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感想:ドラマ「不毛地帯」第4話 俺が殺した*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

フジテレビのドラマ「不毛地帯」の感想です。
今回は第4話「俺が殺した」です。

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

以下の記述にはネタバレを含みます。
私は原作の小説を読んでいません。


前回の第3話「妻と娘の涙」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-29-8

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/drama200910



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最近は、テレビ局の広告収入が激減しているそうで、
フジテレビも例外でないのか
ここ数年、自社CMの本数が半端なく多いです。
中でも、おそらくフジテレビの今期ドラマの筆頭であろう
この“不毛地帯”のCMは、他よりも格段に多く流れています。
で、CMは、
次回放送の中から印象的なシーンをつなぎ合わせて作るのが定番なので
(それで視聴者の興味を煽る)
一部、ネタバレになってしまうのは仕方がないのですが、
今回の放送は、その事前CMと
新聞などに掲載されるタイトルを見れば
実際に視聴する前から内容を察する事ができる事態になっていました。

はい、壱岐正の親友である川又伊佐雄が亡くなりました。

川又が貝塚に負けている事は、
以前の回で彼が左遷された時点で明らかです。
また、人の死は、普通に描いても視聴者の涙をそそるので
事前CMでこれを匂わせても、
放送(視聴率)にあまり影響を与えないどころか、
視聴者に「あ、死んじゃうんだ」と思わせて興味を煽れるので、
この方法は成功と言えるのかもしれません……が、
ぶっちゃけ、こういうのは事前に知りたくなかったです。

夜分遅くに川又が壱岐正の自宅を訪ねてからのシーンは、
彼がこれから死ぬようなフラグが立ちっぱなしでしたので
私は「うわ、死にそう。絶対に今夜死んじゃうよ、川又さん!」と
心の中で何度も唱えながら見ていました。
そして、これには、
今回の放送のサブタイトルの「俺が殺した」と、
事前CMを見た事によって得られた確証も、含んでいました。

できれば、もうちょっと、
「この人、死ぬフラグが立ってるんだけど大丈夫かなぁ」と
川又の生死について心配したかったです。
お話の展開に翻弄されたかったです。
この辺は、知識を多く入れたが故の損だなぁと思いました。
これ、何も知らないで見た方が、絶対に面白いので。

こういうふうに
内容を端的に明らかにしちゃうCMを局が流すのは
きっと、予想していた以上に視聴率が振るわない事情が大きいですよね。
見ようかどうしようかで迷っている視聴者層を
何とか引き込む為に行なっているんだと思います。
でもこれが、作品を楽しみにしている本来のファンにとっては
先に想像できてしまう事で損をさせられている気がしてなりません。
なかなか難しいのでしょうが、
できれば、内容にはあまり触れないCMにして頂きたいなと
切に願います。



さて、その川又の死について。
川又が壱岐正の自宅を訪ねて、二人で酒を酌み交わし、
かつて二人で語り合った志を再び口にして、
最後に壱岐正に向かって
「自分を理解できたのは貴様だけだ」という
親友の証みたいな言葉を発していましたね。
その際には、小出に指示をしたのは自分だと白状した壱岐正を
「お前は間違ってない」ときっぱりと言って
許してもいました。
この辺がもう、見ていて悲しかったなぁ。
自分達が志を同じくする親友である事を再確認して、
相手(壱岐正)を認めて、
彼の謝罪も受け入れて……
まさにこれが、川又が最後に行なった心の整理であり、
自分の死後もこの日本で生きていく
(自分が日本の未来を託す相手である)
壱岐正の為に行なった事だと思うと
泣けてきます。

あの日もし、川又が壱岐正を訪ねずに自殺してしまったら、
壱岐正はもう、今以上に取り乱していたと思います。
書類流出の件で壱岐正が川又に掛けた迷惑は、尋常でないので、
あの件を本人に詫びて、しかも即答で許してもらえた件は
壱岐正にとって本当に大きかったと思います。

そう、序盤で、
壱岐正が近畿商事の上司二人に向かって
書類を全て渡さないよう、必死に食い下がっていたのは、
あれの出所が川又だと判明していたからですよね。
3が彼の番号でなければ
壱岐正もあそこまでしつこくしなかったと思います。
「関わってない」と言う川又の言い分は、まず正しいでしょうから
芦田に対しては
「なんて人物から盗んでくれたんだ!」と文句しか出ませんが、
これについては、川又のガードの甘さも関係したかもしれません……。
(たとえば、書類を所持している十人の内で誰よりも
川又から盗みやすい状況があったとか)
もし、芦田が防衛庁内の反川又派の人間で
狙ってやったんだとしたら凄いですが
前回前々回での彼を見ると
川又から書類を盗んだのは、ただの偶然っぽいですよね。
となると、もう、上記のように
川又にも落ち度があったかもしれないけれど、
他人のせいでこうして死を選ぶ羽目になったのは不運だったなと
思えてなりません。



川又の遺品だったマフラーを確認する際に、
壱岐正が、都立大学駅のホームで分かれた際の状況を
少しだけ回想しました。
川又の現状が現状だけに、
自宅で酒を呑んでいた時の二人は、辛い話を多く交わしたけれど、
彼が最後に壱岐正に残したのが
「ラッキード社に決まって良かった」という前向きな言葉なのも
せつなかったです。
勿論、これは
航空機の性能ではラッキード社の方が良かったという事実が
あった上での台詞なのでしょうが、
川又には、壱岐正の努力が報われた事を喜ぶ気持ちもあったと思います。
これで戦闘機がグラント社に決まってしまったら、
それこそ目も当てられませんでした。



今回は、その川又の仇敵・貝塚官房長が大活躍していました。
嫌なヤツですが、
いち視聴者として彼を見ると、面白い悪役だと思います。
川又と貝塚が一対一で話すシーンも良かったですが、
やはり、貝塚が川又の通夜(葬式?)にやって来て
壱岐正に失礼な事を言うシーンが秀逸でした。
この期に及んで、川又の家族に恩を売ろうとし、
自分に不利な証拠(川又の遺書)が残されていたら
壱岐正に処分させようとするくだりは、
壱岐正を演じた唐沢寿明さんの表情の凄さもあって、
非常に見応えがありました。
貝塚の発言中に、壱岐正の中で怒りが徐々に込み上げてきて
途中で顔を震わせた後、突然、激昂したシーンは
本当に良かったです。
私も、あの時の貝塚の顔を引っ叩きたかったです。



それにしても
民間会社と検察庁が、政治家と官僚によって
いいように振り回されていますね。
東京商事の鮫島も嫌なヤツですが
彼も壱岐正と同様に、彼らの被害者なのかもしれません。

そうそう、戦闘機のラッキード社決定については
近畿商事の壱岐正は、言わば“負けた”立場なのに
貝塚官房長や東京商事の鮫島からは
「壱岐正が勝った(自分達が壱岐正に負けた)」となっているのが
大変面白かったです。
これで誰が得したのだろうかと考えると
上手く立ち回った一部の政治家と官僚だけですよね。
貝塚だって、東京商事側の人間と考えれば負けですが、
昇進できた上に、
目の上のたんこぶだった川又を死に追いやった事を踏まえれば
完全に勝ち組でした。



ところで、壱岐正が事情聴取を受けた際に
「ご質問ではないと思いまして」と切り返していたのには
笑ってしまいました。
上手い……上手い返事です。
さすが、過酷なシベリア抑留でも
頑として口を割らなかった人だなぁと、思いました。
私もいざという時にこの台詞を使おう。
(使う時が来るのかどうかは分かりませんがw)



さて、最後に近畿商事の社長が、壱岐正に対して
「何でも叶えてやる」と言ってましたね。
私は「じゃあ川又を生き返らせて、彼の名誉を回復させて」と
思いました……。
戦闘機決定後の社内のパーティーで、
壱岐正が儀礼的にコップを掲げただけだったのも
見てて辛かったです。

その答えとして、壱岐正は会社を辞めたい旨を伝えましたが
次週予告を見ると、それは受理されなかったようで……。
これから先、彼がもっと修羅の道を歩いていくのかと思うと
辛そうだとはいえ、
いち視聴者としては見るのが楽しみです。



こちらは、骨太な作りのドラマなので、
放送が終わると、私はどっと疲れます。
でも、心地よい疲労感だと思います。
ドラマでドキドキできる作品は、近年、本当に少ないので
こちらを本気で楽しめるのは有難い事です。





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続きの第5話「戦争と三人の女…」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-11-13

宜しければ合わせてどうぞ。


2009-11-06 09:19  nice!(1)  コメント(2) 
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dismen83

管理人さんの仰るとおりこのドラマは事前情報を入れないほうが楽しめると思います。実際、自分は次回予告くらいしか見ていなかったから川又がせいぜい左遷されるのかなと思っていたのが、まさか死ぬなんてかなり衝撃的でした。
by dismen83 (2009-11-11 00:24) 

さくら

■dismen83様
初めまして、こんにちは。
コメントをお寄せ下さり、ありがとうございます。
私もdismen83様と同様に、
前回の次回予告を見た時は
川又は遠い地方に飛ばされる程度かと思っていました。

私が見ているフジテレビでは
特に夕方のチャンネルαというドラマ再放送枠にて
何度も「不毛地帯」のCMが流れるんですよ……。
しかも、今、フジテレビでは
白い巨塔+古畑任三郎+ロングバケーションという
物凄いラインナップで再放送が行なわれてまして、
その全てを楽しみにしている私は
嫌でもCMを見てしまっていました。
見たいと思わなくても見せられるCMというのも
なかなか苦痛だなと、皮肉な事を思ってしまっています。

でも、こう思えるのも、ドラマが面白いこそですよね。
また次回も波乱万丈のようで、見るのが楽しみでなりません。
by さくら (2009-11-11 20:58) 

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