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感想:NHK朝ドラ「舞いあがれ!」第26週(最終週):私たちの翼*ネタバレあり [NHK連続テレビ小説感想]

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」の感想です。
今回は以下の放送について記します。
第26週(最終週):私たちの翼
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以下の記述にはネタバレを含みます。

連続テレビ小説 舞いあがれ! Part1 NHKドラマ・ガイド

連続テレビ小説 舞いあがれ! Part1 NHKドラマ・ガイド

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2022/09/26
  • メディア: Kindle版

「舞いあがれ!」の初週と前週の感想記事はこちら。
【第1週:お母ちゃんとわたし 】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-10-07
【第25週:未来を信じて】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2023-03-24-1



第26週のあらすじはこちら。
https://www.nhk.or.jp/maiagare/
 2020年1月。舞(福原遥)は、短歌が詠めずに苦悩する貴司(赤楚衛二)をパリにいる八木(又吉直樹)のもとへ送り出す。そして、東大阪に残った舞は「空飛ぶクルマ」の有人フライトを目指して、刈谷(高杉真宙)や玉本(細川岳)をはじめ新たに加わった仲間たちとともに開発に取り組んでいた。データの整理が追いつかないので優秀な学生に頼みたいと聞いた舞は、心当たりがあると答える。しかし、4月には緊急事態宣言が出て...。

半年間の放送もこれで終わり……最終週です!
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今までの感想記事のとおり、
舞ちゃんがパイロットの夢を諦めた以降の話は
私の好みに合わず、
特にこの一か月ぐらいの展開については
ただただつまらないと感じていました。
「あと少しで終わるから」
「せっかくここまで観たんだから」という
惰性と奇妙な使命感によって
視聴を続けていたようなものです。
とはいえ、たとえば前作「ちむどんどん」のように
観ていて怒りを覚えるほど酷いとは思わなかったので、
あくまで個人の好みの問題だろうと受け止めていました。
しかしながら……この最終週は酷かった!
つまらないだけならともかく、
これまで積み上げてきたものをぶち壊しかねないような
非常に雑な作りにより、
視聴しながら呆気に取られることが多かったです。
内心でツッコミを入れるのに忙しかったです。



まずは主人公の舞ちゃんについて。
こんねくとの立ち上げまでは、
「なんだこれ」と思いつつも理解は出来ましたが、
刈谷先輩たちのアビキルを彼女が実質的に乗っ取っていたのには
失笑しました。
このドラマの主人公は舞ちゃんなので、
本来はもっと称賛されても良い人の代わりに
舞ちゃんがそうされるのは仕方が無いのでしょうが、
特にこの一週間はそれが露骨すぎて
不快感を覚えました。
空飛ぶクルマを紹介する動画で
まるでそれを自分が作ったかのように
舞ちゃんが朗々と喋っていたのは勿論のこと、
最終回の有人試遊でダントツで目立っていたのにも、
違和感が募りました。
作中では全てが「舞ちゃんのお陰」とされていて、
コロナ対策でさえ舞ちゃんの発案となって
賞賛されていましたが、
あの空飛ぶクルマに関しては
もっと刈谷先輩たちに焦点を当ててほしかったです。
彼らは頑張った対価としてちゃんと褒められるべきなのに、
「さすが舞ちゃん」
「舞ちゃんありがとう」と、
率先して舞ちゃんを持ち上げる側になっていたのは、
あまりに可哀相でしたし、哀れでもありました。



その空飛ぶクルマ。
おそらくほぼ全ての視聴者が
「これってヘリコプターじゃないの?」と
ツッコミを入れたかと思います。
私もそうでした。
ヘリコプターが実は垂直に離発着できなかったり、
運用に飛行場が必須だったりするのを踏まえると、
それが可能なドローンには確かに利点はあります。
けれど、私には見れば見るほど
「でもそれならヘリのために土地を整備すれば良くない? 
というより船で済む話だよね」と思えました。

まず、安全性の問題です。
もしかすると制作側は
「あれはあくまでドラマ用の作りだから」という言い訳を
するかもしれませんが、
あんなハリボテ感の強い作り見た目では不安しかありません。
また、空飛ぶクルマが
ヘリよりも小型化、簡素化されているのなら、
悪天候にはヘリ以上に対応できませんよね?
五島のような場所を飛ぶなら
強風に煽られることも多いでしょう。
下手をすると、気象状況のせいで飛べない日が
一年の半分ぐらいになるのではないかと
思えてならなかったです。
そもそも、船を出せない悪天候の時こそ別の手段が輝くのに、
船が駄目な時は空飛ぶクルマも駄目というのは
存在意義に欠ける気がします。

次に、空飛ぶクルマを動かすのに
パイロットを必要とする時点で
全く気軽でない点です。
場所を選ばずに離着陸が可能なのは良いですが、
あれ一台で切り盛りするのは大変でしょうし、
機体を増やして対応するとしても
パイロットの確保は非常に大変だと思います
(尤も、ここまでの展開を思うと、
舞ちゃんが困り顔でお願いするだけで
他人はあっさり彼女の希望を叶えるのでしょうが)。

そして、これが一番の問題ですが、
乗車料金は一体いくらなんでしょうか。
作中で全く触れなかったあたり、
制作側にも自覚はあったようですが、
空飛ぶクルマには一度に数名しか乗れないんですから
絶対に気軽には利用できない金額ですよね。
もし乗客予定の人がそれで諦めようとすると、
どこからともなく現れた舞ちゃんが
「これは東大阪の技術の結晶なんです!」と熱弁した途端、
乗客も納得して利用するようになるんでしょうが、
全く現実的ではないです。
考えれば考えるほど、
ほぼ全てにおいて空飛ぶクルマより船の方が優れていて
気軽に利用できる気がしてならないです。

何より、あれを「空飛ぶクルマ」と呼ばせたのが
失敗だったと思います。
その単語を聞いた視聴者が想像するのは、
一般的な車体が浮遊して走行するところですよね。
飛行機(ヘリ)との差別化のために
わざわざ「クルマ」と呼称させるようにしたのでしょうが
(そして「車」ではないので
敢えてカタカナで「クルマ」としたのでしょうが)
悪手だったと思います。
また、機体の完成形を観た視聴者から
「これってヘリだよね」というツッコミがあるのは
制作側にも予想できたでしょうから、
ヘリとの違いをもっと分かりやすく説明するべきだったとも
思いました。



次はめぐみさんについて。
祥子さんが心身ともに弱ってきていたので、
IWAKURAを結城さんに譲ると決めた時点で
祥子さんを伴った上での五島への帰還は
一刻も早く行なわれるのかと思いきや、
まさか六年も要するとは……!
大変驚きました。
結果的にとはいえ、
祥子さんが車椅子での移動を強いられるようになっていたのが
非常に衝撃的で、
めぐみさんのいたらなさが誇張されていた気がします。



そして貴司くん……!
八木さんに会いたくなって、
単身でパリに行った時点でどうかと思いましたが、
行ったら行ったで急に舞ちゃんが恋しくなり、
僅か数か月で戻ってくるだなんて、
貴司くんの今回の病みエピソード自体が不要だったと
思います。
結婚をして一児の父となったのに
未だに強い逃げ癖があると分かった先週の時点で
好感度を自ら手放しているようなものでしたが、
今週の放送で少し戻る(良くなる)どころか
更に悪さが目立っていたのには、呆れるばかりでした。
若い頃の貴司くんが就職先で苦労して逃げた時は、
「ブラック企業だったのかな」と思い、
逃げた貴司くんに同情しましたが、
あれも実は彼に問題があった
(会社の労働環境には問題が無かった)のではないかと
今さら思い直しています。
また、ただでさえアジア人への偏見が強いパリで、
フランス語が全く喋れないのに一人で生活する羽目になり、
不要な外出への制限が強くかかる中、
昼も夜もずっと部屋に籠りきりの状態で書く日記なんて、
内容が乏しいに決まっていますよね……。
とにかく、先週と今週の貴司くんの描写が酷すぎて、
私の中でも彼への評価は急降下しました。
全く共感できないですし、
彼が何かを発する度に苛々させられていました。



最後に空飛ぶクルマが飛ぶ際に、
舞が不在であるにもかかわらず
旧友が東大阪のノーサイドに集まっているのが
謎でした。
せっかく皆が各地に散らばっているのだから、
こういう時こそ航空学校編で多用された画面分割を使って、
舞の晴れ舞台を日本中のあちこちから携帯端末で見守るのが
良かったと思います。
あと、長崎に居を移した悠人くんたちは、
そのまま現地に行くべきでしたよね?
いくら五島が不便な場所でも、
同じ県内なんですし、
五島で舞ちゃんを直に見守る方が自然ではないですか?
おそらく役者さんの都合で五島ロケには参加できず、
ノーサイド集合組にしれっと交ぜたのでしょうが、
だとすれば、最後まで詰めが甘いなと思いました。
もっと丁寧にドラマを作ってほしいです。



結局、この「舞いあがれ!」は
舞ちゃんだけが幸せに舞い上がった話でした。
やはり、放送開始前から視聴者に期待を持たせておいて
主人公はパイロットになりません!
そもそも主人公がパイロットになるとは言ってません!
という流れは、
どう考えても良くなかったです。
この物語は、
「主人公が挫折を乗り越えて舞い上がる」話だそうなので、
舞ちゃんが経験しなければならない大きな挫折として
この進路変更があったのでしょうが、
制作側が視聴者を裏切る形になってしまったのは否めないです。
また、普段から舞ちゃんが口癖のように言っていた
「誰かの役に立ちたい」という言葉が、
結果的に寄生先(乗っ取り先)の模索になっていたのも
残念でした。
そして、周囲が舞ちゃんに寄せる絶賛に相応しいほどの眩い活躍が
彼女にあったなら、
まだ救いもあったのでしょうが
実際の彼女は横から口をはさむだけだったのには
目も当てられなかったです。
よく「終わり良ければ全て良し」と言いますが、
このドラマはその逆で、
悪かった終盤のせいで作品全体に悪い印象が付いたと思います。
ただただ残念です。



歌集のリアルでの出版も……
貴司くんが例の句を詠んで舞ちゃんと結婚した時に
発売することができていたら、
ちゃんと期待通りに売れたと思います。
貴司くんへの評価がひたすら下がったこの最終週の放送から
一か月以上が経過した後の発売だなんて、
一体誰が買うの?と思いますし、
その句を詠んだ脚本家の桑原亮子さんが幸せなだけなのは、
まさに「舞いあがれ!」と同じで、
最後の最後まで……そしてこのおまけでさえも、
視聴者の感情は置いてけぼりだったなと思いました。



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2023-04-02 10:16 
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