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感想@映画「ヘルタースケルター」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「ヘルタースケルター」を見た感想です。

ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

キャストさんはこちら。
りりこ:沢尻エリカ
麻田誠:大森南朋
羽田美知子:寺島しのぶ
奥村伸一:綾野剛
吉川こずえ:水原希子
沢鍋錦二:新井浩文
保須田久美:鈴木杏(友情出演)
塚原慶太:寺島進
南部貴男:窪塚洋介(友情出演)
多田寛子:桃井かおり
和智久子:原田美枝子
浜口幹男:哀川翔

以下の記述にはネタバレがあります。
私は、岡崎京子さんの原作漫画については、一応未読です。
(事前に劇場で配られていた冒頭のみのお試し版を読みました)


────

私は岡崎京子さんの漫画が苦手なのですが
(子供の頃に「リバースエッジ」の連載をリアルタイムで読んでいて、
何が面白いのかが分かりませんでした/
死体にまつわる話でなんとなく気持ち悪かったのを覚えています)
先月、映画「ホタルノヒカリ」で見た劇場予告に惹かれたので
楽しみにしていました。

個人的には、蜷川実花さんについては
写真家としては独自の美学というか世界をお持ちのようで、
凄いなと思うのですが、
そういう方だと、映像の撮り方に強いこだわりを持っていても
肝心のお話の部分がおざなりになるのでは……と懸念していました。

上記の通り、私は原作の漫画をほとんど読んでいませんので
その比較はできないことから、
映画を見たのみでの判断しかできませんが、
重要なキャラクターであろう麻田誠(大森南朋さん)が
やはり弱いと思いました。
この件については、後で記述します。



まずは、主人公であるりりこ(沢尻エリカさん)について。
皆さんが興味関心を寄せる点は、やはりヌード関係でしょうか。
おっぱいはきれいでした!
お椀型でCカップぐらいだと思います。
乳首もツンと立っていて、ピンク色のお豆さんでかわいかったです。

全身に包帯を巻いた女(りりこ)の包帯が
少しずつ解けていき、彼女の身体が露になっていく
……というのが冒頭の流れですので、
おっぱいはばっちり見えます。
その後も、セックスシーンなどでちょこちょこと拝めますし、
セミヌードレベルでしたら、中盤までで相当あります。
ただ、エロシーンのみが目当てなら、
最初から20分ぐらいで劇場を出ちゃっても
何の問題もないと思いますw

尤も、沢尻さんの裸体はとてもきれいなのですが、
健全的というか健康的なので、
色気はあっても欲情を煽られるようないやらしさは皆無です。
肌がすべすべしていそうで、おっぱいが柔らかそうで、
私も触りたいなーと思っちゃう感じです。

セックスシーンも、それなりに激しくやってますが
騒がれるほどではないかなと思いました。
序盤、御曹子の南部貴男(窪塚洋介さん)とのセックスだと
りりこもそこそこ気持ち良さそうなのに、
その直後にある浜口幹男(哀川翔さん)としている時の彼女は、
煩くアンアン喘ぐだけなので(りりこがそういう演技をしている)
煩い+なんかおかしいです。
見ていて笑っちゃいます。
奥村伸一(綾野剛さん)との時は、まぁまぁなんですが、
なにせすぐに終わっちゃいますので、物足りないかもしれません。



お話は、日本のトップスター・りりこが
全身整形のつけを味わうと共に、
世間に“消費”されていく自分に抵抗しようとしますが、
薬のせいで精神的に錯乱するようになったこともあって、
どんどん追いつめられていく……という内容です。

私は、ロリータと呼ばれる服を普段から愛用していますので、
りりこの外見
(前髪ぱっつん+ストレートロング+お人形さんみたいな顔)は
もろ好みですが、
性格は駄目だなぁと思いました。
というのも、彼女、機嫌が悪くなると
周囲にいる弱者
(マネージャーの羽田美知子:寺島しのぶさん)に当たるんです。
しかも露骨に。
ただ、羽田にはりりこに惚れている弱味があるので、
ヒステリックに怒鳴られても、理不尽なことで怒られても、
物をぶん投げられても、性器を舐めさせられても、
目の前で彼を寝取られても、その彼と3Pをやらされても
彼女の傍にいちゃうんですよね……。
特に、最初のレズプレイ後のうきうき加減なんて
りりこも煩がっていましたが、
まるで好きな人と初めてセックスした後みたいでした。
羽田は、恋人の奥村とは別次元でりりこのことが好きだからこそ
そういう状況になったのでしょうが、面白かったです。

それにしても、「りりこさんは私がいないと駄目」だなんて、
駄目男に惚れた駄目女の台詞だなぁと思いました。
母性本能を愛と勘違いしちゃうタイプですね……。

原作では、りりこと同様に二十代前半と思しき年齢の羽田は、
映画では三十五歳でしたっけ……年齢がぐっと引き上げられたようで。
でも、寺島さんにはすみませんが、
どう見てもその年だとは思えません。
寺島さんの実年齢であるアラフォー(四十歳前後)に見えます。
数字だけで見ると35も40も似たようなものですが
見た目から受ける印象の差は大きいです。
羽田には化粧もほとんどしないモサい女という設定もあったせいで、
寺島さんがオバサン臭く見えました。
なので、羽田が奥村と一緒にいると、
恋人同士というより、年の離れた姉弟みたいに思えます。
特に、夕食を一緒に食べるシーンとか。

ただ、羽田の設定年齢を上げたことは、私には正解だと思えました。
同年代の同性にはどうしても感じてしまうであろう
“嫉妬”や“中途半端な憎しみ”が、
年齢的な差が出たことによって
全て“諦め”と“素直な憧れ”に変わっていたんです。
同世代ですと、密接な関係にある対象に向けて
「自分もああなりたい」と憧れている間に
「でもなれない」ことが実感として強く出てきてしまって、
そのうち、「なっている」対象に拗ねたり僻んだりするのはよくある話です。
でも年齢の差があって、しかも自分の方が老いているとなれば、
これはもう諦めるしかないことがいっぱい出てきますので……。
で、りりこにぞっこんの羽田からは、
この“諦め”と、僻み嫉みが交じらない“純粋な憧れ”が
強く感じられました。

加えて、脱いでも見た目に問題がない20代の沢尻さんと、
40歳前後の寺島さんとでは、
やはり身体のラインや脂肪の付き方が全然違います。
作中で、寺島さんがセミヌードになるシーンが出てくるのですが、
彼女のそうした姿が変な感じでとても生々しくて、
ぶっちゃけ、沢尻さんの裸体よりいやらしく見えました。
(いけないものを見ちゃった!的な)
なので、この映画で沢尻さんが体を張って頑張っていると
よく言われていますけれど、
私には、一番体を張っているのは寺島さんだよなーと思えました。



りりこの転機(整形の後遺症が出る)に合わせて、
後輩の新人モデルとして吉川こずえ(水原希子さん)が登場します。
私、昔懐かしいオリーブ(というファッション雑誌があった)では
市川実和子さんより吉川ひなのさんの方が好きだったので、
いわゆるモデル顔の水原さんより沢尻さんの方が、お顔は好みです。
でも作中で、二人が並んで写真を撮られるというシーンで、
水原さんがバリバリ雰囲気を作っているのを見たら、
(りりこが戸惑っているという作中の事情もあって)
雑誌モデルさんとしては水原さんの方が好みだなと思えました。

それと、撮影シーンで蜷川監督が二度ほど出ていますが
そういうのは要らなかったと思います。
顔が売れているだけあって、監督が悪目立ちしていました。



りりこが土砂降りの雨の中で絶望するシーンと、
終盤、とある記者会見に望む為に
キンちゃん(沢鍋錦二/新井浩文さん)にメイクをしてもらうシーンでは
ほろりと泣きました。
でも、りりこが錯乱してからは映像も内容もくどくて
ちょっと飽きた部分もありました。

特に、作中で何度か挿入される渋谷の街+女子高生たちの会話のシーン。
一度目は、冒頭ということもあって、
りりこがとても人気だという設定の紹介・裏付けになっています。
二度目は、全身整形に走ったりりこが特殊なのでなく、
睫毛を盛りたい、ちょっとでも痩せたい、
可愛くなりたい、きれいになりたい……と望む皆と同じで、
街にいる普通の彼女らもまたりりこ予備軍だということが分かります。
でも三度目は、さすがにもう要らないだろうと思いました。
それでなくても、
りりこの全身整形&デブ専の風俗嬢をやっていたとの過去の露呈を、
渋谷の街&女子高生の映像でやったわけですし。

また、何か劇的なことが起こる時に
大袈裟なクラシックの音楽を使ったり、
街の雑踏をただ流す時にもそうしたりするのは
とてもありきたりな手法で、つまらなかったです。
一度ならともかく、上記のように二度ありましたので
見ていて「あぁまたか」と思いました。
また、どうせクラシックの音楽を使うのなら、
特に後者の街並のシーンでは
それこそ「乙女の祈り」を流せばいいのにと思いました。
タイトル的にぴったりで、
その曲を使う意味をちゃんと持たせられるじゃないですか。
曲調も合っていると思います。



りりこが、「顔も名前も知らない」と揶揄していた人々の歓声を
無意識の内に心の支えとしていたらしいのは
せつなかったです。
また、妹に整形を進めたシーンで
「きれいになると強くなれる」と言ったりりこが
実はとても弱かったことが、
見ていて哀れで、かわいそうだと思えてなりませんでした。
でもどん底に落ちたとはいえ、
最後、りりこの写真集が復刊されたと分かるあたり、
彼女が一番恐がった
“自分が皆に消費される”“必要とされなくなる”
“自分が忘れられる”ことは回避できたわけで。
りりこが絶頂期に望んだ形とは違ってしまったけれど、
結局、望みを叶えたあたり、
りりこは凄かったんだなと思えました。



──で、南部検事について。
美容整形での不正をあばく鍵としてりりこを利用しようとしますが、
作中でミョーにポエミーなところがあった彼は
よく分からない人物でした。
りりこに興味を持っているようにも思えましたが
突き放すような感じで変に冷めているところもあって……。
勿論、人なんて複雑であって当然なのですが、
作中でちょいちょい出てくるのに、
考えていることが読めない/理解できなくて、
不思議な人だなと思えました。
なので、彼についてはもっと深く描いてほしかったです。
せっかく保須田久美(鈴木杏さん)という相手役もいるのに
全然生かしていないなと思えました。

逆に、素晴らしかったのは
りりこの面倒を見ている多田寛子(桃井かおりさん)です。
りりこを可愛がっている一方で、
彼女の実家にお金をろくに送ってないらしい辺り、
愛情と現実(金銭関係)は別物なんだなと分かったのが面白かったです。
迫力があって説得力もあって、ずば抜けた存在感でした。
美容外科医役の和智久子(原田美枝子さん)も良かったなぁ。
透明感がある美しさが、怖さにも繋がっていたと思います。



思ったほどショッキングな内容ではなかったのですが、
良くも悪くも、見ていて疲れる映画でした。
話題性もあることですし、興味がある人は見てもいいと思います。




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2012-07-20 11:14  nice!(0) 

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