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感想@映画「相棒-劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」*ネタバレあり [映画・舞台]

現在公開中の映画
「相棒-劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」を観てきましたので
感想を記します。

相棒-劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ plus season 11&12 (ぴあMOOK)

相棒-劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ plus season 11&12 (ぴあMOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2014/03/31
  • メディア: ムック

主なキャストさんはこちら(敬称略)
杉下右京:水谷豊
甲斐享:成宮寛貴
伊丹憲一:川原和久
三浦信輔:大谷亮介
芹沢慶二:山中崇史
角田六郎:山西惇
米沢守:六角精児
神戸尊:及川光博
神室司:伊原剛志
高野志摩子:釈由美子
松坂陸将補:嶋田久作
栗山朔太郎:吉田鋼太郎
綿貫孝雄:風間トオル
若狭道彦:宅麻伸
甲斐峯秋:石坂浩二

以下の記述にはネタバレを含みます。

————

過去二作を観た限り、映画版の相棒では、
通常の放送では描き辛い社会問題がテーマとして挙げられることが
共通点としてあります。
今回も同じで、「国防(自衛権)」そして「人の倫理」が
ストーリーの根源としてありました。
簡単に言えば、
「国を守る為ならば何をしてもいいのか」ということです。

聞こえの良い言葉を盾にして自分の主張を過剰に正当化するのは、
私たちの日常でもよくあることです。
神室司(伊原剛志さん)たちの気持ちは分からないでもないですが、
さすがに今回は、杉下右京(水谷豊さん)の
「国防という名の流行り病に冒されている」云々の台詞が
どんぴしゃだったと思います。
ただ、神室が言う「平和ぼけした人々」に当てはまる私は、
まさに、国の未来を憂えずに、
ただ安穏と平和を享受している身ですので、
何も心配していない、有事に対して全く備えていないという点で、
神室の指摘が耳に痛かったことも事実でした。

神室たちは、「自分たちから仕掛けることはない」という点を挙げて、
決してテロリストではないと否定していましたが、
有事に備えて生物兵器を作ろうとしている時点で
もうテロリストだと思います。
今回、神室がどういう経緯でその考えに至ったかについては、
具体的に描かれていません。
ただ、かつて駐屯地で高野志摩子(釈由美子さん)たちと
平和と国防について熱っぽく話し合っているうちに、
変に盛り上がってしまった結果、
こうなったんだろうなと伺えましたので、
(社会人が居酒屋で職場の愚痴を漏らしあっていると、
奇妙な団結力が生まれるような感じで)
おそらく、神室たちがこうなったのは自然なことなんでしょう。
いつの間にか視野が狭くなっていたんだろうなと想像しました。



さて、今回の劇場版の相棒も、
観終わった後にあれこれと考えさせられましたが、
一つの娯楽として評価してみると、
いまいち盛り上がりに欠けるなぁと思いました。
右京さんと甲斐享(成宮寛貴さん)のコンビっぷりは
相変わらず魅力的で、
捜査対象である神室たちテログループは怪しさ満載、
しかも事件の舞台は絶海の孤島で、
最初から右京さんたちに分が悪い状態……と、
物語の設定は素晴らしかったのですが、
肝心の物語に意外性と迫力が無く、
最初から最後まで、
特に感動させられることも泣かされることもなくて、
淡々と進む話を見せられただけだったからです。

まず、そもそもの発端である事故死が
あまり面白くなかったです。
高野の嘘についてはわざと分かりやすくされていましたし、
途中で、別の場所でスパイ云々の話が挙げられていたことからして、
観客が真相に辿り着きやすくなっていることから、
この作品では、殺人事件の犯人当てやトリックについて
あまり重きを置いていなかったのかもしれませんが、
それを踏まえても、ちょっとお粗末だなぁと思いました。
「ええ? この人が犯人だったの?」や、
「こんな理由で殺したの(殺されたの)か……」や、
「このトリックを考えた人は凄い!」といった、
意外性を含む驚きが一切無かったのが、とにかく残念です。

物語全体の中心である生物兵器については……
まず、自衛隊が施設を爆破するシーンが
普通すぎて物足りなかったです。
終盤の、宅配便を使った神室の仕掛けも、
最初に例のジープを観たのがずっと頭に残っていたことから、
「実はあれがそうだったんじゃない?」と思っていましたので、
右京さんによって真相が明かされても
「やっぱりね」と思えただけで、驚くことはできませんでした。



物語を改めて振り返ってみると、
スーツ姿の特命係が密林の中を走っているシーンが
頭の中で一番強く残っていましたので、
結局、“出落ち”で終わっちゃったなぁと思いました。
乱暴で失礼な言葉で表現すれば、
「右京さんとカイトくんが、スーツ姿で孤島を走る」
——この違和感を楽しむ為の作品になっている気がします。



面白かったのは、右京さんたちが自衛隊に襲われて、
お台場と思わしき場所に強制連行された後、
「ご協力ありがとうございました」と言われるシーン。
カイトくんが憤りながら
「『ご協力ありがとうございました』って言いましたよね?!」
と言うのが、とてもかわいかったです。

慇懃無礼な右京さんの物言いも、相変わらず面白かったです。
それに対して、神室はさすがに余裕を見せていましたが、
高野が不愉快さを露にしていたのが可愛かったです。
不本意な仕事だったはずなのに、
事故死の不審さから、俄然、興味を持ってしまうくだりも、
いつもの右京さんらしくて、非常に良かったと思います。

今回、ちょっとだけ、
以前の相棒である神戸尊(及川光博さん)が登場し、
特命係の部屋を訪ねるシーンがありましたので、
懐かしく思いながら観ました。
カイトくんに不満は無いのですが、
私は神戸さんが特に好きでしたので、
「もう彼は部外者なんだな」と実感してしまい、
なんだか淋しくなってしまいました。



序盤、鳳凰島が嵐のような暴風雨に襲われるのですが、
翌朝のシーンが普通だったことが気になりました。
夜、ああいう場所であれだけの雨が降ったなら、
翌朝は深い霧が出ているんじゃないですかね??
島の地理的に、霧はあまり生じない……としても、
足元はそうとうぬかるんでいるのではないでしょうか。
これはフィクションだからと言えばそうですが、
暴風雨をあれだけ印象的に描いておきながら、
朝はごく普通だというのに違和感を覚えました。
たとえば、訓練用の設備が濡れているとか、
昇った木の枝葉から大粒の雨が垂れてくるとか、
特命係の二人だけはぬかるんだ地面に足を取られる
……といった描写があっても良かったと思います。

神室が率いている鳳凰島のメンバーも、
高野と眼鏡くん(名前を忘れました)以外は、
ほぼ空気のような状態で、
数合わせでいるだけで終わっているのも残念でした。
でも、神室を演じる伊原さんと、
高野を演じる釈さんは、大変良かったです。
伊原さんにはカリスマ性を感じましたし、
釈さんには、
そんなリーダーに盲目な危うさと高潔さを感じました。



決してつまらなくはなかったのですが、
もっとドキドキハラハラできると予想していた分、
それが叶えられなかったのが残念でなりません。
ただ、右京さんがスーツ姿で孤島にいるのは、
それだけで大変面白い状況ですので、
ファンなら観て損は無いと思います。



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2014-05-05 20:50  nice!(2) 
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