さくらもちモチ

NHK朝ドラ感想「スカーレット」第19週：春は出会いの季節*ネタバレあり　[NHK連続テレビ小説感想] [編集]

NHK連続テレビ小説（朝ドラ）「スカーレット」の感想です。
今回は、第19週「春は出会いの季節」について記します。

初回と前回の感想はこちら。
【感想「スカーレット」第1週：はじめまして信楽（しがらき）*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
【NHK朝ドラ感想「スカーレット」第18週：炎を信じて*ネタバレあり】
https://himezakura.blog.ss-blog.jp/2020-02-11-2



第19週「春は出会いの季節」のあらすじはこちら。

　昭和５４年春。喜美子（戸田恵梨香）は京都の美大で陶芸を学ぶ武志（伊藤健太郎）を送り出す。しばらくしてマツ（富田靖子）が亡くなり、喜美子は１人暮らしに。
　武志が大学卒業を控えたころ、八郎（松下洸平）が名古屋から喜美子を訪ねてくる。会うのは１０年以上ぶり。八郎は変わらず武志の父親であることを認識する喜美子。
　武志は、大学時代に知り合った、釉（ゆう）薬を研究する掛井（尾上寛之）を追って、信楽の窯業研究所の研究生となる。自立のために家を出て、アルバイトで生活するという武志。研究所事務員の真奈（松田るか）と知り合い、人間関係が広がる。
　一方またも一人となった喜美子のもとに、作品のファンだという女性が現れる。小池アンリ（烏丸せつこ）という元女優。大津の紡績会社の令嬢で今は神戸に住んでおり、セレブらしさと天真らんまんな雰囲気がある。アンリは喜美子の自然釉の作品に法外な値をつけて、しかもユニークな鑑賞方法で驚かせる。ずばずばと聞いてくるアンリに、喜美子は夫と別れ、息子は独り立ちした状況を話すことになり、二人の間には次第に友情めいたものが芽生えていく。
　そんな折、今は大阪の市議会議員となっているちや子（水野美紀）が訪ねてくる。

信楽の女性陶芸家として安定した活躍を見せる喜美子。
それが変わらない点にはホッとしましたが、
年月の経過と共に彼女の周囲にも変化が起こりました。

まずは、母親・マツさんの死です。

先々週そして先週と、仕方が無いとはいえ
老人特有の症状が出ていたのは観ていて辛いものがありましたので、
彼女が望んだとおりに穏やかな死を迎えられたことには
胸をなでおろしています。
ただ、あまりにも描写が呆気なかったことが残念でした。
常治さんの時もお葬式のシーンが省かれていたこともあり、
せめてマツさんの時には見たかったという思いがありました。



息子の武志については、
進学で家を出た後、ナレーションで数年が経過してしまったので
一日ぐらいですぐに戻ってきた（大学を卒業した）点には、
観ていて苦笑を我慢することができませんでした。
喜美子が茶の間でたった一人で食事をしているシーンも、
単に「あぁ、同じようなシーンがまた流れてる」と思ったり、
「きっと前のに続けて撮影したよね」と思ったりしただけで、
あまり胸にはきませんでした。
本来は、かつて「一人もええなぁ」と呟いた喜美子が、
「一人もいいけれど、やっぱり淋しいもんやなぁ」と
実感しているかもしれない場面なので、
もっと彼女の気持ちに私が寄り添えたら良かったのですが……。

掛井先生の奥さんの病気（じゃなかったですが）騒動は、
「なんでこんな余計なエピソードが入るの？」と不思議でしたが、
事務員の若い女性と武志の出会いのためでしょうか。
個人的には、喜美子が陶芸を頑張る姿をもっと見たいので、
武志については照子の息子とのエピソードのみで
充分だと思っています。



照子の年の取り方は、とても良いですね。
可愛らしい幼少時代や、お洒落だった独身時代はどこへやら、
今やすっかり田舎のおばちゃんスタイルが身に付いていますが、
どんな格好でも、私が持つ「照子像」の通りで、
いつも微笑ましく思っています。
喜美子がすっかり世捨て人のような生活を送っている反面、
照子は時流を反映しているようで
（喜美子とは違う意味で堅実な生活を送っているので）
当時の女性の見本のようなのかしらと思いながら、
私は彼女を見守っています。
また、今回は夫の敏春さんもいい味を出していました！
バナナの皮をスーツの内ポケットに入れちゃうシーンには
ちょっと驚きましたが、
不器用だけれど親馬鹿なところを見せる彼には
（そして、その愛情にちゃんと気付いた息子にも）
大きな好感を持てました。



そして、喜美子にとっての大きな出会いがありました……！
今週から新しく、スキャンダル女優だというアンリさんが登場しました。

指先で焼き物をなぞって音楽に喩えるというのは
あまりに個性的すぎて、ちょっとついていけませんでした。
また、「夕方には帰る」と言って去ったアンリさんがなかなか戻ってこず、
心配した喜美子が彼女を抱きしめるシーンでは、
その心の距離の近さに戸惑い、
「え？　そんなに心配？？」と驚かされました。
でも、アンリさんが喜美子の作品を心底入れ込んでいるのは
彼女の言動から強く感じられますので、
観ていて楽しい登場人物だなぁと思えています。
難しい穴窯での焼きの作業に慣れ、
今は自分のためだけに作品を作ればいい喜美子からは、
道に迷っているような印象を受けましたが、
アンリさんからの刺激を受けて
また良い方に変わっていくのかなと思えてならず、
期待が募ります。