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アフタおお振り感想2007年5月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の漫画
「おおきく振りかぶって」の感想です。
ネタバレがあります。
単行本派の方はご注意下さい。

また、管理人にはカプ萌えがあります。
アベミハとタジハナです。
文中で出すことはあまりありませんが、
自覚無しにカプ的要素を含んでしまうことが
あるかもしれません。

いつもそうですが、今回も長いです。

まず最初にふろくの件から。
関東では来月十二日からおお振りがTBSでアニメ化されます。
今回は、それを受けての小冊子がふろくで付いてます。
アニメの設定資料なんかがキャラ別に描かれていたりするのですが
中でも見どころは、その一つ一つに対する
ひぐちセンセイのコメントです!
普段の漫画の作画において、
先生がどこにこだわっていらっしゃるかが
よく分かります。
また、中学野球経験者ばかりの西浦の中で、
唯一未経験者だった西広くんが、
中学で陸上をやっていたと判明してびっくりですよ!
中距離だそうですが、これってどのくらいの長さでしょう。
二百メートルぐらいは短距離のイメージがあるので
千メートル(一キロ)ぐらい?
短距離と長距離では走り方が全然違うらしいので
きっと中距離もそれら二つと違うと思われますが、
運動部に所属していたのなら、
身体を動かす点については馴れているわけで。
どういう経緯で陸上をやっていたのか、
また、西浦に入って野球をやろうと思っていたのかが、
早く知りたいです。

あと、グラウンドの俯瞰図が出ていたのが
同人者としては非常にありがたかったです。
埼京スポーツの取材の点で、ソフト部と併用していることや
ラグビーのポールがあることは出てきましたが、
こう、全体のイメージが掴みにくかったので。
「資料としてこうあるんだ」と目に見える形で出されたのは
本当に嬉しいです。感謝感謝。

────
さて、以下は感想です。
今回は一度読んだあと、
これまで自分が読み違いしていた
(と言うより、気付いてなかった)と判明したので、
改めて2007年1月号(崎玉戦終了直後)から読み直してみました。

まずは上記の点から。呂佳さんと岳志のことです。
今回は、はっきりと、
岳志が呂佳さんの命令でラフプレーをしているらしいと
臭わせられてましたね……。

最初、私はP37の最後のコマでの
美丞大狭山(以下、美丞)のセカンドの子の発言を
読み違えていました。
この試合ではライトに回されている直正のバックホームを見て、
自信を失いそうになりつつ自分で復活した岳志に、
セカンドの子が後ろからそっと声をかけるシーンです。
「塁上でまた危険なプレーをしたら
その場でお前降ろすよう監督に言うぞ」と言うところ。
(この直前に、ホームでのクロスプレーになっています)

私はこれを、三塁から来る走者を岳志がブロックする際に、
怪我を怖がらずに無謀にやることがあるんで、
セカンドの子が注意してるのかと思ってました。
でもページをめくり、
P38になったら不穏な台詞が見えたので
「あれ……?」と思った次第です。

「お前がルールギリギリのプレーするたび
お前はオレ達や監督の顔に泥ぬってんだかんな」
「わかった」
「……自分にも、だぞ」

↑このやり取りです。
ここでやっと、捕手の起用において
呂佳さんが岳志を推した理由が分かりました。
その後にも、決め手となる台詞(モノローグ)が出てきます。
P59から続く、P60の岳志の言葉
「点差があれば
オレは“野球”をしていられる」です。
つまり、余裕を持って勝てている状況であれば、
セカンドの子が言う「ルールギリギリのプレー」を
しなくて済むわけですよ。
事実、チームで唯一気付いているらしい
(他に気付いている人もいるかもしれないけれど、
今のところはそのような描写・台詞がありません)
セカンドの子は、三回戦で岳志に言ったようです。
今回の試合は五回戦です。
間の四回戦では、狭山高校を相手に
(栄口のシニアの友達のしょうちゃんがいる学校)
コールド勝ちしたそうですから
本当にその必要が無かったわけで。

で、これを確認するために先月号までを読み返してみたらば
ここに通じることが、主に岳志のモノローグや気持ちで
たくさん出ていました。

特に三月号のP191〜192は、ここに次ぐ分かりやすさでした orz
この五回戦の前夜、
ミーティングだと呼びに来た直正が去っていくのを見送りながら、
岳志が「直正はいいヤツだ」と思うシーンです。
過去回想で、呂佳さんのこんな言葉があります。
「捕手としても打者としても
直正のほうが上なんだよな」
「オレの言うとおりに動けるなら
お前を推してやるよ?」

また、これを受けて岳志は
「お前(直正)がいいヤツだから
コーチはオレを選んだんだ」
「なんだってやる。
オレがレギュラーもらえたのはそのためなんだ!」
と思っています。

ラフプレーの件を含んでいると分かった上で、
改めて先月までの話を読むと、
二月号のP17で、
洗顔中の滝井監督が呂佳さんに向かって岳志を評価し、
それをいち早く見抜いた呂佳さんに
「お前スゲー押してた(「推してた」ですね)じゃん。
見る目あんな!」
というシーンが、とても印象に残りました。
ページをめくると(P18)
ぼーっとしてるっぽい呂佳さんが出てきますが、
これは滝井が何も知らないことに対する思いと、
自分が推した本当の理由に関係なく
岳志が捕手として認められつつある現実を
呂佳さんが目の当たりにした
二つの感情が混じっていると思います。
その後の「それはあいつががんばったんだろ」は
いかにも取って付けたような台詞ですよね。
また、何も知らないらしい(本当にそうなのかは不明)滝井監督が
無邪気そうに笑っている(しかも割と大きなコマで)のも、
話にメリハリを出す効果として成功していると思います。

野球漫画で読んだラフプレーの描写となると、
あだち充先生の名作「H2」に出てくる
栄京高校の広田くんの一件があります。
あれは比較的分かりやすい形で出されてきましたけれど
もし本当に岳志がやるとして、
一体何をするのかが非常に興味があります。
やっぱりクロスプレー時に
相手選手の手足をスパイクで痛め付けるんでしょうか。

個人的には、やっぱり西浦に勝ってほしいので、
来月以降で描かれる回で怒濤の追撃を見たいです。
美丞の投手が崩れないとキツいかもしれまんが、
三人のうちの一人は「だましだまし」で投げるはずですから
そこが突破口になるのかなと思ってます。
でも、そうなると、
岳志に対する呂佳さんからのサインも出てくるわけで。
岳志も、基本的に野球馬鹿な良い子だからこそ、
呂佳さんから言われることが“野球”じゃないと
思ってるんでしょうね。
P59が痛くて重かったです。
きれいでキラキラ輝いてるだけが高校野球じゃないですが、
ある意味、理想であってほしい。
理想であろうと頑張っていてほしいので。

呂佳さんがサインを出すのは仕方ないとしても
(ラフプレーに関する話の最初のきっかけだから)
できれば、とっくに気付いてた滝井監督に、
その時点で「余計なことすんな!」と叫んで
呂佳さんに抗議してほしい……。
でも、二人がいる場所を考えてみると、
滝井監督と呂佳さんは目を合わせるのが難しいかもしれません。
お互いの顔をちらっと見られる程度じゃないかと。
何より、選手と観客は話せませんからね。たとえコーチでも。
(なので、桐青戦でルリが三橋たちと話したのは異例です。
普通は話せないし、あんな所には入れません)
なので、ここはやはり直正に岳志を止めてほしい。

または、岳志が一回それを実行して(でも失敗してしまって)、
セカンド以外の人たちが薄らと気付き始めるきっかけに
なってほしいです。
勝ちたい呂佳さんの気持ちはよく分かるし、
寧ろ彼は、滝井さんが監督をやってる学校だからこそ
勝たせたいのかもしれないけれど、
やはりラフプレーは悪いことですから。
岳志のせいで、試合中に部員が喧嘩しそうになって
(その間に西浦の反撃に合う)
でも、試合後半になって何とかまとまって、
正々堂々と西浦と戦う……みたいな展開がいいです。
あまりにもお約束過ぎますけど。
でも、ラフプレーを「してもいいこと」として描く漫画は
余程のことがない限り存在せず、
また、ひぐち先生もそうは描かれないと思うので。
お約束のことを描くには、
お約束の展開が一番すっきりして、分かりやすくて、
読者に感動を与えるんじゃないかと思います。

────
さて、西浦です。今回は攻撃シーンがあります。

でもその前に、お母さんたち!
今回もステキです。
P13の最後のコマで「うちのお兄ちゃんも〜」と言ってるのが
誰だか分からなかったのですが、
P14での顔と、消去法で、巣山母かと思いました。
そして、田島を「ゆーくん」と呼び、
泉を「コースケ」と呼ぶ花井母は最高です!
(田島の呼び名は、3月号のP221で出てきます)

三橋母は、本当に野球に興味が無かったんだなーと思いました。
そして、結果的に“女子”として声援してて
おかしかったです。吹き出しちゃいました。
あと、ここで浜ちゃんが言ってる
「あと! 今日相手男子高なんで!
女子の声あるだけである意味勝てるんでェ!」が、
美丞のピッチャーの子の
「共学の、しかもチアのいる学校にはゼってー負けねェ!!」に
かかってて、見事でした。

あと、泉母が言う、泉くんの「家でのよーす」を是非見たい!
学校では、やや斜に構えるところもある泉くんですが
きっと普通の男子高校生なんだろうなと思いました(笑)。

さて本題。一回裏の西浦攻撃。
先月号に引き続き、泉くんの顔がカッコ良いです。
自分を冷静に見られるのは良いことですよ。
泉くんは出塁率が高いので、次回の打席でも頑張ってほしいです。

そして、珍しくバットを振ってる栄口くんが新鮮でした!
彼には、野球の基礎がちゃんとしてるっていうイメージがあるので
(というより、バントが得意の人を私がそう思ってしまう)
きちんと振らせてもいけるはずと思えちゃうので、
今回のヒットは嬉しかったです。
もし他の学校が偵察してたら、
「西浦の二番はバントだけじゃない」とチェックされたかな、と。

その直後に入る(P24)滝井監督の
「4番5番の連打は一度もないんだ」の指摘は、
非常に耳が痛かったです。
そう、花井自身がよく分かっていることでしょうが、
これは西浦打線の弱味の一つでもありますよね。
単行本の一巻に掲載されている三星戦での最中に、
モモカンが花井に言ったように、
田島はパワーヒッターではないので、
後に続く者がきちんと打てないと、
得点を確実にあげることができないんですよね……。
田島の前は、割と誰かしかが出塁できてるっぽいので、
彼が打てば一点という展開もありますが、
もし彼がスコアリングポジション
(二塁や三塁/ヒットが出れば得点できそうな塁)に
進んでいる時に後が続かないのは、痛いです。

そして田島。P27は凄いなー。
目がいいという資質と
(↑これは、努力と思ってない努力が含まれてるかも)
直感で適確に判断できるだけの経験があるのは分かってますが、
本能で打ってるだけじゃなく、
こうやってきちんと考えて打てるのは凄いです。
そりゃあ、どんなボールが来るのかが分かれば
ある程度は対策が立てられますが、
分かってたって打てないことはざらです。
しかも狙った所になんて。
ゲージでの練習が生きてますよね。

次は花井。P35です。
花井は、三橋と接することで、
主将として大きく成長してますよね!
元々、彼は気配りがとても利く人に描かれていたので、
前回の“瞬間リラックス法”の話が出なくても、
三橋がテンパってるのを見たら声を掛けてると思いますが、
「さすがに脇はくすぐれねー」と
言えるようになってるのがいいです。
きちんと三橋の身体に触って、
我に返らせた(びっくりさせた?)上で、
励ましているのがいいです。
この時は、励ましだけじゃ三橋の耳に届かなかったと思います。
それもあって、
三橋の後ろでこの様子を見てたらしい田島が感心してそうなのも
好きな場面です。
「……」と黙ってはいますが、彼の表情からいって、
「花井、スゲー」とでも思ってそうで。
勿論、花井が言わなきゃ代わりに田島が言ったでしょう。

そして、これは攻撃でも守備でも当てはまることなんですが、
かつて西浦が桐青にやってたことを、
今回は美丞にされているわけで。
あの試合での序盤は、西浦が「してやったり」と調子づく一方で、
桐青は「なんかおかしい」と思ってましたからね。
相手を研究するなんて、
しない方があり得ないぐらい当たり前のことですが、
やっぱりされると嫌なものですね。
あとは、阿部がいかに「気付いてない」振りを長くできるかに
掛かってると思います。

今月号の阿部は、先月号に続いて余裕の無い顔ばかりで……。
P34で、
モモカンから「私からサイン出そうか!?」と言われた後、
一瞬だけ迷った後に返事をしている辺りに、
阿部の不安がよく出ていると思います。
きっと阿部父は、
ニヤニヤしながら「どうする、隆也」なんて思ってるかと(笑)。
↑でも、試合の終盤で阿部が切羽詰まった状況になったら
「キャッチャー頑張れ」って大声を出してほしい。

P49で、阿部が
「なまじ三橋がサインどおり投げられっから
気をつけねェと振り回される……!」と自覚してるのは
良いですね。
いくら三橋が、彼が立てた投球の組み立てで負けてきたとしても、
やはり阿部だけに配球の全てを任せるのは
危険ですよね。
港南戦で、滝井監督もスタンドから指摘してましたが。
今は三橋に首を振らせないことで通っても、
近い将来、これでは絶対に駄目な時が来ると思うので。

多分、この試合では、まだ
阿部とモモカンが考えた通りに三橋が投げ続けると思います。
だからこそ、将来的な布石となってほしいです。
阿部が、「投手に首を振らせない」ことの例外を認める
きっかけの一つとして。
投手にしか分からない事がある、という描写が、
最初の三星戦から出てきているので、
(二巻で織田が目を瞑って打った件)
いつか描かれるだろうとは確信しています。

そして三橋!
さすが主人公、彼は凄いですよ。
今回は最後で泣いてる彼でしたが、逆に私が泣きそうになりました。
上記の阿部の話と深く関わります。
P62〜65。
ベンチに戻った三橋が、疑問を確認するシーン。
そして、思ったことを阿部たちに言うべきかと迷うシーンです。

打たれるのが嫌だと思っている子だからか、
いち早く、記憶にある美丞と現実の彼らとの違いに気付いたのは
さすがです。

そして、ここからが泣きそうになった本題です。
あの桐青戦の最後でさえ、
マウンドを降りたくない一心で踏ん張った三橋がですよ、
自分が予想を言ったらマウンドを降ろされる、
花井や沖とピッチャーを交代させられると思ったながらも、
百枝や阿部に必死に伝えようとしましたよね。

「リード通りに投げられること(三橋)、より、
速い球(花井)、や、左投げ(沖)の方が……」
「交代したくない。
オレの予想なんてはずれてる……」

「でも、もし、当たってたら?」
「少しでも早く、言ったほうが、
いいような、ことだったら……?」
「このまま、ずっと、打たれ続けたら……?」

つまり彼の中では、
“試合に勝つ事>>>>>自分がマウンドを降ろされる事”
の図式がきちんとあるわけで。

また、打たれるのが嫌だという意思がここでも出てきましたが、
“打たれるのが嫌>>>>>降ろされるかもしれない恐怖”
であることも、伺えます。

勿論、阿部が何とかしてくれて、
自分が降りないで済むようになるかもしれないとの望みも
三橋は抱いていると思います。

結果は、三橋の言葉だけで阿部らに伝えることはできず、
田島の翻訳を間にはさみましたけど(笑)
言おうとしていた姿勢はきちんと伝わってます。
泣いてるし、本当に何を言ってるか分かりませんけど、
(逆に、よく田島は分かったなーと感心しました)
でも彼は着実に人としても、ホントのエースとしても
成長を遂げています。

おお振りの良いところは、
こういう些細な描写においても、話の本質の一部分が
丁寧に描かれていることだと思います。

ラストの、
「泣くことねーぞ。
おめーのおかげで、なんとかなるかもしんねェ!」の阿部は、
ようやく打開策を見出せそうでホッとしてるっぽいのが、
よく出ていると思います。

────
さて、今回のベスト3です。

三位:P21の最後のコマの泉と、P33の1コマ目の田島。
二人とも厳しい表情なんですが、良い顔なので。
普段の練習で浮かべる、辛いけれど、どこか楽しそうな顔と、
試合で浮かべるこうした真剣な顔とのギャップが良いです。
P21は、泉に声を掛けた時の田島がやや笑顔なのに、
それを終えた直後の彼が
キリッと真面目そうな顔になっているのも、凄く好きです。
田島は気持ちの切り替えを正しく早くできますよね。

二位:P51の1コマ目。
絵がどうと言うより、
この時に岳志がどんな気持ちで呂佳を仰ぎ見ているのかと思うと
それだけで辛くなっています。
それこそ、「ラフプレーをしても心が全く痛まない子」だったら、
気にも留めなかったでしょうが。
その後の吹き出しやモノローグにて、
彼の思いが文字として出ているとはいえ、
色々と想像しちゃいます。

一位:P64で、絵としては描かれていない三橋。
物凄く変則的なことですみません。
でも、一位で挙げるならここしかないです。
P63での三橋は、身体を阿部たちに向けつつも、
まだ腰を落として膝を床に付けてます。
でもP65では完全に立ってますよね。
この、“座っている→立つ”という簡単な動作の間に
物凄く迷って葛藤したはずの三橋の決意が出ているかと思うと、
うわぁと泣けてきます。
ここは、逆に描かれてないからこそ、
更に気持ちが煽られているような気もしますが、
でも、一番好きな描写だったので。

番外編:P65の最後のコマ。
これ、タチキリで描かれているのは三橋ですよね(笑)。

感想は以上です!
やっぱり二時間以上かかってます。はは。

そうそう、本誌によると、
桐青戦の決着がつく単行本の八巻が五月に出るそうですよ。
あの、おお振りで初めて私が泣いた最後を一気に読めるかと思うと
楽しみでなりません。


2007-03-26 22:41  nice!(0)  コメント(0) 
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