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感想@アニメ「青い花」第10話:幸福の王子*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「青い花」の第10話「幸福の王子」の感想です。
ネタバレを含みます。
私は、原作の漫画は未読です。


前回の第9話「夏の夜の夢」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-08-27

各話の感想記事のURLは、他のアニメ作品と共に
こちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-06-27


────

杉本先輩のお姉さん・和佐さんと、各務さんの
結婚式当日のお話でした。
う……欝展開だなぁ。



のっけから私事で恐縮ですが、
今、私は風邪を引いていて、
今日も放送直前まで眠ってたんですよ。
で、ぼーっとしながら
今回の放送をリアルタイムで視聴したのですが、
(放送は録画しているので、
感想を書くのに必要になれば、あとで見返せば良いと思って)
そういう状態だったからか、
アバンで杉本先輩が身支度をしているのが分かっても
彼女が白ネクタイを結んでいたり、
お母さんが白い花を胸に差したりしていたのに気付かなくて、
なんだか家族全員でかしこまった服を着ている+
あまり行きたくなさそうな感じ+
お父さんが落ち込んでいる事から、
誰か親しい方が亡くなったのか、法事があったのかと思いました。

そうしたら、Aパートで結婚式だと分かったので
びっくりしました。
「あ、そっちか!」と、脱力しそうになりました。


私は何度か、
未練を残している元恋人の結婚式や披露宴に招待されて、
行くか行くまいか……と他人が悩むのを
テレビや雑誌、ラジオなどの相談コーナーで
見聞きした事があります。
その度に私は
「わざわざ行って、進んで傷付く必要はないんじゃない?」と
思いました。
自分が悲劇のヒロインになる展開に酔いたいなら、話は別ですが、
辛く苦しい事を進んで行なう必要は無いと思うからです。
ちゃんと、大人らしい理由を別に挙げて欠席すれば
表面的には波風も立たないですし、
他の人の損得にも関わらないでしょうから。

でも、親族の結婚式ともなると、そうもいきませんよね。
本気で行きたくなかったら、
いっそのこと、当日になって仮病でパスする手もあるかもしれませんが
身内の場合は遠慮がないので、
そうすれば、一生、顔を突き合わせる度に
この件についてネチネチと言われそうです。
いっそ、「一時の我慢」と割り切って参加した方が
楽そうな気がします。

で、杉本先輩は、教会での結婚式に普通に出席してましたが
──結局、放送で描かれた分では
和佐さんに「おめでとう」とは言えませんでしたね。
今回、杉本先輩が各務先生と初めて会った際の回想があり、
その時から既に和佐さんと彼が恋人同士だったので、
杉本先輩にとっては、
最初から「諦めざるを得ない恋」だったのかもしれませんが、
やはり、祝いの言葉を口にできる心境ではなかったようです。

尤も、杉本先輩の性格を思うと、
もしこれが、身内でない他人の結婚
(和佐さんがお姉さんでない/各務先生が別の女性と結婚した)だったなら、
杉本先輩は得意の演技力をフルに発揮して
その人に望まれる笑顔を作って
「おめでとう」との嘘の言葉を発したかなと、思っています。



あーちゃんのお兄さんに向けた、杉本先輩の自己説明や、
和佐さんからの他愛ない言葉によって、
今回は“杉本先輩”という個が視聴者に披露されました。

杉本先輩が、本来は女の子らしい子供だったのに、
サバサバした性格だというお姉さんを真似て
外見からボーイッシュにしてみて、
中身もそう見られるように普段から演じてきたという説明には、
私も「なるほどなぁ」と納得できました。
これは、Aパートの冒頭であったお姉さんの言葉から
はっきりと分かりましたので、
Bパートで過去回想も付け加えた上で
杉本先輩の口に語らせる必要は別に無いんじゃないかとも思いましたが、
京子ちゃんに対する本音も彼女がズバッと言う展開に繋がっていたので、
あって良かったと思い直しました。
放送の残りが、今回を含めて二回しかないのを思うと、
京子ちゃんに対する杉本先輩の本音が
話に組み込まれる機会はそうないので
ここでズバッと「京子が面倒臭い」と言わせちゃったのは上手いし、
こういうシーンがあって良かったと思いました。

杉本先輩がどんなに男っぽく振る舞ったところで、
彼女が和佐さんになれない以上、
各務先生の興味は引けないのは当然なのですが、
当時はそれが分かってなくて形から入っちゃうのが
まさに幼い子供のする事で、かわいいなぁと思いました。
杉本先輩が高校で転校したのも、
各務先生に振られた傷心をアピールさせる為だったそうで。
まさにこれって、他人への当てつけで、子供のする事ですよね。
つまり、杉本先輩の本質は、“女”で“子供”だったわけです。
そして杉本先輩は、日常生活での演技を続けていくうちに
それが当たり前の事だと周囲に認められるようになり、
家族以外でそれを指摘する者もいなくなった
──杉本先輩にとって、彼女自身が男っぽい事はあくまで嘘ですから、
そこだけに惹かれて傍に寄ってくる女子生徒に対しては、
「かわいいな」と思うと同時に
ちょっと複雑な気持ちを持ったかもしれません。
京子ちゃんに対しても、自分を真似てくる彼女を見る度に、
嘘を吐いている自分自身の姿を強く認識させられるので
「面倒臭い」と思った他に、
「京子を見ると辛い」と思った時もあったのではないでしょうか。
(京子ちゃんも、本来の彼女自身を曲げて、
杉本先輩に似せるという嘘を吐いている)

嘘の自分を突き通す事は
本当の姿・本音を他人に見せる事がなくなるので、
本来の自分に自信がなかったり、
自分を好きでなかったりする人には都合が良い事なのかもしれません。
また、他人を上手く騙せている高揚感や
そういう自分に酔う事も、無意識の内であったかもしれません。

でも杉本先輩の場合、彼女は明言しませんでしたが、
お姉さんと各務先生が本当に結婚してしまった事で
彼女の気持ちの中で、一つの大きな区切りができたのではないでしょうか。
おそらく、杉本先輩が本当の自分について他人に語ったのは
今回が初めてだったと思います。
自嘲しながら発言していたのは
杉本先輩が自分を外から見る事ができている証なので
良い事ですよね。
でも、そういう自分を「馬鹿だなぁ」と思えるようになっても
なかなかそこから脱却できないのが人間らしいです。
リアリティがあるなと思いました。

そして、江ノ島に行った面子の中で、
一番親しくない間柄で、
しかも最年長者であるあーちゃんのお兄さんだけに、
杉本先輩がこれを言えたのも、彼女らしいなと思いました。
本当は、杉本先輩がこれを文ちゃんに言えたら
一番良かったはずなんですが。
でも、“別れた”という現状を思えば、
杉本先輩がこれを文ちゃんに明かせない辺り、
彼女はまだ文ちゃんに気持ちが残っているんだなと
実感できました。
いつか、「文に聞かせたい事があるんだ」と言って
杉本先輩が積極的に明かせるようになったら
良いのですが……。



杉本先輩も、京子ちゃんも、
自分を偽る事を止めたら、髪型が変わるかもしれません。
特に杉本先輩については、今後もし、
文ちゃんへの気持ちが各務先生へのそれを上回るようになるなら、
素の彼女に戻った状態で再び文ちゃんに交際を申し込む展開もありかなと
思っています。



それにしても、ずっと泣かなかった杉本先輩が
最後の文ちゃんの言葉で涙ぐむシーンは、
お約束な展開かもしれませんが、本当に良かったです。
あれは、杉本先輩が素の自分を文ちゃんに見せたシーンだったと
(=本当の意味で、杉本先輩が文ちゃんに心を開いている)
思えました。

とても好きな作品なので、
次週が最終回なんて淋しいです。



────

感想は以上です。


続きの第11話(最終回)「冬の花火」の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-09-10-1


2009-09-03 03:59  nice!(1)  コメント(0) 
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