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感想@映画「燃えよ剣」ネタバレあり [映画・舞台]

映画「燃えよ剣」の感想です。
以下の記述にはネタバレを含みます。
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https://moeyoken-movie.com/

燃えよ剣 (文春e-book)

燃えよ剣 (文春e-book)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/04/06
  • メディア: Kindle版


多くの人に今も愛されている新選組。
私も大好きで、
当時はパチンコ屋だった京都の池田屋跡を始め、
函館の碧血碑に土方歳三終焉の地など、
ライブ遠征のついでに、
彼らのゆかりの地を積極的に訪ねていました。
最近は、ゲーム「刀剣乱舞」の影響で、
彼らの愛刀にも多大に興味を持っています。
数年前には、和泉守兼定を見るために、
日野に足を延ばしました。
【日野観光2019(高幡不動尊・土方歳三資料館)】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2019-05-07-1

大好きな新選組が主題、
司馬遼太郎先生による超有名な小説が原作、
主演が岡田准一さんとくれば
映画館で必ず観るという選択しかありませんでした。
期待していたとおり、とても素晴らしかったです。



蝦夷にいる土方歳三が
過去を振り返りながら語る形で話が進むこの作品。
物語は、土方さんが近藤勇や沖田総司らと共に
日野でやんちゃをしていた頃から始まります。
清河八郎と共に浪士隊として京に上った後、
芹沢鴨と組んで新選組を結成し、
彼の暗殺、そして池田屋事件、
山南敬助の脱走と切腹……と怒涛の展開を見せ、
遂には鳥羽伏見の戦いを迎えます。
勿論、終盤での土方さんは近藤さんとの別れを経て、
蝦夷に向かいます。
上映時間が約2時半とはいえ、
大小さまざまなエピソードが盛り込まれているため、
全体的に駆け足ではありますが、
大事なポイントはちゃんと丁寧に作られており、
見応えがありました。
どのエピソードも、
新選組を愛する人なら知っていて当然のものなので、
さすがに意外性や驚きは無かったものの、
堂々とした王道の作りは圧巻でした。
正統派の新選組映画として、高く評価できると思います。

ただ、新選組をそれほど知らない観客には、
全般的に説明が足らず、不親切であるのは否めません。
とはいえ、描かれているのはどれも有名な出来事なので、
たとえば役者さん目当てで見ようとする人は、
事前に軽く予習をしておくことを強くお勧めします。



殺陣がとてもお得意な岡田さんが主演ということで、
殺陣のシーンはどれも凄かったです。
天然理心流が実戦に強いというのも、
映像からちゃんと分かりました。
芹沢さんの暗殺や池田屋の襲撃のシーンは、
なかなかエグい描写になっていましたが、
グロ系が苦手な私でも平気で見れました。



豪華な俳優陣が勢ぞろいということで、
役名より俳優さんの名前が先に思い浮かぶ人の方が
圧倒的に多かったのですが、
見ているうちに、自然に
それぞれを役名で認識できるようになりました。
特に、岡田さんの土方さん、
鈴木亮平さんの近藤さん、
伊藤英明さんの芹沢さんは、常に安定していて、
画面に初めて彼らが登場した瞬間から
「あぁ、土方さんだ」「あぁ、近藤さんだ」
「あぁ、芹沢さんだ」と無理なく受け入れられました。

また、失礼を承知で敢えて「意外」と書きますが、
沖田くん役の山田涼介さんの好演が光っていました。
ジャニーズの方は、皆さん、若手でも演技がお上手なので、
沖田くんを山田さんが演じると知った時も、
驚きはあったものの、不安はありませんでした。
とはいえ「そつなくこなしてくれるんだろうな」と
軽く思った程度で、
期待も寄せていなかったのですが……
映画を見て、びっくりしました。
沖田総司と言えば、
にこにことした笑顔が印象的な柔和な性格の一方で、
刀を握ると鬼と化すというのが
一般的なイメージだと思うのですが、
山田さんが演じる沖田くんは、まさにその通りで、
「これぞ沖田総司」と言えるほどぴったりでした。
特に、沖田くんが土方さんに懐いているシーンは、
非常に微笑ましく、
年相応の子供っぽさや愛らしさが言動に出ていて、
可愛いなぁと和めた反面、
彼が刀を持った時の真剣さや怖さもしっかりとあり、
二面性のギャップを強く感じることができました。
なので、沖田くんの労咳の症状が進んだ結果、
彼がいつも床に臥せるようになってからは、
私も見ていてしんどくてたまらず、
土方さんと気持ちがシンクロしたような気分になりました。
山田さんについて、私はほとんど知らないのですが、
着物姿の美青年っぷりが半端なく、
月代も実に似合っていたので、
今後も本格的な時代劇で是非活躍していただきたいです。
山田さんのファンにしてみれば、
何を今さらと笑われてしまうかもしれませんが、
私にとってこの作品は、
「役者・山田涼介」を知る良い機会になりました。
本当に素晴らしかったです。

岡田さんや鈴木さんも凄かったんですがね……。
彼らには、もう既に
「演技が達者」という認識が強くあります。
上手くて当然と言ったら叱られるかもしれませんが、
実際、無意識にそういう見方をしてしまっています。
この作品では、とにかく山田さんが伏兵すぎました。
山田さんの良さを発見できただけでも、
この映画を観た甲斐はあったと思います。
私の中では、彼への見る目が大きく変わりました。



土方さんと言えば、好色な印象も強いのですが、
この作品ではお雪さんを大事にしていたのが
とても良かったです。
お雪さんについては、ここぞという時に
「私は土方歳三の妻です」と言い切ったところに
好感を持てました。
最後は淋しい……けれど、仕方が無いですしね。
二人の愛をずっと感じられたのが、嬉しかったです。

あと、この作品でとても好きだったのが、
山崎烝です!
私はお笑いに疎いので、
山崎さんを演じたのがお笑い芸人の村本大輔さん
(ウーマンラッシュアワー)だと気付いたのは
映画館を出た後でした。
見せ場が多く、おいしい役だったとはいえ、
彼にしか出せない良い味があったと思いました。
また、近頃、賢君と描かれることが多い徳川慶喜も、
この作品では非常になさけなく、
我儘な印象が強かったのが、好ましかったです。
(私は慶喜があまり好きではないので……)



そして、刀!!
土方さんと和泉守兼定の出会いには、
泣きそうになりました。
堀川国広や菊一文字(一文字則宗)も出てくるので、
刀剣乱舞で彼らを好きな審神者さんは
映画を見ても損は無いと思います。
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上記のとおり、長い上映時間ですが、
中だるみせずに一気に駆け抜けていきますので、
見終わった後はちょっと疲れました。
でも、その疲れすら心地よかったです。
できればもう一回、映画館で見たいですし、
円盤購入も前向きに検討したいです。
お勧めです!
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2021-10-21 13:26 
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