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感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第5週:フーチャンプルーの涙*ネタバレあり [NHK連続テレビ小説感想]

NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」の感想です。
今回は以下の放送について記します。
第5週:フーチャンプルーの涙
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連続テレビ小説 ちむどんどん Part1 NHKドラマ・ガイド

連続テレビ小説 ちむどんどん Part1 NHKドラマ・ガイド

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2022/03/30
  • メディア: Kindle版

以前の感想記事はこちら。
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第1週・第2週】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-10
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第3週・第4週】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-10-1



第5週のあらすじです。
https://www.nhk.or.jp/chimudondon/
 暢子(黒島結菜)は助っ人として参加した料理大会の会場で、「東京に行き、料理人になりたい」と爆弾発言。すっかりその気になってしまう暢子だったが、そのころ、比嘉家には暗雲が近づいていた。兄・賢秀(竜星 涼)が投資話だと思ったものは、実はだまされていただけと分かってしまった。絶望した賢秀は大荒れに荒れてしまう。そしてその余波は大きく家族にのしかかってくることになる。

金曜日の放送の最後で暢子が家族と別れ、
東京に向けて出発したことから、
沖縄編に一区切りがつきました。
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思い返してみると、正直なところ、
「沖縄編って何だったんだろう。
私は何を見せられていたんだろう」との疑問ばかりが
頭に浮かびます。
ひたすら賢秀と貧乏に振り回されたせいで、
沖縄の良いところがあまり伝わってこない物語でした。



先週の放送の最後、
産業祭での料理コンテストでの優勝スピーチの最中に、
東京で料理人になるとの決意を皆に語った暢子。
幼い頃に那覇で味わったフランス料理への強い憧れや、
何かある度に「東京」「東京」と口にするほどの
都会に対する過度な執着、
そして現実を見ないで夢ばかりを語っていたのは、
まだ十代後半の高校生という年頃を踏まえれば、
自然なことなのかもしれません。
実際、暢子が友達に向かって
「銀座に住むんだ~」と口にしたシーンは、
全く知らないからこそ何でも言える自由さが
彼女の精神的な幼さ・危うさに繋がっていて、
良くも悪くも彼女がただの沖縄育ちの女の子であるのが
実感できました。
私には全く共感できなかったですし、
暢子が可愛らしいとも微笑ましいとも思わなかったのですが、
理想の将来を夢見た高校三年生の女子が、
同級生との会話で浮ついているシーンとしては
悪くなかったと思います。

しかしながら、そこからが問題で……。
結局、幼少期の多額の借金は何とかなったようですが、
家族五人の生活はひどく貧しいままで、
特に収入源の長女・良子は苦労と忍耐を強いられています。
そんな中、暢子は、
大好きな料理作りを担当することで
母親の優子や良子の家事の負担を減らしていて、
家族としてちゃんと貢献していました。
それは偉いですし、頑張っているなと評価できます。
でも「春休みに東京に遊びに行きたい」との発言は
とても受け入れられませんでした。
自分の耳を疑いましたし、暢子に対して失望しました。
今のように、日本中の誰もが気軽に東京に行けていて、
テレビやネットで東京の魅力的な情報を得られているのなら、
暢子がこう主張したのにも理解できます。
でも当時は、今とは事情が違いすぎます。
また、もし暢子の中で日々の不満が募ってなかったのなら……
更に言えば、親友が東京への進学を決めてなかったなら、
さすがの暢子でも
望みを口には出すことはしなかったかもしれません。
なので、あの時の暢子には
勢いで我儘を言ってしまうだけの事情があったのだとは
私にも分かるのですが、
あの極貧生活で
「東京で働けないのなら、春休みに遊びに行きたい!」と
だだをこねて癇癪をおこすのは、
ちょっといただけなかったです。

大体、比嘉家の貧乏が全ての問題の原因なのに、
暢子は旅行代をどうやって出させるつもりだったのでしょうか。
この作品は、貧乏描写がやたら多い割に、
実際にそれが物語の進行の妨げとなると、
何故か簡単にふっと解決してしまう
(良い例が、幼少期の暢子が東京に行くと決めたのに
結局行かずに済んだ件)ので、
貧乏が理由で暢子が東京行きを断念する展開には
まずならないとはいえ、
良子が服を一枚買うのも躊躇するような経済状況では、
また新たな借金に頼るに決まっていますよね。
暢子の強い不満を目の当たりにした優子と良子が、
その後、それぞれ職場で高額の借金をしていたのには、
大変驚かされました。
昔のドラマや漫画、小説を見たり読んだりすると、
当時は給料を前借りするのが珍しくなかったようなので、
それ自体を否定するつもりは無いものの、
借金を更に重ねる彼らの考え方にはぎょっとします。
比嘉家に限らず、普通に考えれば、
借金で借金を返すのは詰んでますよね……。
比嘉家は、暢子たちが幼い頃から極端に貧しく、
常に借金を抱えている状況に慣れているからか、
借金に対する抵抗がとても薄いのかもしれません。
「お金が無くて困った時は、
誰かにお金を借りてとりあえずその場を凌ぐ」という考えが
家族全員の根底にあるように見えました。
カード払いの請求しか借金に縁が無い私からすると、
気軽にほいほいと借金を重ねる彼らが怖いです。

給料の前借りをしたということは、
翌月以降から暫くの間は、
もうそこからの収入は無いんですよね。
優子は更に働くと言っていましたが、
本当にそれで暮らしていける見込みがあるんでしょうか。
「困ったら、また新たに借金をするのでは?」と
思わずにはいられなかったです。

そして、以前にあった多額の借金の返済問題が
ドラマ制作側により曖昧にされたと分かった時も
「それでいいの?」と呆れましたが、
暢子の兄・賢秀のせいで負った更なる多額の負債が、
彼が以前にへらへらと口にしていたとおりに、
一発でどかーんと得られた大金によって
全ての返済があっさり可能になり、
ついでに暢子の上京も叶ったのにも、
唖然としたと同時に
「(話が)こんなんでいいの?」と思いました。
リアルに、口があんぐりと開いたままの状態になりました。

この作品は、沖縄が舞台ということで、
豊かな自然や独特の文化・風習に加えて、
逆境にも負けない主人公家族の絆の強さや
それぞれの逞しさ、健気さが見どころなんでしょう。
でも沖縄編の実際の主題は、
「とある極貧家庭の歪んだ金銭感覚」だったと思います。
本当に、私は何を見せられているのか……と、
何度も何度も思いました。



以前の感想でも書いたとおり、
ここまでのほぼ全てにおいて
貧乏が原因で暢子たちが困ることになる
→誰かに辛く当たられて嫌な思いをする
→呆気なく解決
の繰り返しなのも、気になります。

詐欺の被害が発覚した後、
賢秀が家族に心の内を打ち明けた際に、
「嘘つき・ろくでなしだとずっと言われていた。
言った奴らを見返してやりたかった」云々と言いましたが、
彼の場合は自業自得ですよね……。
家族以外に彼を褒める人がいないというのも当然です。

嘘つき:普段からお調子者で、大口を叩いている
ろくでなし:家でも外でも働かない・やたら喧嘩っ早い

これらが事実だというだけでなく、
賢秀が皆の態度に不満を持っていると分かったのにも
大変驚き、呆れました。



私が今週の賢秀の言動で最も許せなかったのは、
大叔父さんにまたお金を借りようとした際に、
自分で頼みに行かず、
母親に向かって代わりに彼らに頭を下げてくれと言った件です。
親をなんだと思ってるの……。
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賢秀にしてみれば、
信用の無い自分が大叔父夫婦に借金を頼みに行ったところで、
絶対に断られるに決まっている
→代わりに母親に行ってもらったら何とかなるかもしれない
という安易な期待が発言の元なのでしょうし、
実際、優子はお金を借りることに成功したのだから
この読みは当たったのですが、
賢秀はクズだなと本当に嫌気がさしました。

詐欺被害が発覚した後、ショックを受けた賢秀が、
お金も無いのに七杯もお酒を呑んで潰れた後、
怒りに任せてお店をめちゃくちゃに壊したのも、
酷い展開でした。
店長さんについては、
例のフライドポテトの件の影響で好きにはなれないけれど、
さすがにこの時は賢秀がだらしなさすぎて、
嫌なところは気になりませんでした。
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そして、賢秀の「見返してやりたかった」発言や、
暢子のこれまでのトラブルを振り返ると、
先週の感想記事でも書いたとおり、
この「ちむどんどん」という物語は
理不尽な扱いを受ける主人公(+家族)が
なにくそと頑張って相手を見返す話なんだなと
改めて実感しました。
次週の放送からは暢子が東京に行きますが、
当時は沖縄の人というだけで
変な偏見を持たれていたらしいのを踏まえると、
また意地悪をする人物が新たに登場するのは目に見えていて、
悪い予感に駆られます。
というか、金曜日の放送の最後で流れた予告において、
暢子はレストランで働いていましたが、
就職先も住む所もあったんですね。
コネでそれらをあっさり解決した「おかえりモネ」を
ふと思い出しました。



良子については、
大変だな可哀相だなと思うばかりで、不満は無いです。
でも賢秀のお金で問題が解決したのだから、
学校から借りたお金は手元に取っておかず、
さっさと返した方が良いと思いました。



歌子については、これまでと同様に、
歌唱シーンの多さにうんざりしています。
彼女が歌う度に「もういいよ、歌は」と思っています。
こう何度も何度も何度も何度も聞かされると、
以前、彼女が歌うCMが頻繁に流れていたのを思い出します。
あれも頻度が高すぎるせいで耳障りでしたが、
このドラマでも同じことになっています。

木曜日の放送の最後で、
下地先生が学校を去ると打ち明けた際に、
なんだか良い話っぽい語りをしていたので、
「ここは視聴者の感動を狙っているんだろうな」と
思いましたが、
私の心は冷めたままで終わりました。
ここで「穏やかだけれど熱い」シーンを持ってくるなら、
何度もあった追いかけっこのシーンを削り、
代わりに二人を会話させて
心の交流を徐々に盛り上げていけば、
この木曜日の会話が最高潮!として
もっと自然に深い感動に繋がったと思います。
金曜日の、暢子がバスに乗って出発したシーンも同様で、
「え? ここって感動するところなの?
私、全然しないんだけど……」と戸惑う羽目になり、
そういう自分に気付かされたせいで、
気持ちが余計に冷めてしまいました。
歌子が準主役の扱いだからこその
歌唱シーンの多さなのでしょうが、
ちょっと辟易しています。
その一方で、料理が好きだという暢子は、
実際にそうしているシーンが少ない上に、
作ったものは全く美味しそうでなく、
どんな材料を使っているのかや、
どんな味なのかの具体的な説明が無いので、
(更に言えば、暢子は常に口を大きく開けて
はむっと噛むだけで終わるので、
食べ方が美味しそうでもない)
それを知らない視聴者は置いてけぼりです。
食べ物や料理が主題の作品でこれでは、
かなり勿体ないですし、
「やっぱり主題は貧乏なんじゃない?」と
嫌味も言いたくなります。



優子については……
見れば見るほど呆れてしまい、
彼女への嫌悪感が増しています。

まず、事前に釘を刺されていたにもかかわらず、
賢秀にお金をほいほいと渡した件。
あり得ないです。

更に、責められた賢秀を庇って
「うちの子は優しいんですよ」とか
「家族のためにしたことなんです」と言った件。
もし私が、責める相手の親にこう言い訳されたら、
感情を逆撫でされた気になってブチ切れると思います。
賢秀が本当に優しい子なら、
誰かに迷惑をかけたらちゃんと謝るでしょうし、
そのせいで自分の家族を困らせるなんてことには
まずならないと思います。
また、家族のためにしたことで
家族以外の他人に迷惑をかけるのは、
大人として駄目な行為です。

警官と共に下地先生が比嘉家にやって来た際に、
咄嗟に隠れようとした賢秀を、
優子が大きな布をかけて隠したのも、
私には不愉快でした。
母親なら、逆にそこで息子を突き出すべきでは?
優子が賢秀に強く言えず、甘やかしてばかりだから、
代わりに良子が文句を言う羽目になっている点も含めて、
優子の親としての不甲斐なさがとても気になりました。
あと、高額な負債を抱えているのに
優子がその借金相手に向かって
「子供には好きなことをさせたいんです」と言ったのにも
驚きました。
そう思うのは自由ですが、
それを言っていいのは
借金を全て返し終わった後でしょうに。

大叔父さん夫婦も、昔から、
優子に向かって色々ときつく言うだけでなく、
借金の取り立てや暢子の東京行きを反対するといった
悪役としての描写ばかりなのが、
とても気になりました。
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彼らはすっかり比嘉家の幸せな生活を阻む障害に
なっていましたが、
大叔父さんの言うことは間違っていないですよね。
賢秀が詐欺に遭ったと判明し、
借りたお金を返せないと分かった時に、
優子がすぐに彼らの元に行って謝らなかったのも、
見ていて嫌でした。
問題が大きければ大きいほど、
相手に事情を聞かれる前に、
自分から非を打ち明けに行かなきゃ駄目でしょうに……。

忙しいせいで、
公式のインタビュー記事を全く読めていないのですが、
賢秀と優子については、
どうしてこういう描き方になったのかを
いつか知りたいです。
役者さんではなく、
できればプロデューサーや脚本家、演出家の言葉で。
優子は賢秀に対して(勿論、三姉妹に対しても)
生きているだけでもう十分だから
彼が悪いことをしても叱らないし、
彼が望むことをさせたいと思っているように見えます。
その結果、賢秀は、彼自身にはやたら甘い一方で
他人にはやたら要求が多い人間になったのだから、
その責任を優子も負うべきです。
今回はお給料の前借りで何とかしようとしたけれど、
本来ならもっとやるべきことがあるだろうにと、
ツッコミを入れざるを得ません。

来週から暢子が東京に行っても、
家族とはまだまだ交流が続くようなのに、
悪い意味で心が震えそうです。
もう、面白くなれとは思っていないので、
せめて穏やかな気持ちで流し見できるような内容に
なってほしいです。



続きはこちら。
【感想:NHK朝ドラ「ちむどんどん」第6週:はじまりのゴーヤーチャンプルー*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-21



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2022-05-14 00:20 
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