さくらもちモチ

映画感想「チェリまほ THE MOVIE〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜」*ネタバレあり　[映画・舞台] [編集]

映画「チェリまほ THE MOVIE
〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜」の感想です。
以下の記述にはネタバレを含みます。

https://cherimaho-movie.com/
https://www.tv-tokyo.co.jp/cherimaho/

関連記事
【ドラマ感想「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-12



封切りから既に一か月以上が経ちましたが、
セカンドランでようやくようやく
私が行きやすい映画館での公開が始まったので、
早速、行ってきました。



安達と黒沢の仲は相変わらず良く、
特に黒沢の安達への愛が尋常でなく熱くて、
とにかく安達が果報者すぎました……。
私も藤崎さんになって彼らをそっと見守り、
心の中でちょっと冷やかしつつにやにやしたいと
何度も思いました。
黒沢も安達も、相手は勿論のこと、
自分の恋愛感情もちゃんと大事にしていて、
二人でずっと生きていきたいと強く望んでいるのが
深くしっかりと伝わってきました。
あの後、職場でのカムアウトも無事に済んだのか、
双方の家族や藤崎さんだけでなく、
六角くんや先輩も結婚式に参列していたらしい点には
私も嬉しくなりました。
安達と黒沢には、永遠に幸せでいてほしいです。



ただ、二時間弱の劇場作品として考えると、
全体的に盛り上がりに欠けていて、
物語がちょっと弱いなと思いました。
というのも、
この二人の愛が揺らぐことは絶対に無いと
観客は分かっていますし、実際にそうなので、
通常であれば物語を構成する問題の起きようがないというか、
一般的な恋愛作品なら普通に生じるであろう問題や障害が
この二人には無いんですよね。
二人があまりにラブラブである上に、
それぞれの相手への信頼がしっかりしているので。

今回の映画では、まず最初に、
物理的な距離という試練が二人に与えられました。
でも一年未満の遠距離恋愛は、
大人の恋の障害としてはビミョーで大したことはなく、
「四季折々のイベントを二人で一緒に過ごすことを
凄く楽しみにしていた黒沢を悲しませたくないから」という
安達が転勤を断る理由が、
必然的に弱いものになっていて、
彼の真剣な迷いも大袈裟なものになっていました。
たとえば、安達の長崎への転勤が恒久的で、
その話を受けたらもう東京には戻れないとしたら、
黒沢と一緒にいられなくなることへの不安や悲しみにより
安達にも迷い甲斐が出るので、
そりゃ迷うよね、断るよね……と
私も共感や納得が自然にできます。
その前提で、もし安達が長崎に行くとしたら、
今度は二人のラブラブいちゃいちゃを描くという
「チェリまほ」の世界や主題が壊れて、
元も子もなくなりますし、
安達が行かないのも、仕方が無いとはいえ、
何よりも黒沢への恋を優先するというのは
どうしても大人としての仕事に対する姿勢を問われるので、
安達に対する評価が下がってしまいます。
なので今回の「短期間の転勤」という問題は、
二人の恋の障害としては精いっぱいのところなんだろうなと
私も思ったのですが、
やはり「その程度でこんなに悩むの？」という印象は拭えず、
二人がくっついたことで逆にお話作りは難しくなっているんだなと
妙に実感しました。

その後の、二人の家族へのカムアウトも……
黒沢家ではやや不穏な空気から始められたとはいえ、
両家とも親は静かに二人の話を聞いてくれましたし、
最後にはすんなりと受け入れていたので、
二人の心配は懸念に終わり、
無事に最良の成果を得られた件については
素直に「良かったね」と思ったものの、
物足りなさもそれなりに感じました。
それと今回は、二人とも相手の親に向かって
自分の思いを真摯に伝えていましたが、
（黒沢が安達の親に、安達が黒沢の親に言っていた）
私の個人的な好みで言えば、
自分の親と改めてちゃんと向き合って気持ちを言うところを
見たかったです。

嬉しかったのは、
二人が相手の実家訪問時に手土産を渡す際に、
紙袋を外して中身だけをちゃんと渡していた点です。
ちゃんとしているなぁと感心しました。



それと、これも私の個人的な好みにより
ドラマ版ではちょっと不要だと思ってしまった
柘植と湊についてですが、
この映画では二人の出番が控えめで、
安達と黒沢の物語を全く邪魔していなかったので、
このくらいが丁度良いなと思えました。
私がホモカプ乱発を苦手としているのは変わりませんが、
今回の柘植たちについては
全く不快に思わずに穏やかな気持ちで観られました。
あの二人もずっと幸せでありますように。



一番好きだったのは、
予告のCMでも少し流れていた、
安達お手製のオムライスに黒沢が感激しているシーンです。
黒沢の感動っぷりは普通でないけれど実に素晴らしく、
安達は彼の極端な言動に面食らいながらも、
割とまんざらでもなくて嬉しそうというのが、
とてもたまらなかったです。
一生いちゃいちゃしていてください。

ただ、ドラマ版の最後のキスシーンが
実はしていないと明らかに分かる映像だった分、
せめて映画では、
一度ぐらい唇をちゃんと合せてほしかったです。
初めて結ばれた後も見事な朝チュンっぷりで、
まるで昔の少女漫画のようでした。
別に具体的な濡れ場を欲したわけではないのですが、
なんかこう……もっと……ねぇ……
映画ならではのサービス映像が観たかったです。



こんなわけで、
物足りなさや不満もそれなりにありましたが、
二人の愛にすっかり当てられたお陰で、
幸せな気持ちで映画館を出ることができました。
楽しかったです。



ドラマ版の感想記事にも書いたとおり、
この日は「チェリまほ」のタイトルに合わせて
チェリー柄のスカートを穿きました。
【20220511：ギンガムチェリーSK（metamorphose temps de fille）】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2022-05-12-1
絶対にチェリー柄で行く！と決めていたので、
実現できて嬉しかったです。