さくらもちモチ

NHK朝ドラ感想「エール」第19週：鐘よ響け*ネタバレあり　[NHK連続テレビ小説感想] [編集]

NHK連続テレビ小説（朝ドラ）「エール」の感想です。
今回は第19週「鐘よ響け」について記します。

初回と前回の感想はこちら。
【NHK朝ドラ感想「エール」第1週：初めてのエール*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2020-04-05-1
【NHK朝ドラ感想「エール」第18週：戦場の歌*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2020-10-17-1



【第19週：鐘よ響け】のあらすじはこちら。
https://www.nhk.or.jp/yell/

　終戦後、裕一(窪田正孝)は曲を書かなくなっていた。しかし劇作家・池田二郎(北村有起哉)との出会いでラジオドラマ「鐘の鳴る丘」、そして「長崎の鐘」の作曲をすることに。裕一は歌詞の元になった本の著者・永田 武(吉岡秀隆)に会いに長崎へ。原爆投下で自らも被爆しながら医師として人々の救護に当たった永田は、裕一に…。
　一方、吟(松井玲奈)の夫で元軍人の智彦(奥野瑛太)は職探しをしている中、戦災孤児の少年と出会って…。

戦争の厳しい現実を知り、
敗戦を経て陰口を叩かれることもあるようになり、
深い失意と絶望の中にいた裕一が、
新たな曲作りを経て立ち直る週でした。
作曲家として前に全く進めない裕一が、
時計を分解して再び組み立てるシーンは
なかなか意味深で面白かったです。
単に「何も考えずに集中できるから」という理由でしょうが、
裕一が前に進むための（再び時を刻むための）準備という意味も
ちゃんとあるように思えてならなかったです。


恥ずかしながら、「長崎の鐘」は初めて聴きました。
最初は少し哀しいメロディですが、
サビから転調して明るくなる構成が、
まさに「傷付いた人々が希望を持って生きる」様子のようで、
大変素晴らしかったです。
確か、エール第1回において、
緊張でビビる裕一を励ましたオリンピックのスタッフさんが
この曲の名を挙げてましたよね。
長崎の人だけでなく、日本中の多くの人々が
この曲に勇気を貰い、頑張って生きていったんだなぁと
思いました。

この曲のキーパーソンとなる人物を演じた吉岡秀隆さんも、
大変素晴らしかったです。
ずっと横になったままという役の設定上、
表情や口調といった僅かな演技から伝えるしかないというのは
大変難しいことだと察しますが、
繊細に、そして存在感たっぷりに演じられていたと思います。
吉岡さんの出番のシーンは見応えがありましたし、
彼の演技でお話が締まるなぁとも感じました。



その前の、今の朝ドラに繋がるドラマ制作のお話も
興味深かったです。
私の中では最初から
「NHKの朝ドラはそういう仕様のもの」という認識が
強くありますので、
1回15分という短さについては全く気にならなかったですが、
それがまだ根付いていない時代ですと、
確かに「そんな短い時間で何が描ける？！」となりますよね。



苦悩する裕一と並行して、
戦後の時代を逞しく生きる人々の姿も描かれました。
音の実家の件については、そうなるかぁと膝を打ちました。
この先、裕一が
夏の全国高校野球大会のテーマソング「栄冠は君に輝く」を
書くのも分かっていますので、
それを見るのが更に楽しみになりました。


そして、個人的に裕一以上に注目していた吟の夫・智彦さん。
プライドが高く、軍人時代の誇りを捨てられず、
どうなるかと思いましたが、
ラーメン屋として働きながら戦争孤児を心を通わせるくだりは、
ドラマの展開としてはありがちな内容でしたが、
観ていて心が温まる内容で、大変良かったです。
だからこそ、最後の転職については引っかかるものを感じました。
苦労するかもしれないけれど、
智彦さんは「これは違う」と感じて
またラーメン屋に戻るのではないかと想像しています。



音と元ミュージックティ（略）の再会は、
私も観ていて嬉しかったですけれど、
ミュージックティを占い師にする意味はあるのだろうかと
考えてしまいました。
彼については、既にネタキャラとして出来上がっていたので、
それにまた新たなネタを加える必要はないだろうと思いました。



続きはこちら。
【NHK朝ドラ感想「エール」第20週：栄冠は君に輝く*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2020-10-30-1