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感想@映画「弱虫ペダル」*ネタバレあり [弱虫ペダル]

実写映画「弱虫ペダル」を映画館で観てきましたので
感想を記します。
以下の記述にはネタバレを含みます。

映画 弱虫ペダル (フォア文庫)

映画 弱虫ペダル (フォア文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2020/07/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



以前、弱ペダの実写制作が決まったとの報をネットで見た時は、
「えぇ……? 絶対観に行かない」と思っていたこちらの作品。

私は単行本を買っている他、
アニメも舞台も観ている原作ファンです。
「弱虫ペダル」という作品については、
所謂「2.5次元」として既に舞台化、ドラマ化がなされており、
後者では非常に残念な事故があったものの、
評判は大変良く、人気も高かったことから、
ぶっちゃけ映画の実写化については
世間であまり求められていなかったように思えます。
なので私も、
「え? 今さら実写映画? しかもジャニーズ??」と
大変疑問に思いました。


加えて、これはマスコミの報道が悪かったと思うのですが、
原作であまり出番のない寒咲さんというキャラクターを
今をときめく橋本環奈さんが演じられることで、
作品の説明時に彼女がヒロインと称されてしまい、
「ヒロインって何? 
もしかして小野田坂道と恋愛要素とかあるの?」と
当時は拒否反応が多々ネットで出ていました。
(原作での寒咲さんは、確かに、
序盤で小野田くんをたくさんサポートしてくれますが、
恋愛要素はなく、
以降はほぼ空気のような存在です)
ジャニーズ事務所に所属するアイドルが主演ということもあり、
熱い自転車マンガである原作を大幅に改変され、
恋愛を主とした青春映画になるのではないかとの危惧も
公開前にはありました。

実を言いますと、
本当に私はまず観ないだろうと思っていましたので、
全くチェックしておらず、
今年の八月に入ってテレビでCMを観て初めて
「あ、そういえば、こんなのあったっけ」と思い出した次第です。


でもその気持ちが大きく変わったのが、公開日8/14の夜でした。
ネットで原作ファンらしい方の鑑賞後の感想が流れてきて、
それらが皆、賞賛の嵐だったことから、
私も「あ、これは観ないと駄目なやつかもしれない」と思い直し、
手のひらを反して慌てて観賞してきました。


実際に観てみたら、それらの感想通り、
ちゃんと「弱虫ペダル」の映画になっていて、驚かされました。
勿論、全てが原作通りというわけではなく、
お話の一部がカットされたり、
終盤は映画独自の展開になっていたり、
寒咲さんの出番が増えていたりとの改変はありましたが、
悪いものではなく、
二時間強という短い時間でよくまとめたなと
好意的に思えました。

また、これが最も「弱虫ペダルの実写映画だった」と思えた理由ですが、
主演の永瀬廉さんが、ちゃんと! 本当に!
見た目も中身も「小野田坂道」になっていました。
映画の宣伝(ポスターなどのキービジュアル画像)からも
永瀬さんの外見がリアルに小野田くんに寄せられていると分かりますが、
スクリーンで動いたり喋ったりする彼も、
ちゃんと小野田くんでした。
ご存知のとおり、小野田くんは冴えない男子高校生ですので、
大人気のアイドルグループ「King & Prince」の一員として
華々しく活躍する永瀬さんとは真逆と言ってもいいのでしょうが、
映画の中の彼は、確かに小野田くんとして存在していました。
「アイドル(が主演の、作りが雑な恋愛)映画」だと思っていたら、
「アイドル(が頑張って主役を演じた、熱い青春自転車)映画」でした。


失礼を承知で厳しいことを書きますと、
永瀬さんの演技には未熟さを感じましたし、
滑舌の悪さもありました。
でも、上記のとおり小野田くんは所謂「陰キャ」なので、
それらの欠点はあまり目立たず、
小野田くんのキャラクター性に助けられていた部分もありました。
でもそれ以上に、
彼が真摯に「小野田坂道」という役と向き合ってくれたんだと
スクリーン越しに強く伝わってきて、
原作ファンとしては観ていてとても嬉しかったです。
欠点を非難して終えるのでなく、今後の成長を願うことで、
小野田くんをちゃんと演じてくれた彼に感謝の意を表したいです。



ストーリーは、
学校の裏門の激坂での小野田くんと今泉くんの出会い、
二人だけの初めてのレース、
総北自転車競技部の一年生ウェルカムレース、
そしてIH予選である県大会のレース……と、
合宿での二年生とのエピソードがごっそり削られたものの、
ほぼ原作に沿った内容でした。
また、上記のとおり、
終盤(IH予選の県大会)はオリジナルの内容でしたが、
原作におけるIH初日のエピソード(原作屈指!)が入れられ、
巻きこまれ事故による小野田くんの負傷
→レース最下位からの再スタート
→山での100人抜き
というとても熱い展開になっており、
「どうせ総北が勝つだろう」と想像できても
途中ははらはらしました。
協調作戦を取る他のライバル校の妨害で
総北の皆がなかなか前に出られないシーンでは、
本気でムカつきそうになりました。



個人的にちょっと気になったのが、
ここぞという場面になると、
顔のアップになってその人のモノローグが入るという演出が
何度も何度も出てくることに、少し飽きました。
観ていると「あぁもうそろそろあれが来るな」とも
想像できましたので、
もう少し回数を控えた方が効果的だったのではないかと
思いました。



きっと私が持っていたような偏見のせいで、
観ないと決めてしまった原作ファンは少なくないと思います。
好みはあるでしょうが、出来としては悪くなく、
原作の「弱虫ペダル」の世界がちゃんと作られていますので、
もし迷っている方がいましたら、
私も「観るべき!」と背中を押したいです。
ギアチェンジ時のバチバチ音、
走行時にチェーンが回ったりタイヤが道路に擦れたりする音が
聞いていてとても気持ち良かったので、
大音量でそれらも聞いていただきたいです。

また、映画を機に「弱虫ペダル」を知った方には、
是非、原作の漫画も読んでいただきたいです。
どちらも本当に、お勧めです!



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2020-08-21 14:14 
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