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感想@映画「超能力研究部の3人」*ネタバレあり [AKB48・SKE48・乃木坂46]

映画「超能力研究部の3人」を観てきましたので
感想を記します。

映画 超能力研究部の3人 公式ブック (講談社 Mook)

映画 超能力研究部の3人 公式ブック (講談社 Mook)

  • 作者: 乃木坂46
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

主な役名とキャストさんのお名前はこちら*敬称略
山崎良子/秋元真夏:秋元真夏
村田育子/生田絵梨花:生田絵梨花
小暮あずみ/橋本奈々未:橋本奈々未

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

具体的な感想の前に、
こちらの映画を観ようと思った経緯から綴ります。

まず最初に、私は乃木坂46が好きです。
ただ、握手会に参加する、劇場公演を観に行く……といった
現場活動も一応やっている48グループと異なり、
乃木坂46への興味はまだまだ少ないです。
推しメンも特にいません。
気になるメンバーは、まいやん(白石麻衣さん)、
生駒ちゃん(生駒里奈さん)、いくちゃん(生田絵梨花さん)、
ななみん(橋本奈々未さん)です。

乃木坂46が主役を務める作品が公開されると初めて知った時、
行こうかどうかでとても迷いました。
上記の通り、いくちゃんとななみんが出ますので、
気にはしていたものの、
アイドル主演の映画にはハズレが多いという印象が
とても強かったからです。
また、超能力ネタという“いかにも”な内容も
躊躇した理由の一つでした。

映画パート(本編)のあらすじがこちら。
原作は“シティライツ”という作品です。
シティライツ(1) (モーニング KC)

シティライツ(1) (モーニング KC)

  • 作者: 大橋 裕之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/10/21
  • メディア: コミック

北石器高校の超能力研究部に所属する、育子、良子、あずみは、同級生の森が楽々とスプーン曲げをしているところを目撃し、強引に入部させる。森はスプーン曲げだけでなく、人の心が読めるという能力も持っており、実は宇宙人であると告白。それを聞いた3人は、森が故郷の宇宙に帰りたいに違いないと決めつけ、UFOを呼び寄せようと奮闘するが…。


そんな私が急に考えを改めたきっかけ
——それは、私がよく読んでいるブロガーさんのレビュー記事です。
そして私はようやく、
こちらの作品がただの学園SFものでなく、
撮影の裏側も撮っていると模した
フェイクドキュメンタリーだと知ったんです。

具体的に言いますと、こちらの作品には三つの映像が混在しています。
一つ目は、“超能力研究部の3人”映画本編の映像
二つ目は、それを撮影しているメイキング映像(フェイク)
三つ目は、リハーサル中・休憩中の映像(フェイク)

たとえば、三つ目の映像において、
乃木坂46のメンバー三人が監督の演技指導を受けるのですが、
こちらの作品はフェイクドキュメンタリーですので、
監督は演技指導をする演技、
乃木坂46の三人は演技指導を受ける演技をしています。
撮影中に起こるトラブルも、勿論、演技なので偽物です。
撮影が無い日に三人が遊びに行くのも演技。

実験的な作品らしいとはこの時点で分かりましたし、
そのブロガーさん以外のネットでの評判も良好でしたので、
「これは観ておかなきゃまずいかも」と思い直した次第です。



こちらの作品のキャッチコピーは
「ぜんぶウソ。っていう、ホント。」です。

ごく一般的な映画であると一応装ってみた嘘。
映画撮影を通したドキュメンタリーという嘘。
よって、作中で見られるメンバーの悩みも涙も
全てが嘘で、台本が存在するはずなのですが、
彼女らが仕事で苦しんでいたりもがいていたり、
また、海を見てはしゃいだりしている姿を見ていると、
「『ぜんぶウソ。』というのも嘘なんじゃない?」と
思ってしまうんです。
「これは虚構です」「まやかしです」と予め言われていて、
実際、いかにも嘘っぽく撮られている映像も多いのですが、
時々、素の三人を観ている錯角を起こしてしまいます。

しかも、
この「嘘という本当」や「嘘なのに本当?」という
物事の真偽に関わるテーマは、
彼女らの“アイドル”という立場や概念に直結しており、
作中でも「アイドルとはなんぞや」との問いかけが
何度もなされています。
観客は無意識のうちにこの答えを模索させられます。
また、本来の主題であるはずだった超能力・UFOも
真偽をはっきりと下せない
(みんなが嘘だろうと思っているけれど、
嘘だと断定することは難しい)点で、
偶像として語られることが多いアイドルと
同じであるとも言えることから、
作品全体で「嘘と本当(真実)」を語っている作品でした。

いやぁ……面白かったです。
観て良かった。
鑑賞中も、映画館を出た後も、色々と考えました。
観た後で誰かと呑みながら語りたくなる作品です。



印象的だったのは、おそらく誰もが挙げるでしょうが、
喧嘩のシーンが上手くできなかった
まなったん(秋元真夏さん)に対する演技指導と、
キスシーンの許可がなかなか下りないシーンです。



まず前者。
私はブロガーさんの記事で読んでいましたので、
どういうことが起きるのかを知っていましたが、
もしそうでなかったら、
きっと激しいショックを受けただろうと思います。

ヤンキー系の同級生に「ブス」とからかわれたのを受けて、
キレた山崎良子(まなったんの役名)が、
彼女らに食ってかかる……というシーンがあります。
酷いことを言われたとは分かっていても、
具体的にどうすればよいのかが分からない
(相手に怒る演技ができない)彼女のせいで、
撮影前のリハーサルが何度も何度もやり直されます。
このままでは駄目だと思ったらしい監督の提案により、
気分転換を兼ねた休憩を取ることになります。
ここで、監督がヤンキー役の女性の役者さん二人に頼み、
まなったんの猛烈な怒りを自然に引き出す為に、
アイドルとしての彼女を一方的に罵倒するという
演技指導を行なうんです。

たとえば……
ヤンキー役の女性が「歌も踊りも下手」と批判した後、
まなったんが
「歌と踊りだけじゃない。それ以外もある」と反論するんですが、
ヤンキー役の女優さんたちは
「『それ以外』ってここ(撮影)じゃないの?」と失笑します。
そのまま、「(演技が)できてないじゃん」や
「なんでできないの?」といった冷たい言葉を
引き続き浴びせます。

その前にも、まなったんが
「歌も踊りも下手」と言われたことに対して
「違う」と反論しているんですが、
「視聴者はみんなそう思っているよ」みたいなことを
即座に言われてしまうんです。

また、アイドルは歌も踊りも下手、演技もできないと
二人に何度も何度も馬鹿にされた後で、
「じゃあ、何ができるの」とアイドルの役割について問われます。
ここでまなったんは「誰かを笑顔にする」と言うんですが、
当然、ヤンキー役の女性からは深く呆れられます。
普段から48グループのメンバーを追いかけている私は、
この「誰かを(皆を)笑顔にする」との言葉を、
耳にタコができるほど頻繁によく聞いているのですが、
さすがにこのシーンを見た時は、
この言葉の無力さや虚しさを痛烈に感じました。

そして、改めて考えました。
アイドルとは何だろうと。

個人的には、現代のアイドルは、
「未完成であることを許された存在」だと思っています。
歌も踊りも演技も下手だけれど、
アイドルでいられる内はまだそれでもいいと許されていると。
「アイドルだからしょうがない」との言い訳が
一応許されている存在だなと。
但し、その許しにも下限があって、
そこに引っ掛かってしまうと、
そもそもアイドルになれませんし、
その許しから抜けだせない、突破できない人は、
いつの間にか消えてしまう印象があります。

また、私には、好きになるアイドルの共通点があります。
下手なりに頑張ったり努力したりする姿に共感できることと、
その結果の成長っぷり(伸びしろの長さ)を喜べることです。
なので、普段から気に掛けている子が
やっと出られるようになったテレビの歌番組で、
画面に映るか映らないかの端っこの位置から
必死に笑顔を振りまいているのを見ると、
自然と「あぁ私も頑張ろう」と思いますし、
頑張りの成果が一応出たのが嬉しくて、笑顔になります。

ですから、まなったんの
「誰かを笑顔にする(のが自分の仕事だ)」という答えは、
ある意味、間違ってないと思うのですが、
対象が物凄く限られているのが問題ですよね。
私とて、好きではないアイドルから
「皆を笑顔にさせます!」と自信たっぷりに言われても、
困りますし。
でも、狭い世界で、他人からの理解を得難いとはいえ、
アイドルのお陰で笑顔になったことがある自分がいる以上、
それを認めないわけにはいきません。
こうして考えていくと、まず大前提として、
「アイドルとは、他者に求められて初めて存在するもの」
なのかもしれないなとも思いました。
求めていないヤンキー役の女優さんに対し、
まなったんがアイドルとしてどんなに最良の返事をしたとしても、
彼女らの胸には響かなかったと思います。

そして、あくまで演技指導として過酷な映像が流れましたが、
「歌も下手。演技も下手」
「アイドルって何ができるの? 何もできないじゃん」
「『皆を笑顔にする』って、何それwwww」
という冷たい指摘は、
テレビのこちら側で視聴者がよく言っていることです。
勿論、まなったんだけでなく、
乃木坂46の三人も、それをよく知っているという。

さて、長々と演技指導のシーンについて綴りました。
ここで改めて書きます。
これはフェイクドキュメンタリー。全てが嘘。
なので、怒る演技ができないまなったんも、
演技指導を提案する監督も、
実際にまなったんを罵倒する女優さん二人も、
その演技指導を経て演技が格段に上手くなったまなったんも、
とにかく全部が嘘。
全部が演技……であるはずなんですが、
まなったんの表情や言動を見ていると、
演技とは思えない部分がありました。



一方で、「あぁ、嘘ww」「全部嘘ww」と笑えたのが、
キスシーンで揉めるシーンです。
まなったんにガチのキスシーンがあると知ったマネージャーが
慌ててしまい
(台本にはきちんとそう書かれていたけれど、
ちゃんとチェックしなかったのか、
キスをするふりで済ませたリハーサルと同じだと思い込んでおり、
現場で知って血相を変える)
二時間も掛けて事務所の上の人間を呼ぶという内容でした。
話が全然通じない、自分の不手際を認めない人たちを相手に
急いで説得しなければならない状況には、
私も「なんだ、この人たち」と苛々しましたが、
あくまで他人事ですし、
何より、わざと嘘臭い映像にされているので、
笑えました。

ただですね……
その直後に描かれた熱狂的ファンの激昂のような、
「アイドルはキスをしては駄目」という考えは、
分からなくもないです。
私、このシーンを観た時に、
AKB48のシングル「ギンガムチェック」のPVが初公開された時のことを、
即座に思い出しました。
このPV、ゆきりん(柏木由紀さん)による初めてのキスシーンがあり、
ヲタさん界隈が阿鼻叫喚の巷と化したんです。
騒ぎが一過性だったとはいえ、
その時の一部のゆきりんヲタさんの熱さを思えば、
馬鹿らしいと鼻で笑いつつも、
事務所が出す「キスはNG」という考えは否定できません。



終盤に入ると、急に映画本編の映像が主になります。
本編については、
リハーサルや撮影をしている映像を介して理解できるようになっており、
いきなり本編の映像になっても違和感を覚えることは
特にありませんでした。

こちらの映画、もしフェイクドキュメンタリーの部分がなく、
純粋な学園SFものの要素しかなかったら、
まず見ることはなかったです。
でも、こうして乃木坂46の仕事を介して観た後ですと、
本編も最初から最後までちゃんと観たかったなと
思い直すようになりました。
すっかり彼女たちの役の世界にハマってしまったようです。



その創作の世界から現実
(フェイクなので本当は非現実ですが)に戻ってくるシーンも
お見事でした。
途中で「あれ? これって撮影の休憩中?」と
思えるような台詞があってから、
まるでネタばらしのように一気に現実に移っていくのは
素晴らしい演出だなと思いました。



唯一、残念なのは……
こちらの映画の主演が乃木坂46のメンバーで、
作品としての売り(注目点)もそれである以上、
乃木坂46を好きな人じゃないとまず観ないという点です。
でも、乃木坂46についての知識は全く要らないですし、
アイドルに対する興味が無くても
——というか、全然無い人の方がおそらく楽しめるだろうなと
安易に推測できるあたり、
この現実が惜しくてたまりません。

凄く不思議なのですが、事前にネットで調べてみたところ、
乃木坂46をあまり知らない、全く知らない人には割と好評で、
高評価も結構出ているのに、
濃い乃木坂ヲタさんになると賛否両論だという印象を持てたのが
面白かったです。



ちなみに、こちらはDVD化の予定は無いそうです。
(ソース元が分からないので私には断定できません)
とりあえず、メイキングDVDが公式から発売されていますので、
それを買ってみようかなと思います。



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2014-12-25 16:11  nice!(0) 
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