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感想@げんしけん八巻*ネタバレあり [アニメ・ゲーム・漫画・小説]

「げんしけん」単行本8巻の感想です。

前置きとして。
私はおお振りでアフタヌーンを買い始めたので
げんしけんは単行本+本誌という読み方をしていました。
なので、本誌で読んだ部分は未だに単行本を購入しておらず
古本屋で見つけたら買おうかな……というヌルさだったのですが
今回の新刊は感想を書かずにはいられないほどです。
週末にグッコミで上京するので
ポイントがつくメイトで買ってこようかと思います。

というわけで、感想なのでネタバレありです。
これから読む方はご注意下さい。

────

まず驚いたのが、最後の二本に読んだ覚えが無いこと(笑)。
アフタは毎月欠かさず買っていたし、
げんしけんも二番目ぐらいに読んでいたので
(一番は当然、おお振りです)
「あれ?」と思ったのですが、書き下ろし……ですよね。
くじアンの設定や、おまけ四コマは他の巻でも見ていたので
想像をしていたのですが
書き下ろし?漫画があるとは思わなかったので
本当にびっくりしました。
オギーと笹原がくっついてからはすぐに
卒業関連ネタになってしまったのに性急さを感じていたので
嬉しいです。

で、特に感心というか感嘆したのは、
後の方の学園祭の方。漫研の方々とオギーのやり取りです。
この巻は、オタク嫌いになったオギーの過去が
当時の彼女の視点で書かれていて、
しかもなかなかショッキングなのですが

(好きな男の子のホモ本を、あまり乗り気でないにもかかわらず
半ば強制的に←同人好きの友達に流される形で描く。
それを見た男の子は不登校の末に転校、
事態は学校中に知れ渡る。
しかも、その同人好きの友達にハメられたと暗に知る)

決して消せない自分の嫌な過去を攻撃したくて
でも実際にはそんなことができないから、
過去の自分と同じ趣向を持つオタクを否定して満足するという
物凄くねじ曲がった性格をしていたオギーが、
げんしけんの面々と関わるうちに
ホモ同人を読むのも描くのも好きという自分を認められ、
即売会で全く知らない他人にお金を出して作品を買われ、
そういう自分を好きだと、好きな人に言われた……などを経て、
「もう人を攻撃しない」とモノローグで言うようになったのは
本当に良かったなぁと思います。
オギーの攻撃性は、自分を否定したい感情の空回りなので、
それを知らない他人からすれば、完全に
とばっちりというか八つ当たりを受けた状態なわけで、
その不満がまともに彼女に返ってきてたと思うので。
つまりげんしけんに来るまでの彼女は、
自分で自分を二重に傷つけていたわけで。
本誌を読んだ時にも「いいなー」と思ったのですが
オギーの告白を聞いた大野さんが
「絶対に幸せになってもらいます」って咲ちゃんに熱弁したところが
やっぱり好きです。

大野さんと言えば、オタク系のお風呂云々の話で
オタクパワー全開な状態で素敵でした(笑)。
ちなみに私もヘタレ受けは好きです。
でも斑目さんは総受けには納得。
私も眼鏡萌えスーツ萌えなのでーあはは。

んで。
それとは少しずれて、
自分を守るために他人を攻撃するという描写が
この巻には一つありました。
その学園祭で、オギーが漫研に所属している藪原さんと
メイド喫茶の教室でテーブルを介して対峙するという場面です。
そこで、
オギーが小さくなりながら「できれば謝りたい」と言い出しますが、
過去の彼女のせいで、自分の居場所だった漫研を荒らされた藪原さんは
冷たい言葉で一蹴します。
そして最後に「アンタは一生このまんま」と言い切ります。

この場面の前に、藪原さんたち漫研部員数人が
げんしけんの展示を自主的に見に来る描写があります。
(コスプレ衣裳レンタル&撮影&プリントアウトと、
オギーが過去に描いたイラスト展示という二本立て)
過去の自分が犯したトラブルを瞬時に思い出したオギーは
自分から彼女らに声を掛けられないのですが。

でも、藪原さんはオギーの変化を知っていたようで。
だから過去はともかく、
今の彼女を割と好意的に受け止めようとするのですが
どうもプライドが邪魔しているようで、
いまいち素直になれません。
(でも、照れの末に文句を吐いている様子が明らかですが)
そして、邪魔になっているのはプライドだけじゃないでしょう。
自分達の環境を滅茶苦茶にしたオギーを許せば
(しかも、その悪い状態は今も続いている)
散々苦労してきた自分らの立場がないわけじゃないですか。
だから、今のオギーの変化を知っていながらも
彼女の現在、そして未来をも否定したのかなと。
でも、それはねちねちと続く感情ではなく、
これまでの積み重ねがあった分、爆発力が大きいけれど、
後に引かないというか、これっきりというか、
言い切った藪原さんは、
これで過去を振り切れてすっきりしたんじゃないかと思います。
現に、その後再びげんしけんの展示場にやってきた彼女は
オギーに対しての攻撃がかなり薄れてますし。
(文句を言ったりしているけれど、
オギーを傷つけようとした目的の言動でないのは明らかなんです)

しかも、ちょこっと書かれていた言葉によると、
この後、二人は合同誌を作るまでになったそうで。
嫌味を言い合って牽制しながらも本を作るのって
やっぱり友情の一つに入るなーと思いました。

動物公園の描写は、
象を前にしたオギーが目をキラキラと輝かせているのが
かわいいと思いました。
笹原の台詞じゃないですけど、
同人関係以外で彼女のこうした顔が描かれたのは
これが初めてじゃないかと。かわいい。
で、オギーは最後に
コミフェスに落ちた自分に「罰が当たった」と言ってますが、
私、この台詞を最初に目にした時に、
「男と呑気にデートしてたから落ちたんだ」という意味かと
思ったんですよ。
つまり、男がいないオタク女を見下したのかと。
で、「ええ? オギーってこんなこと言うんだ?」と
意外に思いながらページをめくったら
「デートに浮かれてて、コミフェスのことを忘れてた自分」に
罰が当たったのかもしれないという説明の台詞があって、
あぁ、なんだ、そうか……と(笑い)。
私は、落ちるのが悔しいし悲しいし残念なのは、
身を持って知っているのですが
そういうふうに考える彼女が非常に初々しいなぁと思いました。
私なら、もし当落発表当日にデートしてても
とてもそんなふうには思えないです。

というわけで、濃いぃ八巻の感想でした。
今、気付いたんですが
肝心の告白のシーンやら、くっついたシーンについてを
全然書いてませんね……。
でも、この頃は本誌で最初に読んだ時に
あれこれと思ったので、今さらという感があります。
すみません。

もしオタク系で未読の方がいらっしゃいましたら
お勧めですよ!
オギーは同人少女なので、同じく本を作ってる立場としては
彼女の台詞を読むと考えさせられたり、
モチベーションが上がったりします。

(8/25)追記
アフタの最新号を買ったら、巻末の作者コメントのページに
やはり書き下ろしだとの案内が出ていました。
というか、次の九巻では三本のあるそうで、
計五本も書き下ろすそうですよ。びっくり!


2006-08-24 22:01  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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