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アフタおお振り感想2007年12月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の「おおきく振りかぶって」の感想です。
今月号(2007年12月号)は勿論のこと、
単行本未収録分のネタバレがあります。
3.jpg
*画像は敢えて劣化させています


本誌感想はカテゴリでまとめてあります。
他の号の感想をご覧になる場合はこちらをどうぞ。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/archive/c338259-1


────

最初におことわりです。
感想を書くのをずっとサボっていた為、
現在の最新号2008年7月号まで、これを書く前に読んでいます。
(美丞大狭山戦の決着後です)
本誌は毎月必ず発売日に購入し、
サイトの日記では一言の感想を書いていますが、
http://himemaro.hp.infoseek.co.jp/
こちらで挙げていく感想は
書くに当たって再び読み返したものに対してですので
リアルタイムのものではないことをご了承下さい。



まずは、上記でも挙げました
サイトの日記での感想を転載します。
2007年10月25日(木)です。
関東での発売日当日です。
難しいことを何も考えてない純粋な感情だと思います。


>さて、アフタ12月号。
>今、お昼ご飯を食べながら読んで(しかもまだ読み終ってない)ましたが、
>何なんだ今月号は……。
>P145〜からP147の三橋のモノローグ
>いえ、もっと言えば、その直前の阿部のモノローグを含めて、
>不意打ちで泣かされました。
>ボロッと涙が出て、自分でもびっくりしました。

>あの約束の後からここまでは、
>このシーンを描くための壮大な前振りだったのかと……。
>ここまでおお振りを読めて良かった。本当に良かった。
>二人の心がそれぞれ成長しているのが
>こんなにも嬉しいだなんて。

>田島も頑張れ。花井も頑張れ。

>あと、やはり和さんがキーマンなんですね。




では、本格的な感想に参ります。

この号も、西浦・美丞・スタンド(呂佳さんと和さん)という
三つの描写を主にして、話が展開されています。
この頃の号は、西浦の敗色が濃厚になっていて、
しかも宜しくない雰囲気になっているので
(桐青戦の時のように接戦だったり、
サインや怪我の件が無かったら、また違ったのでしょうが)
正直なところ、毎月、新しい号を読むのが怖かったです。
桐青戦の時も怖かったですが
これは純粋に勝敗が気になった故での事ですので……。
怖さの種類が違うんです。



まずは、
どうも岳志と呂佳さんがサインのやり取りをやっているらしいと
気付いた和さんから。

どのように呂佳さんに指摘するのかなと思っていたので
(彼には必ず指摘するだろうなとも思っていました)
割と直球に聞いたのが面白かったです。
最初に揺さぶりを掛けた後、
利央からのメールを理由にしたのも
描写を見る限り本当なんでしょうが
呂佳さんには嫌味っぽく聞こえたはずなので、
私は、ちょっとすかっとしました。
だって呂佳さんってば酷いじゃないですか。
おお振りのキャラは好きです。呂佳さんも例外ではないです。
良い人ばかりのおお振りの世界の中で
彼の存在はとても異質なものなので面白いのですが
やはり苦手です。
色々とこの人なりの理由はあるんでしょうが、
だからといって、
ルールで成り立ってる野球をしているのにルール外の事を持ち込むのは
ちょっと……と思っています。

ベンチにいる岳志と監督の会話の描写にあるように
監督が呂佳さんの暴走に気付いてないらしいのが余計に辛いです。
呂佳さんは強い信念を持ってああいうことをさせているようなので
そう簡単に考えを変えないとは思うのですが、
にしうらーぜの成長を見守るのと同時に
ひぐち先生なら描いて下さるであろう彼の心境の変化も
期待しながら待ちたいです。



次は、いっぱいいっぱいになっている田島と三橋。
しかも田島は、四番打者として打席が回ってくるので
もう見ていられません。
窮地に立たされて、うだうだと弱い事を言ってられない現状に
あの三橋が頑張ってるのも素敵です。
こうして人は変わっていくんだなぁと思いました。
無我夢中になる時というか、
ひどく追い込まれた状況になると、違うようになりますよね。

田島は、勉強は不得意ですが
野球に関する事は脅威の記憶力を発揮するとの描写が
過去にありました。
そして、今、阿部が立てた配球を田島が必死に覚えているのですが
あんなふうに“さすが天才!”というエピソードを持つ田島でも
もう限界ギリギリになっているのは
読んでて面白かったです。
また、本当に追い込まれている・ピンチなんだという説得力があります。
「あの田島でも苦労するんだ……」という感じで
裏付けが取れるというか、納得できるんですよね。
結局、ここで頭を使い過ぎて、
打席が回っていた時は、バッティングに集中してなくて
不本意な成績しか残せなくなりますが、
ここのモノローグや言動、相手ピッチャーのモノローグといった全てが、
その田島の混乱をよく表わしていて、
田島がいかに“ぐるぐる”しているかが分かりました。
ここ、テンポがいいので、
目を通していくとすいすい読めちゃうので、余計に、
田島が「あわわわわ」ってなっているのを
強く感じることができます。



その前に、策士・栄口くんの出塁もありました。
この回に限らず、西浦の皆が
あれこれと考えて打席に入っているのは同じですが、
今回は特に三人(緊急事態の田島を含めれば四人)の
目の付け所や、物の考え方、柔軟性、解析力、対策を実行する力……が
それぞれ違うので、
ここは読んでいて「へぇ」と思いました。
面白かったです。
中でも、結果的に一番上手くいった栄口くんの描写は
彼が愛嬌のある顔をしたコマがあったことも含めて、
読んでて嬉しくなりました。
この号は、全般的に西浦のピンチが多く描かれていて
読んでて疲れてしまう部分があるので、
私にとっては良い息抜きになりました。
また、ちゃんとバッティングに集中している三人(泉・栄口・巣山)と、
打席に入りながらも配球のことばかり考えている田島の対比も
面白かったです。
回は違っちゃいますが
キャプテンとしてやる気満々の顔をしていた花井(最後)も
カッコ良かったです。
彼はステキだ〜。



対比と言えば、この号の一番の見せ場は阿部と三橋だと思います。
二人それぞれが、モノローグで心情を語っています。

単行本の第二巻で、いきおいとして言ってしまった約束
──それを守ろうとし、頼ってきた二人が、
その約束が破られざるを得なくなった現状で、
お互いが自分の至らない点を猛省しています。
駄目な自分を強く自覚して、でもそこで腐らなくて、
前に進もうとしています。
高校球児としてもそうですが
彼らが人として成長するシーンだと思いました。

阿部は、三橋よりも普通の人として描かれている上に、
怪我を負ったことで約束を破ってしまったという負い目があるので
彼がここで反省するのは自然な流れだと思います。
無力な自分を痛感し
それでも矢面に立ってひとり頑張らなければならない三橋を見て、
彼を下に見ていた自分に、なさけなさと羞恥心を覚えるのは
人ととしてそうであって当然だと思います。
(但し、そうであるのは難しいことだとも思っています。
だから、それができた阿部は凄いですよね)

でも、ここで、気弱で卑屈なことばかり考えていた三橋が、
必死にならざるを得ない状況と
同様に必死になっている田島を目の当たりにしていることと、
阿部の無念さを考えたことで
猛省するだけでなく頑張って前に進もうとしていて、
そういう彼の姿を見られたことは、
いちおお振りファンとして、とてもとても嬉しかったです。
ここまで長かったですが、
彼がやっと一つめのハードルを超えたのを見たような感じです!
小鳥が飛ぶのを親鳥として見たという心境……とでも言うのでしょうか。
「あの三橋が、こう言えるようになったんだ!」と
感慨深くなりました。
阿部が怪我するまでは、
あの約束を本気で信じて、阿部を頼り切っていたのに、
再びマウンドに立った時に
「あのムリヤリな約束を」と思えるようになったのは、凄いです。
ちゃんと冷静に見られるようになったんですね。
自分自身と、阿部との関係を。
このモノローグを締める最後のコマ(P147)の三橋も
そういう意思を表わすような力強い顔をしています。



でも、ここから先──
モモカンのサインが美丞側に破られるのは、
西浦贔屓の私としては、読んでいて辛かったです。
今でも読むと苦しくなるので、飛ばし気味にパパパと読んでしまいます。
キャッチャーが田島に変わって、
サインが急に増えたのがまずかったですよね。
でも、これが西浦の欠点だったので仕方ないです。
次以降の試合で
これを克服するエピソードを読みたいなと思いました。



そして、岳志。
P167の最後のコマ
「かけぬければいいのか すべり込めばいいのか〜」は
読んでて胸が痛かったです。
呂佳さんみたいに、これも必要悪だと割り切る人には
絶対に味わえない感情というか、迷いですよね。
また、こういう時に、本能的な戸惑いをはさむことで、
岳志が根っからの悪人でないこと、本人も嫌悪感を味わっていることが
裏打ちされるので
良いエピソードだと思いました。
とにかく、ひぐち先生は
岳志は悪いけれど、その理由を呂佳さんに集中させることで
岳志に批判・非難が集中しないように気を付けてらっしゃるんだなと
思いました。
これには大賛成なので、ちょっとホッとします。
現実には、性根の腐ったような子供はわんさかいると思いますが、
このおお振りは漫画なので、たとえ偽善であっても
汚い部分が描かれるのは、大人だけでいいです。



それと、おまけですが、
桐青の面々の様子が和さんを通して知れるのは嬉しかったです。
試合が終わっちゃうと、他校ってなかなか出てきませんから。
桐青は、西浦ほどではないですが、他よりも気になる学校なので
今回の利央のメールを読めて嬉しかったです。

それと、必死になってる沖くんも見られて良かった!!
花井が挙げていた「打ってない」という理由もそうですが
阿部の怪我に対する責任感がやる気に繋がっている顔は
カッコ良かったです。



では、今月のベスト3。
第三位:P125 1コマ目の田島
先に進もうとしている阿部を手で制している姿です。
いつも楽しんで野球をやっている田島が
こんなにも必死になっているのを見せるのは
珍しいと思います。
切羽詰まってるっていう表現がぴったりだと思いました。

第二位:P143 2コマ目の三橋
目を見開いた強い表情ですが、
台詞の「……うん!」も相まって、
なかなかイミシンな顔だと思います。
その後のモノローグの始まりとしても、最適だとも思います。
阿部の言葉に頷きながらも、彼の意見があれこれあるのが分かります。

第一位:P147 2コマ目の三橋
モノローグの締めとなる大コマです。
気迫溢れる三橋、気力漲る三橋……かっこいいです。
男だなぁと思います。





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感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2008年1月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2008-06-18

宜しければ、合わせてどうぞ。


2008-06-17 16:43  nice!(0)  コメント(0) 
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