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感想@映画「舞妓はレディ」*ネタバレあり [映画・舞台]

周防正行監督の映画“舞妓はレディ”を映画館で見てきました。

舞妓はレディ (幻冬舎文庫)

舞妓はレディ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 周防 正行
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/08/28
  • メディア: 文庫

主なキャストさんはこちら*敬称略
西郷春子:上白石萌音
小島千春:富司純子/大原櫻子
百春:田畑智子
里春:草刈民代
豆春:渡辺えり
青木富夫:竹中直人

京野法嗣:長谷川博己
北野織吉:岸部一徳
高井良雄:高嶋政宏
市川勘八郎:小日向文世

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

CMなどを見て気になっていたところ、
ひょんなことで時間が取れたので、映画館で見てきました。

私も京都で本物の舞妓さんとすれ違った時は
物凄くどきどきしましたし、
いっそ一度くらい舞妓体験をさせてもらおうかしらとも
思っていますので
(舞妓の格好で日中の街を歩くことができる)
いつになく強い興味を持って見ました。



映画は、上白石萌音さん演じる春子が
仕込みさん(舞妓見習い)として一から頑張り、
成長していくという王道な内容で、
とても面白かったです。

独特の言葉使い(方言/京ことば)や基本的な所作、
舞や三味線、唄に鼓といった芸事……と、
下地ができていない春子の前には
常に大きな壁が立ちはだかっており、
苦難の道を進まざるを得ないのですが、
彼女がちょっとずつ、地道に成長していく様は、
まさに応援したくなります。
映画の終盤で、春子が晴れて店出しの日を迎えられた時は
私も深く感動し、
しみじみと「良かったねぇ」と思いました。
おそらく、ご近所で春子を見守っていた人々の心境に
なっていたと思います。
それぐらい、春子の舞妓姿は美しかったですし、
以前の彼女とは違うという説得力がありました。



ただ、この映画はミュージカルものらしいんですよね。
私もCMで、テーマソングのサビの部分の
「まーいこーはレディー♪」が抜けず、
これも映画を見ようと思ったきっかけの一つでしたので、
事前に分かってはいたのですが、
一部の歌を除いては
「これは別に歌わなくても良いのでは?」と思えました。
ミュージカル文化がまだ浅い日本では、
作中で唐突に歌が始まることに抵抗を覚える人も多いんでしょうが、
それ以前に、キャストさんが歌う必要性を
あまり感じられませんでした。

ミュージカルにおける歌は、勿論、とても重要なものです。
大抵、キャストさんが熱い胸の内を吐露する時などに
いきなり歌い始めるものですが、
こちらの映画の場合、
主要なキャストさんには一曲持たせると決められていたようで、
「ここで歌?」と思えた箇所が幾つかありました。

主役の上白石萌音さんは歌がとてもお上手な方で、
「もっと聴きたい!」と私も思いましたし、
他のキャストさんの歌についても、上手下手はともかく、
聞き苦しいほど音痴な方はいませんでしたので、
歌が駄目だったというのではありません。
でも、ミュージカルとわざわざ冠を付けるのでなく、
普通の作品+上白石萌音さんの歌というふうにすれば
もっと良かったのではないかなと思いました。

上記の「一部の歌を除く」の「一部の歌」は、
「まーいこーはレディー♪」の主題歌と、
大原櫻子さん演じる若き日の女将の歌「moonlight」です。
moonlightは役者さんも歌も演出も凄く良かったです。
映画「舞妓はレディ」 ミュージカル・ソングス&サウンドトラック・コレクション

映画「舞妓はレディ」 ミュージカル・ソングス&サウンドトラック・コレクション

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2014/09/10
  • メディア: CD


あと、とても気になって眉を顰めてしまったのが、
着物を身に付けた状態でダンスを踊るシーンです。
腰を何度も左右に振ったり、
腕をにょきっと出したり、足を大きくおっぴろげたり……と、
大変見苦しくて、不快感を覚えました。
どうして日本舞踊をベースにした振付にしないんだろうと
不思議に思っていたら、
最後のスタッフロールで理由が分かりました。
ダンスの振付の担当はパパイヤ鈴木さんだったんですね。
春子が舞を習うシーンや、芸妓さんが踊るシーンでは
日本舞踊のお師匠さんのチェックが入っているはずなので、
それ以外でも、着物で踊るシーンでは全て
そうした日本舞踊のプロに振付をお願いした方が良かったのではないかと
思いました。

あと、監督の奥さん(草刈民代さん)プッシュが凄いです。
里春と市川勘八郎の逢瀬のシーンは、あの半分で充分です。
草刈さんが洋舞をする後半は丸々要らないと思います。
無駄に長いので、見ていてだれますし、
「え? まだやるの?」とちょっと苛々しました。
あの尺で、お茶屋の皆が(特に女将さんが)
春子が一春の娘だと気付くシーンを、
是非入れてほしかったです。

女将さんと言えば、
最後、ドレス姿で登場する富司純子さんが美しくて
溜息が漏れました。
とても素敵です。



あ、あと!
グループのファンなのに全く知らなかったのですが、
アルバイトの舞妓として
松井珠理奈さん(SKE48)と武藤十夢(AKB48)さんが登場していて
びっくりしました。
主役の上白石萌音さんがお上手だった分、
お二人の演技の拙さ(台詞の拙さ)がとても気になりました。
彼女らにはもっと頑張ってほしいです。
もしくは、演技がちゃんとできるメンバーもいるはずなので、
人気だけで選ばず、実力がある子に出演の機会を与えてほしいです。



ミュージカル作品としてこの映画を見ますと、
上記の通り、
キャストさんに歌わせる必要性を感じられなかった部分も多いので、
評価は低くなってしまいますが、
お話そのものは面白いので、気になっている方にはお勧めします。

でもそうなると、以前、日本テレビの日曜深夜でやっていた
仕込みさんのドキュメント特集(NNNドキュメント)の方が
ずっとずっと面白かったので、
リアルって凄いなと思ってしまいました。



2014-10-03 13:57  nice!(0) 
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