さくらもちモチ

感想@NHK朝ドラ「おかえりモネ」第13週：風を切って進め*ネタバレあり　[NHK連続テレビ小説感想] [編集]

NHKの連続テレビ小説（朝ドラ）「おかえりモネ」の感想です。
今回は、以下の週の放送について記します。
第13週：風を切って進め

初回と前回の感想記事はこちら。
【感想「おかえりモネ」第1週：天気予報って未来がわかる？】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-05-22
【感想「おかえりモネ」第12週：あなたのおかげで】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-08-06



第13週：風を切って進め

　車いすマラソンの選手・鮫島(菅原小春)のサポートをすることになった百音(清原果耶)たち。暑さに弱い鮫島のフィジカル面を改善するため、菅波(坂口健太郎)もその一員に加わる。鮫島のサポートを通してお互いを少しずつ理解していく百音と菅波だったが、あまりにじれったい二人の様子に、明日美(恒松祐里)は頭を抱える。そんな中、百音は鮫島が実際にトラックで走る姿を目の当たりにして、ある提案を思いつく。

私がドラマを見ていてツッコミを入れたくなるのは常で、
「おかえりモネ」に限ったことではないのですが、
ツッコミを入れる回数があまりにも多いとなると、
結局そのドラマに対する不満が募っているんだなと
改めて実感させられた週でした。
視聴者がちょっとツッコミを入れる程度なら
それは楽しんでいる証のように思えますけれど、
ツッコミを入れるしかない、入れてばかりとなると
話は大きく違ってきます。
今回はまさにそんな週でした。



今週のキーパーソンは、パラアスリートの鮫島さんでした。
顔も声も言動もとにかく圧が強い人だったので、
彼女がモネちゃんに大声で不満をぶつけたシーンでは、
事前に予告を見てそういうところがあると分かっていても、
ちょっとドキッとしました。
でも先週の放送で、莉子ちゃんがモネちゃんに向かって
「永浦さんって、重いよね」と言った時のように、
見ていて気持ちが少しスッキリできた部分もあり、
私自身がモネちゃんの言動の一部を嫌だと思っているんだと
再度気付かされました。
鮫島さんが怒った時のモネちゃんの
「分かってます！　でも！！」の言い方は、
思わずそう言ってしまった彼女の心境は分かりますし、
私自身もそんな感じで返答してしまうことがありますが、
聞いていて不快でした。



そもそも、今週のモネちゃんが
気象予報士の仕事をしていると全く思えなかったのが、
私が視聴を楽しめなかった大きな原因だと思います。
アスリートが野外で試合に挑むにあたり、
気象による影響を多大に受けることから
気象予報士の助けが必要……というのは分かります。
レース当日の気象を予測するのが気象予報士の仕事なので、
朝岡さんたちがそれを頑張るのは当然でしょう。
加えて、金銭的な余裕が無いせいで、
実質的な心身のサポートやケア、当日までの調整といった
本来は専門のコーチやマネージャーを雇って頼む業務についても、
朝岡さんが部下に丸投げせざるを得なかったというのは、
仕方が無かったという意味で自然なのかもしれません。
でも私の中では、気象予報士が主人公のドラマにおいて、
積極的に見たいと思う内容ではなかったです。


鮫島さんが無事に強化選手になれたことで
モネちゃんも自分のことのように喜んでいたのは、
良かったです。
とはいえ、まるでマネージャーのようだった今回の仕事を、
「自分が鮫島さんの役に立てて良かった」と嬉しがる様子には、
厳しい言い方をすれば
「人の役に立てれば仕事は何でもいい」と
受け取れなくもないので、
気象予報士になった意味は？との疑問をぶつけたくなります。
今週の話で大事だったのは、
モネちゃんが気象予報士であることではなく、
彼女が朝岡さんの下で働いていたという設定ですよね。
尤も、モネちゃんが気象予報士にならなければ
あの会社で朝岡さんの部下になることはできないので、
そういう意味でなら彼女が気象予報士であるのは必須条件ですが、
逆に言えば、
その設定以外に彼女が気象予報士である必要性が見いだせず、
不満に繋がりました。



モネちゃんが菅波先生と心を通わせていくにあたり、
後者の出番が必要だという点も分かりますが、
中村先生を介して彼も参加するようになったとの流れも
あまり好ましく思えませんでした。
以前、この業務に全く乗り気でなかった莉子ちゃんと内田くんが
残業代を会社から貰えそうだと知った途端に
参加を即答するという展開になったにもかかわらず、
自分たちにはお金が無いから
支払いを安く済ませるために知り合いの医者を～となり、
最初にモネちゃんが菅波先生に声をかけた時は、
「医者に対する報酬はケチっていいんだ？」と
嫌味を言いたくなりました。

また、せっかく医者の助言を得られたにもかかわらず、
暑い日に勝てない原因は深部体温の上がりやすさと判明
→ならば体質改善をしましょう！
→冷たい飲み物で体を冷やしましょう
という流れには、
ズコーのAAが頭に浮かびました。
氷を細かく砕くというのがポイントなんでしょうが、
そんなの子供でも思いつくよと言いたくなりました。
また、体質改善というのは
こんな短期間で効果を出せるものなのでしょうか。
素人の勝手なイメージとしては、
少なくとも数か月を要するのでないかと思えたので、
本当にそれが可能なら台詞での説明が欲しかったです。



そして、これが最大の疑問（ツッコミ）なのですが……。
鮫島さんの風に強いという長所は、
「他の選手と同一条件でのレースにおいて
向かい風の影響を大きく受けた際に、
鮫島さんが他の選手と比べてそれほど速度を落とさない」と
分かるが故のものかと、私は思っていました。
でも実際の選考会では鮫島さんは一人で走っていて、
大事なのはタイムだったので、
「それなら、風が吹かない方が良い結果が出るのでは？」と
思ってしまいました。
今回はトラック競技なので、
風が一定方向から吹き続けるとしても
周回中の選手には向かい風になったり追い風になったりと
状況がコロコロ変わります。
追い風の時に得られる貯金を、
必然的に遅くなる向かい風の時にどれだけ減らさないようにするかが
課題だと思っていたので、
それを得意とする鮫島さんの場合、
「強い風が吹いた方が勝てる」となるのでしょうが、
それはあくまで他の人と同じ条件をレースをする場合で、
今回のように一人で参加して
記録の数字だけで争うという時は、
風は吹かない方が速い結果を出せるのでは？と思いました。
それとも鮫島さんは、本当に言葉の通り、
無風時より強い向かい風を受けた時の方が
速度が増すのでしょうか。
鮫島さんは負けん気が強そうなので、
逆風の時にだけ火事場の馬鹿力のようなものが出て、
無風時より速度がぐん上がる……というのは
現実でもあり得るのかもしれません。
でも、急にファンタジー要素が強くなるなと感じました。

また、強い風が吹くと勝てるというのは、
逆に言えば、暑い日のレースにおいては強い風が吹かないと
（他の選手の速度が落ちる要素が無いと）
鮫島さんは勝てないとも言えなくもないので、
彼女は本当に強い選手なのかなとの疑問を持ちました。
そして、選考会のレース中にちゃんと強い風が吹くという
都合のよさ……！
感動を煽るような映像でしたが、
残念ながら、私の心は全く震えなかったです。
心の中で、棒読みで
「今後のレースでも強い風が吹くと良いですね」と思いましたし、
いっそのこと朝岡さんに巨大な扇風機を買ってもらって、
レースの度にモネちゃんたちに会場に持ち込んでもらえば？と
嫌味なことを思いました。



菅波先生の過去については、
彼が本気で悔いているのがよく伝わってきました。
ただ、上記の選考会のレースの描写で
もう失笑するばかりだった私には、
悲痛な告白をする菅波先生の心に寄り添える気力が無く、
モネちゃんの手当てによる慰めも含めて、
「あーはいはい」と投げやりな感想しか出ませんでした。
尤もここに限らず、二人が相合傘をしている時も
ちょっと冷ややかな感じで見ていたので、
（元々モネちゃんの恋愛に興味が無いです）
選考会のレースが無くとも同じ感想だったかもしれません。

私が二人の関係に興味を持てないのは、
先生が奥手なのも関係しているかもしれません。
彼自身が「小学生か」とツッコミを入れていましたが、
そう言える冷静さを持っているなら
もうちょっと頑張ってほしいです。
（とはいえ、急にガツガツ来られたら面食らいますが）



本当に、不満しか出てこなくなってしまいました。
この先が大変不安です。

続きはこちら。
【感想@NHK朝ドラ「おかえりモネ」第14週：離れられないもの*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-08-20-1