さくらもちモチ

感想：ドラマ「相棒 Season8」第6話 フェンスの町で*ネタバレあり　[テレビドラマ感想] [編集]

テレビドラマ「相棒 Season8」の感想です。
今回は第6話「フェンスの町で」です。

下記にはネタバレを含みます。


前回の第5話「背信の徒花」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-11-18-2

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/drama200910



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今回は、
フェンスのある町
＝“外国の軍事基地”がある町での物語でした。
これについては
タイトルの“フェンス”との文字を見た段階で
私も「あぁ、米軍基地かな」と想像がつきましたので
設定に戸惑うことはありませんでした。

上手いなぁと思ったのは
皆が「基地」との単語を連発しながらも、
一度も「米軍」やら「アメリカ」と言ってなかった点です。
今回、私は原稿をやりながら見ていたので
もしかしたら見落とし・聞き落としがあったかもしれませんが
そうでなければ、具体的に国名を表わす単語は
一度として出ていなかったはずです。
まぁ、日本に軍事基地を置いている国はアメリカのみですし、
作中で出てきた軍人が喋っていたのも英語だったので、
特に説明がなくても、この基地が米軍のものである事は
ある一定以上の年齢の視聴者だったら
誰でも無意識の内に気付く事です。
でも、台詞や文字として具体的に出しちゃうと、
作品的にまずくなるので、
徹底的に伏せる事によって、
抗議などが寄せられる事態になっても
「具体的に国名を出していない」という逃げ道を作ったのかなと
思いました。

尤も、こちらの作品が放送されているのは
テレビ朝日なので
こうした事で抗議を多少受ける事など
普段から馴れ過ぎていて、何でもないのでしょうが。



お話の主軸は
基地の存在を全ての元凶と認識した男子学生二人の
過ぎた悪戯でした。
（本人達にしてみれば、悪戯ではなく本気の決意でした）

二人が秘かに計画を練ったり、爆弾を作ってみたり、
本格的な格闘技を習ったりして
ドキドキワクワクしている様は
通常であれば、全て他の事に置き換えられたのが
哀れでなりません。
たとえば、秘密基地と称した隠れ家で遊ぶという点では
同じかもしれませんが、
いやらしい本やDVDを親に隠れてこっそり見たり、
キャッチボールやサッカーボールの蹴りあいをしたり、
自転車で遠くまで行ってみたり……と
青春を楽しめる遊びはいくらでもあるじゃないですか。
最初のきっかけと締めこそ、
基地への復讐・報復という不穏な動機による行動でしたが、
その間の過程での姿は、
二人の楽しそう＆真剣そうな様子からいって
普通に青春を楽しんでいるようにしか見えませんでした。
……やっていたのが物騒な事だったのが、
本当に哀れでなりません。



最後は、二人が
自分たちの友情を改めて認識する感じに作られていましたので
ほんわかと良いムードが漂っていましたが、
結局、彼らの問題が何一つ解決していないのが
今回の話の意地悪な点だと思います。
幸いにも、自爆事件は未遂に終わりましたが、
フェンスの向こう側にある基地は、相変わらず存在しています。
壊れた二人の家庭は戻りません。
また、今回の事件のせいで
二人は一生、他人から後ろ指を差されて
生きていかなければならないかもしれません。
以前より悪くなった状況で、
二人には唯一、心の支えとなる相手との友情だけが残されたというのは、
物語の結末としてはまとまっていますが
よくよく冷静に考えてみると、
あまり救いがないなぁと思ってしまいます。

特に、近年に発表されている小説（他作品）などでは、
こういう展開になった場合、
この事件を機に親友ともよそよそしくなり、
（相手を思い出すと、事件のことまで思い出してしまうので）
相手が、自分にとって逆に忘れたい存在に変わってしまう事が
決して珍しくないので、余計にこう思いました。



クールな神戸さんが、意外にも（？）熱くて、
見ていて面白かったです。
でも、「相棒」の番組ポスターの色を見てみると、
右京さんが青で、神戸さんが赤なので
この色は彼の内なる熱さに通じているのかなと思いました。

また、神戸さんの一人称が“俺”だったので
なんだか違和感を覚えました。
演じているのがミッチーだと
“俺”じゃなく“僕”の印象が強いです。



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感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。


続きの感想も書きました。
【第7話「鶏と牛刀」】

宜しければ合わせてどうぞ。