さくらもちモチ

感想@「映画 ひみつのアッコちゃん」*ネタバレあり　[映画・舞台] [編集]

実写作品の“映画 ひみつのアッコちゃん”を
DVDで鑑賞しましたので、
感想を記します。

キャストさんはこちら（敬称略）
加賀美あつ子（アッコ）：綾瀬はるか/吉田里琴
早瀬尚人：岡田将生
熱海専務：谷原章介
青山マリ：吹石一恵
守衛さん：塚地武雅
中村前社長：大杉漣
あつ子のママ：堀内敬子
総理夫人：内田春菊
黒川朋美：肘井美佳
サトウ先生：柿澤勇人
大庭鶴子：もたいまさこ
鬼頭：鹿賀丈史
鏡の精：香川照之
モコ：堀内まり菜

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

のっけからこの点を挙げるのはまずいのかもしれませんが、
この作品は、とても素敵な終わり方をしています。
コンパクトの力を失い、
魔法少女でなくなったアッコが成長し、
早瀬尚人がいる化粧品会社の入社試験を受けます。
その面接で、アッコが尚人にしか分からないことをわざと言い、
彼を驚かせるんです。
鏡の魔法のお陰で出会えたという歪みが、
ここでやっと正常な形になるわけです。
二人の恋が改めて始まるというのを予感させる終わり方が、
私は大好きでした。



この作品の目玉は、
アッコを演じる綾瀬はるかさんの変身シーンだと思います。
特に最初（鏡の精にコンパクトを貰った直後）は、
小学生の女の子が
「私が大人になったらなりたいもの」を挙げていきますので、
一瞬ですが、綾瀬さんの職業コスプレを色々と見ることができます。
お話が進み、アッコが化粧品会社で働くようになると、
OLコスが常時となり、綾瀬さんがメインで出てきますが、
危機を脱する為の手段のみになってしまいますので、
この点では少々物足りないかもしれません。
綾瀬さんが「テクマクマヤコン……」や
「ラミパスラミパスルルルルル」と呪文を発するのは
とても可愛いです。

また、アッコの変身シーンで一番楽しめるのは、
彼女が熱海専務や中村前社長に化ける時です。
これらは、彼らを演じる谷原章介さんや大杉漣さんが
頑張ってらっしゃるので、
綾瀬さんのコスプレではないのですが、
彼らの言動の端々に“女の子”が出てくるのが、
見ていて大変愉快です。



主演が綾瀬さんということで、
この作品では、小学生のアッコが大人に変身した姿がメインです。
なので、綾瀬さん扮する大人のアッコが見せる
本来の小学生のアッコとしての言動が面白いです。
綾瀬さん自身もテレビか雑誌の取材で仰っていたように、
化粧品会社での仕事でコピー機を見た時に
「何これ」と目を丸くして驚いているのが、
いかにも子供っぽくて可愛いです。
また、すぐに膨れっ面をしたり、
わんわん泣いたりするといった言動や、
家を出る時は小学生としてなので、
バッグの中身もそうであるのがおかしいです。
化粧品会社では、
普通の大人の女性として青山マリが傍にいますので、
彼女との対比により、その違和感がより強調されていました。

その青山マリ。
アッコの存在に複雑な感情を抱いていたようですが、
途中でアッコを認めて、
最後には、彼女と尚人の恋を応援する側に回っていたので
私は好感を持てました。



小学生が考えること……ということで、
時折、アッコは怖いもの知らずの考えで暴走してしまいます。
アッコの頑張りは、全て「会社を何とかしたい」
「尚人の役に立ちたい」という純粋な思いからなので、
悪意は無いのですが、
いかんせん、鏡の魔法を使うしかないという手段がまずいです。
見ていて「これ、ヤバいよね」と思えることは
その後にちゃんと、失敗という形で帳尻が合わせられています。
たとえば、アッコが総理大臣夫人に化けて
化粧品会社の宣伝を行なうシーン。
私も「こんなのあり得ない」と苦笑しながら見ていたら、
案の定、すぐにこの件が問題となり、
尚人も会社も窮地に立たされてしまいます。
でも、これで終わらず、
痛い目に遭ったアッコが「ズルはいけない」と実感し、
自力で頑張るようになるという心の成長が見えるのが
とても良かったです。



アッコと尚人の恋も大きな要素ですが、
本来のアッコはまだ小学生ということで、
ラブロマンス要素は出てきません。
終盤にある尚人から仕掛けるキスも、未遂で終わります。
でも、この感想記事の最初に書きましたように、
最後に二人の恋がやっと始まる点が匂わされていますので、
二人がこれから紡いでいく未来の土台になった話としては、
寧ろ、何もなくて良かったと思います。
恋人関係にある二人の出会いのエピソードのみで作った話としては、
とても良質です。



ただ、会社がピンチになり、
株云々の話になってからがちょっと長くて
だらだらしているのが気になりました。
もう少しテンポアップさせて、さくさく進めた方が、
気楽に見る側としては有難かったかなと思いました。



主人公が大人の綾瀬はるかさんということで、
この作品がターゲットとした観客層は、
同世代の大人の女性だと思うのですが、
多分、子供が見ても楽しいはずです。
尚人役の岡田将生さんが、
凄く格好良くて、優しくて、誠実なので、
小学生の女の子が憧れる対象としてぴったり合っていました。

家族やカップルで、感想と言う名のツッコミを入れながら、
わいわい楽しく見るのをお勧めします。
漫画やアニメがあまりにも有名で、
実写版という先入観を消す事はできないでしょうが、
一つのラブコメとして楽しめる、可愛らしい作品です。