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感想@映画「もらとりあむタマ子」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「もらとりあむタマ子」をDVDで観ましたので感想を記します。

もらとりあむタマ子 [Blu-ray]

もらとりあむタマ子 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: Blu-ray

主なキャストさんはこちら*敬称略
坂井タマ子:前田敦子
坂井善次:康すおん
仁:伊東清矢
坂井啓介:鈴木慶一
坂井よし子:中村久美
曜子:富田靖子

以下の記述にはネタバレを含みます。



拙ブログの他の記事をご覧の方はご存知かもしれませんが、
私は48グループが好きです。
特に好きなのは名古屋を拠点とするSKE48で、
秋葉原の劇場に何度か足を運んでいるAKB48はその次です。
かつてのエース・前田敦子さんについても、
それなりに関心はあったものの、特に好きというわけではありませんでした。
マイペースが過ぎる(と思われがちな)個性が、
悪い意味で気になって仕方がありませんでした。

でも、自分でも不思議なのですが、
女優さんとしてのあっちゃんに対しては、良い意味で気になっています。
そんなわけで、今回は、
彼女が主演した「もらとりあむタマ子」を選んで借りてきました。



ネットでの評判が良いらしいとは見ていたものの、
あらすじなどを全く知らなかったので、ちょっと驚きました。
この映画は、終始、主人公・タマ子の今(現在)を描いているんですね。

タマ子は、今で言うニートで引きこもりです。
東京の大学を出た後に実家に戻ってきたものの、就職せず、
実家の仕事(スポーツ量販店/自営業)も手伝わず、家事もせず、
自堕落にだらだらと毎日を過ごしています。
そんなだらしない娘を見かねた父親は、何度か注意しますが、
現状に慣れてしまった上に、娘をかわいがる気持ちもあり、
その注意も厳しいものではなくなっています。
当然、言われる方のタマ子もろくに聞かないでいます。

タマ子の過去は、
ご近所の人々との会話や、彼女自身が書いて捨てた履歴書から、
何となく伺えますが、
彼女が堕落した具体的な理由などは全く出てきません。
この手の内容のお話ですと、
痛烈なトラウマを抱えた主人公が、大きな事件を機に立ち直り、
人間として大きな成長を果たすのが基本になることが多いのですが、
この作品は、タマ子がちょっとやる気を出したところ
(作中で言う「その時が来た」直前)までで終わります。
タマ子の心がざわざわとすることはあっても、大きな事件は起こりません。
なので、最初から最後まで、まるでタマ子そのものを表すように
作中の時(季節)は呑気に流れていきます。
最終的に、タマ子が本当に家を出たのかも、
彼女の父親が再婚したのかも、全く分からないのですが、
それで全く構わないというか、問題が無い出来になっている点が良かったです。
私は、タマ子は本当に家を出て(でも近所にアパートを借りる)、
父親も再婚しないと想像しました。
これが合っているのかどうかは、当然、分かりませんが、
作り手側がこうして観客に想像の余地を与えている点が
私には好ましく思えました。



とにかく、タマ子の内弁慶ぶりが可愛かったです。
父親以外の他人の前では、それこそ借りてきた猫のようにおとなしく、
相手に合せて、心にもないことを言えるのに、
(そういう場合は焦っている時が多いので、早口になってしまっているのも可愛い)
父親の前だと緊張が失われ、弛みきっているので、
心のままに暴言を吐きますし、遠慮が無かったというのが、
とてもリアルだと思えました。

店舗部分の横にある居間兼台所の空間でだらだらするタマ子には、
体や心の病を抱えているというような、大げさな理由はありません。
また、遠慮がないといっても、父親との関係は割と良好で、
親子二人での食卓シーンは何回も登場します。
二階にはタマ子の部屋がちゃんとあって、夜はそこで寝ているのに、
日中は、ほぼ、父親に近い一階の居間兼台所でごろごろしている点が、
この二人の親子関係を最もよく表現していると思えました。
そしてタマ子は、自分だけでは動く気にならない・なれないからこそ、
父親からの「夏が終わったら、この家を出ていけ」という命令によって、
背中を強く押されたんだと思います。
ああ言われなければ、タマ子はまだまだ家でだらだらしていたはずです。
また、父親がタマ子にそう言ったきっかけは、
タマ子が曜子に思わず漏らした愚痴であるはずなので、
彼女の父親にそれを伝えたであろう曜子の存在は重要ですが、
何より、彼女自身が変わるきっかけを無意識のうちに求めていたんだろうと
思えました。

父親にそう言われ、タマ子も納得してそれを受け入れたようなのに、
それに向けて具体的に動くことを最後までしていないのも、彼女らしかったです。
(でも、終盤でお店の開店準備をしたり、洗濯物を干したりしていたので、
彼女の中で気持ちが大きく変わっていたのは確かです)
個人的には、上でちょっと書いたことと重複しますが、
タマ子は秋から一人暮らしを始めたものの、実は近所にアパートを借りていて、
実家のお店でアルバイトをすることで収入を得るようになっていればいいなと
思いました。
あの父親との距離感は大事なので、続けてもらいたいです。



上手く言えないのですが、独特の空気感が魅力的な映画でした。
ニートや引きこもりが主人公というと、どうしても説教くさい内容になりがちですが、
この作品はそういう押し付けがましい部分が全く無く、気楽に観られました。
この監督が手掛けた作品、そしてあっちゃんが出演した他の作品も、
観てみたくなりました!

(追記)
後から知ったんですが、この監督、「超能力研究部の3人」を撮った方なんですね。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2014-12-25
納得しましたーヽ(o・ω・o)ノ


2015-11-04 13:24  nice!(0) 
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