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感想:漫画「おおきく振りかぶって」第1巻*ネタバレあり [おおきく振りかぶって]

講談社アフタヌーンで連載中の漫画
「おおきく振りかぶって(ひぐちアサ著)1巻」の感想です。
今さら……という感が否めませんが
既に、七巻の発売時に感想をこのブログにアップしていることと、
アニメ化記念ということで、
既刊もおさらいしていく予定です。

先の巻や、単行本にまだ収録されていない話に
及ぶ場合があります。
また、当然ながらネタバレがあります。
(これを書いている現在は、七巻まで出ています。
また、私は本誌を購読しているので、その先を読んでいます)

感想が主ですが、
未読の方へのお勧めも兼ねてますので
私なりの注目ポイントを挙げています。
漫画を読まれるきっかけの一つになれれば、嬉しいです。

本誌アフタヌーンの感想はこちら↓
http://blog.so-net.ne.jp/himezakura/archive/c338259

────
まず最初に。
私がこの巻を買った時(2004年秋)は
まだ二巻までしか発売されていませんでした。
本屋をいくら探しても見つからず
ネットで買おうとしても入荷未定で断られる始末で、
読みたいのに読めない状態が長く続きました。
そんな中、偶然に立ち寄ったアキハバラデパート内の本屋で
偶然に一・二巻を見つけた時は
本当に嬉しかったです。
(しかも、一巻は一冊しか残ってなかった)
その前に寄った、アキバのアニメイトで「売切です」と言われていた分、
泣きそうになりました。

そうそう、レジに持っていったら、
直前に私と同じくおお振りを買っていった客がいたらしく、
「またこの本だ」と店員同士で話すのが聞こえたのが
非常に印象深かったです。

────

ひぐち先生の絵に関しては、好き嫌いが分かれると思います。
でも、回が進むにつれて明らかに上手になられてますし、
読み進めていけば、それが気にならないほど
話が面白くなるので、
最初にもし絵で「ん?」と戸惑われても
是非、我慢してそのまま読み続けて頂きたいなーと思います。
そのうち、この絵柄を個性だと言えるようになるはず!

■初回は、話の中心となるニシウラーゼの話。
モモカンの甘夏潰しが出てくるのは、ここ一回だけなのですが
物凄くインパクトがありますね!
また、花井との三打席勝負において、
他の部員や監督たちに三橋の凄さを見せつける反面、
それが読者への説明(三橋は凄いんだという事実をつきつける)となっていて
上手いエピソードだなぁと思いました。

キャラは、今では顔が一番違う泉くんが見物です。
また、なんだかんだ言って“良い子”の花井が
モモカンに対して突っ張るのは、この回だけなので、
それも見物です。花井は本当にかわいいです。
家ではよほど
母親や妹の双子ちゃんらにしてやられているんだなーと、
多少同情したくなるような反発っぷりです。
そして、モモカンお手製の甘夏ジュースを飲むのもかわいい。
それに動揺する三橋もかわいいです。

また、この回は、
西浦野球部が置かれている現状が詳しく説明されています。
・部ができたばかり
・整備すら終わってない環境
・田島の家の畑の裏にグラウンドがある(笑)
最後のはともかく、この回は本当に情報がいっぱいです。
初めて読む時は、話の筋ばかりに目がいきがちですが、
二回目、三回目と読み直す際には、あれこれと注目してほしいです。

そして、印象深い台詞がいくつもあるのですが、
この先において鍵となる二つの台詞に注目しました。
「オレ、マウンド、3年間ゆずらなかった!」
「オレが、お前を、ホントのエースにしてやる」

上記は三橋、下記は阿部です。
この巻では台詞だけですが、後の巻で、
三橋が本当にマウンドを譲らない子なんだと分かる描写が
具体的に出てきます。
また、阿部の台詞は、
今後の三橋の心の中で柱となる言葉だと思います。

“今までは贔屓のエースだった。
でもこれからは、ホントのエースを目指す
──たとえ、マウンドから降ろされてもエースじゃなくても、
贔屓じゃないホントのエースになる”
と、一生懸命に頑張っている三橋のスタートは
本当にここだったんだなーと思えます。

■次は合宿。
モモカンのアルバイトシーンが具体的に出てくるのは、
現時点でここだけなので、とても貴重です。
そして、きっと、あの道具は相当重いんだろうな……凄すぎです!

また、千代ちゃんが初登場です。
その直前に入っているおまけ漫画は、今とかなり近くなってますが、
車内の千代ちゃんは
髪の毛のツヤの入りっぷりからいって、
最初は部内のアイドル的存在にする予定だったのかと
勘ぐっちゃうほどの美少女風です。

そして、オナニー発言をする田島……。
初回で彼の無邪気っぷりは出ていましたが
(四番だったとの主張+チョウチョを追う+部活中なのに家族に挨拶)
彼の赤裸々スケベはここで確定しましたね。

合宿所に着いた直後で、三橋だけが動けてないのは
本当に上手なエピソードだと思いました!
やる気はあるんだけど、自分から見つけられないタイプは
(他人がやるのを見て初めて、それが自分にもできたんだと気付く)
よくいますよね。
ここは、この後の描写が無いんですが、
きっと面倒見のいい栄口くんあたりが、三橋を呼んで、
「ちょっと手伝って」なんて言ってるかなーと思います。
勿論、栄口くんは素で。
三橋を助けてやるとか、そういうことではなく、
純粋に手が足りなかったので近くにいた三橋に声を掛けた感じで。

初回のストレートに続いて、
ここでも全力投球の理論が少し出てきます。
こういうふうに、要所に説明が入ってくると、
読者も納得しながら読めますし、
また、作者も描きやすくなるので良いですね。
(説明部分は、あまり長過ぎると読者が飽きる。
でもここを飛ばして話を進めてしまうと、
野球に詳しくない人間が置いていかれてしまうので)
ご飯を食べる前の「ウマそう!」のメンタル系&
瞬間視・周辺視野を鍛える訓練の描写も同様です。
この辺は現実でも真似できるので、
参考にしたとか言う野球部がそのうち出てくるかもしれません。

そういえば、合宿では、おとなしくなった花井の代わりに、
阿部がモモカンにちょっとたてつきますね。
でも、彼女が大人の余裕でかわしてますが。
球速についての考え方の違いもそうですが、
「阿部くんは捕手をわかってないね」が
その後のエピソードに続くのもいいなー。

■で、二巻に続く三星戦の序盤。
この直前まで、叶がどういう人なのかは
具体的に描かれていないのですが、
(回想で顔がちょっと出てくる程度)
偶然に見かけた三橋に真っ先に挨拶をしてくるあたりで、
「あれ? もしかして叶ってイイ子?」と
思わせるあたりが良いです。
その後の畠のワルっぷりが強調されるので。
(畠も、根はとてもイイ子だと思いますが)

ここはもう、畠が去った後の二人の会話が肝です。
初回からのエピソードが、ここにぐっと集結してます。

自分が思う通りに試合を運ばせるために投手がいればいいと思った阿部の、
最初の転換期ですね。
ここだけで全部が変わらないのも上手いです。

「だって、お前、がんばってんだもん!!」
『こいつのために、何かしてやりたい、
こいつの力になりたい!』
──それが捕手か!!!

三橋の手が温かくなるのも含めて、とても良いシーンです。
また、三橋も本当に嬉しかったんだろうなと
よく伝わってきます。
きっと大人になっても三橋は、
阿部にこう言われたことを絶対に忘れない&
大事な思い出として宝物にしていると思います。

試合に入る直前、皆で「三橋が欲しい!」と叫んだあと、
阿部らだけで話す場面(三橋は泉とキャッチボール中)が
印象的です。
阿部が「──頼む」と言ったあと、
花井に続き、栄口も同意するシーンです。
こういうのが、西浦の基礎となっている気がします。

そして、今までは他人(主に阿部の情報)からの評価で
「どうやら凄いバッターらしい」との認識しかなかった田島様の実力。
その前に、彼は
「オレはどんな球でも打つよ!」と普通に豪語してますが、
最初の打席で、難しいフォークを
「ほらねー!!」と叫んで本当に打っちゃう田島は
本当に凄いです。
言葉で「凄い」と読者に提示するだけでなく、
その証としてそういう描写があるので、
読者は嫌でも納得せざるを得ません。

その直後の、慌てて打ち合わせをして
「ナイバッチー!!!」(ナイスバッティング)とやってるのが
とてもリアリティがあると思います。
確かに、試合が始まる前にこういうのは決めておかないよなーと
思いまして。
で、次の試合からは、これが自然に出てきます。
最初の試合ならではのエピソードです。

田島を超せない花井のエピソードは、
おそらく「おお振り」という物語の核の一つだと思います。
事実、この三星戦の後にも出てきますが、
それの第一段階がここで出てきますね。
田島はそれこそ“努力する天才”なので、
花井にとって高層ビルに等しいぐらい大きな壁だと思うのですが
頑張ってほしいです。

また、最後に織田と叶の会話で、
今まではっきりと語られてなかった三橋の“まっすぐ”の説明が
なされます。
阿部にさせても良かったんでしょうが、
それだと漫画が単調になってしまうので
これの方がメリハリがあって良いと思います。
最後の最後で必死になっている叶くんの描写で、
どうやら三橋の認識が違うかもしれないという可能性を提示してるのも
好きです。

────
感想は以上です。
カバーを久しぶりに外したんですが、
この巻にはおまけ漫画が無かったんですねー。
すっかり忘れてました。
そして、カバー見返しの田島のプロフィールにおいて、
彼の大家族っぷりに驚いたのも思い出しました。
また、花井にあの絵(甘夏ジュースを差し出されている場面)が
使われているのは、
何度見ても面白いです。

そうそう、上記で書き逃しちゃいましたが、
花井との対決で、三橋が「真ん中にまっすぐ」を嫌がった直後に、
構えている阿部の姿がドンと出てくるシーンも好きです。
「──そうか、阿部くんも、いるんだ」と、
当たり前のことなのですが、
ずっと独りで投げてた三橋にとっては新鮮過ぎる事実に気付くのが
何とも痛ましく、せつなく、ほろっときます。


2007-04-02 19:19  nice!(0)  コメント(0) 
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