでいます。
(美丞大狭山戦の決着後です)
本誌は毎月必ず発売日に購入し、
サイトの日記では一言の感想を書いていますが、
http://himemaro.hp.infoseek.co.jp/
こちらで挙げていく感想は
書くに当たって再び読み返したものに対してですので
リアルタイムのものではないことをご了承下さい。




今月号は、守備の主軸だった阿部が抜けた後で踏ん張る西浦ナインが
主に描かれていました。


では順を追って感想を書いています。



先月号では、動揺が走る西浦ナインの中で一番冷静でいた田島。
その彼が、時間が無い中で必死にモモカンと打ち合わせしているシーンから始まります。
田島、頑張ってます! 彼は本当に凄い!
……凄いんですが、それ以上に現実がキツい状況にあるので
さすがの彼でも現状を何とかするので精一杯というのがよく伝わってきます。
また、スーパー高校球児の田島でさえこうなんですから
他の子がいきなりこういう立場になったら手も足も出ないらしいのも
よく分かりました。

冒頭のモモカンとのやりとりは、弟と姉って感じがしました。
緊迫したシーンなのに、微笑ましかったです。



阿部の退場にあたり、他の部員の守備位置が変更されるアナウンスが流れて
不穏な空気が広がる西浦応援団&父母会。
阿部母の肩に花井母が手を置いているのがね……せつない。
辛い気持ちはよく分かります。
花井母は、「大丈夫よ」と言いたいのだけれど言えない現状がどうしようもなくて
身体を強張らせていますね。



気遣い人間の栄口君が、近くの沖君に声を掛けているのが流石です。
田島が大声を出した後
皆がさざ波のように「たじま」「たじまだ」と反応しているのが面白かったです。
田島が大声をわざと出して、自分がキャッチャーになったという現実を
皆に突きつけたのも含めて。

あと、マウンドに走り寄った際、三橋にエルボーをしたのは
やんちゃな性格の田島らしいなぁと思いました。
自分たちが大変な状況にあるのはあるのは分かっている。
でも、その辛ささえも田島は励みにしそうだなと思えました。
そして彼は、自分がビビっていることを三橋に伝えられる強さも持っているんですね。
三橋が、珍しく弱気なところを見せつつもそれでも頑張ると言う田島に当てられて、
「オレを、頼ってくれ!」と熱っぽく言うところが本当に好きです!
先月号の、阿部君がいなくてもアウト二つを……というモノローグといい、
あぁ、三橋は球児として成長したんだなぁと思いました。
三橋と田島って、子犬同士がじゃれている感じで大好きです。
阿部と三橋もいいバッテリー(になれる)だと思いますが、
この二人は二人で、また違った意味で素敵なバッテリーになれるはずです!



モモカンの指示を受けてサインを出す田島。
その田島を測ろうとしている美丞側。
田島が凄いと褒められるのは嬉しいけれど、
それが美丞の監督に言われるというのがまた嬉しい。
読んでいてニヤニヤとしてしまいます。

力んだ結果、三番打者のヤノジュンを四球で出してしまいました。
一死満塁、しかも次は四番打者とあって最悪な状況です。
これまで三橋と田島があまり組んでこなかったこともあって、
田島が手探りで(三橋のコントロールを確かめながら)リードしたのが
痛かったですね。
ボールにしなくてもいい球をそうしてしまい、
絶対にストライクにしたかった球をボールにしてしまった結果です。



この結果に顔を青ざめさせながら
(顔に線は入っているけれど、もしかしたら興奮で赤いかもしれません)
心の中で苦悶の声をあげる阿部。
背中越しに注意をするモモカンが漢(おとこ)です!
救護医とシガポの呑気そうなのと相まってるのがまた、何とも……。
過去を思い出して顔を歪ませて、
絶対に二週間で治すと心の中で言い切る阿部。
もう悔しくて悔しくてたまらないというのが痛いです。
一人で炎上げてる姿は、面白いんですが、見ていてやはり辛いです。



全力投球が入らず、四球になったことで少し動揺する三橋。
多分、田島は投球の組み立てを考える(自分のことだけ)ので手一杯で、
三橋が動揺しているのすら気付いてないと思います。
それでも!
三橋が必死に自分に「おちつけ」と言い聞かせている点にも
彼の成長が伺えます。
以前の三橋だったらパニック起こしかけていたかもしれません。
そして、阿部と田島を比べるわけではないけれど、
冷静に現状を判断して、自分が頑張らなきゃと奮起する三橋がもう! 素敵です!
阿部が怪我を負ってからまだ僅かしか経ってないんですが、
窮地に追い込まれたことで、
三橋は本当にぐんぐんと強く(大きく)なってますね!
今までは、駄目だった部分ばかりが表に出ていましたけれど、
彼の内側ではこれまでの出来事がちゃんと経験として芽吹いていて、
この時みたいに必要な時にバッと出てくるんだなぁと
感心しながら読みました。



三橋ー田島のバッテリー対和田くん。
和田くんも田島もあれこれと考えていますが
コマの流れが良いせいか、テンポよくポンポンと一気に読めます。
ここは読み直していても、いかにも和田君に打たれそうで緊張しました(笑)。
和田君の方が勝負強そうだというのが明らかに書かれていましたのでね。
ここは、四番打者と急造バッテリーの差というより、
三年生と一年生の球児としての経験の差を強く感じました。

P154の三橋のモノローグ。
「──マウンドにいれば、みんなに声かけてもらえる」
「おれが“野球(ふつう)”なんだ、っていうなら」
「オレも、普通に、役に立つ1番(エース)にならなくちゃ」
ここが……泣けました。
声を掛けてもらえるようになって嬉しいだけで終わらないのが三橋なんだなと
改めて思いました。いい子だ。
そして、彼は本当にエース(1番)に対して
強いこだわりと憧れを持っているんですね。
しかも自分はまだそれに至らないとも分かっている。
なんて健気なんでしょう。

気迫こもる三橋の球を執念で打つ和田君、それを必死に身体で止める栄口君。
栄口くんは、考えると同時に身体が先に動いたみたいですね。
普通は考える前に手が先に出ると思うんですが
それでは後ろに球を逸らすと判断して、
「どうするか」と思う前に身体で止めた──という感じでしょうか。



そしてその後!
点を入れられてしまったけれど
これでも上出来だと内心で自分に言っていた田島が、
そんなことよりも先に皆を褒めた三橋にはっとなるシーン!!
直後、すぐに三橋に駆け寄り、先月号での会話通り“頼りにして”ますが
気落ちせずに前向きでいる三橋を目の当たりにして田島が嬉しがっているらしいのを
読んで、
私も嬉しくなりました。
P159の三コマ目の田島が、嬉しそうな顔をしてるんですよ!!!
窮地は相変わらず続いているのに
田島の気分が三橋のお陰で瞬時に変わったらしいのがよく分かります。
そして本当に田島から頼られて嬉しがる三橋──二人は良いコンビです。

良い……のだけれど、その直後、
サインをモモカンが出しているらしいと美丞に見破られているのが
判明します。
ここでまた一気に不穏な空気が。
試合だから仕方ないとはいえ
西浦の窮地が続くのは読んでて苦しかったです。
息が詰まるような思いでいました。
和田君の後の五番打者・宮田君に対して、
キャッチャーとしての田島が初めて読み勝つのですが
同時に、モモカンのサインを盗まれてしまった描写もあり、
ずっとハラハラさせられました。

ベンチに戻った田島がモモカンに頭を掴まれているのと、
それを見てすっかり震え上がっている三橋がかわいいです(笑)。
モモカンの握力に対する皆の怯えっぷりは楽しいですが
特にこの二人の反応には、出る度にいっぱい笑ってしまいます。
大好きです。



RICE中の阿部が出てきます。
RICE処置については
ネットで検索すれば専門のサイト様がたくさん出ますので、ここでは簡単に。

応急処置の基本とされるもので
それぞれ四つの処置の頭文字を取ってRICEと呼ばれています。
・Rest:安静
・Ice:冷却
・Compression:圧迫
・Elevation:挙上
患部の腫れを抑えて、痛みと進行を止める為の処置です。
治療ではなく、あくまで一時的なものです。

皆を奮起させるために(リラックスさせる為)に
わざと「お前ら打てよ! オレのために!」と真面目に言う阿部。
狙いは当たって、皆は大爆笑。
でも、心の中では「おう、打ってやんよ」と皆に思われたに違いありません。

沖がいち早く反応して吹き出すのが可笑しいですよね。
でもその後すぐに
「オレは笑っていいタチバじゃない」と自制するあたりが、いかにも彼らしい。
そして阿部が沖を気遣い、
「お前のせーじゃねーけど、気にしてんなら打てよ!」と言い、
それに対して沖がひどく真面目そうな顔で返事をするのがいいです。
ここ、阿部の冗談→沖への真面目な会話と話にメリハリがついているんですが、
阿部と沖が真面目な顔をしている後ろで
水谷君が笑顔で呑気そうにしているのも緩急になっているので
コマを見ているだけでも面白いです。
(P169の2コマ目)

そして、それどころではない三橋と田島のバッテリー。
やる気満々の阿部、まける気などさらさらないらしい皆の様子を見て、
三橋も「この試合、まだがんばれる!」と奮起します。
皆の前向きな気持ちで自分も頑張れるって素敵ですね。
あぁ、青春だ。いいなぁ。
こういうのを読むと、本当にうらやましくなります。
自分も部活をちゃんとやっておけば良かったです。
(私は中途半端に終わらせてしまいましたので)


────
では、今月号のベスト3。

第三位:P118 四コマ目「うす!」の田島。
モモカンにハッパ掛けられて田島が返事をするシーンです。
真面目、やる気満々の彼がきりっとした顔をするのは
バッターボックスに入った時によくあるんですが、
守備で、しかも何となく緊張してそうなのが珍しいので
(バッターとしての真面目な顔は寧ろリラックスしている時が多い)
選びました。
かっこいいです。
キャッチャーとしての田島は、真剣さが顔に出ているからか怖い表情が多くて、
見ていて面白いです。

第二位:P124 四コマ目。見つめ合う三橋と田島。
一瞬の間……ですよね。
三橋も田島も真剣で一生懸命なのがよく伝わってきます。
なんということもないのに、ミョーに緊張してしまい、
直後の五コマ目でホッとできる布石のコマでもあります。
物おじしない三橋はカッコイイですね。

第一位:P154 二コマ目「これが“野球(ふつう)”なんだ〜」
いい顔です。
エースの顔ですよ。本当に。見愡れます。



番外編:P141 最後のコマの花井母&阿部母。
こんな小さなコマなのに、阿部母の顔に青線が入っているんですよ……。
そして、必死そうな花井母の汗によって、
きっと早口で救護医に聞いているんだろうなというのが
しっかり伝わってくるコマです。
こういう、何でもないコマがぐっとくるのも
おお振りの大きな魅力だと思います。





────
感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

ランキングに参加しています。
記事がお気に召しましたらバナーを押してやって下さい。
*別窓でランキングサイトが開きます
にほんブログ村

続きの2007年12月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26-2

宜しければ、合わせてどうぞ。


2008-03-26 20:49  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:コミック

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。