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感想@「東京マグニチュード8.0」第9話:今日、さよなら*ネタバレあり [アニメ感想]

(9/4)悠貴君の黒のリュックについて補足しました。


アニメ「東京マグニチュード8.0」の
第9話「今日、さよなら」の感想です。
ネタバレを含みます。


前回の第8話「まっしろな朝」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-08-28-2

各話の感想記事のURLは、他のアニメ作品と共に
こちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-06-27


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始めに。
前回「まっしろな朝」の放送における悠貴君の生死が
話題になっているようですね。
私は、前回の感想で書きましたように
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-08-28-2
悠貴君が亡くなったと思いましたので、
今回の放送も、それを念頭において視聴しました。
正確に言えば、悠貴君が亡くなったと思えたこと
──悠貴君に対する未来以外の登場人物の反応・言動を
確認しながら、見ました。



やっぱり、真理さんも他のキャラクターも、
悠貴君には全く反応してないですよね…… orz
前回と同様に、未来だけが悠貴君と喋れています。
未来以外のキャラクターが、
悠貴君に話し掛けたり、悠貴君の言葉に答えたりするシーンは
ただの一度もありませんでした。

この兄弟が、真理さんの娘・ひなちゃんを探すシーンでも、
最初こそ悠貴君が声をあげましたが、
その後、未来も声を何度も張り上げていたので、
彼女の声だけが他の皆に届いていたんだと思えます。
ひなちゃんが避難していた幼稚園の先生も、
未来の声だけを聞き取って応答していました。
(そのシーンでは悠貴君の声はしませんでした)

また、未来の脳裏において、
前回であった悠貴君の死を表わすシーンが
フラッシュバックのように次々と回想として出てきました。
悠貴君がストレッチャーに乗せられていたり、
真理さんが病院で貰っていた書類が出たり……という内容でした。
その直後の未来は
その記憶に対してわざと蓋をしているようでした。
これはまさに、未来は既に悠貴君の死を知っているのに、
敢えてその現実から目を逸らしている事だと思えます。
悠貴君の死を受け入れる事ができない未来が
未だに幻想に縋っている証だと思います。

前回の感想記事で頂いたコメントへのお返事でも触れましたように、
私は、最終回で自宅に辿り着いた未来が
両親と会うと同時にこの現実を受け入れる
(=悠貴君の姿が見えなくなる/悠貴君が消える)と予想しています。
人の死というのは、こうした物語の中でも本当に辛い事で、
できれば見聞きしたくないのですが、
今回の放送を見た事で、私は悠貴君が亡くなっているとの確信を
更に強めてしまいました。
勿論、前回から再三言ってますように、
悠貴君が生きているに越した事はないので、
彼が生きているなら、是非そうなってほしいです。
でも、もし本当に本当に亡くなっている場合は、
現実と向き合わなければならない未来を
私も目を逸らさずにちゃんと見届けるつもりでいます。



思わせぶりなシーンはあったものの、
真理さんのお母さんとひなちゃんが生きていて
本当に良かったです。

そして、私にとっても盲点だったのですが、
搬送されている怪我人の身内が元気だった場合、
そりゃ、看護の手伝いを病院側から強く要請されますよね。
専門的な治療や介護は、
ちゃんとした資格を経験を持つ
お医者さんや看護士さんにしかできませんが、
素人にもできる雑用は、数え切れないほどあるわけで。
こういう時に、人手はいくらあっても足りないですよね。
まして、真理さんが元気なら、余計にそう望まれるのは当然です。
私は、ここまでの真理さんたち三人を見ていますので、
やはり彼女を未来と共に行かせたいと思ってしまいましたが、
もし彼女がそうしたとすると、
病院のスタッフからの顰蹙を買った可能性もあると思います。
未来たち──もし悠貴君が本当に亡くなっていれば、
それこそ未来はたった一人なので、余計に、
大人抜きで未来を成城に行かせるわけにはいかないけれど、
今回のように誰の心にも余裕がない時は
他人の行動に対する人の評価がかなり厳しくなるので
残された真理さんのお母さんが
看護士さん達につまらない事をぐちぐちと言われたかもしれないなと
想像しました。

なので、大人と一緒に成城に移動できた今回の顛末は、
未来にとって都合が良過ぎるきらいはあったものの、
私にも「良かった」と素直に思えました。
できれば、こうした作品はそうそう無いので、
未来にはちゃんと歩いて家に辿り着いてほしかったですが
残りの話数も少ないですし
こうなるのも仕方がないです。



真理さんのご家族が無事だったとはいえ、
被災による被害が、これまで以上に色濃く描かれていました。

今回の放送を視聴していて思ったのですが、
建物などがどれほど酷く崩れた絵を見せられても、
人が亡くなっている絵ほど
強いショックを受けるものはないですね。
滝川クリステルさんのニュース番組で挙げられていたように、
三軒茶屋の火災は相当酷かったようですが、
そこから伺える惨状よりも、現実はもっと酷いものでした。
遺体が、布を被せられただけで
道沿いの両端にずらずらと放置されているシーンは
まるで戦時中の日本のようだと思いました……。
火災がまだおさまってなかったり
崩れた建物の中に人が呆然と座っていたり、
カラスが集ろうとしていたり……と、
空襲直後の絵と言ってもおかしくないほど
酷い有様でした。

真理さんが一度だけ「うっ」と言って
顔に手を遣ってましたが
主に遺体から発せられているらしい異臭も
相当すごいようですね。
日中で、気温も高くなってますから
時間の経過と共に遺体が腐敗する速度も
相当なものでしょうし……。
しかも、この作品の舞台は夏ですしね。



ただ、遺体安置所がある上馬小学校に運ばれた遺体と
そうでない遺体の差が分かりませんでした。
単なる先着順だったのでしょうか。

遺体安置所で身元が分かった遺体は、
おそらく順々に荼毘にふすのでしょうが、
そうでない遺体は
とりあえずあのままあそこに置かれるんですよね。
遺体安置所に運べないほど数が多いので、
残りの遺体は仕方なく
ああして道ばたに置かれてしまっていると思うのですが
遺体の回収(遺体安置所への搬送)は、
どういう順序で行なわれるのでしょうか。
あの状態だと、遺体安置所に運ぶ前に
遺体が相当痛んでしまう場合も多いはずです。
遺体をどこかに運ぼうとしていた家族がいましたが、
ならば身元が分かっている遺体だけでも
どこか別の場所に運べたら……と
思わずにはいられませんでした。

おそらく、死者の数がとんでもなく多いので、
葬儀場もまともに機能できていないんですよね。
(下手をしたら、遺体を焼く建物でさえ壊れているかも)
生きている者の生活が第一でなければならないのは当然ですが、
死者に対しても何とかしてほしいと
切望してしまいました。



現実を知るのが怖くて怖くて、
身元不明の遺体を確認できなかった真理さんの気持ちは
私にもよく分かりました。
だからこそ、真理さんは未来が心配でならないと思います。
もしかしたら悠貴君が亡くなっているかもしれない以上、
帰宅後の未来が、いつか真理さんと再会できたとしても、
泣くだけで笑えないかもしれませんが
それはもう、仕方が無い事だと思います。

それよりも、動けなくなっていた真理さんの代わりに
あちこちに声をかけて積極的に行動したり、
自衛隊?の車に乗り込めるきっかけを自ら作ったりと、
未来がすっかり頼もしくなっていて、嬉しいです。
ちょっと前の未来だったら、
他人に声を掛ける事すら満足にできませんでしたものね。
それでも、悠貴君の事があるので、
手放しで喜ぶ事はできませんでした。



(9/4追記)
悠貴君が背負っていた黒リュックについて確認してみました。
やはり、未来に見えている悠貴君は
トラックの中でも背負ってましたね。
でも、現実では、放送の最後で真理さんが持っている
──真理さんが別の人の荷物を間違えて持っている可能性も
無くはないでしょうが、
まぁ普通に考えると、あれは間違いなく悠貴君のバッグなので、
この点からも、彼の死が伺えると思います。

ちなみに前回の放送では、
未来が代わりに持ってあげていたはずです。





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続きの第10話「おねえちゃん、あのね」の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-09-11

宜しければ、合わせてどうぞ。


2009-09-04 23:41  nice!(2)  コメント(8) 
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コメント 8

dino

初めまして検索から来ました。
やっぱりそうですよね、オレもユウキはダメだと・・・・・
最後まりさんがユウキのザックを持って走って来るシーンがそうだと決定ずけました。(ユウキはザックを背負ってました)
で、来週のクラッシュ症候群につながるのではないかと・・・・・
by dino (2009-09-04 17:04) 

さくら

■dino様
初めまして、こんにちは。
コメントをお寄せ頂き、ありがとうございます。

後から追いかけた真理さんが悠貴君のリュックを持っていた件は
私も気付いていたのですが、
当の悠貴君がリュックを背負っていたか否かについては
「背負っていた……はず」と、ちょっと曖昧でしたので、
私も放送を見直してみました。
やはりdino様が仰る通り、彼も背負ってましたね。
(この件を、追加として記事に挙げさせて頂きました)

もしここで悠貴君が黒のリュックを背負ってなかったら
まだ彼が生きている可能性もあったでしょうが、
私もここが、制作側が出した決定打の一つだと思います。
前回の放送では、未来に上手いこと持たせていましたが
(未来に気を遣わせて「私が持ってあげる」と言わせていた)
今回は、未来が見ている映像と現実の差が
はっきりと出ていたと思います……。

未来については、次回が正念場ですね。
でも、今回、真理さんが悠貴君のリュックを持ったまま
彼女と別れた事で、
二人の再会フラグはちゃんと立ったかなと思いました。
by さくら (2009-09-05 00:19) 

さくさく

始めまして・・・
たまたま夜中に帰った時に見たのがきっかけで
我が家の子供達(小3のユウ君と小5のハルカ)とかぶる
設定に吊りこまれてしまい撮り貯めしていたDVDをまとめ見しました。

ついついネタバレ有りにつられて見てしまいましたが・・・
ユウキ君のこと、読んでいるだけで目頭が熱くなってしまいます

具合の悪いのを隠す所、お姉ちゃんを呼ぶ姿・・・
家のユウ君と比べて観ていたからでしょうか。

状況証拠がユウキの事を裏付けてしまうんですね
(元気で居てくれていることを願いますが・・・)

その上、上馬、三茶、・・・
自分が育った街が・・・(世田谷区民だったもので・・・)
友達の住む街が・・・
アニメの世界とは言え感情移入しやすいのも辛い理由でしょうか

悠くん・・・生きててください・・・

支離滅裂で・・・ブログを汚して申し訳有りません・・・
今から遡って読ませていただきます
駄文失礼!
by さくさく (2009-09-05 14:51) 

dino

昨日9話を見直していて気づいたんですが、最後の方でミライとユウキがヒナちゃんを探すシーンでミライの声は周りに響いてる(反響)んですが、ユウキの声はまったく響いていませんでした。
この辺りも布石かなと・・・・・
by dino (2009-09-05 20:53) 

aaa

悠貴が他人のリュックを間違って背負っている可能性も…
by aaa (2009-09-07 07:46) 

さくら

■さくさく様
初めまして、こんにちは。
コメントをお寄せ下さりありがとうございます。

私も、お台場はよく知っている場所だったので
あそこで未来たちが被災したシーンを見た時は
リアルな想像をしてしまいました。
自分に関係のある土地が出てきてしまうと
どうしても強く感情移入をしてしまいますよね。

同じような年頃のお子さんを持たれる親御さんなら
尚更だと思います。
こちらは、ご家族で見られる作品だと思いますので、
お子さんと一緒にご覧になるのも良いかもしれません。
by さくら (2009-09-10 18:05) 

さくら

■dino様
こんにちは。再びコメントをお寄せ下さり、ありがとうございます。

悠貴君が亡くなってからのシーンは
あれこれ細かい部分で凝った演出が見られますよね。
普通のアニメでしたら、凄いなぁと感心してしまうのですが、
こちらの作品の場合は、それが彼の死に繋がるものばかりなので
見ていて辛いです。
by さくら (2009-09-10 18:08) 

さくら

■aaa様
初めまして、こんにちは。コメントありがとうございます。

ああいう状況下ですので、
悠貴君か真理さんが他人のバッグを間違えて持っていった可能性も
ないわけではないでしょうが、
真理さん(や未来)ならともかく、
悠貴君にとっては、あれは自分のバッグなので、
もし違っていたとしたら
背負った途端に「僕のじゃない」と分かるのではないでしょうか。

by さくら (2009-09-10 18:13) 

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