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感想@映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を
DVDで観ましたので、感想を記します。

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [Blu-ray]

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: Blu-ray

主なキャストはこちら*敬称略
山本五十六(聯合艦隊司令長官):役所広司
米内光政(海軍大臣):柄本明
井上成美(海軍省軍務局長):柳葉敏郎
三宅義勇(聯合艦隊作戦参謀):吉田栄作
山口多聞(第二航空戦隊司令官):阿部寛
宇垣纏(聯合艦隊参謀長):中村育二
黒島亀人(聯合艦隊先任参謀):椎名桔平
南雲忠一(第一航空艦隊司令長官 兼 第一航空戦隊司令官):中原丈雄
永野修身(軍令部総長):伊武雅刀
及川古志郎(海軍大臣:)佐々木勝彦
牧野幸一(零戦パイロット):五十嵐隼士
秋山裕作(「東京日報」記者):袴田吉彦
真藤利一(「東京日報」記者):玉木宏
草野嗣郎(「東京日報」編集長):益岡徹
宗像景清(「東京日報」主幹):香川照之
谷口志津(小料理屋の女将):瀬戸朝香
神埼芳江(常連客のダンサー):田中麗奈

以下の記述にはネタバレを含みます。



ゲーム「艦隊これくしょん」を遊び始めたのをきっかけに、
先日は横須賀観光を果たし、
今回はとうとう戦争映画鑑賞にまで至りました。
それまで戦争映画をろくに観てこなかった……というか、
敢えて避けてきた私にとって、これらは非常に画期的なことです。

受験の時も日本史を選択しましたし、
幼い頃から本を通してたくさんの時代の人々のことを学びましたが
明治以降の近代史についてはからっきし無知です。
でも、萌えは本当に凄いですね……。
かつては興味すら全く持っていなかった大東亜戦争
(第二次世界大戦)についての知識を、
海軍に限ってのことですが、今は欲しくて欲しくてたまりません。
知らなかった事実に触れる度に驚き、興奮し、複雑な思いに駆られています。

この作品の主人公・山本五十六氏についても、
名前しか知らないといっても過言でなかったです。
とにかく凄い人だったという点と、
何かの作戦を無理に押し通したらしい点、
飛行機で現地に視察をしに行こうとする途中で、
日本軍の暗号を解読した敵によって撃墜され、亡くなったという点のみが、
私が持っていた彼に対する数少ない知識でした。

ですので、まず、山本五十六氏が戦争に対して否定的で、
アメリカとの講和を常に念頭に置いていたという描かれ方に驚きました。
ネットで軽く検索してみても、彼のこの思いは常に出てきますので、
これはこの作品に限った事でなく、
彼の実際の言動から伝わっていた事実だったんですね。
また、冒頭で出てくる日独伊の三国同盟については、
日本史の授業で「1940年に同盟を結んだ」という点を暗記するのみでしたので、
国内ではそれに反対する動きがちゃんとあり、
山本五十六氏がその筆頭だったという点にもびっくりしました。
本当に、教科書にさらっと書かれていることにも、
裏では多くの人々の様々な考えや行動があるんだなと
当たり前のことを今さら思い直しました。



山本五十六氏については、
“作品の主人公であるので好意的に描かれている”のを差っ引いても、
大変魅力的だと思えました。
甘味がとても好きらしい点は可愛かったですし、
ミッドウェー海戦後に南雲忠一氏と水饅頭を無言で食べるシーンは、
仲があまり宜しくなかったとされる二人の心が
とても接近しているのがよく伝わってきて、
名場面だと思えました。
当時の裕福な家庭の様子を伺える山本家の夕食のシーンも、
勉強になりましたので、良かったと思います。
私の場合、父母が戦後の生まれなのですが、
祖父母がまさにこの時代に生きた人なので、
昔は本当に、父親が一家の大黒柱として強く存在していて、
絶対的な権威があったんだなと実感しました。
特に、山本五十六氏が魚の身を家族に分けていく順番が、
非常に印象的でした。
やっぱり長男が最初なんですね。
それと、山本家の食卓のシーンでは、
現代のドラマや映画にありがちな
“視聴者に背を見せない不自然な配置”が一切無かったのも、
非常に良かったです。

ミッドウェー開戦時に彼が将棋を差しているシーンや、
その後に唄うシーンも良かったです。
前者については、
将棋でも差していないとやってられないというのが伺えましたし、
戦局が変わっても彼は淡々と将棋を差しているのに、
周囲に人がいなくなったり戻ったりという描き方も面白かったです。
飛龍沈没の報を聞かされた時の彼は、さすがに辛そうでしたね……。



私は今、艦船に多大な興味を持っていますので、
長門(戦艦)や赤城、飛龍(共に空母)などが出てくる度に、
思わず声を出してしまうほど興奮しました。
どれも格好良かったです……!
凄い迫力でした!!
まだ記事にしていないのですが、私はつい半月ほど前に
横須賀で軍港めぐりのツアーに参加し、
自衛隊のイージス艦やアメリカ軍の空母を観てきたばかりですので、
その興奮と感動がすぐに蘇りました。

阿部寛さん演じる多聞丸もとい山口多聞氏が、
凄く格好良くて、素敵で、惚れました……!
作中で一番好きな人物です。
飛龍の反撃のシーンも、悲しかったけれど、
彼らの決死の覚悟がひしひしと伝わってきて、良かったです。

艦船や艦載機が登場するシーンはとにかく迫力がありますし、
CGだと分かっていても圧倒されますので、高い評価を下せると思います。
特に、ミッドウェー海戦において空母赤城が直上からの爆撃を受けるシーンは、
それまでの平穏さが瞬時に失われる残酷さがよく描かれていたと思います。
そして、慢心ダメ絶対……と思いました。
艦これを遊び始めてから、
戦争における制空権の大事さを日々痛感していますので、
真珠湾攻撃時にあった「空母がいない」との報告には震えました。



物語は、主人公の山本五十六氏を中心に進んでいく一方で、
民衆の立場で時代を見届ける人として、
玉木宏さん演じる真藤利一記者(オリジナルキャラクター)が登場します。
彼を通して、開戦をやたらと煽る新聞社や、
好景気を見込んで開戦を望む無知な一般市民の様子が描かれました。
作中、この真藤利一記者が山本五十六氏と話した時にあった会話が
とても重かったです。
(ドイツがソ連との不可侵条約を破ったのを受けて)
「バスはあらぬ方向に走り出したようだね」
「もう、このバスは走り続けるしかないと思います」
「どこまで走るんだい」
「え?」
「目的地はどこかと聞いてるんだ」
この後、バスが速度をどんどん増していくのは周知の通りです。
作中の山本五十六氏は、言わば、ブレーキの役目を務められる人でした。



と、まぁ、戦闘シーンは一見の価値があるほど素晴らしい出来ですし、
登場人物も、彼らを演じる役者さんを含めて大変魅力的なのですが、
冷静に振り返ってみますと、
ここ!というような盛り上がりに欠けていました。
感動的なシーンはそれなりにありますが、
観客が置いてきぼりになっていたと思います。
とはいえ、一人の人物に焦点を当てて淡々と描いていくことは、
今の映画ではとてもできない気がしますので、
(これが戦争映画だから、そして英雄・山本五十六が主人公だからできた)
これが良くも悪くも特徴となっているのかもしれません。

繰り返しになりますが、
阿部寛さんの山口多聞氏が本当に格好良いので、超おすすめです。
これだけでも観て良かったと思いました。


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2015-10-27 14:11  nice!(0) 
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