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感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第10話:覚悟*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「さんかく窓の外側は夜」の感想です。
今回は第10話「覚悟」について記します。
以下の記述には、先の展開を含むネタバレがあります。
原作の漫画については読了済みです。
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さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

さんかく窓の外側は夜 その後 (クロフネコミックス)

  • 作者: ヤマシタ トモコ
  • 出版社/メーカー: リブレ
  • 発売日: 2021/12/20
  • メディア: コミック

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第2話:束縛
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第9話:交錯
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第10話「覚悟」のあらすじはこちら。
https://sankakumado-anime.com/
 冷川を助けるためにも先生の自宅に向かう三角、迎、逆木、英莉可。しかし、先生が集めた禍々しい力が道を塞いで先に進むことができない。無理矢理こじ開けようとしたとき、逆木は襲いかかってきた力を浴びてしまう。しかし、力は逆木の体を通過するだけで――!?なんと逆木は、英莉可に命を救われた影響で『死がない』体質になっていた。

前回の最後で”先生”の呪いに襲われそうになった際に、
三角くんがたまたまその場にいた一般人を庇ったせいで、
自分が彼に選ばれなかったと思い込んだ冷川さんが、
負の感情を募らせた直後からでした。

私、前回の感想で
「冷川さんが空間に飲み込まれた」と書きましたが、
冷川さんはそのままで、
そうなったのは三角くんと一般人の男性の方ですね。
後で訂正しておきます。

空間転移の途中で男性を安全な所に放り出した後、
三角くんが落ちたのは、
前回もお世話になった「一度入ったら出られない家」でした。
そこを追い出された三角くんは、
これまでのことを迎くんに説明します。
罪悪感に苛まれているせいか、
いつもより辛そうな三角くんの気持ちを察して、
ちゃんと「自分を責めるな」と言ってあげる迎くんが
優しかったです。
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後から合流した英莉可ちゃんと逆木さんと一緒に、
早速、作戦会議を始めます。

街には先生が張った呪いの網のようなものがあり、
それに引っかからなければ
英莉可ちゃんたちも普通に出歩けるとのこと。
ただ、後で向かう先が”先生”の自宅となると、
網を回避するのはとても無理な話ですが、
浄化を得意とする三角くんならば壊せると判明します。
しかし、三角くんが試しにそうした途端、
呪いが勢いよく溢れ出てしまいました。
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咄嗟に英莉可ちゃんを庇った逆木さん。
呪いを正面からまともに受けてしまいましたが、
死は彼を介した途端に消滅しました。
英莉可ちゃん曰く、
”先生”の呪いに襲われて一度死んだ逆木さんを、
英莉可ちゃんが無理に助けたのを機に
(逆木さんを蝕む死を英莉可ちゃんが自身の中に呼んだ)、
彼の中で死に対する抗体ができたとのことです。
ここで主要人物の一人が不死の体になるのは
いかにも二次元的な展開ですが、
現実に近いこの作品の中では、
勿論、それを喜ぶ人間は当人も含めて一人もおらず、
本当に洒落にならない事態として
重く受け止められていました。
人並みに生きることができないのは辛いけれど、
人並みに死ねないのも、
きっと同じくらい辛いですよね……。
ただ、逆木さん自身が指摘していたとおり、
さすがに肉体を失えば、
不死となった彼でも死ぬかもしれないことと
(魂だけが残る可能性はあるかもしれない?)、
英莉可ちゃんになら死を与えてもらえそうなのを思えば、
救いが残されていると言えるのかもしれません。
それでも、とんでもないことになってしまったなと
思わずにはいられなかったです。
元々霊感に恵まれず、
他人よりそういったものに鈍かった逆木さんが、
どんどんそちら側の世界に引っ張られていくのは、
原作の漫画を読んだ時も少し怖かったです。
とはいえ、逆木さんが耐性を得たことで、
ここで死なずに済んだのは良かったですし、
”先生”の家に乗り込んでからは
触れるだけで呪いを次々に消していくのが頼もしく、
今まで以上に彼のことが心強い存在だと感じられていて、
私の中でも常に
「逆木さんがいるから英莉可ちゃんは大丈夫」という
安心要素になっていたのも確かです。
英莉可ちゃんと逆木さんの絆がより強まったのは、
嬉しいことなんですけどね……
やはり手放しでは喜べないです。



浄化した”先生”の呪いの網の中に
何故か冷川さんを感じたことを
躊躇いながらも皆に伝える三角くん。
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事態の深刻さを改めて実感し、
皆で決意を固めます。



そして三角くんは、
自宅での母親との談笑の最中に、
彼女から譲られた宝石箱の蓋の飾りの力に気付きます。
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自分だけでなく、
ここにいない夫のことも息子から褒められて、
照れながらはしゃぐお母さんが、
とても可愛かったです。
その反面、その夫にかつて言われたことを
中途半端にしか思い出せなかったシーンは、
切なかったです。



その頃、行方不明だった冷川さんは、
”先生”と共にあの家の呪いに縛られていました。
しかし窮地に陥っていたのは冷川さんのみだったようで、
いち早く呪いの呪縛を解いたらしい”先生”は、
言葉巧みに冷川さんの感情を誘導し、
彼の魂をこの家に閉じ込めることに成功します。
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多分、霊能力の強さだけで単純に戦えば、
冷川さんは”先生”に勝てると思います。
しかしこの時は、
そもそも”先生”に地の利があっただけでなく、
彼が他人の弱味に付け込むことに長けていたのが、
冷川さんの敗因だったかと……。
もしも、こんなことになる前に
冷川さんがあの壮絶な過去を乗り越えられていたなら、
”先生”にそこを弱味として突かれることはなかったでしょう。
せめて冷川さんの精神状態が良かったなら、
”先生”の言葉を聞いても
「馬鹿馬鹿しい」と言って突っぱねられたかもしれません。
とにかくこの時は冷川さんにとって最悪な状況で、
”先生”と戦うには不利過ぎました。



少年の姿をした冷川さんが
密室に閉じ込められる夢を見た三角くんは、
それが危機的状況にある彼の現状だと受け止めます。
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以前に交わした契約書を持った三角くんの耳には、
例の飾りがピアスとして輝いていました。
これで、ストラップとして使っていた時とは違い、
始終ずっとお守りを身に付けていることになりました。
”先生”の正体が三角くんの父親という事実を踏まえると、
これから父と戦うべく、
かつて母が父から貰ったものを
息子がお守りとして携帯するというのは、
非常に皮肉な話で、
私も複雑な気持ちになります。
ただ、それに留まらず、
人の思いは良いものにも悪いものにも容易になるということの
良い見本だとも思えるので、
結構好きなエピソードです。



三角くんたちが”先生”の家に着くと、
彼は動じないどころか、
寧ろ進んで三角くんたちを中に迎え入れます。
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外では、信じないという最強の力を持つ半澤刑事が、
冷水を注ぎながら家を一周していました。
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信じない半澤刑事が三角くん一行を信じる限り、
彼が作るきれいな結界は効力が続くそうです。
半澤刑事がちょっとぼやいていたとおり、
彼が皆を信じるといっても
「何かやれるらしい」と思う程度のようですが、
普段の半澤刑事が全く信じない人だからこそ、
例外であるが故の特別さ、希少さが生じて、
効力が増すんでしょう。
私たちのように、
普段からごく当たり前にあれこれと信じてしまう人間が
この時の半澤刑事のように水を撒いても、
ただ地面が濡れて終わるのを思うと、
改めて彼の凄さ、特異さを実感します。



三角くんの浄化や半澤刑事の結界が成功したとはいえ、
”先生”はまだまだ強敵であり、
敵地に乗り込んでいるという不利もあります。
ここはどう考えても慎重に動くべきで、
実際、逆木さんはバラバラになるなと言いますが、
去った”先生”に釣られる形で三角くんが走り出した後、
少年の冷川さんを窓越しに見た迎くんが
勢いよくそちらに向かってしまいました。
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三角くんの親子対決がとても重要で、
作品の見どころの一つであるのは当然です。
でも最初に原作の漫画を読んだ時は、
きっと英莉可ちゃんが”先生”との決着を先につける間に、
三角くんが迎くんと共に冷川さんを救い、
全員が集合した後、
改めて”先生”を倒すのだと予想していましたので、
先に迎くんのみが冷川さんの元に行くのだと知った時は
かなり意外だと感じました。
でも対話を重視し、また、それを得意とする迎くんが、
三角くんが到着するまでの時間稼ぎとして活躍するのは、
本当に彼らしいので、
勿論、今では自然だと思えています。



その場に残された英莉可ちゃんと逆木さんは、
消えた二人を補佐するために、
呪いでぐちゃぐちゃになった空間を整えようとします。
魂で直に繋がることで
逆木さんの力を強化する英莉可ちゃん。
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このスクショをパッと見た時、
物語を知らない人ならば、
とても怖いと思うようなホラー絵ですが、
知っている人間からすると、
もう二人が頼もしくて頼もしくてたまらないシーンでした。
英莉可ちゃんが男前すぎて、惚れます。
とても格好良いです!



英莉可ちゃんによって力を強められたことで、
逆木さんの目にも、
室内にいる多数の黒い影が映るようになりました。
別室では、英莉可ちゃんの父親らしき人物が
ぼんやりと佇んでいました。
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アニメでは、
英莉可ちゃんの父親の顔が崩れていたり、
異臭を放っていたりといった異常な変化が
全て省略されていましたので、
この最期についても無いことになるのかなと
思っていました。
でも、こうしてちゃんと描かれていたので、
嬉しかったです。
ここ、いくら一般的な殺人とは違うといっても、
英莉可ちゃんが父親殺しの業を背負わずに済んだのが、
本当に本当に良かったです。
もしそうしてしまったなら、
今は何も思わなくても、
後々ずっと重く引きずる羽目になりますよね。
逆木さんには「よくぞ英莉可ちゃんを止めてくれた」と
お礼を言いたいです。



英莉可ちゃんたちによる掃除が進んだことにより、
迎くんは冷川さんの元に辿り着いていました。
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「僕を嫌いなくせに」と当たる冷川さんに対し、
「嫌いじゃない。気が合わないだけ」と返す迎くん。
できた人だ……!
普通は、
「気が合わない=嫌い」になりがちだと思います。
さすが、相手を尊重する迎くんです。



そして三角くんも、”先生”と対峙します。
”先生”がいたのは、
かつて彼が三角くんの母親と暮らしたアパートの部屋でした。
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冷川さんが閉じ込められた密室といい、
こうして”先生”がいた狭いアパートの一室といい、
良くも悪くも思い入れがある場所に
人の魂は囚われやすいのかなと思いました。
アニメと関係が無い、個人的な話で恐縮ですが、
つい先日、私が高校生まで暮らしたアパートが
取り壊されているのを見ました。
もし私が冷川さんや”先生”だったなら
絶対にそのアパートの部屋にいると思います。

三角くんはほぼ覚えていないとはいえ、
あのアパートの部屋のドアは、
彼か彼の母親にしか開けられないでしょうし、
そもそも見つけられない(辿り着けない)でしょう。
三角くんがピアスに変えたあの飾り以上に、
二人の家族としての繋がりを
否が応でも強く感じてしまいました。

また、ここでは、
”先生”が冷川さんに
「あの子が欲しいんだろう」と囁いていたとおり、
もう既に彼は三角くんが自分の息子だと知っている点が
非常に興味深いです。
かつてはちゃんと親として愛せていたのに
今は一番憎い対象ですからね……。
最後の「おまえさえいなければ」の台詞は、
その後の展開を知っていても、
聞いていて辛かったです。



とうとう終わりが見えてきました!
三角くんは本当に大変ですが、頑張ってほしいです。



【感想@アニメ「さんかく窓の外側は夜」第11話:対峙*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-12-21



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2021-12-12 18:17 
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