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感想@宝塚歌劇 宙組公演「美しき生涯 -石田三成 永遠の愛と義-」「ルナロッサ -夜に惑う旅人-」+7/28新人公演(東宝) [映画・舞台]

東京宝塚劇場で上演中の宝塚歌劇 宙組公演
「美しき生涯 -石田三成 永遠の愛と義-」
「ルナロッサ -夜に惑う旅人-」の感想です。


7/28に本公演と新人公演を続けて観劇しましたので、
それら二つについて記します。
ネタバレを含みます。


────

まずは「美しき生涯 -石田三成 永遠の愛と義-」。


戦国武将の中で、私は以前から石田三成がとても好きですし、
彼は大はまり中のゲーム「戦国BASARA」での贔屓キャラですので、
今回、彼をゆうひさんが演じられるとあって
最初の発表からとてもとても楽しみにしていました。

ただ、脚本家の人の話があまり好みでなかったので、
観る前は全く期待していなかったのですが、面白かったです。


まず、演出が凝っているなと思ったら、石田さんなんですね。

北ノ庄城での戦いで、三成が茶々を説得するシーン。
ここは、手前側でこの二人のやり取りがなされている一方で
奥では合戦が描かれています。
照明を落として暗くした上でライトを短くパッパッと光らせる
──いわゆるストロボが使われていたので、
非常に印象的であり、緊迫感もあったと思います。
奥で戦っている兵士たちがスローモーションの動きをしているので、
三成と茶々の焦りや必死な感じもよく出ていました。

もう一つ、演出で上手いなぁと思ったのは、終盤の関ヶ原の戦いです。
ここは三成を嫌っている福島正則との因縁の戦いが描かれ、
三成が勝利するのですが、
その直後に小早川秀秋の裏切りが起こります。
鉄砲隊に撃たれた西軍は壊滅し、
上から垂らされていた三成の文字紋の陣幕が落とされ、
代わりに東軍の象徴である家康の葵の紋入りの幕がだらりと下がるんです。
三成の周囲にいる兵たちが皆、倒れているので、
これだけでも負けたというのは充分に分かるのですが、
この幕の演出によって、
三成が八方塞がりになった(もう完全に負けた)という事実を描くことへの
駄目押しになっていた気がします。


それと、今回は上演中に演奏されていた曲が気になりました(良い意味で)。

私が「いいな」と思ったのは二つあって、
その内の一つは、
「今宵、お茶々様を呼べ」という豊臣秀吉の命令を受けた三成が、
それを伝える為に彼女の元を訪ねるシーンの曲です。
ここは、義と愛で激しく揺れる三成の心情や、
三成をなじりながらも、その命令を敢えて呑むことで彼への愛を示す
(三成がやらねばならない事を助けるために、自分が犠牲になる)
茶々の心の移り変わりが描かれています。
そして最終的には、茶々が必死に
「今ひとときだけ、あなたの妻に」と請う流れに繋がるわけですが、
二人の会話が盛り上がっていくにつれて、微量の差なのですが、
音が徐々に大きくなっていくのも良かったです。

もう一つは、鶴松が毒殺された後、
疾風が三成の誤解を解こうとし、尚且つ、
一緒に茶々を守ってくれと懇願するシーンの曲です。

こうやって具体的に挙げてみると、
二つとも主要キャラが心を深く通わせていくシーンなので、
良い曲が使われているのも当然かもしれません。

それと、関ヶ原の戦いの音楽も良かったです。
ドラムが格好良かった。



宙組生徒さんで良かったのは……
そりゃもう、ゆうひさんは素敵でした。まさに二次元の人ww
漫画やアニメの世界からそのまま抜け出てきたような
良い意味での非現実っぽい格好良さがありました。
とにかくきらきらしていました。見惚れました。

すみ花さんもお姫様らしくて良かったなぁ。
ただ、今回に限ったことではないのですが、
すみ花さんが早口になると、何を喋っているのかが分かりづらいです。
特に序盤は、ご本人の口もあまり回っていない感じですし、
聞く側(観客)も耳が馴れてないので、ちょっと辛いかも……。

他、専科の美穂さんは相変わらずの歌うまさんで、聞きほれました。
私、美穂さんを意識し始めたのは今年からで、
日本青年館での「メイちゃんの執事」がきっかけです。
この時に「うわ、この専科さん凄いww」と度肝を抜かれまして。
美穂さんの歌の上手さが特に際だっていて目立っていたのですが、
今回も凄かったです。
でも、宙組には歌姫のりりこさんがいますからね
……今回の公演でご退団されてしまいますが。
宙組さんには歌ウマさんが揃っていますが、
りりこさんは本当に別格だと思います。
今回も美声を聴けて嬉しかったです。



物語については、やはり史実と違う部分が気になりましたが、
作品オリジナルキャラである疾風は自然に馴染めていたと思います。
最後も好きです。
あぁ、彼もそっちにいっちゃうのかぁと思いました。
三成と茶々は、最後、あの世の琵琶湖を眺めながら、
たくさんのおしどりのつがいに囲まれて幸せになれますけれど、
疾風はそこにはいない
(当たり前ですが、お呼びでない)んですよね……。
疾風も三成も「愛は一つ」と歌ったように、
茶々を思う気持ちの深さ、強さは同じだったはずなのに、
疾風についてはこれがまさに忍の業なんだなと思いました。

あ、捕らえられた三成の元を茶々が訪ねて、
二人が今生のお別れをするシーンでは、
眼鏡を掛けたままだーだー泣きました。
二人のデュエットとか、聞いていて本当に辛かったです。
その直前まで、実は、
「いくら忍でも、
大坂城から大津の城まで女連れで一日で行けるわけがないww」と
ツッコミを入れたくてたまらなかったのですが、
それを忘れるくらい泣きました。

これは個人的なことなのですが、
三成に対する疾風の台詞で「抱く(抱け)」とあったのには、
ちょっと興ざめしました。
この場合の「抱く」とは、勿論「抱きしめる」ではなく
「セックスする」ことです。
この作品に限らず、時代劇関係の本や映像作品などで、
こういう用法で「抱く」という単語を使われると、
私は非常に萎えるんです。
別に、時代もの作品を作る際に
現代の言葉を使ってはいけないというルールはないので
作中で「抱く」という言葉が使われることが間違いではないのですが
……そうだなぁ、時代ものの作品の中で
登場人物がいきなり「トイレに行ってくる」って言い出すぐらいの違和感が
私にはあります。
それに、わざわざ「抱く」っていう表現をしなくても、
「契る」っていう素敵な言葉があるじゃんとも思いました。


ちょっと驚いたのは、
今回は出てこないんだろうな〜と思っていた
三成の友・大谷吉継(刑部)が、劇中でいたことです!!!!!!!
聚楽第でのシーンで、頭巾をかぶった彼を見て
「え? あれ、大谷さんじゃ……??」と驚きました。
終演後、慌ててプログラムを見直しましたww
しかも、七海ひろきさんが演じられていたと知って、更にびっくり。
かいちゃんの演技は好きなので、もっと見たかったです。



ショー「ルナロッサ -夜に惑う旅人-」については
決してつまらなくはなかったのですが、
良くも悪くも“いつもと同じ感じのヅカのショー”という感じでした。
これは贅沢な話ですが、私はショーが好きなのですけれど、
ヅカのショーにはお陰様で見慣れてきたせいで、
よほど自分の好みに合ったものでないと、絶賛はできない気がします。
そういう意味でいうと、
今回のはそこまで突出してはおらず、
盛り上がる部分でも観客からはやや遠い感じがしましたので
(舞台上だけで盛り上がっている)、
手放しで褒めることはできないなぁと思いました。
尤も、上記の通り、別に内容が悪いわけではないので、
ここが駄目だったという具体的な不満や要望はありません。
ゆうひさんがトップに就いてから
宙組では一本ものが多かったので
貴重なショーが観られて嬉しかったとも思っています。

その中でも良かったのは、れーれさんの白猫!
凄くかわいかったです。あと、目立っていたなぁ。
ゆうひさん&すみ花さんが目立つのは当然としても
(そういう構成になっていますので)、
白猫はおいしい役だなぁと思いました。
また、れーれさんご本人や、彼女の踊りの気質にも合っていて、
まさに適役だったと思います。
あの場面でしか出てこないのがもったいなかったです。
あの、片手で持った黒いしっぽを振り回しながら会場を軽やかに動く姿を、
もっともっと見たかったです。

衣装でかわいかったのは、
ラスト(大階段を下りてくる時)のすみ花さんの黄金のドレス。
前見頃の裾もかわいかったですが、
何より、白の長手袋が映えていて、細い腕がきれいに見えて素敵でした。

逆に衣装で残念だったのは、ラインダンス。
テーマカラーの水色は悪くないと思いますが、
スクール水着っぽくて、健全すぎて、私の好みには合わなかったです。
私のラインダンスの衣装の好みはエロかわいい系なので
(ピンクのレオタードに黒の網タイツ最高)、
今回のがそこからは大きく外れているのはよく分かっているのですが、
それを差し引いても今回のは“ないな”と思いました。



今回から宙組に入られたかなめさんについて。
私は、かなめさんは雪組時代から注目していましたので、
贔屓している組に彼女がやって来たことはとても嬉しかったのですが、
ちょっと不思議な感じもしました。
「美しき生涯」の時は、役(忍)が、
花組の現トップスターとなった蘭寿とむさんには合いませんでしたので、
とむさんの代わりにかなめさんがいることに違和感は覚えませんでした。
でも、ショーになったら「と、とむさんがいない……」と
少しだけ思ってしまいました……。
で、宙組メンバーの中で歌って踊っているかなめさんを見て、
申し訳ないのですが「これが今の宙組なんだなぁ」と、少し思ってしまって
(私は逆裁公演で宙組公演に通うようになりましたので
その主演だったとむさんにはやはり思い入れがあります)。
でも、かなめさんが入ったことに対して、不思議な感じはしても、
違和感みたいなものはなかったです。
組替えについての知識が無かったら、
そのまま普通に受け入れていたと思います。



新人公演について。
当たり前ですが、皆、頑張っていました。
本公演を見た後だったので、話の筋を知っていることから、
もう泣けないだろうなと思ったけれど、
牢屋の中で二人で今生の別れをするシーンではやはり泣いてしまいました。

特に良かったところは……
コミカルな部分は、新人公演の方が面白かったです。
公演の性質上、
本公演は見ないけど新人公演は見る!というお客さんも
それなりにいるはずで(生徒さんのご親戚やお友達とか)
初見の方も多かったからか、
オチでは必ず会場がどっと沸いていましたし。
特に良かったのは、大坂城ロック。
りりこさん、さすがでしたー!!
この新人公演では歌の見せ場が無い
(他の生徒さんがその役をやっている)ので、
もったいないなと思っていましたら、
本公演ではない要素が加えられていて、見せ場が作られていました。
これは唄える人でないとできない
(高音で声を張り上げる)ことだったので
りりこさんならではだったと思います。

また、物語の後半で、老いた秀吉が「淀はどこだ」と言って
彼女や拾を求めるシーンがありますが、
四つん這いになった従者の背に
秀吉がちょこんと座っちゃうのも良かったです。
こちらの方が面白かったので
本公演でもこうしちゃえば良いのにと思ったほど。

主演の愛月ひかるさんは、
外見が素敵なのは逆転裁判公演で知っていましたが、
そこそこ唄える方なんですね。
台詞の言い回しなども含めて、本役のゆうひさんと比べると
やはりまだまだだなと思えましたが、
今後も期待できるのびしろを感じることができました。

瀬音リサさんからは
残念ながら姫の気品みたいなのはあまり感じられませんでしたが
(裕福な商人の娘っぽい)
三成を好き!っていうひたむきさはよく出ていたと思います。
可憐でかわいかったです。
全般的にまだ弱い(歌も踊りも演技も)印象があり、
物足りなさも感じましたが、
これからたくさんの役をこなしていって実力をつけていけば、
愛月さん同様、もっと伸びるんだろうなと思いました。

蒼羽りくさんと澄輝さやとさんについては
もっともっと頑張ってほしいと思いました。
決して酷い出来というわけではなかったですが、
「まぁ新人公演だからしょうがないか」という妥協を
観客側が持たなければならなかったと思います。
それが新人公演ならではの初々しさだと言われれば
私も否定はしませんが、
お金を取って公演している以上は
もっと良い成果を見せてほしかったです。



以上、初見+二回目(新公)の感想でした。

ちなみに、新人公演を見終わった後、
車道を渡らずにそのまま日比谷駅に向かおうとしたら、
丁度、劇場の楽屋口から出てくる上級生さんたちと
はち合わせしてしまい、
30センチぐらいしか離れていない状態で、
ぞろぞろと歩かれるジェンヌさんたちを見ました。
びっくりしました……!!


2011-07-30 15:30  nice!(2) 
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