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感想@映画「阪急電車 片道15分の奇跡」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「阪急電車 片道15分の奇跡」をテレビで観ましたので
感想を記します。

阪急電車 片道15分の奇跡 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

主なキャストさんはこちら(敬称略)
高瀬翔子:中谷美紀
森岡ミサ:戸田恵梨香
伊藤康江:南果歩
権田原美帆:谷村美月
門田悦子:有村架純
萩原亜美:芦田愛菜
小坂圭一:勝地涼
萩原時江:宮本信子

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

この映画と言えば、
ウェディングドレスを着た中谷美紀さんが
どこかの駅のホームで突っ立っている
……というイメージがありました。
更に言えば、それしか分かりませんでしたので、
オムニバス作品だということも知りませんでした。

その中谷さんの話が掴み(導入)でしたので、
最後まで視聴しましたが、
後半からは退屈だと感じることが何度かありました。
それは、最後までお話に乗れず、
登場人物の気持ちに同調できなかったことが大きいです。



まず、高瀬翔子(中谷美紀さん)。
観る前の私は、
翔子が式場から逃げ出した花嫁さんかと思っていましたが、
全く違っていました。
彼女なりの復讐の方法については、
自身が負う心のダメージが大きすぎて、
私には賛同できませんが、
映画映えする(映画として盛り上がる)ネタだと思います。
私だったら、慰謝料としてお金をたくさん貰って、
パーッと使ってパーッと忘れると思います。

観ていて気になったことがありました。
彼女、自分に降り掛かった不幸を言い表わす時に
「私、寝取られたんです」と言うばかりだったんです。
「(男に)浮気された」のではなく「(女に)寝取られた」と。
これ、男にまだ惚れているから
相手の女ばかり責めている表れだと思うのですが、
映像で見た限り、
そんなに執着するほどの男でないと感じてしまったので、
違和感を覚えました。

それと、翔子がウェディングドレスを着ている時、
周囲の人々は割と着込んだ格好をしているので、
デコルテと肩を出すドレスでは相当寒かったと思うんです。
でも、その時の翔子は気を張っていて、
寒さを感じるどころではなかったんでしょう。
なので、肉まんを美味しそうに頬張った時は、
自分の格好が周囲に浮いているのを自覚するだけでなく、
体をブルッと震わせて寒さを感じたシーンも入っていれば、
よりリアルな感じになったのではないかなと思いました。



次は森岡ミサ(戸田恵梨香さん)。
ちょっと格好良い男と付き合い始めたら、
実はとんでもないDV男だと分かったという内容でした。
こちらも、
何故、ミサがこんな最低男と付き合っているのかが
全く分かりませんでしたので、
彼女に共感も同情もできませんでした。
尤も、男と付き合い始めた頃と思わしき回想シーンのデートにて、
ミサがパフェだかアイスだかを食べている時に、
他の若い女の子たちから彼氏が
「あの人カッコイイ!」と騒がれているのを見てにんまりとし、
ちょっと得意げな顔をしたことからして、
見映えの良い男と付き合っているが
自分で自分の評価を上げることに
多少なりとも繋がっていたのかなと感じてしまい、
自業自得だと思える部分もありました。

駄目男と付き合う女性の心理としては、
「この人には私がいなきゃ駄目だ」という
母性本能をくすぐられるケースが多いですが、
ミサの場合は違うんですよね。
彼氏にいきなりキレられても好き、
怒鳴られても好き、物を投げ付けられても好き、
……というミサの考えが
私には本当に理解できませんでした。
なので、勿論、
別れのメールをミサが彼氏に送信するのに迷うシーンでも、
彼女に共感するどころか、少々苛立ちました。



次は伊藤康江(南果歩さん)。
見ていて、すっっっっごく苛々しました。
康江は他人からの押しに非常に弱く、
周囲に波風を立たせないようにするタイプであり、
誘ってくるマダムたちが遠慮なく押してくるタイプですので、
完全に弱者と強者の関係が成り立っていました
「せっかく誘ってくれているのに断ったら悪い」とか
「息子の学校のPTA関係で知り合った人たちだから」とか
言い訳はいろいろあったようですが、
結局、「自分が悪者になりたくない」や、
「他人に嫌われたくない」という気持ちもあるはずなのに、
それを少しも出さない点に引っ掛かりました。

何度も断っていれば、そのうち誘われなくなるでしょうし、
あのオバサン連中と長く付き合う必要も無いのは明らかなので、
まともに返事もできない彼女は見ていて楽しくなかったです。
(オバサンたちに強く言えないからこそ、
作品のキャラクターとして成り立っているんだとは
私も分かっていますが、
ずっと言えないままの彼女には共感できません)

せめて、最後、うきうきして帰宅して終わるのでなく、
あのオバサンたちに「私は行きません!」と
ガツンと言えていたら、
観ていた私も爽快な気持ちになれたと思うのですが……。
康江に関しては、
「断る」と決めたその後こそ映像で観たかったので、
残念です。



権田原美帆(谷村美月)と小坂圭一(勝地涼)。
さえない若い男女が電車で知り合い、
恋が生まれたという話でしょうか。
きっと山場は、
初めてのセックスに至ったクリスマスの回想シーンなんでしょうが、
私は特に面白いと思えませんでした。
決してつまらなくはなかったですが、
他の登場人物の話の息抜き要素になっていました。



門田悦子(有村架純さん)
彼女に対しても、私は苛立ちましたww
「愚痴ってないで、もっともっと勉強すれば?」と思いました。
たとえば、家が極端に貧乏で、
お金を稼ぐ為に、放課後や休日はアルバイトに励んでいる
→だから勉強できる時間が他の子より少ない!
→憧れている大学に入れないかもしれない!
という流れでしたら、
苦しくて辛くて自暴自棄になるというのも分かります。
でも彼女の場合、
学力不足は完全に自分のせいですよね??
(弟たちがいるから滑り止めにお金を掛けられないとは
言っていましたが)

それと、イケメン彼氏の話。
友達からの質問という形を取っていたものの、
彼氏が自分にセックスを強要してこない
(まだ体の関係が無い)エピソードが出たお陰で、
彼氏は良い人!という美談になっていましたが、
今どき、洋服に付いている洗濯表示のタグを知らない、
「絹」の漢字も読めない大卒の大人ってどうよ……と
私はドン引きしました。
話の順番的には、
まだセックスしていないという説明の方が後でしたし、
その後、車でのデート中に無理にラブホテルに入らせても、
自分が半裸で出てきても、
(先にシャワーを浴びてバスタオルのみを巻き付けた状態で現れても)
彼氏は自分を心配してくれた!
何もしなかった!!として、
彼氏を持ち上げるエピソードがありましたので、
彼は良い人だということを強調したかったのでしょうが、
(しかも、彼氏は
電車内で老人に進んで席を譲るという追加の美談付き)
私は、「絹」の漢字を読めない、
説明の仕方からしておそらく書くこともできない彼氏は
絶対に嫌ですww
だって、「絹」ですよ。「絹」。
日常ではそんなに頻繁に使わない漢字かもしれませんが、
日本人の大人なら誰でも知っていると思います。
それに、作中では描かれていませんでしたが、
「絹」の漢字を知らない人なら、
他の簡単な漢字も知らない可能性が高いですよね。
いくら優しい彼氏でも、
その程度の漢字も知らない人では、
一般常識が無い(=非常識だ)と思います。
私の中では、百年の恋も一瞬で冷めますし、
彼がそれまで見せてきた優しさも吹っ飛びます。



萩原時江(宮本信子さん)と萩原亜美(芦田愛菜さん)。
お話をまとめる役回りであり、
普通の人が言えないことも、
子供の無邪気さや老人の説教として口にできる二人です。
おかしな人々を見た幼い子供が
「ねーねー、おばあちゃん。
あの人って、どうして××なの」と
するりと指摘することや、
いい大人がマナー違反していることに対して
老人が矍鑠と説教をかますことは、
言葉は悪いですが、一種の様式美ですので、
私にはあざといなと思えました。
でも、そんな彼女らをすんなり受け入れられれば、
この作品に対しても「いい映画だった」と思えるはずです。
私は、上記のようにひねくれた印象を持ってしまったので、
最後の時江のお説教は心に響きませんでした。
オバサン連中から売られた喧嘩を買っただけとはいえ、
他人のマナー違反をちゃんと注意できることは凄いですし、
彼女が言っていることは正しいですが、
美帆と圭一のように拍手を送るまでではなかったです。
そもそも、あのオバサンたちへの注意は、
時江でなく、康江にやってほしかったです。



作中でミサが「お礼がしたかった」と言ったように、
誰か(最初は時江)から貰った優しさを、
他の人に自然に伝えていくという内容ですので、
作品のテーマは幸せの連鎖なのかもしれません。
しかし、上記の通り、
私はほぼ全ての登場人物にツッコミを入れていましたので、
あまり合わなかったです。
それと、「片道15分の奇跡」とあるけれど、
私にはどのエピソードも“奇跡”とは感じられなかったのも
残念でした。

あと、特に翔子のシーンで気になったのですが、
せっかくの車内シーンなのに、
どう見ても背景が合成っぽくて、萎えました。
(車内なのに全然揺れない、人物に当たっている光が不自然)
タイトルからして阪急電車の協力を得ているでしょうから、
せめて撮影用に貸りて、
ちゃんと動く車内で撮ってほしかったです。



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2013-11-13 22:47  nice!(0) 
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