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感想@アニメ「不滅のあなたへ」第1話:最後のひとり*ネタバレあり [アニメ感想]

(4/27 感想を追記しました)

TVアニメ「不滅のあなたへ」の感想です。
今回はこちらについて記します。
第1話:最後のひとり
01humetsu.jpg

不滅のあなたへ 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: アニプレックス
  • 発売日: 2021/08/25
  • メディア: Blu-ray


継続も含めて、今期に視聴しているアニメで一番、
心を持っていかれている作品です。
原作の漫画を読まず、前知識を持たないまま視聴したので、
この初回放送は目が溶けるんじゃないかと思うぐらい
途中から大泣きしました。

第1話のあらすじはこちら。
https://www.nhk.jp/p/fumetsunoanatae/ts/B2XW2X1ZMN/list/
01.jpg
何者かが地上に投げ入れたひとつの球。“それ”は大地を転がり、石やコケ、けがを負い死んだ白いオオカミへと姿を変え、雪原をさまよっていた。やがて“それ”は、飼い主の少年が暮らす小さな家にたどりつく。集落でたったひとり、豊かな土地を求めて去った仲間を待ち続けていた少年は、オオカミとともに旅に出ることを決意する。


この「不滅のあなたへ」のアニメは、
たしかコロナ禍の影響で放送開始が延びたんですよね。
延期する前にあった放送前特番をたまたま視聴した時に気になり、
いつ放送するんだろうと待っている間に忘れてしまいましたが、
今回、運良く放送直前に情報を得られたので、録画して視聴しました。

リアタイ視聴はしなかったため、
四日ほど経ってからのんびり見始めたのですが……
タイトルが「最後のひとり」というだけに、
不穏な雰囲気の内容だろうという想像だけはしていたものの、
まさかここまで胸を抉られる話だとは思ってもみませんでした。

この記事を書いている現在、
マガポケでは原作の漫画の一部が無料公開されています。
その中にはこの第1話も含まれているので、
もし宜しければ(というより是非)お読みになってください。
不滅のあなたへ - 大今良時 / 【第1話】最後のひとり | マガポケ https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13932016480029113164


第1話を一言で表すと、
「村に残った最後のひとりが、主人公が出会った最初のひとり」でしょうか。
もう……本当にたくさん泣きました。
こんなに泣いたのは久しぶりというぐらい泣きました。
最初は話を追っていくだけで精一杯でしたので、
少年が置かれている厳しい状況が徐々に分かるうちに、
「なんかこれ……やばいよね。やばくない?」と
嫌な予感しかない内容に怯えていました。
そして少年がうっかり怪我をしてしまった後、
希望が打ち砕かれ、絶望しかなくなる描写に心が震えてしまい、
多大な衝撃を受けました……。
心身共に色々な点で極限を迎えていた少年の心の中で、
ジョアンの存在は唯一の希望で、救いでもあって、
この時点ではまだ名無しであるフシが背負ったものの重さを
とても強く感じました。
良い話だけれど……素敵で素晴らしいけれど、
あまりにも少年のことが悲しくて辛くてせつなくて、
こうしてこの文章を書いている今も泣いてしまっています。

本当にしんどかったので、第2話が放送された後も、
この第1話についてはとても見返す気になれませんでした。
でも第2話もかなり辛い内容でしたし、
試しに上記のマガポケで無料公開中の単行本第2巻まで読んでみたら、
その先もずっとずっと辛いことばかりなので
(でも続きがとても気になるほど面白い)
これはちゃんと自分の思いや想像を言葉にして残したいと思い、
この感想記事を書くために、
先程ようやく二度目の視聴をしました。
やっぱり、泣いて泣いて泣きまくりました……。



まず、少年がどれほど願って頑張ったとて、
彼に待ち受けているのは絶望のみで、
左太腿の負傷がなくても死は遠くなかったという点が辛いです。
毎夜のように吹雪いている氷の大地で、
日々の食事は少量の干した魚、
ミルクを出してくれていた角鹿の最後の一頭は約一年前に死に、
野菜を食べた記憶が無く、甘いという味覚を知らないということは、
以前から栄養がかなり欠乏しています。
(左足の怪我が悪くなる一方だったのは、
おそらく薬が無く、衛生状態が悪かったのでしょうが、
栄養不足で免疫が衰えていたのも影響したのではないかと思います)
しかも焚き木として使える木材には限りがあるだけでなく、
雪のせいでなかなか乾燥しないそれが有用的でないのは、
死活問題です。
そして、自分と一緒に村に残っていた老婆(四人?)は既に亡くなり、
土産と共に戻ってくるはずの他の村人たちは
五年前から一切戻ってこないという孤独……。
その最悪で痛烈な現実を、日々、実感しながらも、
必死に気付いていない振りをして敢えて明るく振舞い、
希望に向かって頑張っていた少年の姿は、称賛に値します。
凄いです……。



そしてジョアン。
かつて南の緑豊かな楽園を目指して皆が村を去ろうとした時、
ジョアンに噛まれた少年は彼らに留守番を言いつけられ、
老婆と共にこの村に残ったそうですが、
改めてアニメを見返したり、原作の漫画を読んだりしてみると、
ジョアンは彼らが南に行っても何も見つけられない
(少なくとも人間が歩ける範囲では何も無さそう)
と分かっていたからこそ、
少年をむざむざ死なせたくなくて、
わざと噛んで怪我を負わせるという手段を使って
彼を引き止めたんだろうなと思いました。

更にジョアンは、冒頭の観察者による説明で
「一匹のレッシオオカミが南方から現れ」とあったことからして
それでも皆を追って楽園に行く夢を諦めない少年を見かねて、
彼の代わりに単独で南に出かけた後、
何も見つけられなかったか、もしくは例の残骸を見つけたかした後、
あの村に帰る途中で怪我を負い、
当時はまだ石だったフシのところで亡くなったんだろうとも
想像しました。
だからこそ、フシが化けたジョアンでは何も分からず、
一人で南に行くと決めた少年を絶対に止めないというのが、
見ていて辛かったです。

第1話の序盤でジョアンになったフシが少年の元に行けたのは、
本物のジョアンの意思が少しは伝わったからですよね……。
ジョアンは絶対に少年の元に帰ろうとしていたはずです。
ジョアンが不在だった二か月間に少年が味わった孤独は、
ひどく長いもので、言葉では言い表せないほど辛かったでしょう。
本物ではなかったとはいえ、
ジョアンの存在が少年の心の救いになっていたと分かる描写は、
温かいけれど痛々しかったです。

そう、ジョアンは左足(人間でいう左大腿部)に裂傷があり、
少年も同じところに怪我を負ってしまうんですよね。
それが原因で亡くなる点も、共にフシに看取られる点も共通で、
少年とジョアンは一つだったんだと、改めて思いました。



楽園を目指す少年の旅が始まってから……
特に左足を負傷してしまって状況が悪くなってから、
ジョアンに話しかける少年の言葉を聞くのがしんどくて、
彼が何を言っても、私は涙、涙……で泣くばかりでした。
少年がジョアンに話しかけるていで、
弱気な自分に言い聞かせ、勇気を奮い立たせているのは、
本当に辛い……。
ただ、この時点のジョアン(フシ)が何も分からないのが、
逆に良かったのかもしれません。
もし本物のジョアンだったなら、少年の心境を慮ってしまい、
そのせいで少年が余計に辛くなってしまったような気がします。



五年前に少年たちを残して去った村人については、
作中では具体的な説明はありませんでしたが、
あの残骸からしてまず間違いなく全滅ですよね。
少年がそこから村に帰れたことからいって、
彼らにもそうできる選択肢はあったはずですが、
気付いた時にはもうそれを叶える状況になく、
人がゆるゆると死んでいったのかもしれません。
あそこはもう人が住める土地ではないので、病気が流行り、
短期間で一気に亡くなった可能性も充分にあるでしょう。
村人が残したと思わしき矢印の上に
バツ印が付いているシーンが流れた時は、
反射的にギュッと目を瞑ってしまったほど、
私も大きなショックを受けました。



皆のことを忘れないようにと、
小屋の内壁に村人の似顔絵を描いていた少年。
彼は、自分とジョアンのこともちゃんと描いていたんですね。
初見時の私はここを見落としてしまい、
もし何年かして誰かがここを訪れた時に、
少年が残した絵のお陰で他の村人のことは知ってもらえても、
肝心の彼のことは誰も分からないんだ……と想像し、
更に辛くなったのですが、
違っていて良かったです。
少年とジョアンが丸で囲まれていて、
彼らが一括りになっているのも好きです。
 ↑
でも第2話のリアタイ視聴時は、
まだ原作の漫画を読んでおらず、
当然この第1話も見返してなく、誤解したままだったので、
第2話のアイキャッチでこの似顔絵画像が出てきた時は、
驚くと同時に感動して、でも辛くなって、
嗚咽が出ました……。
さっき第1話を見直したら、
少年がジョアン(フシ)に語り掛けながら「一緒だ」と言う時に
その絵も出て、
あぁ本当に描いていたんだと分かり、また泣きました。



何も分からないはずのフシでしたが、
少年が亡くなった後、椅子からずり落ちた彼を
その望みどおりに戻して座り直させたあたり、
分からないけれど伝わるものはあるんだなと思いました。
(これもあって、上でも書いたとおり、
ジョアンに変態したフシは少年の元に辿り着けたんだと思いました)

そして、亡くなった少年を最初に出迎えてくれたのが
本物のジョアンだったというのがもう……!!!
きっとジョアンは、死んだ後も少年を心配してましたよね。
そこでジョアンに待たれていたことで
少年が死を全く自覚しておらず、
皆に向かって楽しそうに「こんにちは」と挨拶しているのが、
とても良かったけれど、せつなくて辛い……しんどい……。
これを彼らが生きている間にできていたらとも
思わずにはいられなかったです。

そしてそして、この話の最後まで
(というか、おそらく原作の漫画の最新話まで)
この少年の名前が分からないというのがトドメでした。
フシも、私たち視聴者や読者も、
少年がジョアンをよく呼びかけていたから
あのレッシオオカミがその名であるとは知っているけれど、
その逆は一切無かったので、分からないんですよね……。
そんな少年に「覚えていて」との願いを託されたフシが、
その死を目の当たりにした刺激により
彼の姿を記憶し、そっくりに擬態することで、
結果としてそれを叶えるというのも、駄目押しでした。
本当、最初から最後まで辛くて、悲しくて、やるせなくて、
でも深い感動を与えてくれるお話でした。
「死」を強く感じることで、「生」も同様に感じられました。



そして、第2話に続くわけですが……
その第2話冒頭で、少年の姿でずっと旅をしていたフシが
六回死んだあとにようやく緑豊かな土地に到着したと分かり、
追い打ちをかけられました。
少年は勿論、村人にも、待っていたのは死しかなかったなんて、
絶望が更に強まりました。
どんなに南に向かって歩いても駄目、
あのまま村に残って暮らしていても駄目だったとは、
あんまりです。
少年が幼かった頃はまだ環境が違ったようですから、
もっと前から村全体で脱出していれば良かったのでしょうが、
どうしようかと迷っているうちに一年を通して気候が悪くなり、
もしかしたら凍土化も進んで、
ああなってしまったのかもしれません。

(4/27追記)
先程、大今良時先生のインタビュー記事をネットで読みました。
【インタビュー】大今良時『不滅のあなたへ』
「どうすれば死から遠ざかることができるか」―― 著者が自身に課した課題とは!? https://konomanga.jp/interview/136188-2
こちらによると、少年の家は舟を二つに割ったもので、
あそこに住んでいた村人はずっとあの場にいたのではなく、
他の地からあそこに辿り着いたとか……。
だからこそ、大人たちは改めて
楽園と呼ばれる地に行こうとしていたんですね。
少年が、記憶にないほど幼い頃に
野菜を食べたことがあるらしいというのにも、
納得がいきました。
(追記終わり)



つい数日前、この作品が好きだという友人に
続きの第3巻も読ませてもらいました。
グーグー編もきっついですね……。
友人曰く第4巻も号泣ものということなので、
怖いですが、楽しみでもあります。

ちなみにアニメについては、ネットでも配信されている他、
このGW中に第1~3話の再放送もあるようで、必見です。
まだこの作品を知らない方で、
もしこの記事の文章に何か感じるものがあったら、
是非、見ていただきたいです。
(NHK Eテレで、5/3の0時35分からです)
https://www.nhk.jp/p/fumetsunoanatae/ts/B2XW2X1ZMN/schedule/

そうそう、今夜は第3話の放送があります。
原作を読んでいる今は、見る前からもう辛いのですが、
第2話に引き続きリアタイ視聴します。



いつも以上に語彙が無くて、
「辛い」と「悲しい」と「泣いた」という単語ばかりでしたが、
今の私の気持ちや想像を書いたら、少し楽になりました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
第2話についても色々と思ったので、感想を書きたいです。



(4/27追記)
散々語った記事を投稿してから、丸一日が経過しました。
この間、アニメの第3話をリアタイ視聴して、
紙の単行本の1~2巻を買いました。
アニメのOPでマーチのような女性が映っていましたが、
彼女が第2巻の表紙を飾っていることからして、
あれはマーチ(正確には、彼女がなりたかった姿)ですよね。
となれば、第1巻の表紙でジョアンと共に微笑む少年の姿は、
彼自身が「こうなりたい」と思ったことであるわけで……。
不滅のあなたへ(1) (週刊少年マガジンコミックス)

不滅のあなたへ(1) (週刊少年マガジンコミックス)

  • 作者: 大今良時
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/17
  • メディア: Kindle版

少年が一番望んでいたのは、
大好きなジョアンとずっと一緒にいることでした。
となると、ジョアンが姿を消していた二か月間は、
少年にとってまさに地獄のような時間で、
実は既にジョアンが死んでしまっていた現実を思うと、
本来なら彼の生も夢もそこで費えたも同然だったのかもしれません。
しかしながら、ジョアンに擬態したフシにより
少年はジョアンとの再会が叶いました。
それからは最悪な現実を見せられ、絶望もしましたが、
ジョアンと共にいられて少年は幸せだったはずです。
なので、あまりに悲しいことは確かだけれど、
少年を可哀相だとか不幸だという言葉だけで語るのは
正しくないだけでなく、彼に対して失礼かもしれないと、
今日になって思い直しました。
左足の怪我のせいで、身体的には相当苦しかったでしょうが、
少年は微笑みながら逝きましたしね……。
少年に死んだ自覚が無いことで、
死ぬ時までジョアン(フシ)と共にいて、
その後に最初に再会したのが本物のジョアンだったということは、
本当に本当に、少年の心の中ではジョアンが常に一緒で、
「ジョアンとずっと一緒にいたい」という望みは叶ったのだから、
少年は幸せだったのだと、改めて書きます。
フシがいて良かったです。本当に。
最後に少年を再び幸せにしてくれて、ありがとう。



続きはこちら。
【感想@アニメ「不滅のあなたへ」第2話:おとなしくない少女*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2021-04-28



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2021-04-26 18:23 
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