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感想@テレビドラマ「透明なゆりかご」第8~10回(最終回)*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

NHKのテレビドラマ「透明なゆりかご」の感想です。
この記事ではこちらの放送回について触れます。
第8回:妊婦たちの不安
第9回:透明な子
第10回(最終回):7日間の命
以下の記述にはネタバレを含みます。

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  • 発売日: 2019/01/25
  • メディア: DVD

以前の感想はこちら。
【感想@テレビドラマ「透明なゆりかご」第1~3回*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-05-04-1
【感想@テレビドラマ「透明なゆりかご」第4~5回*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-05-05
【感想@テレビドラマ「透明なゆりかご」第6~7回*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-05-06



【第8回:妊婦たちの不安】
望月さんが妊娠した後のお話でした。
今回は、彼女を含めた三人の妊婦さんが主でしたが、
皆の言い分がよく分かるだけに辛かったです。
妊娠前に「妊娠すれば幸せ」だと思ったり、
想像(理想)と現実の違いに負けそうになったりするのは、
誰にでもあると思います。
普段から仕事に対する熱意を強く持ち、
経験からくる自信も周囲からの高い評価もあるのに、
働く時間を自ら制限しないとならないのなら、
悔しくてやりきれない気持ちになるでしょう。
自分がもう産めないからこそ、
それが可能な妊婦が弱音を吐くのを許せないのも、
とても自然な感情です。
人間の生殖行為は男女で行なうことなのに、
女性ばかりが苦労を強いられるのも不平等な感じがあります。
未婚で子供が無く、婦人科の病気持ちの私からすると、
毎月欠かさず来る生理ですら理不尽に思えてなりません。
でも、今の女性がそういう生き物である以上、
たとえ納得できなくとも、
私たちは受け止めて生きていかなければならないわけで。
なかなかしんどいです。

ところで、望月さんの旦那さんは
随分と個性的な人物のようでしたが、
彼はアオイちゃんと同じタイプの人ではないんですよね?
彼の極端すぎる言動に、
私の気持ちがついていかない場面が何度かありました。

この回で一番嬉しかったのは、川井さんの復帰です!
随分と頼もしくなって帰ってきてくれました。



【第9回:透明な子】
放送前から、子供への性暴力の回があるとは知っていました。
なので、当初は「あぁ、今回なのか」と淡々と見ていましたが、
お話が進み、事件の詳細が明らかになるにつれて、
悲しさや悔しさ、怒りがぐちゃぐちゃに混じった感情が
涙と共に出てしまい、
真夜中だというのに大泣きしました。

義父や母親の恋人による幼女の強姦は、
残念ながら、今では決して珍しくないことです。
とはいえ、それは被害者が声をあげやすくなったり、
事件の詳細が安易に伝わるようになったりしたからで、
以前から少なくなかったに違いありません。

亜美ちゃんは、お母さんのことは勿論、
当初は養父のことも大好きだったんでしょう。
その養父から「これは皆もしていること」や
「母親が泣くよ」などと言われ、
発覚した日まで何度もそれを強制されていたという事態は、
これがドラマだと分かっていてもあまりに衝撃的で、
私も視聴中にめまいを起こしました。
俳優さんも相当しんどかったでしょうね。
NHK公式ブログの記事を読んでみたところ、
制作側もこの回ではいつも以上に気を配っていたと分かりました。
【「透明なゆりかご」舞台ウラより #11】
第9回『透明な子』をご覧くださった皆さん、本当にありがとうございまし... https://www.nhk.or.jp/drama-blog/6050/305282.html

心身共に傷付けられた少女に対し、
由比医院のスタッフが皆、素晴らしくて、
彼らの配慮には安堵するばかりでした。
由比先生の元奥さんだという長谷川先生も、
大変良かったです。

この回については他の回以上に思うことがあり、
特に加害者に対してはいくら罵倒しても足りないぐらい
怒りしかないのですが、
それを書く気力も彼に奪われてしまっています。
胸が酷く痛む内容だったものの、それだけで終わらず、
由比医院の皆の優しさが救いになっていて、
良い作品に仕上がっていたと思います。



【第10回(最終回):7日間の命】
これまでもたくさんたくさん泣いてきましたが、
涙の量ではこの最終回が一番多かったかもしれません。
辻村夫婦が下した辛い決断と、その結末には、
おいおいと泣いてしまいました。

子供の積極的な延命治療をしないと決めた点について、
お母さんは自己満足だと自嘲気味に話していましたが、
子供が長生きできない時点で正解が無い分、
たとえ逆の決断をしたとしても
同じように思ってしまっていましたよね……。
それだけ近しい人の死は非常に重く、
どんなに手を尽くしても、悔いは必ず残ります。
それを思うと、やはり、
生きている間をどれだけ幸せに過ごせるのかが
最も重要になってくる気がしますので、
あの赤ちゃんも、たった一週間だったとはいえ
最良の人生を送れたと言えます。
望む人の元で無事で生まれることだけでも奇跡で、
幸福であるのは、
この作品をずっと見てきた人なら分かることですし。

アオイちゃんが由比先生に
就職時に有利になる推薦書の記載をお願いした時は、
「あ、他の病院で働くつもりなんだ?」と意外に思いましたが、
やはりあそこでの就労を継続するようで、良かったです。
ナースキャップをかぶれるようになった見た目に留まらず、
内面も大分頼もしくなっていて、
その成長を感じられたのも素晴らしかったです。



由比先生を始め、スタッフの皆が優秀で、
こんな産婦人科があったら通いたいと思える病院でした。
勿論、妊娠や出産、障がい者、犯罪、終末について……など、
身近な問題から目をそむけたくなる事件まで
丁寧に深く切り込まれており、
どの回も色々と考えさせられました。
楽しいだけの内容ではないので、
万人向けではないのかもしれませんが、
年齢や性別、環境を問わず、皆に見てほしい作品でした。
今まで見てこなかった私が言うべきではないのでしょうが、
今回の再放送で初めて視聴して、その恩恵を受けたからこそ
NHKには定期的な再放送を望みます。



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2021-05-08 10:30 
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