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感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第15週:ウークイの夜*ネタバレあり [NHK連続テレビ小説感想]

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」の感想です。
今回は以下の放送について記します。
第15週:ウークイの夜
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  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2022/05/27
  • メディア: Kindle版

初週と前週の感想記事はこちら。
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第1週・第2週】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-10
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第14週】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-07-15



第15週のあらすじです。
https://www.nhk.or.jp/chimudondon/
 1978年8月。沖縄のお盆は本土と同じように三日間あり、その最終日が「ウークイ」だ。ご先祖さまをあの世へお見送りする最も重要な日に、暢子(黒島結菜)たち四兄妹が久々にやんばるに集合した。目的は、優子(仲間由紀恵)の話を聞くことだったが、それをきっかけに四人はこれまで知らなかった優子の過去を知ることに。一方、和彦(宮沢氷魚)に大きな仕事のチャンスが舞い込み、急きょ沖縄に向かう。

暢子が和彦にようやく「好き」と言い、
「結婚してください」とのプロポーズも受け入れられたことで、
二人は両片思いを卒業し、晴れて両思いとなりました。

ずっと見てきた朝ドラヒロインの結婚ということで、
本来は大変喜ばしく、感動できる要素なのでしょうが、
予想していたとおりに私の心は全く動きませんでしたし、
「良かったね」とお祝いする気にもなれませんでした。
ただただ背景の沖縄の青い海が素晴らしく、
「あぁ、きれいな海だなぁ」と思っていました。

以前の朝ドラ作品でも、
主人公に対する不快感などが原因で、
その結婚を喜べない時がありました。
たとえば、前作の「カムカム」のるいとジョーは、
ジョーの入水自殺未遂が白々しくて笑ってしまいましたし、
「おかえりモネ」では
百音と菅原先生の恋愛がおままごとのようで、
何を見せられているんだという気持ちになりました。
でも、そんな過去の作品も
この「ちむどんどん」と比べればまだマシだったんだと
痛感しています。
とにかく、暢子も和彦も自分勝手すぎるのが目に余ります。



まずは暢子。
先週の放送で見せられた智への酷い仕打ちを踏まえた上で、
今週の和彦に向けての告白シーンを見たら、
体がぞわぞわしました。

「うちも幸せになりたい。とことん幸せになりたい。 幸せになりたくてなりたくて、ちむどんどんしてる。 絶対、何があっても諦めない」
第1週から何度となく出ている
「(自分たちは)幸せになる」という言葉。
人が幸せになるために頑張るのは自然ですし、
別に悪いことではないですが、
ここで問題となるのは、
比嘉家の人々はそれほど不幸なのか?という点です。
これまで何度もあった比嘉家の多額の借金問題は
必ずいつの間にか解消されていますし、
暢子は暢子で、
沖縄県人会のまとめ役である三郎さんとの偶然の出会いを機に
棚ぼたのラッキーな人生を歩んでいます。
今まで何でも好き勝手にやってきている人が、
事ある度に「幸せになる!」
「幸せになるのを諦めない!」と宣言するのには
違和感しかないです。
こういう言葉は、
日々辛い状況にあるけれど懸命に頑張っていて、
ほんの少しの幸せを光のように感じている人にこそ相応しいと
思います。

そして、比嘉家の人間が幸せになろうとする度に、
振り回されて迷惑を被る周りの人々……。
以前の感想記事に書いたことと重複しますが、
比嘉家の人には、自分の幸せを目指すより先に、
他人に迷惑をかけないことを優先してほしいです。
周りをもっともっと大事にしてほしい。



先週の放送の最後で優子の再婚話を聞かされた暢子は、
予定よりも早く沖縄に向かいました。
結局、優子にはその気が無かったと判明したこともあり、
この再婚騒動は要らなかったと思います。
先週の常連客の再婚話も、何だったんですかね……。
「再婚」という共通の単語があったのみで、
優子の再婚話にも全く絡まずに終わってしまい、
ただ「フォンターナって良いお店ですね」と
暢子が感心するためのエピソードであったなら、
やはりこれも要らなかったと思います。
(先週の感想記事に書いたとおり、
私は見ていて不快だったので)

また、久し振りに揃った暢子たち比嘉家の四人が、
実の親の(しかも良子と歌子は同居している)優子に
事の次第を問いただす前に、
いきなり善一さんに詰め寄ったくだりは、
彼に失礼すぎて、
私までいたたまれない気持ちになりました。

更に……優子は美人さんなので、
善一さんが密かに恋心を抱くのは仕方が無いとしても、
優子に断られた後に未練がましく
「生まれ変わったら~」という仮定を挙げたのには、
驚きましたし、嫌悪感も覚えました。
善一さんがあの年までずっと独身だったならまだしも、
彼は早苗ちゃんのお父さんですよね。
他愛のない冗談だとは分かりましたが、
亡くなった奥さん(早苗ちゃんのお母さん)に失礼です。



さて和彦について。
今回も「どこでもドア」の存在を感じる瞬間移動があり、
苦笑いが我慢できませんでした。
朝、新聞社に出社してぼんやりとしているところを
田良島デスクに煽られ、
房子オーナーと話をして預かり物を受け取った後、
飛行機で羽田から沖縄に移動し、
そこから何時間もバスに乗って(?)遺品発掘現場に押しかけて、
最後に嘉手苅さんのお宅に上がらせてもらう……段階で
まだ日中というのは
いくら日が長い沖縄でも無理があると思います。

田良島さんが和彦を大人げなくからかったことで、
少し溜飲が下がったのは事実ですが、
彼の言い回しには引っかかる部分もありました。
あの婚約破棄で一番傷付いたのは、間違いなく、
自ら身を引く選択をした
(せざるを得なかった)愛さんです。
最終的に和彦が愛さんに振られた形になったのは、
優柔不断で気の遣えない彼が
いつまでたっても自分の気持ちを正直に明かさないまま、
彼女を誤魔化し続け、
最後も「なかったことにしてくれ」としか
言えなかったからですよね。
待っても待っても和彦が愛さんを振らないから、
彼女が彼を振ったわけで……。
結果的に、嫌なことや言いづらいことは全て
愛さんに言ってもらっておきながら、
社内で悶々として被害者ぶっていた和彦には
少しも同情できなかったです。
それは暢子にも言えることで、
この二人を可哀相だと思うだなんて、
絶対にあり得ないです。
もう、とんでもないです。

その後に、和彦が沖縄の浜辺で暢子の手を握りながら
「この手を放したくない」と言うくだりも、
くだらないなと思うと同時に、
「嘉手苅さんに失礼じゃない?」と思いました。
嘉手苅さんの熱演を介して
私も戦争体験の辛さを実感できていたのに、
せっかく教えてもらえた話を
自分の恋愛に安直に結び付けた和彦には
呆れるばかりで全く共感できなかったです。
和彦がこんなことを言ったせいで、
深刻な戦争体験が急に安っぽくも感じました。
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それと、金曜日の「あさイチ」の朝ドラ受けでも
軽く言われていたとおり、
「結婚してください」の言葉は
暢子でなく、和彦に言ってほしかったです。
和彦は常にうじうじしていて、優柔不断である上に、
大事なこととなると絶対に自分から言わず、
相手に言わせる人ですよね……。
愛さんとの別れのシーンも、
彼女の言動があまりに和彦に都合が良すぎて、
「なかったことにしてくれ」しか言えなかった和彦の好感度は
だだ下がりでしたが、
このプロポーズのシーンを見たら、
私の中での和彦の株が更に下がりました。
「こんな男のどこがいいの?」と本気で思っています。



今週は過去の説明も兼ねていたので、
房子オーナーに実はお姉さんがいたり、
優子と賢三が実は毎年欠かさず遺骨収集に出かけいたり……と、
「実は」「実は」のオンパレードだったのが
かなり見苦しかったです。
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特に、房子オーナーと賢三の血縁関係については、
矛盾を解消させるために
今さら「姉の子」としたのでしょうが、
それまで妹のことしか出てきていなかったので、
不自然さがあるのは否めなかったです。



ところで、石川の家が沖縄での名家なら、
沖縄の人が大事にしているウークイともなると、
長男の嫁は朝から晩まで台所で忙しいのが当然でしょうが、
良子はやっぱり実家にいるんですね。
しかも博夫も石川の家に帰らず、
カレーを作っていたとか……。
良子は、「いつかまた三人で暮らしたい」と言って
博夫に微笑んでいましたが、
彼女が我儘を無理に通そうとしなければ
すぐにでも解決する問題だと思います。
良子には本当に
「なんで博夫と結婚したの?」と問いたくなります。
良子が、石川家の嫁として負うべき責任を全て放棄して、
やりたいことだけをひたすら貫こうとするのは、
自分が望む幸せを何としても掴もうとする点で
「幸せになる」「幸せになるのを諦めない」という作品主題と
ぴったり合致するものの、
見ていて全く共感できないですし、応援もできません。
家よりも個を大事にする考えが一般的となった現代の話なら、
きっと私も「良子、頑張れ!」と応援したでしょうが、
昭和真っただ中のお話でこれはないです。



どうでもいいエピソードは入れてくるのに、
ウークイや御三味(うさんみ)、ウチカビといった
沖縄独特のものの説明がほぼ無いのも気になります。
とはいえ、御三味については次週のタイトルにあるので、
そこで捕捉があるのかなと思っていますが……
ウチカビについてはこれで終わりですよね。
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その次週は、
暢子が和彦の母親と初めて会うのに合わせて
嫁と義実家の関係がテーマとなるようです。
暢子については、予告映像にあるとおり、
一度は「認めません」と拒まれるものの、
暢子が作った料理(これが御三味?)が認められて、
結婚もあっさり許されるのかなと予想しています。
良子も、博夫に任せるだけだったこれまでと違い、
ようやく石川の家に行ったようで、
少しは成長したところを見せてほしいです。

とはいえ、もうこのドラマには全く期待していないので、
予想とは違う展開になったとしても構いません。
寧ろ、金曜日の暢子のプロポーズで「完」とし、
最終回としても良かったなと思っています。



続きはこちら。
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第16週:御三味に愛を込めて*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-07-31



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2022-07-23 18:32 
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