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感想@NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」第4週:1943-1945*ネタバレあり [NHK連続テレビ小説感想]

NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の感想です。
今回は、こちらの週について記します。
第4週:1943-1945
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以下の記述にはネタバレを含みます。

連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part1 NHKドラマ・ガイド

連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part1 NHKドラマ・ガイド

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/10/25
  • メディア: Kindle版

以前の感想記事はこちら。
【第1週:1925-1939】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-05
【第2週:1939-1941】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-12
【第3週:1942-1943】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-11-20



第4週のあらすじはこちら。
https://www.nhk.or.jp/comecome/
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今週は終戦直前から直後の三年間が描かれるということで、
稔さんの死を含め、
視聴していて辛い内容になるだろうとの覚悟は
私の中にもありました。
でも実際の放送は予想以上にしんどく、悲しく、
ほぼ毎朝、胸を抉られるような苦しさを味わいました。

以前の週もそうであったとおり、
この「カムカム」は物語のスピードがとても早く、
あっという間に月日が流れていきます。
しかし、実際に焦点が当てられた場面
(放送されたシーン)は
どれも印象的で、良くも悪くも余韻が凄まじく、
特に今週は、十五分の放送が終わっても
ドラマの辛い内容を何度となく思い出してしまい、
いつまでも引き摺る羽目になりました。
とあるシーンがふと頭によぎっては、
うっと泣きそうになるのを繰り返すという感じです。



先週の最後で、晴れて結ばれた安子ちゃんと稔さん。
すぐに子宝に恵まれたのは本当に幸いでしたが、
結局、稔さんは、
子供を一度も抱けないまま逝ってしまいました。
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るいちゃんの誕生を雉真家が喜んだのは勿論のこと、
橘家も大喜びで、
安子ちゃんの里帰りのシーンは見ていて楽しかったです。
戦況の悪化によりすっかり荒んでしまった生活の中での
僅かな癒しでした。
それがまさか、空襲の被害に遭ってしまうとは……。

私もよく知らなかったのですが、
岡山の空襲は事前の警報が出されなかったこともあり、
被害も甚大だったそうです。
実際、ドラマでも警報が流れず、
いきなり空襲の音が遠くに聞こえていました。
【ウィキペディア:岡山大空襲】https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2

また、以前、ネットで見た情報によると、
焼夷弾は建物を焼き尽くすために作られた爆弾で、
中に可燃性の液体が詰められることから、
木材と紙から成る日本家屋を焼くには適しており、
一旦燃え始めると、
水をかけてもなかなか消えないとのことです。
加えて、当時の防空壕は、
土を掘って作った大穴に簡易の蓋で閉じる程度のものです。
多少の落下物から身を守る程度なら効果はあるでしょうが、
それこそ、すぐ近くに焼夷弾でも落ちたなら、
中に逃げ込んだ人は蒸し焼きになってしまいます。
とはいえ、あの状況なら、
家族に近くの防空壕に逃げ込むように指示をした金太さんは
決して間違っていないです。
何なら、防衛の手段はそれ以外に無いので、
金太さんが何も言わなくても、
小しずさん達は進んでそうしたかもしれません。
しかし、判断の是非がどうであれ、
家族が防空壕で死んだのは事実なので、
金太さんが自責の念に駆られるのは
無理も無いことだと思います。



八月十五日を迎え、戦争がようやく終わっても、
人々の心の傷はなかなか癒えず……。
だからこそ、心身ともに深く傷ついていた金太さんが、
安子ちゃんが作った餡子を介してようやく復活し、
和菓子屋「たちばな」を再建しようとしたのには
私の心も大きく震えました。
日本に帰国した若い兵士が、
金太さんたちが作ったおはぎもどきを口にして
幸せそうにしていた様子を見ていたら、
私まで嬉しくなって、
まだ朝なのに猛烈に和菓子が食べたくなり、
「カムカム」の第1週の放送を楽しく見ていた頃に
気持ちが戻りました。
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なのに、まさか金太さんまで逝ってしまうとは……。
全く予想していなかっただけに、
木曜日の放送の最後のナレーションを聞いた時は、
「ん? 金太? 金太って……お父さんだよね? え?」と、
一瞬、自分の耳を疑ったあと、
ようやく飲み込めた事態が衝撃的すぎて、
言葉を失いました。
私は、朝七時半からのBSPでの放送を見ているので、
この時は八時からの地上波放送も視聴し、
続けて「あさイチ」も見ました。
もう言葉にならない状態になっていた鈴木アナは、
まさに視聴者代表だったと思います。
私も、泣けて泣けて仕方がなかったです。

勿論、予兆というか、違和感はありました。
おはぎもどきを盗んだ少年が
夜になって戻ってきた時に、
外から「おはぎのおっちゃん!」と呼んだのに、
そこには何故か算太さんが立っていて、
「言われたとおり、自分の才覚で売ってきた」と言って
稼いだ金を金太さんに差し出した時は、
私もわけが分からず、首を傾げました。
もしかしたら、少年が出先で算太さんと偶然会い、
おはぎもどきを食べた算太さんが
「この餡子はたちばなの味じゃ!」と気付いて、
少年の代わりに売ってきたのかなとも思ったのですが……。
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お金持ちの婦人を騙して和菓子を売りつけた話を
まるで武勇伝のように朗々と語った算太さんは、
良くも悪くも彼らしかったというか、
あの短い話の中に
彼の長所も短所もぎゅっと詰め込まれていました。
また、本来の金太さんならば、
相変わらず小賢しい算太さんに対して
「算太!」と怒鳴り、本気で叱ったでしょうが、
ここでそうしなかったのは、
やはり、息子である彼が愛おしくてたまらず、
彼の出征の際に意地を張って見送らなかった悔いが
途方もなく大きかったからでしょう。
そして、無念でならなかった母や妻の死に対し、
息子に「戦争だから仕方ない」と言ってもらえて、
心の荷が少しは軽くなったはずです。
もう無くなってしまった橘家の居間で、
幼い安子ちゃんが運んできたおはぎを、
家族や職人さんたちと一緒に食べるシーンから、
背景が現在のバラックに変わっても
ラジオを聞きながら皆でそうしているシーンは、
まるで上質の映画を観ているような気分になりました。
過去が本当に幸せそうで楽しそうであった分、
全てを失ってしまった今の辛さがより際立ちました……。
更に、願望を含んだこの回想が
温かくて優しくて素敵だっただけに、
そこに掛かるようにして金太さんの死が伝えられたのが、
本当に衝撃的でした。
ここまでナレ死が効果的だったのは、久し振りです。

幻とはいえ馬鹿息子との会話を果たし、
もう叶わない家族の団欒を楽しみながら、
一人で静かに逝ってしまった金太さん。
幸せな気持ちで逝けたなら良かったですが、
できれば、もっと長く安子ちゃんと生きてほしかったです。

しかし、希望はまだあります。
あの少年はちゃんと戻ってきました。
稼いだお金も、最終的には彼のものになったとはいえ、
一度はちゃんと返しました。
金太さんは賭けに勝ったんです……!!
算太さんも、絶対、無事に戻ってくるはずです。
私もそう強く祈ります。

少年に優しく話しかけた時の安子ちゃんは、
礼儀正しく頭をちゃんと下げただけでなく、
彼に今後の道も提案していて、
良い大人になったなぁとしみじみ思いました。
少年から受け取ったお金を全額渡した判断も、
素晴らしかったです。



さて、終戦からそれなりの月日が経過し、
ラジオの基礎英語講座の放送が復活しました。
冒頭で「皆様、お久し振りでございます」と挨拶した
男性アナウンサーも、
きっと万感の思いだったでしょう。
私も嬉しくなっただけでなく、
以前の日常がようやく戻ってきた!と実感しました。

そして、勇くんが戦地から無事に戻ってきました。
彼は小笠原で穴ばかり掘っていたとのことですが、
当時の小笠原諸島は本土防衛の最前線ですので、
多くを語らなくとも、当然、大変な思いをしたはずです。
映画「硫黄島からの手紙」でも描かれたとおり、
硫黄島の防衛部隊は一部を除き全滅しましたし、
それ以外の島でも空襲があったと記憶しています。
確か上記の映画では、二宮和也くん演じる若い兵士が
穴を掘らされてばかりいることに不満を漏らしていたと、
ぼんやりと思い出しました。

そんな中、とうとう、
稔さんが戦死したという報が届きました。
遺骨も遺品もなく、ただ紙切れ一枚を受け取らされて、
その死を認識しろというのは、
遺族にとってあまりにも惨いです。
ただ、稔さんの配属がどこだったにしろ、
戦地で迎える死は総じて悲惨なので、
むしろ知らない方がましだと言える場合も
あるかもしれません。

それにしても……
祖父だけでなく母と祖母、そして父を亡くした後、
夫の戦死を知るだなんて、
安子ちゃんの境遇があまりにも可哀相すぎます。
そして、当時は
これが別に珍しくなかったという事実を思うと、
胸が潰れそうなぐらい苦しくなります。
安子ちゃんの人生は、
ひなたの道が色を失くすほど苦難に覆われてしまいましたが、
それでも生きていかなければならないんですものね。
るいちゃんもいることですし、
どうにか頑張ってほしいです。
金太さんが言っていたとおり
「菓子は苦しい時ほど必要となる」ものですが、
安子ちゃんが和菓子を頬張って笑える日が
早くやって来ますように。
その時は、私も一緒に和菓子を食べたいです。



今週の放送を見ていたら、
久し振りに靖国神社にお参りをしたくなりました。
併設された遊就館もお勧めです。
【遊就館】
https://www.yasukuni.or.jp/yusyukan/
切なる思いが込められた遺品の数々は、
涙無しには拝見できません……。
もしお近くに寄られた際は、是非、お寄りください。

次週も楽しみですが……辛い!!!



続きはこちら。
【感想@NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」第5週:1946-1948*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-12-03



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2021-11-26 17:38 
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