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感想@映画「ストロベリーナイト 〜インビジブルレイン〜」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「ストロベリーナイト 〜インビジブルレイン〜」の感想です。

以下の記述にはネタバレを含みます。
好きなキャラクターは菊田です!!

ストロベリーナイト Blu-rayスタンダード・エディション

ストロベリーナイト Blu-rayスタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2013/07/16
  • メディア: Blu-ray


スペシャルドラマ版
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2010-11-13-1
連続ドラマ版(第1話:シンメトリー)
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2013-01-11
ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2013-01-31


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この作品の原作は「インビジブルレイン」という小説だそうですが、
私は未読のまま、映画を観ました。
インビジブルレイン (光文社文庫)

インビジブルレイン (光文社文庫)

  • 作者: 誉田哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/07/12
  • メディア: 文庫

今回、実は直前まで
内容に関する情報をあまり入れてなかったのですが
(劇場とテレビで見た予告映像ぐらい)、
購読しているテレビ雑誌に
姫川玲子役の竹内結子さんと菊田和男役の西島秀俊さんの
インタビューが掲載されていまして、
そこで初めて、
姫川と牧田勲(大沢たかおさん)が恋に落ちることを知りました orz

や、最初に見た劇場での予告でもそんな雰囲気はあったんですが、
私の中で、姫川の相手は菊田!という勝手な願望もありまして、
姫川が牧田にキスをするシーンを見せられても、
それはその場の成りゆきでしたこと……と思い込んでいたんですよ。
なので、菊田派としてはちょっとショックでしたね。
というか、そこまで知らなかったんだから
劇場に行くまでインタビューを読まなければ良かった
(前知識を入れなければ良かった)と思いました。



今回はアオリとして“姫川班、最後の事件”という文章があります。
刑事・姫川玲子の最後の事件ではなく、
文字どおり、捜査一課の中の一つの班の終わり……という意味でした。
この作品で姫川が暴走し、また、彼女の部下たちがそれを助けた為、
映画の最後では姫川班が解体され、
姫川班だった皆はそれぞれ別の所轄に飛ばされます。
でも、DVDを買ったり借りたりした人はご存知でしょうが、
前作に当たるテレビドラマ版は“シーズン1”と表記されていて、
シーズン2以降もあるのではないか?と臭わせているんですよね。
加えて、この作品の公開日に合わせて
フジテレビではスペシャルドラマも放送されましたように、
映画でも、ここで終わらない/まだまだ続くことを含んだ
あっさりとしたラストシーンになっていて
そのことが逆に良かったのではないかと思います。
それぐらい、普通の映画よりあっさり/いきなり終わります。
人によっては「え? ここで終わり?」となるかもしれませんが、
映画も姫川玲子シリーズの一つと考えれば妥当だと思えました
(もしテレビドラマ版のシーズン2が作られるとすれば、
姫川や菊田たちが再び捜査一課に呼び戻されるはずなので、
あまり感傷めいたラストは必要無い)。



で、文字通り、今回は姫川班の最後の事件なのですが……
“正義を貫く主人公 VS 警察組織の闇”が
殺人事件の捜査を介して描かれます。
人気ミステリドラマ“相棒”が得意としている内容ですので、
事件そのものは、当然、オリジナルですけれど、
どこか既視感があるのは否めませんでした。

そしてこの作品は、姫川玲子シリーズの他の作品と比べると、
姫川の単独捜査シーンが非常に多いです。
第一の部下である菊田は、姫川を見守る立場でもありますので、
そこそこ出番もありますが、
他の姫川班の捜査員の出番は本当に少ないです。
それは、姫川が皆に迷惑を掛けたくないとの気持ちがある故だとは
分かるのですが
(上司からの命令を無視して事件を捜査しているので、
部下たちにその責が及ばないように、彼女は敢えて一人で動いている)、
正直、姫川班全体での活躍が見られる話だったらもっと良かったなと
思わずにはいられませんでした。


ただ、ドラえもん映画におけるジャイアンよろしく、
普段は姫川に対して厳しい
日下守(遠藤憲一さん)や勝俣健作(武田鉄矢さん)が
この作品ではやや優しくて、
なんだかんだ言っても姫川を助けている辺りは
見ていてにんまりしてしまいますので、
映画ならではのところを見られて良かったです。
“確証と確信”で対立することが多い日下と姫川なのに、
今回は、捜査一課と合同捜査を行なう組織犯罪対策第四課(組対四課)が
姫川以上に勝手な想像で捜査を進めてしまう
&事件をまとめようとするので、
姫川がやや日下寄りになっていて、
実際、日下が姫川をフォローする場面もあるのがおかしかったです。

日下については、姫川に「あと二日」云々と言うところ、
ガンテツ(勝俣)については、
某死体を発見した姫川と菊田に向かって
「情報提供者だから(現場を)見せた」云々と言うところが好きです。
今回のガンテツは好きだな〜〜。
姫川からの協力依頼をガンテツがあっさりと断ったのは、
実はその前に菊田から同じ依頼を受けていたから……と分かったシーンは
「が、ガンテツ……!」となりました。
だから、ガンテツは姫川に「みんな」って言ったんですね。



映画の本筋については、割と先を読みやすい話です。
事件の真犯人というか、一連の事件の首謀者については
その言動から「あ、こいつが犯人じゃね?」と想像がつきましたし、
最後の和田徹(三浦友和さん)の英断についても、
当人の性格が非常に真面目で、警察官の鏡のように正義に生きる人で、
部下からもずば抜けた信頼を寄せられている現状があるなら、
絶対にこうするはずと予想できました
(本来は主役の姫川がそうするところでしょうが、
彼女の立場では何もできないので、代わりに和田がやる)。
なので、牧田が刺殺される点も含めて
お話の意外性は全く無かったのですが
それでも充分に楽しめました。

ただ、現在、テレビでばんばん流されているCMは下手だと思います。
ショッキングなシーンを中心に構成して、
姫川が介抱している相手が
牧田か菊田か分からないようにしていますが
(というより、菊田だと視聴者に思わせるようミスリードしている)、
ここをCMで見せなければ、
少しは驚きがあったのになぁと思えてなりません。

というか、多分、
牧田が刺殺される前に明かされる牧田の殺人シーンの方が
話の筋としても映像としてもかなりショッキングな内容なので、
作り手側は、こちらを徹底的に伏せる代わりに、
姫川も出てきてドラマティックな感じもする牧田の刺殺シーンを
CMに使ったのかなと思いました。
また、CMでは、
姫川班がさも活躍するような映像が使われていますが、
上記の通り、姫川と菊田以外の捜査員はほとんど出てきません。



その、牧田が行なう殺人シーンについて。
柳井健斗(染谷将太さん)が何故、
恋人のパソコンにあんな音声ファイルを残していたのかについては
姫川が想像として軽く代弁していましたけれど、
彼が何故、あの場であれを録音していたかの説明は無かったですよね??
もし姫川の言う通り、
恋人と自分の子供の将来の為に、
強請りネタの材料としてあれをわざわざ残していたなら、
保身の為に一応録音していた……とも言えますが、
映像を見る限り、柳井にそんな余裕があったとは思えません。

そもそも、お腹に自分の子供を宿した恋人に対して
「お金に困ったらそのネタで暴力団(牧田)を強請ってほしい」と
密かに望むなんて
ちょっと無理があると思えます。
情報屋という職業柄、
情報がいかに金になるかを知っているからこそ
大金をもたらすであろうそれを残したと思えば、
柳井が裏社会に馴染んでいた証とも受け取れますが、
そもそも柳井が情報屋だったからこそ、
情報で人を強請るのが危険だとも分かるはずですよね
(殺されるリスクがある等)。
その音声ファイルを菊田が入手できたのを機に
姫川班の捜査が進展し、真相に近付くことができたのは確かですが、
展開が強引すぎると思いました。



さて、牧田と姫川のラブロマンスについて。
上記の通り、私は菊田が好きだったので、
二人がカーセックスするところを菊田が見守る(笑)シーンでは
「菊田、可哀想」と思いました……。
あれは辛いでしょう。
だって菊田、
最初は「主任(姫川)が襲われている?!」と思ったようで、
車から勢いよく飛び出していますもんね。
でも、それが強姦じゃなく和姦
——普通のセックスだと分かったのを機に
身体の動きを止めちゃうなんて、せつないせつない。
菊田がじっと見ている中、
車がギシギシしているかと思うと、
本当、彼が可哀想でなりません。
その後の、ばつが悪そうな姫川との会話は、
ミョーに生々しいところが逆に面白かったですけれども。

ただ、牧田は姫川に一目惚れをしていて、
最初から彼女を意識しっぱなしなのは明らかで
(名刺を姫川に渡そうとして、ちょっと躊躇した後、
偽名の方を渡したあたり、
もし姫川が気付かなければ、
牧田はずっと自分の正体を隠して
彼女とお付き合いしたかったのかなと思います)、
姫川に正体がばれるまでの彼の言動には
微笑ましさすら感じてしまいましたが、
姫川の気持ちはちょっと分かり辛かったです。
まぁ、尤も、
強引とも言えた牧田に流されるような言動があったのは、
姫川らしくないことなので、
それが恋を示すものだと言われれば納得しますが……。

姫川が牧田の正体を知った際のぐるんぐるんの映像は、
彼女の脳内の混乱を表しているようで、興味深かったです。
これは上手い演出だと思いました。

姫川が牧田に牽かれたのは
彼も心に深い闇を抱えているからでしょうが、
傷を舐め合う恋愛が悪いとは言いませんけれど、
姫川みたいなタイプは余計に深く傷付くだけで、
辛くなるばかりじゃないかなと思いました。
だからこそ、そこまでの闇を抱えてはいないものの
包容力がありそうな菊田でいいんじゃないかと思うんですが、
姫川は彼を部下として信頼していても
男としてはまだ見られない
(菊田の気持ちは分かっているけれど、
彼に恋愛感情を抱く自分が許せない)んじゃないかと
思います。

もし姫川が菊田とくっつくことがあっても、
それはシリーズが完全に終わる時だと私は想像していますので、
このまま、もやもやが残る大人の恋が続いてほしいです。
大人だからこそ、闇雲に自分の気持ちを吐露しない
——熱い想いを秘めたまま、好きな人をじっと見守る菊田が
私は大好きです。



個人的には、
井岡博満(生瀬勝久さん)がいちごオレで
菊田を励ますシーンが好きです。
菊田も、いつもの彼だったなら、
「井岡に励まされるなら自分はもう終わりだ」というような悪態を
吐くのでしょうが、
彼の厚意を素直に受け取るあたり、
菊田も心底落ち込んでいたんだなと感じられました。
でも、井岡の沖縄旅行云々は要らなかったかなと思います。
結局、井岡の出番そのものが少なくて、
彼が姫川班と共にいる意味が全く無かったので。


それと私は、テレビドラマ版でよくあった
“姫川が「菊田!」と呼びつけた後、
菊田が「はい!」って返事をするだけで
彼女の意を汲んで素早く動く……”シーンが凄く好きだったので、
この映画版ではほとんどなかったのが残念です。
菊田だけでなく、他の姫川班の捜査員を
どんどん呼びつけてほしかったです。



今回、テレビドラマ→映画という流れになりましたが、
この映画版は決して集大成な作品でなく、
姫川玲子シリーズの一つとして
(ドラマ版と同格な感じで)存在する話だと思います。
その点でも、ドラマ版をお好きだった方には
充分に楽しめる作品だと思いますので、お勧めです。


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2013-01-31 18:53  nice!(1) 
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