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感想@映画「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」*ネタバレあり [名探偵コナン]

ゴールデンウィークのアニメ定番作品と言えば、これ!
……ということで、
劇場版のコナンを公開二日目に観てきました。
タイトルは「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」です。


以下、感想を記します。
まず最初にネタバレ無しの全体的な感想を載せた後、
ネタバレありの細かな感想に移りますので、
これから映画を観ようとしている方は閲覧にご注意下さい。


————

「コナンの映画は様式美なんだな」というのが
最初に抱いた感想でした。

実を言いますと、私、映画のコナンを劇場で観たのは、
今回が初めてだったんです。
しかも、五作目ぐらいまでは
公開終了後に発売されたDVDで視聴していたのですが、
ここ十作ぐらいは完全に離れており、
去年、前作の「11人目のストライカー」を
DVDで久し振りに見たという状況でした。
そして、前作も今作も、私が観た初期の映画も、
基本的な流れが同じであることが
嬉しくもあり、驚きでもありました。
・序盤で阿笠博士のくだらないクイズがある(子供向け)
・OP映像として、テーマソングと共に最低限の状況説明がある(江戸川コナン誕生秘話)
・コナンが持つ探偵グッズが乱用される(新作グッズがメイン)
・毛利蘭のアクションシーンがある
・蘭が危機一髪!の状況後、ほのかなラブ展開へ移動

毎回毎回、これらの定番要素を必ず入れた状態で
お話が作られているので、
まさに様式美だなと思えてなりませんでした。



さて、上記の通り、コナンにはさほど興味が無い私が
どうして今回に限って劇場に足を運んだかというと、
脚本を担当されたのが櫻井武晴さんだからです。
ドラマ「相棒」シリーズのファンとしては
こりゃ行っておかないと!!と思い、
鼻息を荒くして劇場に向かったわけです。
そうして観てみた感想は……行って良かったです。
とても面白かった!!!
でも、完全に大人向けの内容だった他、
大人でもネットに慣れ親しんでいない人には
ちょっと難しいかもしれません。
子供は、途中でお話についていけなくなる可能性が大きいですww

帰宅した後、この映画のウィキペディアを見てみたら、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E6%8E%A2%E5%81%B5%E3%82%B3%E3%83%8A%E3%83%B3_%E7%B5%B6%E6%B5%B7%E3%81%AE%E6%8E%A2%E5%81%B5
「原作者・青山剛昌の依頼で、大人向けの複雑なストーリーになっている。」
とありまして、納得しました
最初から大人向けに作られた作品なら、
こうであって当然です。

私は前知識をほとんど入れずに劇場に行きましたので、
今回のお話の舞台がイージス艦上であることと、
「あの国」のスパイが絡む?ということぐらいしか
知らなかったことから、
最後まで大変面白く観ることができました。
こう言ったら駄目なのかもしれませんが、
このお話、設定を適切なものに変えて
そのまま「相棒」のドラマとして一本作っても
きっと違和感は無いだろうなと思いました。
しかも「相棒」は、
社会系の時事ネタを積極的に取り入れていますし。



序盤のあらすじはこちら(上記ウィキペディアより転載)
京都府の舞鶴港で海上自衛隊によるイージス艦の体験航海が開催され、その参加者としてクルージングを楽しんでいたコナン一行。ところが突然の轟音と共に、艦内は不穏な空気に包まれる。その後、左腕の無い自衛官の遺体が発見される。遺体には不審な点が残されており、調査を開始するコナンだったが、艦内にある国のスパイ・「X」がいることが明らかになった。

お話が本格的に進んでからは
(特に不審人物が正体を明かす中盤以降)、
会話のほぼ全てが説明なので、
うっかり聞き逃したり、ぼんやりとしていたりすると、
お話に置いていかれる可能性があります。
とにかく、台詞による説明がやたらと多く、
また、どれもこれもが重要なので、
個人的には、疲れていない時に観に行くのをお勧めします。
そして観た後は、多分、頭が疲れると思いますww
私も疲れました
(楽しめましたので、良い感じの疲れでしたが)。

上記のあらすじですと、まるで、
左腕の無い自衛官の遺体が
イージス艦内で発見されたようにも受け取れますが、
実は違います。
まず最初にイージス艦で左腕のみが見つかったことから
コナンが捜査を始めた後、
別の場所で左腕の無い遺体が見つかり……というのが
正しいお話の流れです。
この遺体の謎(事件なのか事故なのか/事件だとすれば誰が犯人か)の他、
「あの国」と関係があるスパイが絡むという内容です。

ちなみに、この「あの国」。
具体的な国名を挙げると国際問題になってしまうからなのか、
全てこの表現でぼかされています。
イージス艦のことで協力関係にあるアメリカが
ばっちり国名を出されているのとは、大きな違いです。
でも、まぁ……このご時世ですと、
ぶっちゃけ、ご近所の大陸さんか半島さんのあたりでしょう。



作中の序盤からやたらと聞く「注排水システム」という単語。
あれだけキャラクターに連呼させるなら、
序盤で一度ぐらい、テロップを出して文字で説明すれば
もっと分かりやすくなるのにと思いました。
作中では、毛利小五郎の涎が例として挙げられていましたが、
その時点で、
「チューハイスイ」が何であるかが見当もつかない人には
分かりにくいかと思います。
漢字に辿り着ければ意味が分かりますので
「あぁなるほど」と理解できるのでしょうが、
漢字が分からない子供には
「注水・排水で注排水」ぐらいの説明は
あった方が親切かなと思いました。
(ただ、上記の例が出た後、暫くしてから、
再現映像での説明が何度もありましたので、
言葉を理解できなかったり
漢字に辿り着けなかったりしても、
それがどういう役割の物かは分かるようになっていました)



今回は、平次と和葉ちゃんの出番がそこそこあるからか、
少年探偵団の目立った活躍は無いです。
コナン以外の三人は、モブ程度といっても過言でないくらい、
お話に深く絡みません。
イージス艦ではしゃぐ役どころ専門という感じです。
蘭は、アクションやラブもどきシーン、回想シーンなど、
印象的なシーンでの出番はありますが、
そうでない平常時は、「こーら!」と窘めたり
「コナンくーん。どこなのー」と探してばかりいる
いつもの状態です。
哀ちゃんは、完全に、阿笠博士の助手です。

私は、コナンの活躍・推理をがっつり観たい派なので
他の常連キャラクターの活躍の少なさは
あまり気になりませんでしたが、
少年探偵団や哀ちゃんを特に好きな人には
少々物足りないかもしれません。



ゲストキャラクターである藤井七海について。
彼女の声を担当されていたのは
女優の柴咲コウさんだったんですね!
特に意識することなく聞いていたので、
最後に流れるエンディングのスタッフロールで
彼女のお名前を見て、
「そうだったんだ?!」と驚きました。
また、スタッフロール後に七海さんがコナンと話すので、
声が柴咲さんであるのを念頭に置いて聞いてみたら、
本当にそうだったので、再び驚きましたww
普通に喋られる時の声とはちょっと違いますよね。
でも、凛とした声は七海さんにぴったりで、
素敵だったと思います。

そのエンディング。
本編と違い、実写映像で作られていました。
作中で背景として描かれてきたイージス艦内の様子が
実写映像であれこれ見ることができますので、
とても面白いです。
特に、艦長さんの椅子が本当に赤いことに感心しましたww
また、アニメ描写の都合上、
艦内の廊下はどこも明るかったのですが、
実際には暗いですよね。
実写のED映像で廊下が出た時、
アニメの背景とそっくりだったのに、
明るさが全然違うからか、受ける印象も違っていて、
思わず唸りそうになりました。



本編の上映時間は二時間弱ですが、
最後までお話を追うのでいっぱいいっぱいだったことから、
飽きずに見られました!
全体が分かった上で、また最初から観たいと思いましたので、
劇場が空いた頃にもう一度見に行く予定です。

上記で、子供はお話についていけないかも……と書きましたが、
子供が理解できなかった点を
観賞後に保護者が丁寧に教えてあげれば、
家族の会話に繋がる自然なきっかけになると思います。
この作品が大人でも楽しめる映画であるのは確かですので、
家族で見るのもお勧めします。
(逆に、子供だけで観るのはお勧めしません)



さて、ここからはネタバレありの感想になります。
ブランクを少し空けた後から記述を始めますので、
ネタバレを回避されている方は閲覧を御遠慮下さい。




序盤の、演習に見せかけた実戦が、大変面白かったです。
未確認物体からの攻撃に対して
もしイージス艦が簡単に応戦したら
本当に戦争になってしまうとの忠告も、耳に痛かったです。
きっと、現実ではもっと厳しい判断に迫られることもあるんでしょうね。
緊迫感のある空気に、私もドキドキしながら見守りました。


今回は、スパイXが誰であるかが非常に分かりやすかったです。
また、作中の序盤〜中盤で、
コナンが正体や言動を疑う藤井七海についても、
あまりにあからさま過ぎて
「こりゃミスリードを誘っているなー」と思えました。
子供は簡単に騙されるでしょうが、
大人には全く通じないレベルです。
というより、大人の観客に対しては
そもそもスパイ当てをさせるつもりはなく、
コナンたちがスパイの正体に気付くまでをどう持っていくか、
また、それが明らかになった後を楽しんでもらうように
スタッフさんが作られているんだと思いました。

同様に、これは途中からですが、
殺人事件の犯人当てがさほど重要でなくなったように変わったと
思えました。
というのも、その直前まで、
作中ではスパイXを確保する方が大変で、
描かれ方も、そちらの方にかなりの重点が置かれていました。
で、高木刑事が不思議そうに
「あれ? なんで殺されたんですか」云々
(被害者に殺される理由が見当たらない)と言った辺りから、
コナンの名推理披露が始まり、
あっという間に犯人が指摘されます。
コナンもちゃんと説明していますし、
事件当時の回想シーンも丁寧に作られていましたが、
私は「かなり駆け足だったな」という印象を受けました。
ただ、今回の犯人は、コナンに追い詰められるのも早く、
あっさりと自供して反省もしましたので、
尺を取っていない分、
体感だけでなく本当に速かったんだと思います。

それと、実は殺人事件でなく事故(過失)だったという真相も、
途中から急に重みがなくなった理由でもあったかと思います。



今回のタイトルにある「探偵(プライベート・アイ)」は、
主人公のコナンであり、イージス艦「ほたか」のことであるようです。

序盤、光彦君が蘭にわざわざ腕時計を貸す展開になっていたり、
それが電波時計+完全防水だったりする辺り、
(しかも電波時計の説明では、ご丁寧にも
電波が配信される時間まで言及されていました)
「電波の送受信が重要な場面で関係するのね」と思えたり、
「この腕時計が水に浸かる状況に陥るのかも」
→「もしかして蘭が海に落ちる?!」と想像できたりしました。
今回は台詞がやたらと説明口調なので、
ミステリ好きとしては、
内容に深く関係していそうな単語・台詞を出されると
強く反応してしまいます。
上記のように、重要そうだと思えた単語・台詞から
お話の先を読まずにはいられませんでした。

ただ、こまごまとした事に対する稚拙な予想はできても、
お話の流れまでは分からず、
「この先どうなるの?」とはらはらしながら観ました。
唯一、話の展開で分かったのは、
スパイXが逮捕されて大団円になりかけた時です。
この時点で、蘭が海に落ちたっぽいとだけ分かっており、
また、それまでの新一と蘭のほのかなラブシーンが
過去回想の遊園地デートもどきの時しかなかったので、
「蘭が海に落ちたとはっきりと分かった後、
『お前を探し出す』と誓っていた新一(コナン)が頑張り、
それをきっかけにして蘭が救出されるのかな」という
誰にでも想像できることを私も思っていました(´ω`*)

蘭の電波時計とイージス艦の機能を生かすという展開も
上手かったですが、
一度はそれに失敗し、皆が絶望する
(腕時計の電波を拾えない)という状況をはさんだ後で、
最後の最後、大団円にもっていったのは
ニクいなぁ……!と思いました。
しかも、幻影の新一に向けて蘭が左手を伸ばしたのを機に
時計の電波をイージス艦が受信できたという展開が
非常に素晴らしかったです。
ただ、こういう時は(無意識であるなら尚更)
利き腕を伸ばすものだと思うので、
「蘭ちゃんって左利き……だったっけ?」と
内心でツッコミを入れてしまいました。
腕時計は左手首にするのが基本なので、
ここで上に向かって伸ばすのは左腕でないと駄目だとは
私も重々分かっているんですが……。
(確認していないので、
蘭ちゃんが本当に左利きだったらすみませんです)



劇場版の定番とも言える蘭のアクションも、凄かったです。
迫力がありました。
蘭が一方的にやっつけるのでなく、
相手からの反撃も結構受けているので、
「蘭ちゃんは大丈夫だよね」とひやひやさせられた他、
相手がロープなどを使うので、戦い方が面白かったです。
そして、なんと言っても蘭が物凄く格好良い!!!
惚れます。
本当に、素敵で凄いです。



海に落ちた蘭が救助された際、
もう一つの手がかりとなった父・毛利小五郎の金ぴか名刺。
地が金色なので、多分、
特殊な加工(水をはじく等)が元々なされているという
設定だったんでしょうが、
ちょっとファンタジーの度が過ぎるなぁと思いました。
それを言ったら、コナンが愛用している道具なんか
めちゃくちゃファンタジーですけれどもww
今回、作品の主題や問題が非常に現実的なのに、
要所ではファンタジー色が強めなので、
その差がコナンの魅力であるとは分かっていたのですが、
色々とツッコミを入れたくなりました。

たとえばコナンの腕時計。
イージス艦内では、携帯電話の持ち込みが禁止されています。
コナンが電話(腕時計)を使うと、
その電波をイージス艦に感知され、不審に思われてしまいます。
そのせいで、コナンは話の中盤まで
電話をこそこそと使わざるを得なくなったり、
見回りにきた自衛官から身を隠したりするのですが、
その後、館内を移動中に普通に使うシーンがあり、
「大丈夫なの?」と苦笑せずにはいられませんでした。



上記の通り、ツッコミを入れたくなったり、
「ん?」と引っ掛かったりした部分はありましたが、
また観たいと思えるほど、本当に楽しかったです。
「自分は大人だから」「コナンの映画だから」と言って
スルーしてしまうのは、
ちょっと勿体無いと思います。
大人にこそ、また、コナンをあまり観ない人にこそ
是非!とお勧めします。


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2013-04-22 04:21  nice!(0) 
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